図35.基礎研究に関する公的研究開発・支援がなされた事例
光触媒材料(ナノテクノロジー・材料、実現技術)
事例分析のポイント
- 技術初期の発展過程では、東京大学や公的研究機関における学術研究が中心であり、1960年代末に水の光分解の発見、1980年に有機物分解の発見がなされ、技術シーズとなった。
- 東京大学による基礎研究は、単に技術シーズとなっただけではなく、1992年の民間企業による酸化チタン薄膜開発への技術指導や超親水性の産学連携による原理解明等、技術の発展過程でも継続的に寄与してきた。この間、技術の発展により基礎研究が更なる発展をみせている (連鎖モデル)。
- その後の有機物分解の発見、薄膜化技術の進展により、セルフクリーニングタイルや空気浄化等の様々な応用によりインパクトを実現。
経済的インパクト
- 外壁材、空気清浄機、脱臭機など既存製品の高付加価値化、代替により約400億円(推定)の市場が出現(業界団体である光触媒製品フォーラム加入企業だけで250億円)
社会的インパクト
- 道路周辺(遮音壁、ガードレール等)やビルの清掃コストの削減
- 農業(ハウス栽培)廃液の浄化
- 道路周辺におけるNOx(窒素化合物)除去の期待
- 夏の冷房にかかるエネルギーの削減の期待
国民生活へのインパクト
- 住宅の外装・内装の清掃にかかる手間の削減
- 都市や道路における美観の向上
光触媒応用製品の市場規模推移
注:2003年から浄化機器の金額が急増しているのは、集計方式の変更による(従前はフィルタ部分のみ、事後は機器全体の金額として計算)
出所:光触媒製品フォーラム資料
科学技術・学術政策局調査調整課科学技術振興調整費室