平成21年度要求額:6,900百万円
(平成20年度予算額:−百万円)
解明された細胞機能数とタンパク質機能数(検討中)
文部科学省が実施する他の関連施策と連携し、個々の遺伝子、RNA等といった基本要素の複雑な集合体である細胞のプログラムの理解を推進することにより、蓄積された知見、技術を活用し、医学・薬学への貢献、産業応用に向けて生命現象のさらなる解明を図る。
ライフサイエンスは、複雑な生命現象を解明するための科学であり、我が国の産業競争力強化の鍵となる分野である。欧米及びアジア各国は生命科学研究の基礎となるゲノム配列、ゲノム機能の研究に対して、国家プロジェクトとして積極的な支援を行っており、引き続き、我が国のライフサイエンス研究を推進するため、遺伝子発現制御、シグナル伝達、代謝制御など細胞機能のシステムを理解する研究の重点的な実施が必要である。
また、これらゲノム情報解析に用いるシーケンサーの技術的進展は目覚ましく、従来型と比べて桁違いの処理速度を持つ超高速の次世代シーケンサーの実用化が始まっている。米国、英国、中国、シンガポール等では、すでにシーケンサーを集中的に配備した拠点整備が行われており、我が国のライフサイエンス分野の国際競争力を維持するためには、次世代シーケンス解析拠点整備は急務である。また、シーケンサーからは大量かつ多種多様なデータが産出されることから、これら膨大なデータを既存のデータと比較するとともに、データの一元的な集約、解析計算を行い、適切な形で提供・知識の発掘を行うためのデータ解析拠点の整備が必要である。
さらに、ある時点のスナップショットであるゲノム情報解析に加え、発生・分化、幹細胞、がん、免疫、神経細胞など計時変化が重要な意味を持つ、生命現象における細胞レベルの機能解明を行うためには、細胞・組織イメージング技術等の細胞情報計測などの開発や細胞機能の物理学的理解に向けた数理科学との融合を考慮した形での研究推進が必要である。
細胞プログラムの解明により、将来の新たな治療法、治療薬創出への基礎的知見・技術の提供が可能となる。また、本プロジェクトで構築した基盤設備をアカデミアや産業等にライフサイエンス研究の設備基盤として広く共用することにより、iPS細胞研究、がん研究、SNPs研究、免疫研究等の幅広い研究分野への波及効果が期待される。
研究開発拠点の整備
先行事業である「ターゲットタンパク研究プログラム」及び「ゲノム機能解析等の推進(ゲノムネットワークプロジェクト)」で構築された成果、人材等の基盤を活用することによって、効率的な研究基盤の構築が可能となる。
次世代シーケンサーへ投資を集中化することにより、国の設備投資の効率的かつ最大限の活用が期待されるとともに、シーケンス解析拠点に継続的に最先端の機器や技術を集約することにより、国内の研究者に対して常に最先端の研究基盤を提供できる。また、データ解析拠点に全ての解析データを一元集中することにより、統一的記述に基づくデータベース化によるデータの信頼性の担保が可能となり、データの共有も促進される。
本事業では、「ターゲットタンパク研究プログラム」の既存事業に加え、細胞機能の解明に必須な遺伝子発現制御、シグナル伝達、代謝制御分野における最適な研究課題を公募により選考するとともに、シーケンス解析拠点、データ解析拠点、細胞情報計測開発拠点についても公募により選考することにより、効率的かつ高水準の研究実施体制と支援体制が構築される。
米国、英国、中国、シンガポール等では、すでに次世代シーケンサーを集中的に配備した拠点整備が政府主導で行われており、我が国のライフサイエンス分野の国際競争力を維持するためには、国が集中的に資金を投入し、責任を持って主導的に次世代シーケンス解析拠点等を整備することが急務である。
-- 登録:平成21年以前 --