第6部会(ITを活用した実践的遠隔教育(e-Learning))報告

清水 康敬
独立行政法人
メディア教育開発センター理事長

清水 康敬 独立行政法人 メディア教育開発センター理事長

 大学等におけるe‐Learningの取組が進んでいる。本部会では、遠隔教育(e‐Learning)に関する実践的な取組が公募された。
 遠隔教育とe‐Learningは同義語ではないが、その両者を含む取組が対象とされ、例えば、単独の学習端末によるe‐Learningは含まれないことになり、また、遠隔教室にリアルタイムで講義を配信する形態はe‐Learningとは言いにくい。
 このようなことから、公募要領に本テーマにおける遠隔教育(e‐Learning)の定義を「インターネット技術でいつでもどこでも学習できること」とし、申請の条件として挙げられた。そのためインターネットに接続されたサーバに蓄積して、いつでもオンデマンドで学習できる取組が申請の条件となったところである。

 次に、サーバに蓄積して提供するためには、著作権法上の問題が生じないことが重要である。著作権法上では、授業における例外規定(許諾なしに著作物を利用できること)があるために、著作権契約に関して例外規定の適用条件を超えた取扱になってしまうなどの配慮が足りない場合がある。そこで、サーバ蓄積型で提供する場合の著作権契約を制作時に適正に締結する必要があるため、著作権のことについても申請の条件に記述された。ただし、インターネットで配信する場合の著作権については、著作物の利用の状況によって対応が異なることがあるので、専門家の援助が必要である。なお、本テーマでは、選定後において、著作権などの取扱について専門的なノウハウを有する支援機関等から必要な助言等を受けられるようにすることとしている。

 一方、我が国の大学等における本格的なe‐Learningはこれからスタートしようという段階である。そのため、e‐Learningで学習したいと考えた者が求めるe‐Learningコースを、一つの大学だけでは探せない。そこで、我が国の大学等が配信するe‐Learningコースを横断的に学習者が調べることができれば、各大学等が提供するコース全体の中から選択することができることになる。そのためにはそれぞれのe‐Learningコースにメタデータ(LOM、学習対象メタデータ)を付与、一般に公開することが望ましい。この点についても申請の条件に記述されている。

 このように、本部会における遠隔教育(e‐Learning)のプログラムでは、それぞれの大学等の優れた取組を支援すると共に、我が国全体の大学等のe‐Learningの発展を考慮している。

-- 登録:平成21年以前 --