67.都市エリア産学官連携促進事業(拡充)

平成21年度要求額:5,500百万円
(平成20年度予算額:4,600百万円)

●事業の概要等

1.事業概要

 都道府県等が、地域に存在する大学等の「知恵」を活用し、企業ニーズを踏まえた産学官共同研究を進め、地域イノベーション創出していくための事業計画を策定し、都道府県等が指定する中核機関が事業全体をマネジメントする。
 具体的な事業内容は以下の通り。

  • 大学等において、企業ニーズを踏まえた産学官共同研究を実施
  • 科学技術コーディネータや弁理士等のアドバイザーを配置
  • 企業ニーズと研究シーズをマッチングさせるための交流会を開催

 本事業は、「一般型」と一般型終了地域のうち、特に優れた成果を上げ、かつ、今後の発展が見込まれる地域において、更なる産学官連携活動の展開を可能とする「発展型」の2つのメニューを用意している。イノベーションを創出するクラスターの形成を実現するためには、継続的な取組が必要であることから、発展型については、地域の取組に応じて柔軟に対応するため、期間を3〜5年間とする。なお、地域の自立性を高めるため、地域の資金負担が必要なマッチングファンド方式を採用している。また、一般型、発展型に提案があった地域のうち、採択には至らないものの、今後の展開が期待される地域において、調査研究事業を実施する。

(申請者)

 都道府県又は政令指定都市(共同提案も可)

(採択地域数)

平成21年新規採択

一般型
5地域
発展型
5地域

(実施期間)

1地域当り

一般型
3年間
発展型
3〜5年間(5年間の場合は3年目で中間評価)

(事業費)

1地域当り

一般型
1年あたり1億円
発展型
1年あたり2億円

(産学官共同研究費、研究会の開催など研究交流事業、コーディネータ人件費等)

2.指標と目標

 これまでの実績も踏まえ、都市エリア産学官連携促進事業実施地域のうち、平成19年度に終了した地域の事後評価において優れていると評価される地域割合を6割以上にするとともに、これまでに実施した事後評価の累積で、優れていると評価された地域割合を6割以上にする。事後評価にあたっては、クラスター施策や産学官連携に関する専門家等からなる有識者により、参加機関・研究者数、実用化・企業化数等の推移と共に、事業計画の妥当性、技術評価、小規模でも地域の特色を活かしたクラスター形成のための取組み、地域への波及効果、今後の発展可能性等の評価項目に分けて、総合的に評価する。

●事業の事前評価結果

1.必要性の観点

 国際競争の激化や、人口減少・少子高齢化の急速な進展等、我が国の経済状況を取り巻く環境は厳しさを増しており、また、地域経済活動に目を向けても、生産拠点の海外流出や公共工事の削減等により、地域経済の地盤沈下が一層進んでいる状況にある。
 国際競争力・生産性向上の原動力となる科学技術の高度化・多様化や、科学技術駆動型の地域経済活性化の実現のためには、地域が有するポテンシャルを活用し、顔の見えるネットワークにおいて産学官の共同研究を進めること必要である。
 我が国には、特色ある技術を有する地域があり、その技術を核として小規模でも強みのあるクラスター形成を行うことにより、我が国全体の科学技術の多様化を図り、イノベーションの連鎖的創出に資することから、本事業を実施する必要がある。
 また、「経済財政改革の基本方針2008」、「科学技術による地域活性化戦略」等を踏まえ、産学官連携による地域科学技術拠点形成支援に資するものとして、本事業を実施する必要がある。

2.有効性の観点

 これまで事業を実施してきた各地域の事後評価においては、クラスター施策や産学官連携に関する専門家等からなる有識者により、事業計画の妥当性、技術評価、クラスター形成のための取組み、地域への波及効果、今後の発展可能性等の評価項目に分けて、評価を行っており、その結果優れていると評価される地域の割合は6割以上であることから、今後も同様の水準であれば、十分達成可能である。

3.効率性の観点

アウトプット

 大学等の知恵を活用した新規事業の創出、製品の高機能化・高付加価値化等に繋がる成果の創出が見込まれる。また、それらの成功事例を通じて、各地域における産学官の交流・ネットワーク形成が進み、科学技術を活用した地域活性化の取組が地域に定着する。

事業スキームの効率性

 都道府県等地方自治体が提案主体となり、事業の実施は地域が指定する中核機関に担わせることで、地域構想に基づいた事業計画の下で、最適な体制を構築し、効率的な事業の実施が期待される。

代替手段との比較

 大学や企業の自主性に任せた産学官連携では、個別の研究開発に留まり、地域におけるイノベーションを連鎖的に創出するまでには至らないことが多い。また、地域が単独で行うよりも、国が競争的に支援することにより、優れた構想に対して重点的な投資をすることが可能となるとともに、競争的な環境の下で、地域の構想自体がより洗練されたものになる。我が国には、独自のポテンシャルを有する特色ある地域が多数あり、地域のイニシアティブの下で、地域内の大学や産業界との連携を進めるという当該事業は高い成果をあげていることから、有効な施策である。

-- 登録:平成21年以前 --