6高参国第4号
令和6年4月4日
各国公私立大学長
各国公私立高等専門学校長 殿
文部科学省高等教育局参事官(国際担当)
佐 藤 邦 明
外国人留学生の適切な受入れ及び在籍管理の徹底等について(通知)
文部科学省では、外国人留学生の受入れ推進を図るため、従来、各国公私立大学及び各国公私立高等専門学校(以下「各大学等」という。)において外国人留学生の適切な受入れ、在籍管理の徹底等がなされるよう求めています。
令和元年には、一部の大学等において不適切な入学者選考や不十分な在籍管理等により大量の所在不明者等の発生を招いた事案を踏まえ、「外国人留学生の在籍管理の徹底に関する新たな対応方針」(令和元年6月11日付け 文部科学省・出入国在留管理庁)を策定し、在籍管理の徹底について政府・大学等が一体となって対策に取り組んでおります。
また、令和6年4月中に「外国人留学生の在籍管理が適正に行われない大学等に対する指導指針」を策定し、更に在籍管理の徹底を図ることを予定しています。
ついては、各大学等においては下記の事項に十分留意され、外国人留学生の受入れ及び在籍管理の徹底等を適切に行ってくださるようお願いします。
記
外国人留学生の入学者選抜に当たっては、「令和6年度大学入学者選抜実施要項について(通知)」(令和5年6月2日付け高等教育局長通知)において、「真に修学を目的とし、その目的を達するための十分な能力・意欲・適性等を有しているかを適切に判定すること」をお願いしています。
特に、日本語等の必要な能力の基準(日本語で授業を行う場合、日本語能力試験N2レベル相当以上が目安)を明確化し、適正な水準を維持することが重要です。
また、国際交流等の推進の観点から、独立行政法人日本学生支援機構が実施する「日本留学試験」の積極的な活用や当該試験を利用した渡日前入学許可の実施について配慮することが望まれます。
各大学等が入学を許可して受け入れた外国人留学生については、自ら責任を持って在籍管理を行う必要があります。学生数の確保という観点で安易に留学生を受け入れることは厳に慎むとともに、充実した教育指導及び留学生を含んだ適切な定員管理を確保する観点から、受入れ数については、当該大学等の入学定員、教職員組織、施設整備等を考慮した適切なものとし、教育体制の現状に見合わない過大な数とならないようにしてください。
各留学生について、学業成績、資格外活動の状況等を的確に把握するようお願いします。特に、資格外活動許可の要件(週28時間等)が留学生に十分に理解されておらず、在留期間許可申請が不許可となる事例がありますので、十分御留意ください。
また、長期欠席者や学業成績の良好でない者に対する連絡や指導を徹底するとともに、改善の見込みのない場合には退学について協議する等、適切な対応をお願いします。加えて、退学等の処分を行う際は、大学等が責任を持ってその後の帰国や進学・就職の指導等を行い、当該学生が不法滞在にならないよう適切な対応をお願いします。
大学に設置される別科のうち留学生を対象として教育を行うもの(以下、「留学生別科」という。)や、研究生や聴講生、科目等履修生等のいわゆる「非正規生」としての受入れについては、学生数の確保という観点のみで無秩序な規模の受入れを行わないように努めるとともに、大学設置基準等を参考にし、教員数、校地・校舎面積、学生数、授業の方法、施設及び設備その他について教育にふさわしい環境の確保を図る必要があります。また、日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律(令和5年法律第41号。以下「日本語教育機関認定法」という。)の認定の対象となる日本語教育機関においては、日本語教育機関認定基準に基づき認定を得ることが必要となりますが、日本語教育機関認定法に基づく認定を要さずに日本語教育等を実施できる場合(国費外国人留学生制度による国費外国人留学生や大学間交流協定に基づく交換留学生のみを対象とする場合等)についても、日本語教育機関認定基準等を参考にし、適切な教育環境を確保することが望まれます。
また研究生・聴講生・科目等履修生等の非正規生(専ら日本語教育を受ける者を除く)については、当該授業を受講するために求められる必要な日本語能力(学位課程において日本語で授業を行う場合、日本語能力試験N2レベル相当以上が目安)やその他求められる能力が確保されているかどうかを確認の上、受け入れてください。なお、これらの者のうち単位が与えられる者は、大学設置基準第31条第1項の「科目等履修生」に当たりますが、同条第2項に基づき適切に単位を授与する必要があります。
