第3部会(仕事で英語が使える日本人の育成)報告

原田 園子
神戸女学院大学長

原田 園子 神戸女学院大学長

 本部会では、審査を始める前に、本テーマにおける「仕事」とは、特定の専門職業のみを指すものではなく、英語運用能力が必要と考えられる状況が生じ得る仕事環境も含まれること、「使える英語運用能力」とは、単なる会話能力ではなく、交渉能力も含まれること、加えて、既に一定以上の英語力を有する学生達の能力をさらに増進するだけでなく、その取組が大学・学部全体(短期大学においては短期大学全体・学科全体)の英語教育の充実・発展につながるものであるかについても留意することとの了解がなされました。また、新規開発予定の取組に限らず、既に開発し取り組んでいるものの今後の展開計画も含まれることを確認いたしました。

 審査方針は、本事業における取組の選定にかかわる留意点を押さえつつ、本部会として(1)取組の目的を実現させるために適切妥当な教育課程の整備又は計画がなされているか(2)学生のキャリア形成機会の充実にもつながるような計画となっているか(3)語学力だけでなくコミュニケーション能力の醸成につながるような計画となっているかを審査の基本といたしました。優れた取組であっても、基本的に4年間の大学教育課程、2年間(または3年間)の短期大学教育課程においてどのような位置づけがなされているか、は重要なポイントでありました。

 審査過程は、先ず、1申請の評価を2名の専門委員がおこない、部会委員会において、同じく1申請に対して2名のペーパーレフェリーによる評価を参考にしつつ、必要な場合には対象になる申請取組を部会委員全員が読み直し、合議審査によって選定候補を選定しました。

 大変意欲的な取組が多く、大別して、既存の一般英語教育の刷新、英語教育と何らかの職業領域・専門性との連携、そして特定の職業を想定したESPでありました。取組そのものが工夫され新規性のあるものであっても、実現性に疑問が残ったり、また、先に書きましたように、教育課程に効果的に位置づけられ、学生のモーティベーションを高める工夫がされているかどうか、において差があったように思います。

 今年度は、公募発表から申請まで時間的には十分でなく、申請書作成の準備は大変であったことと思いますが、多くの申請書からは、現代社会において望むべき英語教育・指導のあり方を踏まえての、取り組みへの熱意が強く汲み取れました。今後さらなる工夫を重ねられ、英語運用能力を駆使して社会に貢献する人材育成に臨んでいかれることと、期しております。

-- 登録:平成21年以前 --