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3 債券発行に関わる学内の意思決定プロセス

 重要な財務行為である債券発行に関しては、法人としての組織決定を行うことが必要であり、その意思決定のプロセスが適正でかつ明確であることが求められる。
 具体的には以下のようなプロセスが必要と考えられる。

(1)国立大学法人全体の資金の調達について

 国立大学法人は、全学的視点に立った施設運営・維持管理等のマネジメントを一層推進しつつ、自助努力に基づいた新たな整備手法による施設整備を引き続き推進するとともに、産業界・地方公共団体との連携協力による整備を進める必要があると思われる。
 施設整備を行うに当たっては、前記のことを踏まえ各種施設等の優先度、必要資金規模と時期、資金調達状況等を検証することが必要となる。また、どのような投資が必要で、それらにどの程度の資金がいつまでに必要なのか、それらの投資に対する資金調達状況はどうなっているかを、適切に把握することが必要となる。
 次に、施設整備費補助金、運営費交付金、学生納付金、寄付金等の外部資金等(以下「施設整備費補助金等」という。)を資金源とした整備について検討するとともに、長期借入金等による整備が可能な施設については、その実施可能性について検討を行う。特に、一般企業と異なり、国立大学法人は利益獲得を第一の目的とする法人ではないため、償還原資の確認、償還の可能性について、一般企業よりも慎重な検証が求められる。
 検討ポイントとしては次のような事項が想定される。

  • 長期借入金等により調達する資金の具体的使途
  • 調達する資金によって取得又は整備する土地、施設又は設備を用いて行われる業務の償還能力を勘案した償還期間・方法
  • 金利、手数料等を含めた調達コスト
  • 手続きが簡易な長期借入金でなく債券発行を選択する理由
  • 債券発行における発行金利水準の予想(格付け等)
  • 調達した資金によって取得又は整備する土地、施設又は設備を用いて行われる業務の金利負担の能力・限界

 特に、調達する資金の使途については、法制度上限定されており、長期借入金の借入や債券発行に先立って文部科学大臣の認可を得る必要があるため、長期借入金等により行う業務内容、事業概要、利用料金、利用見込、収支見込等を明確にしておくことが求められる。
 加えて長期借入金でなく債券発行を用いる場合は、手間やコスト等を勘案しても債券発行を選択する理由が、合理的で客観的な妥当性をもつことが求められる。
 債券は通常償還方法が満期一括になることから、一時的には手元資金が潤沢になる一方で、満期となる将来の一時期には多額の返済を求められる。国立大学法人は、支払債務と各種収入受入時期の相違を管理し資金不足を回避し余剰資金を運用する、いわゆる資金繰り業務自体の経験が少ないと考えられる。債券発行では相当な長期に亘って国立大学法人全体のキャッシュフローの予測管理が必要かつ重要となるので、資金繰りや資金運用について、人材も含めた十分な体制が必要である。
 これらの債券発行の前提条件及び概要については、法人としての意志決定を行うこととなるので、経営協議会・役員会の議を経た上で、学長の意思決定を得ておく必要がある。また、発行条件の細部や発行手続きに関しては、次に述べるように学内にプロジェクトチーム的な組織を立ち上げてそこに作業を委ねることが考えられる。

(2)学内組織の立ち上げ

 上記のように債券発行の基本方針について学内で意思決定が行われた後は、実務的な条件や手続きを確定させていくための組織が必要となると考えられる。
 特に債券発行には財務部門だけでなく、調達資金の投入先の関係者、国立大学法人全体の経営層等、関係者が幅広に集まり連携する必要があるため、学内の関係する組織横断的な、活動時限を決めた、プロジェクトチームが必要となると考えられる。
 プロジェクトチームのメンバーには、債券発行に関わる情報収集能力と知識を身につけ、資料収集だけでなく、起債に関係する会計士、法務実務家、金融機関や債券発行を検討している他の国立大学法人の関係者等から幅広く情報を集めることが望まれる。
 プロジェクトチームとしての準備態勢を整えた上で、アドバイザーになりえる証券会社を早期に選定することになる。

(3)起債に関する外部企業の選定と契約

1主幹事証券会社

 主幹事証券会社は債券発行に関わる諸手続き、債券発行、販売までの起債活動全般の運営管理を担っている。そのため主幹事証券会社の選定は、債券発行準備作業でも早期に決定すること、単に料金やコストだけでなく、国立大学法人に対する支援体制、類似の発行者での幹事実績等を勘案して決定することが望まれる。そのため主幹事証券会社の決定に関しては、手数料金額を入札競争させるよりも、債券発行に関わる支援体制や発行内容に係る条件等を盛り込んだ、提案書(プロポーザル)を候補となる証券会社各社に提出してもらい、その提案内容を国立大学法人側で吟味して決定する方法が望ましい。
 なお参考として、国立大学財務・経営センターでは、以下のような項目を評価項目として選定し、各社の提案書にこれらの項目についての記載を求め評価を行っている。

  • 主幹事引受の意思
  • 主幹事及び引受の実績(直近3年)
  • 債券に関する販売戦略
  • IR活動内容
  • 発行業務全般のサポート体制
  • 作業スケジュール
  • 発行コスト削減方策
  • 発行手数料

(出所:独立行政法人国立大学財務・経営センターHP)

2受託会社

 受託会社は債券発行に関する事務を受託する会社で、新たに導入された振替債制度で発行代理人、支払代理人となる。
 一般には取引銀行等を中心に受託実績等から受託会社が決定されている。

3格付け機関

 格付け機関は発行する債券及び債券の発行者に対する格付けを行う会社であり、金融庁が定めている指定格付け機関の中から選定する。現在指定されている格付け機関は以下の5社である。

ムーディーズ、スタンダード&プアーズ(S&P)、フィッチレーティングス、格付投資情報センター(R&I) 日本格付研究所

-- 登録:平成21年以前 --