第5部会(人材交流による産学連携教育)報告

小野田 武
日本大学総合科学研究所教授

小野田 武 日本大学総合科学研究所教授

 第5部会では、71件の申請から二段階審査により総合評価部会への提案候補を選定した。まず、第一段階審査では、各申請に対して部会委員2名とペーパーレフェリー2名による書面審査結果に基づき、部会における合議で20件の候補を選抜した。
 この書面審査では、各委員が約20件を担当し、総合評価の評定に4点(最高点)を付す件数を制限して、評価者間のバラツキの低減を意図した。選抜には総合評価結果を重視しつつ必要に応じて個別項目評価を参考に意見を交換して決定した。
 第二段階審査は、選抜した20件を部会委員全員で再度書面審査を行った。その際、総合評価に付す評定4は10件として、優れた提案の顕在化を意図した。この書面審査結果に基づき、部会において多角的な意見交換を経て部会としての審査を終えた。総合評価の結果を重視しつつ、個別評価内容のチェックを行い、比較的円滑に委員の合意に達した。その後、総合評価部会で合議により全体調整を行い、最終的に選定委員会の審議に付され11件を選定取組として決定し、文部科学省に報告された。

 第5部会の募集テーマは、公募要領にはインターンシップの高度化とその他の先端的・実践的な人材育成のための産学連携教育が例示されていたが、両者が混成した全学的な取組の提案が多数寄せられ、高等教育機関の改革への強い意気込みが感じられた。

 一連の審査を通して、審査側として特に強く意識して精査した点は、提案テーマの趣旨と教育機関の理念や方針との整合性であり、これは多様な高等教育の特色の伸長を図るための重要な視点であると考えた。また、実績は計画の実現可能性を高める因子ではあるが、必ずしもそれに拘泥することなく、計画実現のための諸基盤の状況に留意しつつ企画・構想力を重視した。そのため、申請書作成の巧拙が評価に影響しなかったとは言い切れない。今後の検討課題として第二段階審査時点での面接による確認作業が望ましい。

-- 登録:平成21年以前 --