74.研究開発基盤整備補助金【先端研究施設共用促進】(新規)

平成21年度要求額:5,000百万円
(平成20年度予算額:−百万円)

●事業の概要等

1.事業概要

 大学・研究開発型独立行政法人等が保有する研究開発施設等のうち、以下の要件(注)を満たすものを文部科学省に設置される予定の研究開発基盤整備補助金審査評価会(仮称)において交付対象施設を決定し、当該施設設置者に対して、当該施設の一部(又は全部)の共用を行うために必要な経費を「研究開発基盤整備補助金【先端研究施設共用促進】」として交付を行う。事業開始後、研究開発基盤整備補助金審査評価会(仮称)を事業開始3年目の中間評価をはじめ適宜開催し、各機関の取組状況等の把握を行い、交付対象施設等を見直す予定である

○ 要件(注)

1 国の資金により整備したもので、整備に高額な費用を要し、費用対効果等の観点から、民間企業等が独自で整備することが困難なもの
  • 整備費の総額が数億円〜数百億円規模の施設
2 先端的な科学技術の分野において高い性能を有するもの
  • 科学と技術の一体化が他の分野に比べ顕著である分野等において、同種の機能を有する施設の中でも他施設と比べて高い性能を有する施設
3 科学技術の広範な分野又は多様な研究等に活用されるもの
  • 特定の分野に特化することを目的とする施設ではなく様々な分野の研究において利用可能な汎用性の高い施設、又は基礎研究から産業技術開発までを含めた幅広い研究において利用可能な施設
4 共用により、当該施設の価値が最大限発揮されると期待されるもの
  • 当該施設の本来の設置目的が損なわれず新たな用途にも活用可能な施設。本来の設置目的を達成し、他の目的にも活用すべきと考えられる施設

2.指標と目標

【指標】

交付対象施設における産業界による利用割合、有償利用割合

【目標】

 大型放射光施設SPring-8の実績値(共用開始10年目の平成19年度の共用BLの全利用課題数1,519件、産業界の利用課題数300件、有償利用件数110件より、産業界の利用割合20パーセント、有償利用割合7パーセント)を目標とする。初年度は、有償利用による共用体制構築、2年度以降は、毎年、産業界の有償利用による課題数の増加を図り本目標を達成する。

【効果の把握手法】

 文部科学省に設置される予定の研究開発基盤整備補助金審査評価会(仮称)による評価並びに交付対象施設及びその施設設置者に対する調査。

●事業の事前評価結果

1.必要性の観点

 多額の国費を用いて整備された研究開発施設等のうち、広範な分野又は多様な研究等で利用が可能なものについて、独創的・先端的な基礎研究からイノベーション創出に至るまでの我が国の科学技術活動全般の高度化及び国の研究開発投資の効率化を図るため、これらの共用の促進を図る必要がある。

2.有効性の観点

 図1に示されているとおり、他施設に先駆けて共用体制の構築が推進されてきた大型放射光施設SPring-8については、年々産業界による利用割合が増加しており、共用による施設の有効利用が図られていることや、図2に示されているとおり、産業界の利用の増加に伴い、有償利用件数も増加傾向であることが分かる。
 先端研究施設共用イノベーション創出事業(産業戦略利用)を実施中の17機関についても、共用体制が整備され、外部利用者の利用割合が増加しており、有償利用件数の増加も十分に見込まれる。
 本事業の実施により、さらに多くの研究開発施設等において共用体制が構築されるとともに、共用によりイノベーションにつながる成果の創出が促進され、目標は達成されると考えられる。


図1 SPring-8の産業利用率の推移


図2 SPring-8の有償利用件数の推移

3.効率性の観点

アウトプット

 平成21年度に、交付対象施設を70施設程度として、その後、毎年の施設の新設、改修等を踏まえて数施設程度の追加を行うことで、継続的に、国内の研究開発施設等の産業界への共用により施設の有効活用が推進され、研究開発投資の効率化が図られる。

事業スキームの効率性

 研究開発施設等に対して補助金を交付することで、当該施設における共用体制が強化され、施設の安定運用が図られる。また、適切な有償利用体制の構築により得られた収益については、さらなる共用のための経費や新規利用者の開拓に向けたトライアルユースのための経費に充当されることで、施設の徹底活用が図られるとともに、産業界からの投資も促進されると考えられることから、効率性の観点から妥当である。

代替手段との比較

 先端研究施設共用イノベーション創出事業(産業戦略利用)は、具体的な技術課題の解決のために、施設の運転経費等を支援する国からの委託事業であるのに対し、本事業は、共用という自主的な行為を促進し、相対的に長期にわたって補助金を交付するため、安定的に大学、研究開発型独立行政法人等が保有する研究開発施設等の有効活用を図ることが可能である。なお、本事業は、研究開発施設等の運転経費の不足等により、共用体制の構築のための経費を確保することが難しい状況下で、施設設置者が体制の構築を図るものであることから、税制などの他手段による実施は不適切である。

-- 登録:平成21年以前 --