平成16年度現代GPを振り返って

永田 眞三郎
関西大学法学部教授

永田 眞三郎 関西大学法学部教授

 「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」(以下「現代GP」)は、高等教育に求められる社会的要請の強い今日的な政策課題の実現を企図する、いわば「政策誘導型」のプログラムとして出発した。ここで「政策誘導型」といっても、行政の側が任意にテーマ設定するわけではない。今回の6つのテーマは、近時の各種審議会による提言、その実現を図るための法令などを基礎資料として、そこに挙げられている政策課題に対応する主要テーマを抽出し、検討・整理するというプロセスを経て設定されたものである。

 「申請されたこの取組が、このプログラムが提示しているテーマに適合した教育プロジェクトといえるか」。このことが、テーマ別の各部会、総合評価部会、選定委員会のいずれの会議でも、選定にあたっての第一の判断基準であり、論点であったといえる。 たとえば、「地域活性化への貢献」のテーマについていえば、街づくりそのものに重点がおかれ、学生の教育・学生参加の部分が看過ないし軽視されているとうかがえる企画もいくつかみられた。この現代GPは、あくまで「教育」ニーズへの取組に対する支援である。

 この現代GPは、申請された取組のうちの特に優れた教育プロジェクトを選定して支援するものであり、いわば、新しい教育モデルへの挑戦に期待するものである。といっても、その選定にあたっては、内容の新規性やテーマへの適合性にとどまらず、その実現可能性も重要な判断基準となる。その新しい企画に挑むだけのこれまでの準備とそれを貫徹できる大学等の力量も重要な判断要素とならざるを得ない。そのためか、今回の選定結果からみると、比較的規模の大きな大学等による取組が選定されている割合が大きい。

 競争的資金による教育支援策を今後も展開していこうとするなら、大規模大学とは違った固有の教育課題の実現を支援するような、新たなプログラムの企画も必要であろう。

-- 登録:平成21年以前 --