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73.産学官連携戦略展開事業(拡充)

平成21年度要求額:4,940百万円
(平成20年度予算額:2,819百万円)

●事業の概要等

1.事業概要

 平成20年度においては、「戦略展開プログラム」で国際的な産学官連携体制の強化など大学の主体的かつ多様な特色ある産学官連携活動の支援を実施するとともに、「コーディネートプログラム」で産学官連携を推進する際に必要不可欠な専門知識や実務経験を有した人材(産学官連携コーディネーター)を大学等のニーズに応じて配置した。今年度からはこれらの事業を着実に実施することに加え、上記の経緯等を踏まえて新たに以下の事業を実施することとしている。

○戦略展開プログラム(新規部分のみ)

国として政策的な観点から積極的に促進すべき大学の活動支援

●産学官連携拠点の形成支援

 「経済財政改革の基本方針2008」等に基づき、産学官が有機的に連携して人材育成・基礎研究から事業化・商業化までの活動を推進し、持続的・発展的なイノベーションを創出する産学官連携拠点の形成を支援する。そのための関連施策を有機的に組み合わせて総合的・集中的に実施する。

・地域中核産学官連携拠点

15カ所程度

地域の特徴や強みを活かし、地域産業の競争力強化や新産業創出による産業構造改革などを目指して産学官連携活動が行われる拠点。

・グローバル産学官連携拠点

10カ所程度

地域中核産学官連携拠点に加え、世界トップクラスの質と規模の研究者、研究インフラ等が集積し、多様な分野や融合領域において産学官連携活動が行われる拠点。

●バイオベンチャー創出環境の整備

10件程度

 研究成果を厳選し、技術力、経営力の基盤が強固なバイオベンチャーを継続的に創出できる体制を整備。

●特許ポートフォリオ形成モデルの構築

6件程度

 研究開発型独立行政法人と大学等の連携による特許ポートフォリオの形成を中心とした知的財産戦略を展開できる体制を整備。

2.指標と目標

 達成目標9−2−2を達成するため、他の政策手段と連携し、以下の目標達成を目指す。

(指標)

指標1
企業等からの共同研究、受託研究受入額及び特許実施料収入等の総額
指標2
大学等発ベンチャー設立社数

(年度目標)

指標1
企業等からの共同研究、受託研究受入額及び特許実施料収入等の総額を対前年度以上
指標2
対前年度比20パーセント以上の増加または年間設立社数200社以上

(達成年度までの目標)

指標1
企業等からの共同研究、受託研究受入額及び特許実施料収入等の総額を倍増させる
指標2
累積設立社数1,000社(5年間)

(効果の把握手法)

  • 「産学官連携実施状況調査」(文部科学省が実施)
  • 「大学等発ベンチャーの現状と課題に関する調査」(科学技術政策研究所が実施)

●事業の事前評価結果

1.必要性の観点

 厳しい国際競争を勝ち抜けるよう、独創的な研究成果からイノベーションを創出していくためには、大学等における知的財産の管理・活用及び産学官連携が不可欠である。
 共同研究や特許出願の増加など大学における産学官連携は着実に進展しているものの、特許の海外における権利化をはじめとする国際的な活動が少なく、大学発ベンチャー創出を含む成果の事業化や特許実施料収入の実績が十分に上がっていないなど、多くの課題がある。
 質の高い知的財産の管理・活用のための産学官連携活動を自立的・主体的に実施するため、大学の体制強化を推進することが必要である。

(産学官連携拠点の形成支援)

 我が国における産学官連携活動が本格化して数年が経過し、産学官共同による研究件数や大学等の特許のライセンス件数等は飛躍的に増加しているが、新産業の創出による経済成長など本来期待されている成果は未だあがっていない。既存施策の連携等を含めて、我が国における産学官連携機能や技術移転機能が最大限に発揮されるよう、産学官連携体制の再構築を促進し、持続的・発展的なイノベーションを創出するイノベーション・エコ・システムの構築を図る必要がある。

