52.先導的ITスペシャリスト等育成推進プログラム(拡充)

平成21年度要求額:2,453百万円
(平成20年度予算額:828百万円)

●事業の概要等

1.事業概要

 「先導的ITスペシャリスト育成」、「高度実践型理工系スペシャリスト育成」とも、複数の大学、企業・経済団体が連携し、4年間の補助継続期間において高度専門職業人育成を目指すこととしている。

(先導的ITスペシャリスト育成)

 平成18年度には、企業等において先導的役割を担うソフトウェア技術者を育成するための教育拠点として6拠点、平成19年度には、国民が安心・安全にITを活用できる環境を構築するための高度セキュリティ人材を育成するための教育拠点として2拠点を選定し、現在、8拠点において、世界最高水準のIT人材育成を目指した先進的な教育プログラムの開発・実施が行われている。
 また、平成20年度より、全国の拠点における多様な教育プログラムの開発や実施を通じて得られた成果について、それを効率的に全国へ普及・展開するために、教材の洗練(収集・改編・共同開発等)、ポータルサイトの構築、ガイドラインの策定、シンポジウムの開催などを行う「拠点間教材等洗練事業」を新たに開始している。
 平成21年度においては、引き続き既存の8拠点への継続支援を行うとともに、「拠点間教材等洗練事業」の一層の充実を図り、現在実施している教材の洗練やポータルサイト構築に係る活動を本格化するとともに、新たに、教員等の教育力向上支援や社会人向け教育プログラムの展開等に係る活動に必要な経費を措置する。

(高度実践型理工系スペシャリスト育成)

 平成18年度から開始し、中間評価を行っている先導的ITスペシャリスト育成拠点と同様の手法を用い、ITスペシャリストへの評価を踏まえつつ、IT人材以外の分野の高度専門職業人を育成する拠点の形成を目指す。
 具体的には、1環境・省資源技術、2ナノテク、3電子・情報技術、4ものづくり、5応用数学など、「第三期科学技術基本計画」において、「重点推進4分野」、「推進4分野」とされているもの等の重要分野から拠点を形成する分野を決定し、国公私立の大学院が他大学や企業等と有機的に連携しつつ、社会から求められている課題を明確にし、それに応えうるスペシャリストを効果的に育成するための拠点の形成を支援する。

2.指標と目標

【指標】

 プログラム受講者によるプログラムの評価及び育成した人材に対する企業関係者・講師の評価。

【目標】

 「世界最高水準のIT人材」、「理工系の高度専門職業人」を育成するための手法として「有効」である旨の評価が2/3以上を目指す。

【効果の把握手法】

 アンケート調査等を実施し、本プログラムにおける効果の検証を行う。

●事業の事前評価結果

1.必要性の観点

 近年、少子高齢化、高度情報化、国際化などが急速に進む中で、我が国では、経済の活力の維持、環境問題といった様々な重要な課題に対応するためには、大学における優秀な人材の育成が必要不可欠であり、大学が企業等と連携し、「社会から望まれる人材」像を理解した上で、職業人として必要な基礎知識から実践的スキルまでを身につけさせ、社会で活躍できる資質を備えた高度な人材を育成していく必要がある。
 先導的ITスペシャリスト育成については、平成18年度より実施している各拠点における教育プロジェクトが3年目を迎え、それぞれの特色に応じた所要の成果が輩出されつつあるが、各拠点にて共通利用しうる教材等や共通認識すべき課題等の十分な共有あるいは検討に至っていないのが現状である。今後は、拠点間の密な情報交換を図り、著作権や知的財産権等に関するガイドラインの策定やポータルサイトの構築など、教材等を横断的に展開するための整備を行い、高度IT人材育成方策の全国展開を進めていくことが望まれている。
 さらに、本プログラム終了後の平成22年度以降も高度IT人材の量的拡大を進め、我が国の国際競争力の継続的な向上を図る必要があるため、教員等の教育力向上や社会人向け教育プログラムの展開など、大学における教育機能のさらなる強化を図る必要がある。
 高度実践型理工系スペシャリスト育成については、先行して行われているIT分野の人材育成の状況も踏まえ、同様の手法を用いIT分野以外の人材の育成を図っていく必要があることから、新たに人材育成拠点を形成するもの。

2.有効性の観点

施策目標4−1 大学などにおける教育研究の質の向上

 先導的ITスペシャリスト育成については、全国8拠点で多様な教育プログラムが開発・実施されるとともに、その活動を通じて得られた成果について、各拠点が個別に普及展開に取り組むだけでなく、「拠点間教材等洗練事業」を通じて、各拠点が協力して、ポータルサイトの構築やシンポジウムの開催など組織的かつ効率的な方法によって普及展開活動を実施することにより、世界最高水準のIT人材育成方策の全国的な波及効果が期待できる。
 新たに開始する高度実践型理工系スペシャリスト育成については、ITスペシャリスト育成拠点に関する中間評価結果を踏まえ、問題点を整理した上で拠点形成を試みることから、受講者の2/3以上から良好との評価を得ることは可能と考える。

3.効率性の観点

アウトプット

 本事業を実施することにより、全国の拠点で多様な教育プログラムが展開され、高度専門職業人が輩出されるとともに、そこで得られた先進的な教材やノウハウ等の成果を「拠点間教材等洗練事業」等を通じて、高度専門職業人育成方策の全国的な普及展開を目指すものであり、本事業は効率的・効果的に実施されると判断される。

事業スキームの効率性

 本事業の予算規模(2,453百万円)に対して、アウトプットとして、高度専門職業人育成に取り組む18拠点に対して支援を行うこと、及び、成果の効果的・効率的な普及展開を目的とした「拠点間教材等洗練事業」等の推進を通じ、1先進的な教育プログラムの開発・実施、2高度専門職業人の育成・輩出、3全国的な高度専門職業人育成方策の波及効果が見込まれ、本事業のインプットとアウトプットの関係は効果的と判断する。

代替手段との比較

 本事業は国の補助金として実施しているが、例えば地方公共団体の事業として実施された場合、特定地域に限定された取組となってしまい、各拠点で作成された教材等の成果をポータルサイトやシンポジウムなどを通じて、効果的・効率的な方法で全国の大学へ普及展開させることができないため、国の補助金として行っていく必要がある。

-- 登録:平成21年以前 --