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第10回国際教育協力日本フォーラムについて(結果概要)

平成25年2月8日
大臣官房国際課国際協力政策室

 本フォーラムは、開発途上国自身による自立的な教育開発の重要性とその自助努力を支援する国際教育協力の在り方について意見交換することを目的に、文部科学省、外務省、広島大学(事務局)、筑波大学が毎年開催している。このたび、第10回国際教育協力日本フォーラムを以下のとおり開催した。 

  1. テーマ:良質な基礎教育拡充に向けて―教員をめぐる課題―
  2. 日時:平成25年2月7日(木曜日)
  3. 会場:文部科学省 東館3階 講堂
  4. 主催等:(主催)文部科学省、外務省、広島大学、筑波大学、(後援)国際協力機構(JICA)
  5. 参加者:在京大使館をはじめ、教育開発に携わる行政官、援助機関関係者、NGO、研究者、大学生等など国内外から180名程度。
  6. 概要:以下のとおり。

主催者代表挨拶

福井照文部科学副大臣

 EFA(万人のための教育)の達成に向けた今後の国際教育協力においては、教育の機会確保の課題のほか、教育の質の向上や、ポストプライマリー教育等が課題として残されており、教員の資質能力の向上や学校の管理運営面での改善が重要である。本日の講演や議論を通じて、各国の知見を共有し合い、実りある成果が収められるとともに、その成果が各国の教育の質の向上につながることを期待している。

主催者代表挨拶をする福井照文部科学副大臣
 主催者代表挨拶をする福井照文部科学副大臣

阿部俊子外務大臣政務官

 我が国は、2010年に新教育協力政策を発表し、教員能力強化のための支援を行ってきている。「教員」という教育にとって重要なテーマについて活発に議論いただき、今回のフォーラムが実りあるものとなることを祈念する。

主催者代表挨拶をする阿部俊子外務大臣政務官
 主催者代表挨拶をする阿部俊子外務大臣政務官

基調講演

ジンガイ・ムトゥンブカ アフリカ教育開発連合議長

「教員-アフリカの教育の未来への架け橋-」
  アフリカでは教員の労働条件が悪く、資格が不十分な教員や、資格がない教員も雇わざるを得ない状況が続いている。包括的な教員政策を策定し、効果的に実施するための予算を盛り込んだ国別実施計画を立て、あらゆる関係者を動員して計画を実施する必要がある。

基調講演をするジンガイ・ムトゥンブカ アフリカ教育開発連合議長
 基調講演をするジンガイ・ムトゥンブカ アフリカ教育開発連合議長

窪田 眞二 筑波大学人間系教育学域教授

「日本の義務教育学校教員をめぐる課題」
  学校教育における課題が複雑・多様化したことに伴い、教員の職務の多忙化やメンタルヘルスが問題となっている。また、教員に対する信頼感の揺らぎ、社会の高学歴化に伴う教員の地位の相対的低下、教員間の望ましい関係性の希薄化など、学校を取り巻く環境が変化している。教員と地域・保護者とのより緊密な連携や、教員の実践的指導力・コミュニケーション力の強化、校内研修としての授業研究(Lesson Study)の促進が必要である。

基調講演をする窪田眞二筑波大学教授
 基調講演をする窪田眞二筑波大学教授

パネルセッション(モデレーター:ラモン・バカニ氏)

ラモン・バカニ 東南アジア教育大臣機構 教育革新・技術センター長

「質の高い基礎教育を推進するための教員の課題」
 教員の課題として、1.教員養成、2.学習環境、3.勤務条件の課題がある。質の高い基礎教育教員を支援するためには、1.指導支援体制を構築し、2.継続的な教員研修を実施し、3.公教育の予算支援を持続的に増やし、4.優れた教育実践を表彰することが重要である。

エデン・アドゥブラ ユネスコ 教員・高等教育局EFA教員タスクフォース事務局長 

「教員及び教育の問題と課題に取り組むために-ユネスコGEQAF(一般教育の質についての分析・診断の枠組み)-」
 ユネスコの「一般教育の質についての分析・診断の枠組み(GEQAF)」は、教育制度全般の質を体系的に分析・診断・モニターするためのツールであり、各国の能力を強化することを目的としている。長所と課題の両方を診断し分析することによって、重要な課題に焦点を当てた行動計画を立てることができ、その課題に取り組むことによって、公正かつ質の高い教育を提供するために、教育制度を改善できる可能性が生まれる。

リナ・ロウアネット・デ・ヌニェス 教育専門家(JICA算数指導力向上プロジェクト現地調整員)、グアテマラ

「グアテマラにおける教育の現状-将来を見据えた現状への注視-」
 児童生徒の学力が低い原因として、貧困、母国語でない言語で授業を受けていること、教育設備の不足が挙げられるが、教員に起因する問題として、教員養成における専門教育の欠如、教授内容の理解不足、指導技術に関する知識の不足、地域の言語を習得できていないこと、経験不足などが挙げられる。1.現職教員の再教育の取組や、2.教職資格を高等教育(大学)卒業に引き上げること、3.質の高い教員養成に加え、報酬システムを提案した教職に関する協定を遵守することが必要である。

宇田川 朋子 さいたま市立指扇小学校教諭(JOCV現職教員特別参加制度経験者)

「教科指導における教員の課題~パラオと日本の算数科指導の事例をもとに~」
  青年海外協力隊としてパラオ教育省に配属され、パラオ人教員の多くが、1.学習内容の理解が十分でない単元や領域がある、2.児童に学習内容を定着させるための方策が十分でない、3.教具の効果的な活用法が分からない、といった課題を抱えていることを知った。同様の課題を日本人教員も抱えている。現場で経験を積んでいる教員が若手教員を育てるといった意識を高めていくことが教員育成のポイントであると考える。

