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Q3 日本の大学の現状について、「授業に出席しなくても単位が取れる」「勉強しなくても簡単に卒業できる」などの声を耳にしますが、これについて大学はどのような対策を講じているのでしょうか。

 これまでの我が国の大学に対する評価の中に、大学では適切な卒業認定が行われておらず、学部卒業者として期待される教育内容がきちんと身に付いていない場合があるのではないかとの指摘があります。大学は人材養成の役割を担うことから、学生に対して教育目標を明示し、その目標に向けた計画的な学習を可能とする環境を提供した上で、適切な成績評価・卒業認定を行うことにより、学生の卒業時における質の確保を図っていくことが大学の社会的責務であり、大学にはこうした指摘を受けることがないよう充実した教育活動を行うことが強く求められています。

授業の設計と教員の教育責任

 我が国の大学教育は単位制度を基本としていますが、同制度は、教室での授業と授業の事前・事後の準備学習・復習を合わせて単位を授与することを前提としており、各大学において1単位当たりの必要な授業時間を確保するとともに、学生には大学の教室で授業を受けるだけでなく、教室外においても自主的な学習を行うことが求めらます。このため、授業中に指導を行うだけでなく、シラバス等により、年間スケジュールや毎回の講義内容を詳細に明示したり、講義の前提として読んでおくべき文献を指示するなど、学生の準備学習・復習について適切な指示を与えることも大学の教員の務めと言うことができます。このことについて、大学やそれぞれの教員が自覚を持って、授業の設計と学習指導に取り組むことが必要であり、また、これに応じて、学生の側においても主体的に学習に取り組んでいくことが重要です。
 このような中、各大学においては、授業の質を高めていく観点から、シラバスを活用した情報提供、教員の教育面での業績評価、学生による授業評価を実施し、大学が教育機関として期待されている役割を果たすための改善方策に取り組んでいます。
 文部科学省においても、平成19年に大学設置基準を改正して、大学は学生に対して、授業の方法及び内容、一年間の授業の計画をあらかじめ明示するものとするなど、大学の取組を促す方策を講じています。

(参照条文)

○大学設置基準(昭和31年文部省令第28号)

第25条の2  大学は、学生に対して、授業の方法及び内容並びに一年間の授業の計画をあらかじめ明示するものとする。

「シラバス」とは

 授業科目の詳細な授業計画のことをシラバスと言い、授業名、担当の教員名、講義の目的、到達目標、各回ごとの授業内容、成績評価の方法や基準、準備学習の内容や目安となる時間についての指示、教科書・参考文献、履修条件などを記載することが期待されます。シラバスは、学生に科目選択のための情報を提供する役割のほかに、授業期間全体を通じた授業の進め方を示すとともに各回の授業に求められる予習についての具体的指示を提供するという役割があり、後者の役割を充実していくことが重視されています。

グラフ:全ての授業科目においてシラバスを作成している大学数(平成18年度)

グラフ:シラバスの内容項目別の状況(平成18年度)

グラフ:学生による授業評価の実施状況(平成18年度)

グラフ:教員の教育面の業績評価の実施状況(平成16〜18年度)

履修科目登録の上限設定

 我が国の大学における1単位の授業科目は45時間の学修を必要とする内容をもって構成されることが標準とされており、このことを踏まえると、一定期間に受講できる授業科目の数には自ずから一定の限界があります。したがって、履修登録された科目に関して充実した学習を確保するためには、過剰な授業科目の履修登録を防ぐことを通じて、単位制度の実質化を図っていくことが求められています。

 このため、文部科学省においても、平成11年度に大学設置基準を改正し、学生が1年間あるいは1学期間に履修科目として登録できる単位数の上限を、各大学がそれぞれ設定するように努めることとするなど、各大学の取組の促進に努めています。

 こうした背景の下、各大学における取組が進められており、その実施大学数は、平成15年度399の大学(全大学の約58パーセント)であったものが、平成18年度には453の大学(全大学の約64パーセント)において行われるようになるなど着実に増加しています。

 今後とも、各大学においては、学生が各年次にわたって適切に授業科目を履修するという単位制の実質化の趣旨に沿った取組として、適切な単位数の上限を設置することが求められています。

(参照条文)

○大学設置基準(昭和31年文部省令第28号)

第27条の2  大学は、学生が各年次にわたつて適切に授業科目を履修するため、卒業の要件として学生が修得すべき単位数について、学生が一年間又は一学期に履修科目として登録することができる単位数の上限を定めるよう努めなければならない。

グラフ:単位の上限設定(平成16〜18年度)

成績評価基準の明示と厳格な成績評価の実施

 大学の社会的責任として、学生の卒業時における質の確保を図るためには、各授業科目の学習目標や計画とともに、シラバス等において成績評価の基準を明示し、その基準に基づいた客観的な成績評価を行うことが重要です。その際、GPA制度を採用し、進級や卒業制定、退学勧告の基準として活用することにより、厳格な成績評価を行うことや、一定の水準を満たした学生に対して表彰を行ったり、反対に一定の水準を下回った学生に対しては特にきめ細かな履修指導を行うなど、学生の学習意欲を喚起する取組を行うことも有効です。

 また、同時に、我が国の大学によく見られた通年制(一つの授業科目を1年間にわたって前期・後期に分けて履修させる方法)からセメスター制(学期ごとに授業科目を完結させ、1学期の中で少数の科目を集中的に履修することにより学習効果を高める取組)への移行を図ることにより、学期ごとに授業を完結させて成績評価を行い次の学期の学習と有機的に関連づけて活用するなどの取組も、教育活動を効果的に展開する上で有効な取組と言うことができます。

 各大学においては、これらに徐々に取り組みつつある状況であり、その実施校数も増加している傾向にあります。
 文部科学省においても、平成19年に大学設置基準を改正して、大学は、成績評価や卒業認定に当たっては、客観性及び厳格性を確保するため、学生に対してその基準をあらかじめ明示するとともに、当該基準に従って適切に行うものとするなど、大学の取組を促す方策を講じています。

(参照条文)

○大学設置基準(昭和31年文部省令第28号)

第25条の2 第2項 大学は、学修の成果に係る評価及び卒業の認定に当たつては、客観性及び厳格性を確保するため、学生に対してその基準をあらかじめ明示するとともに、当該基準にしたがつて適切に行うものとする。

「GPA制度」とは

 アメリカにおいて一般的に行われている学生の成績評価方法の一種です。その一般的な取扱い例は以下のとおりです。

  • 1 学生の評価方法として、授業科目ごとの成績評価を5段階(A、B、C、D、E)で評価し、それぞれに対して4、3、2、1、0のグレードポイントを付与し、この単位当たり平均(GPA、グレード・ポイント・アベレージ)を出す。
  • 2 単位修得はDでも可能であるが、卒業のためには通算のGPAが2.0以上であることが必要とされる。
  • 3 3セメスター(1年半)連続してGPAが2.0未満の学生に対しては、退学勧告がなされる。(ただし、これは突然勧告がなされるわけではなく、学部長等から学習指導・生活指導等を行い、それでも学力不振が続いた場合に退学勧告となる。)

 なお、このような取扱いは、1セメスター(半年)に最低12単位、最高18単位の標準的な履修を課した上で成績評価して行われるのが一般的となっています。

グラフ:GPAの導入状況(平成16〜18年度)

グラフ:GPA制度の具体的運用方法(平成18年度)

グラフ:セメスター制の採用状況(平成16〜18年度)


(高等教育局大学振興課大学改革推進室)