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75.脳科学研究戦略推進プログラム(拡充)

平成21年度要求額:2,700百万円
(平成20年度予算額:1,700百万円)

●事業の概要等

1.事業概要

 社会への応用を明確に見据えた脳科学研究を戦略的に推進し、効率良く成果を社会に還元するために、脳科学委員会における議論を踏まえ、重点的に推進すべき政策課題を設定し、その課題解決に向けて、平成20年度に整備した2つの研究開発拠点に加え、平成21年度から新たに3つの政策課題の解決に向けた研究開発拠点の整備等を実施する。

(1)脳と社会・教育(社会脳):豊かな社会の実現に貢献する脳科学

 脳の活動は、個体としての認識、思考、行動を司るに留まらず、異なる個体との間にコミュニケーション等による相互作用を生み出し、社会集団を形成する上でも決定的な役割を果たしている。このようなコミュニケーション等を含む社会的行動やそれらの習得過程に関する研究については、従来は人文・社会科学的なアプローチが用いられてきたが、近年大きな社会問題となっている社会性障害など、その範ちゅうでは捉えられない側面が急速に拡大していることから、人文・社会科学と脳科学が融合したより広い視点からの新しいアプローチが求められている。こうした社会的背景のもと、脳科学研究が豊かな社会の実現に貢献するために、社会への応用を見据えた研究を戦略的に推進する。

  •  社会的行動を支える脳基盤の計測・支援技術の開発(新規拡充)

(2)脳と心身の健康(健康脳):健やかな人生を支える脳科学

 急速な高齢化社会の進行に伴い、QOL(生活の質)を損ない、介護を要する神経疾患が大きな社会問題となりつつある。また、現代人の心身の荒廃は著しく、疲労・ストレス・睡眠不足等が事故や疾患の誘因となり、膨大な経済的損失をもたらしている。こうした社会的背景のもと、現代人が健やかな人生を過ごす上で、脳科学研究が果たすべき役割は、過去に比して著しく高まっていることから、社会への応用を見据えた研究を戦略的に推進する。

  •  健康と生命を支える自律脳機能の研究(新規拡充)

(3)脳と情報・産業(情報脳):安全・安心・快適に役立つ脳科学

 脳は、複雑な情報処理を行うといった特異的な機能を担っている。特に、脳の情報処理と動作原理を解明するとともに、脳にとって本来的な情報処理の在り方を探ることは、人間自身を知るという知の追究に留まらず、脳の構造と機能に合った安全・安心・快適な情報社会をつくり、豊かな生活基盤の構築として大きく貢献すると考えられる。このような観点に基づき、脳科学研究が安全・安心・快適な情報社会の形成に資するためには、社会への応用を見据えた研究を戦略的に推進する。

  •  ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)の開発(既存)

(4)基盤技術開発

 基盤技術開発は、脳科学研究の共通的な基盤として革新をもたらすのみならず、自然科学全体の共通財産として、他の研究分野にもイノベーションをもたらし得るものである。そのため、他の自然科学諸領域と緊密に連携しつつ、基盤技術開発を継続的かつ強力に推進する。

  •  光などを用いた脳機能モジュールの操作・抽出技術の開発(新規拡充)
  •  独創性の高いモデル動物の開発(既存)

2.指標と目標

指標

脳の生物学的指標(ソーシャル・ブレイン・マーカー)の開発件数等

目標

 文部科学省が実施する他の関連施策と連携し、社会への応用を明確に見据えた脳科学研究を戦略的に推進することにより、先端的医療の実現に資する知見の蓄積、技術の開発、またそれに必要な環境の整備を図る。

●事業の事前評価結果

1.必要性の観点

 脳は、人間が人間らしく生きるための根幹をなす「心」の基盤であり、その研究は、人文・社会科学と融合した新しい人間の科学を創出し、これまでの科学の枠組みを変える可能性を秘めている科学的意義の高い取組である。
 また、現在の脳科学研究は、脳の発達障害・老化の制御や、精神神経疾患の病因解明、予防・治療法の開発を可能にするとともに、脳機能や身体機能の回復・補完を可能とする技術開発等をもたらすことから、医療・福祉の向上に最も貢献できる研究分野の一つであるとともに、記憶・学習のメカニズムや脳の感受性期(臨界期)の解明等により、教育等における活用も期待されるなど社会的意義も大変高い取組である。
 このため、高齢化、多様化、複雑化が進み、様々な課題に直面している現代社会において、脳科学に対する社会的な関心と期待が急速に高まっており、このような状況を踏まえ、「社会に貢献する脳科学」の実現を目指し、社会への応用を明確に見据えた脳科学研究を戦略的に推進する必要がある。

2.有効性の観点

 本事業は、脳科学研究に対する社会からの大きな期待や関心に応えるため、効率良く成果を社会に還元する「社会に貢献する脳科学」の実現を目標とし、明確に社会への応用を明確に見据えて、戦略的な推進を行っていることから、研究開発拠点のポテンシャルや事業の手法等を勘案すると、設定した目標を達成できる見込みである。

3.効率性の観点

アウトプット

 「社会に貢献する脳科学」の実現を目指し、脳科学研究を戦略的に推進するため、優れた実績や他機関を支援する能力を有する大学等を対象に、重点研究課題ごとに中核となる代表機関と参画機関で構成される研究開発拠点の整備等を実施する。

事業スキームの効率性

 本事業については、脳科学委員会における議論を踏まえ、他の関連施策との役割分担を明確にしつつ、社会への応用を明確に見据えた戦略的な研究の推進体制を構築することから、事業スキームの効率性は担保される。

代替手段との比較

 脳科学研究においては、社会への応用を明確に見据えた政策課題対応型研究開発は他に存在しない。

-- 登録:平成21年以前 --