パネルセッションで講演をするパネリスト(左から、エデン・アドゥブラ ユネスコ EFA教員タスクフォース事務局長、ラモン・バカニ 東南アジア教育大臣機構 教育革新・技術センター長)

パネルセッションで講演するパネリスト(左から、リナ・ロウアネット・デ・ヌニェス 教育専門家、宇田川朋子 さいたま市立指扇小学校教諭)

パネルセッションで意見を交わすパネリスト(左から、エデン・アドゥブラ ユネスコ EFA教員タスクフォース事務局長、ラモン・バカニ 東南アジア教育大臣機構 教育革新・技術センター長、リナ・ロウアネット・デ・ヌニェス 教育専門家、宇田川朋子 さいたま市立指扇小学校教諭)

指定討論・質疑応答

主な質疑応答は、以下の通り(質問:◆、回答:○)。

◆校内研修について、日本の学校ではどのような取組をしているか。
○日本の学校では、1.年次研修、2.毎日、放課後に教員同士で教材研究や子供の悩みを話し合う、3.教職員全員で特定のテーマについて話し合う、といった取組を行っている。2.の取組がとても重要で得るものが多い。

◆グアテマラでは校内研修をどのように行っているか。
○中米では、校内研修は余り成功していない。システマティックでなく費用対効果も余りない。

◆我が国は、校内研修のどういったものを再活性化し、海外発信できるか。
○学校内で目標を定めて、教員がチームとして取り組むことを多くしていくことが重要である。また、教員養成の段階で、大学で模擬授業を体験することも重要である。

◆ジンガイ・ムトゥンブカ氏は、ジンバブエで教育大臣をされていたときにどのように教育資源を獲得しようとしたか。
○当時、ジンバブエは独立のただ中にあり、教育は最優先課題であった。教育資源の獲得は難しかったが、教育は全ての国民のものであり、経済発展につながるということを知らしめることにより、資金を獲得できるようになった。教育に十分な資金が行き渡ると教育の質は良くなったが、それは維持されず、現在では資金が不足している。

◆EFA、ユネスコの勧告はどのように有益だったか。
○量だけでなく、質に焦点を当てなければならないということを認識した。目標を達成できていない国は、システムの効率を上げる、アクセスを良くする、有資格の教員を増やす、全体的・包括的アプローチで取り組むことが必要であり、それを国際的に認識することができた。EFAを達成するための戦略を立てて、全てのセクターが連携すべきである。

◆グアテマラでは就学する1年前にスペイン語を指導することはできないのか。
○スペイン語の勉強はさせているが、文化や多言語を尊重しなければならない。グアテマラ政府は多言語に対応しつつ、全ての人に教育を行う必要がある。教員は都市へ行きたがるため、コミュニティの言語を話せる教員が少ないという課題がある。

総括討論

 本日の議論を振り返って、幾つか重要な点を挙げたい。
第一に、教員に対する継続した研修が必要である。日本と他国は異なるが、教員は何らかの資格を持つべきである。教員養成では、教育実習で経験を積むことが重要である。
第二に、エビデンス・ベースで、優れた教育活動を共有することが重要である。
第三に、教員養成において、「価値」を組み入れることが重要である。学校、コミュニティ、学習者が参画して、ジェンダー、移民、環境などの課題について話し合うことが重要である。
第四に、評価、モニタリングが必要である。何がうまくいって、何がうまくいかなかったのか。アウトプットは何かといったことを、経験・教訓から学び、その国ごとに適応させていくことが重要である。
第五に、EFAというグローバルな枠組みは、全ての国が同じペースでできるものではないが、評価しギャップを埋めることにより、より賢明な取組を行うことができるものと考える。
 今回は、良質な基礎教育の拡充をテーマとしたが、これまでのJEFに比べて今回のテーマは、途上国と日本の共通する課題であることをより強く認識するものだったと思う。現在の日本における課題は、教育の普及に伴って出てきた課題であるが、途上国の国々には、日本の轍(てつ)を踏まないように日本の経験を知っていただき、共通の課題の解決に向けてJEFでの議論を今後も続けていきたい。

熱心に聴き入るフォーラム参加者
 熱心に聴き入るフォーラム参加者

左から、吉田和浩広島大学教授、ジンガイ・ムトゥンブカ アフリカ教育開発連合議長、窪田眞二筑波大学教授、エデン・アドゥブラ ユネスコ EFA教員タスクフォース事務局長、ラモン・バカニ 東南アジア教育大臣機構 教育革新・技術センター長、宇田川朋子さいたま市立指扇小学校教諭、櫻井里穂広島大学准教授、リナ・ロウアネット・デ・ヌニェス 教育専門家、黒田則博広島大学教授、加藤重治文部科学省国際統括官
左から、吉田和浩広島大学教授、ジンガイ・ムトゥンブカ アフリカ教育開発連合議長、窪田眞二筑波大学教授、エデン・アドゥブラ ユネスコ EFA教員タスクフォース事務局長、ラモン・バカニ 東南アジア教育大臣機構 教育革新・技術センター長、宇田川朋子さいたま市立指扇小学校教諭、櫻井里穂広島大学准教授、リナ・ロウアネット・デ・ヌニェス 教育専門家、黒田則博広島大学教授、加藤重治文部科学省国際統括官

お問合せ先

大臣官房国際課国際協力政策室

電話番号:03-5253-4111(代表)、03-6734-2610(直通)
ファクシミリ番号:03-6734-3669

(大臣官房国際課国際協力政策室)

-- 登録:平成25年02月 --