62.意欲・能力のある学生に対する奨学金事業の推進(拡充)

平成21年度要求額:141,244百万円
(平成20年度予算額:130,899百万円)

●事業の概要等

1.事業概要

 意欲と能力のある学生が経済的な面で心配することなく、安心して学べるよう、奨学金を希望する学生を引き続き支援するため、奨学金の充実を図っていくことが必要であり、平成20年度予算においては、事業全体で対前年度比7.5万人増の121万9千人の学生等に対し、801億円増の9,305億円の奨学金を貸与することを予定している。
 なお、高等学校等奨学金事業は、平成17年度入学者から順次都道府県へ移管されており、都道府県が実施する高等学校等奨学金事業の財源として、高等学校等奨学金事業交付金を交付している。
 平成21年度要求では、無利子奨学金において学生のニーズ及び返還時の負担軽減の観点から、現行より低い新たな貸与月額を創設し、貸与月額を選択制とすることで事業費の見直しを図る一方で、残存適格者を解消するため、貸与人員の増員等により、事業全体として充実を図ることとしている。

2.指標と目標

【指標】

奨学金の貸与を受けることにより修学可能となった学生の割合(平成20年度:80.13パーセント)

【目標】

 経済的な理由により修学が困難な学生を支援するという奨学金の趣旨に鑑み、奨学金が受けられなかった場合、修学が著しく困難(不可能)、もしくは修学が困難な学生の割合を高める。

【効果の把握手法】

 独立行政法人日本学生支援機構において、「奨学金の貸与を受けることにより修学可能となった学生の割合」について調査を実施し、修学機会の確保の状況を把握し、検証を行う。

●事業の事前評価結果

1.必要性の観点

 奨学金を希望する者は増加しており、学生が経済的な面で心配することなく、安心して学べるようにするためにも、奨学金事業の更なる充実を図ることが必要である。また、貸与基準を満たしているにもかかわらず、無利子奨学金において採用できていない学生等に対する支援を充実する必要がある。

2.有効性の観点

 本事業は、教育の機会均等の観点から、意欲と能力のある学生等が家庭の経済状況によって修学の機会が奪われないよう、学生の多様なニーズ等を踏まえて、事業を充実し、教育負担の軽減を図ってきた。
 本事業は、我が国の大学等において学ぶ学生等に対する適切な修学環境を整備し、もって次代の社会を担う意欲と能力のある学生が経済的な面で心配することなく、安心して学べるよう、奨学金事業を充実をすることとしており、奨学金の貸与を受けることにより修学が可能となった学生の割合が80パーセント以上となることを目標としている。
 奨学金事業の開始以来、65年間で852万人の学生等に対して奨学金の貸与を行ってきており、平成19年度の進学率において、奨学金事業が約10パーセントの上昇に寄与し、約11万人の進学の機会が確保されたという分析結果もある。

3.効率性の観点

アウトプット

貸与人員 103.7万人(平成19年度実績)【無利子貸与事業:34.9万人、有利子貸与事業:68.8万人】

事業スキームの効率性

 本事業の予算規模(850,335百万円)に対して、アウトプットとして、103.7万人の学生に対して奨学金を貸与し、意欲と能力のある学生への支援体制の整備という点で、学生が経済的な面で心配することなく、安心して学べる環境が整備されたと判断されることから、本事業のインプットとアウトプットの関係は効果的と判断する。
 また、学生の利便性に資するため、予約採用制度の拡充や返還金の口座振替制度の導入など効率的な事業運営に努め、今後もその取り組みを充実する必要があると考える。

代替手段との比較

 本事業は、独立行政法人日本学生支援機構により行うが、民間企業が実施することとした場合には、

  • 1 教育の機会均等の確保という公共性の観点から設けている貸与基準に基づき、大学において適切に奨学生の選考がなされることを公的機関が担保すること、
  • 2 経済的理由等による返還猶予、死亡・心身障害による返還免除などの業務を行うこと、
  • 3 主たる家計支持者の所得の低い学生を優先的に採用しており、返還が完了するまでの期間が長期(20年以内)であること

などが、民間企業では適切に実施されない恐れがある。
 なお、データ入力などの単純大量業務や回収業務、延滞者への督促架電業務等、より効率的・効果的な業務の実施が可能と見込まれる業務については民間委託を進めている。

-- 登録:平成21年以前 --