研究生・聴講生・科目等履修生等の非正規生であって、一定の日本語能力(日本語で授業を行う場合、日本語能力試験N2レベル相当以上)を備えていない留学生を対象に専ら日本語教育を行なおうとする場合※は、原則として日本語教育機関認定法に基づく留学のための課程の認定を受けた認定日本語教育機関でなければ、入学しようとする外国人に「留学」の在留資格が認められないとする制度改正(上陸基準省令の改正)が予定されております。「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律等の施行について(通知)」(令和5年12月28日付け文化庁次長・総合教育政策局長・高等教育局長通知)等をご参照の上、適切な対応をお願いします。
※個別の専攻分野の名称を冠するなど、外形上日本語教育を主目的とは位置づけていない別科や課程等であっても、学生を受け入れる際に求めている日本語能力や、提供される教育の内容等が、実態として日本語教育機関認定法の適用対象であると判断される場合には、同法に基づく留学のための課程の認定を受ける必要が生じますので御留意ください。
研究生・聴講生が留学の在留資格を得るためには、出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令(平成2年法務省令第16号。以下「上陸基準省令」という。)により、1週間に10時間以上の授業時間が必要ですので、履修可能科目の設定や学生に対する履修指導等において御留意ください。
出入国在留管理庁においては、留学生の増加によって不法残留者が増加することのないよう、留学生の卒業後等における教育機関の取組や所在不明となった留学生の取扱いについて、「留学生の卒業後等における教育機関の取組等について」(平成27年1月法務省入国管理局)を示しています。
引き続き、留学生を受け入れている各大学等においては、この内容に基づき、留学生が卒業等した場合の在留資格関係手続や所在不明となった留学生の届出が実施されるよう適切な対応をお願いします。
各大学等の外国人留学生の退学者・除籍者・所在不明者の文部科学省への定期報告については、本通知に基づき、今年度も引き続き要請しますので、各大学等においては、前月中に退学(転校・転学を含む。)、除籍又は所在不明となった者について毎月10日までに報告をお願いします。提出の際は、別添「退学者・除籍者・所在不明者の定期報告方法について」を参照してください。
今後、令和6年4月中に「外国人留学生の在籍管理が適正に行われない大学等に対する指導指針」を決定し、年度毎の各大学等における留学生の内、退学、除籍又は所在不明となった者の割合を元に、在籍管理が適切に行われていない大学等については、文部科学省より指導を行う予定です。詳細は後日通知します。
なお、文部科学省では、上記の定期報告のほか、教育機関において外国人留学生の不法残留事案が発生した場合の再発防止の観点から、出入国在留管理庁より法令の範囲内で情報提供を受け、不法残留者数及び退学者・除籍者・所在不明者が一定数以上発生した大学等に対してヒアリング及び追加調査を実施し、出入国在留管理庁へ当該情報を提供するとともに、該当大学等に対し、不法残留者、除籍者、所在不明者等の発生要因の分析及び対策を講ずるよう要請しています。
〇「外国人留学生の在籍管理の徹底に関する新たな対応方針」(令和元年6月11日文部科学省・出入国在留管理庁)(PDF:234KB)
〈1 関係〉
○「令和6年度大学入学者選抜実施要項について(通知)」(令和5年6月2日付け文部科学省高等教育局長)(PDF:695KB)
○「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律等の施行について(通知)」(令和5年12月28日付け文化庁次長・総合教育政策局長・高等教育局長通知)(PDF:3.3MB)
〈2 関係〉
〇留学生の卒業後等における教育機関の取組の考え方について(令和6年2月改定出入国在留管理庁) (PDF:108KB)
〈その他参考〉
○外国人生活支援ポータルサイト(出入国在留管理庁)
(※法務省入国管理局ホームページが別ウィンドウで開きます)
〇「日本への入国申請について」
メールアドレス:taigaku@mext.go.jp