71.科学研究費補助金(拡充)

平成21年度要求額:217,176百万円
(平成20年度予算額:193,200百万円)

●事業の概要等

1.事業概要

 多様性を確保する「基盤研究」を中心として、若手研究者を支援する「若手研究」、国際的に高い評価を得ている研究を支援する「特別推進研究」、研究成果の社会への公開を支援する「研究成果公開促進費」など、多様な研究に応じた研究種目を設定して、学術研究への支援を行う。
 特に、平成21年度は、第3期科学技術基本計画の方針等に則り、挑戦的研究、若手研究者への投資、多様性を確保する「基盤研究の充実」により革新的な学術研究の促進を図るとともに、間接経費が未措置の研究種目への30パーセント措置の早期実現を図ることとしており、具体的には、研究分野の枠に収まらない新興・融合領域や異分野連携、ハイリスク研究を推進する「新学術領域研究」を拡充し、挑戦的研究を強化する「萌芽研究」の充実などを図ることを検討している。

2.指標と目標

○効果を把握するための指標

  • 研究成果の発表状況(研究成果として報告のあった研究論文数、図書数、産業財産権数)
  • 科学技術政策研究所「科学技術システムの課題に関する代表的研究者・有識者の意識定点調査」における「研究者の自由な発想による公募型研究費(科学研究費補助金など)」の必要度・「科学研究費補助金の使いやすさ」の指数

○達成年度までの目標

  • 科学研究費補助金の予算額の拡充
  • 1課題あたりの必要額を充たしつつ採択課題数の増加
  • 間接経費が未措置の研究種目への30パーセント措置
  • より研究者にとって使いやすい制度の構築

●事業の事前評価結果

1.必要性の観点

 我が国が持続的に発展していくためには、多様な学術研究の推進など、イノベーションを絶え間なく創造する環境作りが必要である。科学研究費補助金は、人文・社会科学から自然科学まで全ての分野にわたる基礎から応用までのあらゆる学術研究を支援するものであり、イノベーションの種を生みだし、ひいては我が国全体の社会経済発展に資するものとして必要な事業である。

2.有効性の観点

 「第3期科学技術基本計画」の方針に基づき、科学研究費補助金の拡充が引き続き図られる見込み。また、予算の増に伴って、採択件数も増加し、研究成果として報告のあった論文数も着実に増加する見込み。
 なお、科学技術政策研究所による調査(「優れた成果をあげた研究活動の特性:トップリサーチャーから見た科学技術政策の効果と研究開発水準に関する調査報告書」平成18年3月)によれば、被引用度上位10パーセント論文の46.5パーセントが科学研究費補助金を使用した研究の成果である。

3.効率性の観点

アウトプット

 約56,000件(平成19年度実績)の研究者の自由な発想に基づく研究の支援を実施する。

事業スキームの効率性

 科学研究費補助金においては、ピア・レビューによる公正な審査により、規模に応じた適正な配分を決定しており、効率的で効果的な支援が行われている。

代替手段との比較

 優れた学術研究(研究者の自由な発想に基づく研究)を適切に支援するためには、欧米同様に研究経験者が制度運営に関わり、ピア・レビュー(専門分野の近い複数の研究者による審査)により配分先を決める必要があるとともに、国が行うべき事業を委託する委託費などの方式ではなく、あくまでも研究者の活動を支援する補助金として交付することが重要である。このような科学研究費補助金の目的は、現行の方式以外では達成できない。

-- 登録:平成21年以前 --