(バイオベンチャー創出環境の整備)

 近年、ビジネスモデルの拙さ、経営力の弱さや金融市場の冷え込みなどにより、提携等もできず、さらに資金調達が困難になるという悪循環に陥っているバイオベンチャーも少なくない。今後、大学の有望な知的財産が国民に十分還元されないまま消失したり、その価値に見合う対価を得ることなく国外に放出されたりする恐れがある。このため、大学のバイオベンチャー創出環境を整備し、研究成果を目利きにより厳選するとともに技術力や経営力の基盤が強固なバイオベンチャーを継続的に創出することが求められている。

(特許ポートフォリオ形成モデルの構築)

 これまで大学等は研究成果を個々に単体でとらえライセンス活動を行ってきたが、技術の複合化が進んでいる分野においては、一つの製品を数百にも及ぶ特許権で保護することもあり、その様な製品を扱う企業に対しては、製品や技術テーマ等との関係で「群」として管理・活用することが効果的である。また、その際、周辺技術の研究開発も重要となる。
 しかしながら、1大学では「群」を形成することは難しく、また、そもそも大学は研究者の自由な発想に基づく研究が基本であるため、「群」を形成するための研究開発を行うという研究スタイルを取りにくい。このため、特許ポートフォリオを形成するためには、政策目的の達成を使命とし戦略的研究を重点的に行う研究開発型独立行政法人と連携することが有効であるが、研究開発型独立行政法人と大学等の知的財産に関する連携は進んでいない。したがって、研究開発型独立行政法人と大学との連携による特許ポートフォリオの構築を政策的に誘導する必要がある。

2.有効性の観点

 国公私立大学等の企業等からの研究資金等の受入額の推移をみると、平成15年度からの5年間で約900億円(約1.9倍)増加しており、企業等が大学等の研究開発力に注目してきていると考えられる。
 一方、大学等発ベンチャーの年間設立件数は、大学発ベンチャー1,000社計画達成に伴い、ここ数年減少しているものの、年間170社以上の設立実績があることから、大学等における起業化支援体制が徐々に整ってきていると思われる。
 本事業において、さらなる産学官連携体制の強化等により、我が国の産学官連携活動全体の質の向上を図ることで、目標の達成が見込まれる。

3.効率性の観点

アウトプット

  • 15カ所程度の地域中核産学官連携拠点及び10カ所程度のグローバル産学官連携拠点において、持続的・発展的なイノベーションを創出するために必要な大学等の体制が整備される。
  • 10機関程度の大学等において、継続的に革新的な創薬の開発などによるイノベーション創出に不可欠なバイオベンチャーを創出、育成するための体制が整備される。
  • 6つ以上の特許ポートフォリオが構築されるとともに6件程度の産学独の連携モデルが構築される。

事業スキームの効率性

 各大学等における知的財産戦略などが持続的に展開されるよう、各大学等の主体的で多様な取組のうち、大学の自己財源では実施が困難であるが国として政策的観点から積極的に促進すべき活動や、個別大学等の枠を越えた活動に特化して支援することにより、我が国の知的財産活動をはじめとする産学官連携活動全体の質の向上に寄与することが認められ、効率性の観点から妥当である。

代替手段との比較

 大学等における知的財産活動をはじめとする産学官連携活動体制を強化する事業は他に存在しない。
 また、企業が国内大学へ投資するためのインセンティブ付与として、特別試験研究に係る税額控除制度があるが、大学等のみに限った場合、利用実績は少ない。一方で、企業は産学連携のパートナーとして費用(安さ)の点では国内大学を評価しているものの、海外研究機関に対して国内大学の3倍もの研究費を支出し得ている現状がある。したがって、企業の国内大学への研究投資のインセンティブを高めるためには、税制優遇措置による費用負担の軽減だけでは足りず、大学が企業ニーズに合わせた共同研究等を実施できるような体制の整備が必要である。

-- 登録:平成21年以前 --