平成21年度要求額:332百万円
(平成20年度予算額:150百万円)
理系学部を置く大学(短期大学及び大学院大学を除く)において、1)入試等選抜方法の開発・実践、2)教育プログラムの開発・実践、3)意欲・能力を伸ばす工夫した取組等、理数分野に関して強い学習意欲を持つ学生の意欲・能力をさらに伸ばすことに重点を置いた取組を行う(注)。平成21年度は、地域的なバランスや大学の置かれた環境、取組の特色ごとの研究開発に必要な規模等を考慮し、計20大学(新規10大学)で本事業を実施する。なお、本事業は文部科学省から各大学への委託によって実施する。
事業を実施する大学の理系学部において、理数に対して強い学習意欲を持つ学生の受け入れに適した入試方法の開発・実践及び当該学生の意欲・能力をさらに伸ばすことに重点を置いた取組が行われることにより、優れた能力を有する科学技術関係人材の育成が図られることを目標とする。
以下のような指標を用い、過去との比較、施策対象者と非対象者との比較等を行いながら総合的に判断する。
我が国が科学技術創造立国として持続的な発展を遂げ、安全・安心で質の高い生活環境を構築していくためには、科学技術・学術活動を先導する優れた人材を養成・確保していくことがきわめて重要な課題である。
現在、将来の科学技術をリードしうる人材を育成するため、高等学校等を対象にスーパーサイエンスハイスクール支援事業等を推進し、理数が得意な子どもの意欲・能力を伸長する環境を提供しているところである。
スーパーサイエンスハイスクールの教育プログラムを受けた者や国際科学オリンピックで活躍する者等の意欲・能力を大学学部段階で伸ばしていくためには、適切な評価により大学に受け入れ、広い視野、研究推進能力、研究開発技能の育成など、大学院での研究活動につながる基本的・基礎的な力及び学生の意欲・能力を更に伸ばすための取組を実施することが必要である。
また、このような国の施策の方向性を踏まえた取組の実施を希望する大学に対して、その立ち上げを支援することでその後のプログラム展開における大学の自助努力を促し、ひいては、理数に対して強い学習意欲を持つ学生の意欲・能力を更に伸ばす教育を行う大学の顕在化を図る必要がある。
事業開始以降、平成19年度は採択予定枠3大学の募集で37大学、平成20年度は採択予定枠4大学の募集で29大学の申請があり、国公私立を問わず本事業に対して多くの大学が意欲を示している。
平成21年度は地域的なバランス、大学の置かれた環境、取組の特色に応じた研究開発に必要な規模等の点で充実を図るため、20大学(新規10大学)で本事業を実施する必要がある。
高等学校等を対象に推進している「スーパーサイエンスハイスクール支援事業」が、生徒の科学技術に関する能力の向上に効果を発揮していること、また平成20年度の本事業への応募大学数が採択予定枠に比して多く、本事業への期待・取組の意欲が高いことが確認できていることから、成果が期待できると判断した。
本事業の実施により、全国の理系学部を持つ大学のうち、約7パーセント(20大学/全国の理系学部を持つ大学約300大学)において、以下の活動について優れた取組事例が得られることが見込まれる。
また、ホームページの開設や会議等の場での事業紹介等により、優れた取組が全国的に普及・定着することが期待できる。
本事業は国の委託事業として実施するが、全国の大学からの公募というスキームを用いることにより、各大学間において企画内容の競争が行われ、質の高い企画が実施されることにつながるものである。また、優れた取組事例や事業成果等を文部科学省のHPやシンポジウム、会議等の場で広く社会に情報提供することとしているので、全国的な普及・定着が期待できる。
本事業は国の委託事業として実施するが、例えば、国立大学法人運営費交付金や私立大学等経常費補助金の基盤的経費により実施することとした場合には、投入される資源量は、本事業費相当額の節約が見込まれるものの、事業を実施するか否かの判断は個々の大学の裁量に委ねられるため、事業実施の確実性がなく、また、事業成果等が広く社会に情報提供されないことから、全国的な普及・定着とならない可能性があり、本事業ほどの活動量が期待できない。
また、「質の高い大学教育推進プログラム」で実施することとした場合、当該事業は大学が自由に設定できるものであるため、将来の有為な科学技術関係人材の育成のために理系学部において高校から優れた者を受け入れる入学選抜方法の開発や、そのようにして受け入れた意欲・能力のある者を更に伸ばしていく教育課程や教育方法、効果的な教育環境など、本事業が総合的に要請している取組が行われる確実性がない。
-- 登録:平成21年以前 --