専門職大学院

参考資料1 「21世紀の大学像と今後の改革方策について-競争的環境の中で個性が輝く大学-」(平成10年10月26日 大学審議会)(答申)-抜粋-

第2章  大学の個性化を目指す改革方策

 1 課題探求能力の育成―教育研究の質の向上―

(省略)

(2)大学院の教育研究の高度化・多様化

3)高度専門職業人養成に特化した実践的教育を行う大学院の設置促進

(イ)高度専門職業人養成に特化した実践的な教育を行う大学院修士課程の設置促進

a  今後、高度専門職業人養成の目的に即した教育研究体制等の整備を推進しその機能を一層強化するという観点から、制度面でも所要の整備を行い、大学院修士課程におけるこれまでの高度専門職業人の養成を更に進めて、特定の職業等に従事するのに必要な高度の専門的知識・能力の育成に特化した実践的な教育を行う大学院の設置を促進し、かつそれぞれの大学院が質的に充実した教育研究を展開していくようにすることが必要である。

b  高度専門職業人の養成に特化した実践的な教育を行う大学院修士課程については、その目的に即した質の高い教育研究を確保するために、大学院設置基準等の上でも、一)授業・研究指導の柱としてケ-ススタディ、フィールドワ-クなどを取り入れることにより実践性を担保するカリキュラムの工夫、二)実務経験のある社会人を相当数教員として迎えるなど教員の資格や教員組織の在り方についての配慮、三)修了要件として、修士論文に代えて特定課題研究を原則とすることや課程制大学院の趣旨を重視する観点から30単位を超える単位数を課すことなど、一般の修士課程とは区別して扱うことが必要である。また、一定の規模以上の学生を擁する大学院にあっては、専任教員の配置等が必要である。

c  この大学院修士課程においては、当該研究科等の目的・趣旨を学則等において例えば「○○等の高度の専門性を要する職業等に必要な高度の能力を養うことを目的とする」と規定するなど、自らが高度専門職業人の養成に特化した大学院であることを対外的に明らかにすることが必要である。

d 高度専門職業人の養成に特化した実践的な教育を行う大学院修士課程は、例えば経営管理、法律実務、ファイナンス、国際開発・協力、公共政策、公衆衛生などの分野においてその設置が期待される。
それは、これらの分野にあっては、
一)   近年、我が国社会・経済の構造変化と国際的な相互依存、世界的規模での競争の中で、金融・経済・法制など各般の分野で国際社会の直面する新たな課題の解決と公正な国際的ルール作りや合意の形成に積極的に参画し得る人材の育成がとりわけ求められていること
二)  これらの分野において、我が国大学院修士課程は、理論と実務との関係あるいは資格制度と学部・大学院教育との関係などから、世界的に高い評価を得ている米国等のいわゆるビジネススクール、ロースクール等と比較すると、その目的・役割としてそのような志向は薄かったが、近年変化が生じてきていること
三)  国際標準・ルールとその形成をめぐり、我が国あるいはアジア地域の特性に応じた枠組みの形成に向けた我が国としての努力が課題となっていることなどから、大学院修士課程は、このような要請に対応し、これらの分野において国際的にも指導的な役割を担う高度の専門的な職業人の養成を行っていくことが特に必要と考えられるからである。

e  高度専門職業人の養成に特化した大学院の修了者に授与される学位の在り方については、現行の修士とは異なる別種の学位(専門職学位)とすべきであるとの意見もあるが、国際的な通用性を考慮し、修士とすることが適当である。
 なお、修士(「専攻分野」)と表記する際の専攻分野の名称について各大学において工夫する必要がある。

(省略)

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-- 登録:平成22年11月 --