60.看護職キャリアシステム構築プラン(新規)

平成21年度要求額:2,000百万円
(平成20年度予算額:−百万円)

●事業の概要等

1.事業概要

 看護師の人材養成システムの確立を図る大学の取り組みを支援するため、体系立てられた看護教育プログラムの開発、看護用キャリアセンターやスキルラボ(臨床技能学習のための施設)の整備等の支援を行う。
 具体的にはプログラム開発委員会等により教育プログラムを開発し、その実施のため、専任のコーディネーター及び教育担当看護師を配置し、相応の手当を支給する。
 さらに、実施した結果のフィードバック及びフォローアップも行い、その後、教育能力向上のため、教育担当看護師を対象としたワークショップを開催する。
 併せて、専門看護師等の養成を行うこととし、養成期間中の代替職員については潜在看護師を優先的に採用するなどして、看護資源の効率的な活用に資する。
 また、キャリアセンターにおいては、キャリアパスの明示及び所属する看護職員のキャリア管理・相談を行い、スキルラボにおいては静脈注射など、医師等との役割分担に必要なスキルの向上のための取り組みを行う。

2.指標と目標

【指標】

キャリアセンター・スキルスラボの整備、看護職の離職率の低下、専門看護師等の増加、看護師の静脈注射実施割合の増加

【参考】

  • 大学病院における看護師の静脈注射の原則実施割合(平成19年10月現在)…側管注12.7パーセント、翼状針11.9パーセント、留置針4.3パーセント
  • 新卒看護師の平均離職率(平成19年度)…9.2パーセント

【目標】

 体系立てられた看護教育プログラムを構築し、スキルラボ等の基盤整備を図ることにより、医師不足及び極めて厳しい医師の勤務状況改善に資する。

【効果の把握手法】

 本事業に採択された大学に対し、人材養成等の状況調査を実施し効果を検証する。

●事業の事前評価結果

1.必要性の観点

 近年、医師不足・医師の過重労働は慢性的な社会的問題となっている。
 その解決手段の一つとして先頃公表された『社会保障の機能強化のための緊急対策−5つの安心プラン−(平成20年7月−政府取りまとめ)』において「大学病院が医師、コメディカルスタッフの養成機能を強化するための方策の充実」が求められている。また、「経済財政改革の基本方針2008」においても「医師不足の解消や病院勤務医の就労環境の改善」が提言されているところであるが、現在の看護職の現職教育には体系立てられたシステムはなく、キャリアパスも不明確な状況である。
 このような状況を打開し、我が国の医療水準を向上させるためには、教育・研究・診療機能を有する大学病院が率先して、看護師の体系的な人材養成システムを確立する取り組みを支援することが不可欠である。

2.有効性の観点

 本事業では、各大学病院が、教育・研究機能を有する学部・研究科と連携するなどして看護職の教育プログラムやキャリアシステムを開発することにより、体系立てられた看護教育を受けた質の高い看護職を養成することにより、極めて厳しい医師の勤務状況改善に対応することが見込まれる。

3.効率性の観点

アウトプット

 全40事業の採択を予定している。各事業とも5年間の実施を予定している。
 看護職の教育プログラムや体系的キャリアシステムの開発を行い、質の高い看護職を効率的に育成することにより、看護師における医師との業務役割分担が促進される。

事業スキームの効率性

 本事業の予算規模(2,000百万円)に対して、40大学病院において、優れた看護教育プログラムを開発するなどして、医師不足及び医師の過重労働の改善が行われる。各大学平均500名以上の看護職者に対して看護教育等が行われることになるため、本事業のインプットとアウトプットの関係は効果的と判断する。

代替手段との比較

 本事業は、国公私立大学を通じた競争的環境の中で、優れた看護教育プログラム等を提示した大学を採択し重点的に財政支援を行うものであり、国立大学への運営費交付金や私立大学への各種補助金などにより実施することとした場合には、競争的環境の醸成が期待できない。

-- 登録:平成21年以前 --