我が国の教育制度では、小学校や中学校などの初等中等教育段階の学校については、学習指導要領によって教育課程編成の基準が定められていますが、高等教育段階の大学においては、それぞれの大学が、自ら掲げる教育理念・目的に基づき、自主的・自律的に編成することとされています。これは、大学の教育研究については本来大学の自主性が尊重されるべき事柄であること、また、大学には、社会との対話を通じて、弾力的かつ柔軟にカリキュラム編成し、またそれを不断に改善していくことが求められることなどによるものです。
文部科学省では、平成19年に大学設置基準(昭和31年文部省令第28号)を改正し、大学は、学部や学科等ごとに、人材育成目的等を定め、公表することとしましたが、具体的な大学の教育課程については、
の2点が定められており、これ以外は各大学が自由にカリキュラム編成をすることができるようになっています。
| 第2条の2 | 大学は、学部、学科又は課程ごとに、人材の養成に関する目的その他の教育研究上の目的を学則等に定め、公表するものとする。 |
| 第19条 | 大学は、当該大学、学部及び学科又は課程等の教育上の目的を達成するために必要な授業科目を自ら開設し、体系的に教育課程を編成するものとする。 |
平成3年までは大学設置基準において、大学の開設する授業科目を「一般教育科目」、「専門教育科目」、「外国語科目」、「保健体育科目」に区分すべきこと、また、それぞれの科目について卒業までに修得すべき単位数などを定めていたところを、個々の大学が社会の要請に適切に対応しつつ、より一層特色ある教育研究を展開することができるようにするため、これらの開設授業科目の区分や必修単位数などに関する規定を撤廃し、代わりに、上記の2点を規定するのみに留めました。これが一般に「設置基準の大綱化」と言われているものです。
これにより、大学が社会との対話を通じて様々なニーズを受け止め、弾力的かつ柔軟に教育課程を編成することができるようになり、これ以降、各大学におけるカリキュラム改革が順次進められ、改正時から現在までの間に、ほぼ全ての大学においてカリキュラム改革が実施されるにいたっています。
このように各大学においては、教育内容の改革に向けた取組が進みつつありますが、その内容は多岐に渡っています。
平成18年度においては、例えば、情報処理教育が555の大学(全大学の約78パーセント)において必修化されており、ボランティア活動を取り入れた授業が273の大学(全大学の約38パーセント)で行われているほか、知的財産権に関する授業科目が317の大学(全大学の43パーセント)で行われているなど、時代の変化や社会の要請に対応した、様々な取組が進められているところです。
しかし、大綱化により大学の自主性が高まったということは、同時に、学生や社会に対して果たすべき大学の説明責任がより強くなったということでもあります。したがって、こうしたカリキュラム改革の背景では、教育理念・目的や育成すべき人材像といった根幹をなす事柄から、教養教育と専門教育の関係、大学の個性化などにいたるまで、各大学において社会のニーズを受け止めつつ、非常に活発な議論が交わされているのです。
今後も、大学には、社会の変化を的確に受け止め、大学教育に求められているものは何かを常に念頭に置きながら、それを自らの教育理念・目的に照らして、不断のカリキュラム改革に活かしていくことが期待されています。
(高等教育局大学振興課大学改革推進室)
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