55.社会人力育成のための学生支援プログラム(拡充)

平成21年度要求額:3,541百万円
(平成20年度予算額:1,620百万円)

●事業の概要等

1.事業概要

 平成21年度においては、1教職員の意識改革と活用に関する取組(教員に対する研修の実施、事務職員の専門性の強化など)、2学生を活用した取組(学生の資質を高めることを目的にした学生生活全般における指導・相談、学内における業務への学生の活用など)、3学生相談に関する取組(授業から遠ざかっている学生に対し積極的に指導する取組、学生の学籍管理、生活指導に関する取組、学生相談機関と学内外の諸機関との連携強化など)、4就職指導に関する取組(低学年から職場体験をさせて学習の動機付けを強化する取組、キャリア形成支援など)、5正課外の活動に関する取組(学生の人間的成長を促すための課外活動に関する取組、優秀な学生に対する表彰制度や報奨制度に関する取組など)についての取組を支援する。(大学に対しては4年以内、短期大学・高等専門学校に対しては2年以内の期間で財政支援を行う。)

2.指標と目標

【指標】

学生の社会人力育成を図る取組の展開状況

【参考指標】

 目的意識の明確化によるニート・フリーター化の防止、不本意な休学の減少、心の問題を抱えている学生の減少など。

【目標】

 競争的環境の下、大学等で学生が身につけるべき社会人としての基盤となる資質・能力(コミュニケーション能力、自己管理力、チームワークなど)を身に付けさせるための取組が展開され、学生の社会人力育成が図られることを目標とする。

【効果の把握方法】

 選定を行った取組を対象に、取組の財政支援期間終了後に状況調査を行い、各取組の進捗状況や得られた成果(例えば、教員へのアンケートによる学生の社会性についての能力評価など。)を把握する。あわせて各種調査の結果等も勘案して、本事業の効果を把握する。

●事業の事前評価結果

1.必要性の観点

 少子化による人口減少を迎える日本が持続的発展を続けるためには、大学が学士課程教育を通じ教養を備えた専門的な人材を育成することも大切であるが、それ以上に、いわゆる大学全入時代において、資質・能力の異なる多様な学生が増加しており、大学で学生が身につけるべき社会人としての基盤となる資質・能力を各大学で養うことは極めて重要な課題となっている。このため、各大学等における学生支援機能充実に資するようなプログラムを重点的に支援するとともに、これらの取組の情報を社会に提供することで、我が国の高等教育全体の更なる活性化を図る必要がある。

2.有効性の観点

 平成19年度から実施の「新たな社会的ニーズに対応した学生支援プログラム」については、事業を完了した例が存在せず、具体的な数字等に表すことはできない。
 しかし、学生が置かれている現状は、下に示すような状況にあり、目的意識の明確化によるニート・フリーター化の防止、不本意な休学の減少、心の問題を抱えている学生の減少などに向け、本事業を国公私立を通じた競争的な環境の下で展開することで、より効果的に改善されていくものと考えられる。

休学者数 平成14年度 22,244人 平成19年度 23,061人(1.04倍)
自殺者数(大学生) 平成14年度 327人 平成19年 461人(1.41倍)
早期離職の割合 平成11年3月卒 34.3パーセント 平成16年3月卒 36.60パーセント

3.効率性の観点

アウトプット

 本事業においては、平成19年度に70件、20年度に23件、21年度に125件程度の優れた取組を選定し財政支援を行うとともに、Webサイトでの公開、各地域での意見交換会等により、優れた取組の内容や成果を広く社会へ情報提供することとしている。

事業スキームの効率性

 本事業の予算規模(3,541百万円)に対して、アウトプットとして国公私立を通じて選定し、財政支援を行うことにより、競争的環境の醸成や資源配分の効率化が図られるとともに、選定大学における教育力の向上はもとより、高等教育全体の活性化を促進することができることを見込むと、本事業のインプットとアウトプットの関係は効果的と判断する。

代替手段との比較

 大学に対する支援については、個性・特色の明確化を図ろうとする各機関に適切な支援が行えるよう、基盤的経費助成と競争的資金配分を有効に組み合わせることにより、きめ細やかなファンディング・システムを構築する必要がある。
 本事業は、国公私立を通じた競争原理に基づき大学教育の質の向上に向けた優れた取組を支援することで、大学間の競争的な環境を醸成し、質の高い大学教育が推進されることが期待できる。
 本事業を個々の大学の取組に任せて実施することとした場合、これまで学生支援に重点的に取り組んできた大学は数少なく、ノウハウの蓄積が不十分である上に、各大学が行うべき学生支援の内容は多岐にわたっているため、学生支援が円滑に推進できない。

-- 登録:平成21年以前 --