「安全・安心な社会の構築に資する科学技術政策に関する懇談会」報告書 まえがき

 近年、大災害や事故の多発、世界的な感染症の流行、テロの頻発や国内の治安の悪化など、社会の安全・安心を脅かす危険や脅威が顕在化してきている。
科学技術は、これらの危険や脅威に対処し社会の安全・安心を確保するために重要であり、また、最近の世論調査に示されているように、国民からの期待も高まっている。
 今後の科学技術政策にとって社会の様々な要請に応えつつ、社会的な価値を創出していくことは、知的な価値の創出、産業的な価値の創出と並んで重要な基軸であり、中でも、安全・安心の確保は、社会からの要請として近年特に重要となっていると考えられる。
 これらの社会的要請に科学技術がどのように応えていくかを検討するため当懇談会は2003年4月に設置され、これまで、安全を直接的に脅かす危険や脅威から生活を守っていくための科学技術政策上の重要課題の抽出および対策について検討してきた。
 安全・安心の確保のためには、社会制度的な対応と一体となって科学技術を推進することが必要である。また、新たな課題に対応するための研究開発が必要であるが、その際、安全・安心に関わる公的機関や企業等の現場との連携や大学や基礎研究機関からの新技術シーズを継続的に提案していくための体制を整備するとともに、社会システム全体の俯瞰的な分析や国際的な協調などを進めなければならない。
 社会の安全・安心をめぐる最近の情勢変化は、一過性のものではなく、構造的なものであり、科学技術政策としても中長期的な観点から対応が必要である。本報告書が、関係各位の安全・安心な社会の構築に資する科学技術推進の検討とともに、これから始まる第3期科学技術基本計画策定に向けた検討に資することができれば幸いである。

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科学技術・学術政策局政策課

(科学技術・学術政策局政策課)

-- 登録:平成21年以前 --