「独立行政法人放射線医学総合研究所の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性について」における指摘事項等を踏まえた見直し案

平成22年12月22日
文部科学省

 「勧告の方向性」等を踏まえ、次期中期目標においては、以下の事項を掲げることにより、事務及び事業の改善を図る。なお、この見直しの考え方に従い、平成23年3月までの間に、独立行政法人放射線医学総合研究所(以下「研究所」という。)が我が国唯一の放射線医学の総合的な研究開発機関であることを踏まえ、具体的な検討を行い、「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針(平成22年12月7日閣議決定)」における政府全体の方針も踏まえた次期中期目標・中期計画を策定することとする。

第1 事務及び事業の見直し

1 研究プロジェクトの重点化

 研究プロジェクトについては、優先度を踏まえた上で整理統合を行い、重点化する。

2 重粒子線がん治療研究の推進

 研究所は、国内外への技術展開を図ることにより、必要とするすべての患者が重粒子がん治療を受けられることを目指しており、平成6年度に臨床試験を開始し、15年度の高度先進医療(現在の先進医療)の承認を経て、現在まで5,000例を超える治療実績を蓄積している。
 また、重粒子線がん治療施設については、平成22年3月に研究所の技術開発をベースとして従来の3分の1に小型化された施設が群馬大学に設置されたほか、佐賀県において、国内4か所目となる施設の建設が進められている状況にある。
 これら実績を踏まえつつ、今後、重粒子線がん治療の国内外への早期普及を図るためには、明確なビジョンと戦略の下、関係機関と連携、協力して取り組んでいくことが求められる。
 このため、重粒子線がん治療を標準医療として広く国内外に普及するための短期的、中長期的な課題や民間企業を含む関係機関との相互協力のあり方等の全体像を明らかにした上で、これを踏まえた研究所としての具体的かつ戦略的なロードマップを策定することとする。

3 特許権の有効活用等

 研究所の特許に関する出願、維持等の経費は、実施料収入を大幅に上回る状況にある。これは国内特許の出願に当たり、実用化の見込みが高い研究領域・分野の技術に重点化しつつも、原則として出願の是非の審査は行わないとの方針で臨んでいることも一因とみられる。また、国外での特許出願は経費がかかることもあり、国内での特許取得が中心となっている。
 このため、国内特許出願時の市場性、実用可能性等の審査を行うことにより出願を精選し、保有特許の国内外での実施許諾等の促進に取組むこととする。また、重粒子線がん治療技術等の国際展開を見据え、効果的な国際特許の取得及びその活用のための戦略を策定し実施することとする。

第2 組織面の見直し

1 事務職員の合理化

 那珂湊支所の平成22年度末の廃止に伴い、同所の庶務等業務が合理化されることから、事務職員(平成22年4月1日現在、常勤職員3人、非常勤職員1人)の合理化を図ることとする。
 また、研究部門の事務職員について、各センターの業務の特性、業務量、常勤職員と非常勤職員の業務分担等を踏まえ、更なる合理化を図ることとする。

2 研究施設等整備利用長期計画の見直し

 研究所は中期目標に基づく研究施設等整備利用長期計画(平成19年5月)を策定し、これを着実に実施することとしているが、この計画には、PR館、アトリウム、市民一般講演会場を含む研究交流館など、必要不可欠とはみられない施設の建設が含まれている。
 このため、厳しい財政状況の下、経費の縮減等を図る観点から、不要不急な施設の建設は行わないよう計画全体を見直すこととする。

第3 業務全般に関する見直し

 上記第1及び第2に加え、業務全般について以下の取組を行うこととする。
 なお、見直しにあたっては、業務や組織の合理化・効率化が、研究開発能力を損なうものではなく、継続的な維持・向上につながるものとなるよう、十分に配慮することとする。

1 効率化目標の設定等

 管理部門の簡素化、効率的な運営体制の確保、アウトソーシングの活用等により業務運営コストを縮減することとし、一般管理費及び事業費に係る効率化目標について、これまでの効率化の実績を踏まえ、同程度以上の努力を行うとの観点から具体的な目標を設定することとする。
 なお、一般管理費については、独立行政法人に無駄遣いがあるのではないかとの厳しい批判があることを踏まえ、経費節減の余地がないか自己評価を厳格に行った上で、適切な見直しを行うこととする。
 また、官民競争入札等の積極的な導入を推進し、業務の質の維持・向上及び経費の削減の一層の推進を図ることとする。

2 給与水準の適正化等

 給与水準については、国家公務員の給与水準も十分考慮し、手当を含め役職員給与の在り方について厳しく検証した上で、目標水準・目標期限を設定してその適正化に計画的に取り組むとともに、その検証結果や取組状況を公表することとする。
 また、総人件費についても、政府における総人件費削減の取組を踏まえ、厳しく見直すこととする。

3 契約の点検・見直し

 契約については、「独立行政法人の契約状況の点検・見直しについて」(平成21年11月17日閣議決定)に基づく取組を着実に実施することにより、契約の適正化を推進し、業務運営の効率化を図ることとする。
 この場合において、研究・開発事業等に係る調達については、他の独立行政法人の事例等をも参考に、透明性が高く効果的な契約の在り方を追求することとする。また、密接な関係にあると考えられる法人との契約に当たっては、一層の透明性の確保を追求し、情報提供の在り方を検討することとする。

4 保有資産の見直し等

 保有資産については、引き続き、資産の利用度のほか、本来業務に支障のない範囲での有効利用可能性の多寡、効果的な処分、経済合理性といった観点に沿って、その保有の必要性について不断に見直しを行うこととする。
 また、独立行政法人の資産の実態把握に基づき、法人が保有し続ける必要があるかを厳しく検証し、支障のない限り、国への返納等を行うこととする。その際、今後、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会から独立行政法人の業務実績に関する評価の結果等の意見等として各府省独立行政法人評価委員会に通知する事項を参考にすることとする。

5 内部統制の充実・強化

 内部統制については、更に充実・強化を図ることとする。その際、総務省の独立行政法人における内部統制と評価に関する研究会が本年3月に公表した報告書(「独立行政法人における内部統制と評価について」)及び、今後、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会から独立行政法人の業務実績に関する評価の結果等の意見等として各府省独立行政法人評価委員会に通知する事項を参考にすることとする。

6 その他

 複数の候補からの選択を要する事業の実施に当たっては、第三者委員会を設置するなど適切な方法により事前・期中・完了後の評価を行い、評価結果を事業の選定・実施に適切に反映させることにより、事業の重点化及び透明性の確保に努めることとする。
 また、事業の目的を踏まえつつ、受益者負担の適正化、寄附金等による自己収入の確保に努めることとする。

お問合せ先

独立行政法人放射線医学総合研究所の見直し内容について

研究振興局研究振興戦略官付
電話番号:03-5253-4111(内線4368)

(大臣官房総務課行政改革推進室)

-- 登録:平成23年01月 --