50.学士力確保と教育力向上プログラム(拡充)

平成21年度要求額:9,551百万円
(平成20年度予算額:8,582百万円)

●事業の概要等

1.事業概要

 大学、短期大学、高等専門学校において、特に学士力の確保など主体的な教育の質保証に向けた優れた取組を支援する。
 公募の対象としては、新入生の補完教育、成績評価の厳格化、教職員の職能開発など教育の質保証のための取組を対象とする。
 選定にあたっては、有識者・専門家等で構成される選定委員会において公正に審査を行い、200件程度の取組を選定する予定である。選定された取組については、広く社会に情報提供を行うとともに、2年から3年の期間で財政支援を行う。

2.指標と目標

【指標】

  • 教育の質保証に向けた優れた取組の展開状況
  • FD(ファカルティ・ディベロップメント)やGPA(厳格な成績評価)等の大学改革の取組を進める大学数

【目標】

 競争的環境の下、高等教育の活性化に向けた各大学の優れた取組が展開され、教育力の向上が図られることを目標とする。

【効果の把握手法】

 選定された取組はそれぞれ達成目標を定め、各取組の目標の達成状況を把握する。また、取組の財政支援期間終了後に状況調査を行い、各取組の進捗状況や得られた成果を把握する。あわせて各種調査の結果等も勘案して、本事業の効果を把握する。

●事業の事前評価結果

1.必要性の観点

 これまでの「特色ある大学教育支援プログラム」及び「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」により、国公私立を通じた競争的環境の下で大学の個性化・特色化を推進するとともに、各大学の優れた取組を広く共有することで、我が国の大学教育改革に向けた意識改革を促進してきたところである。
 大学等が、知識基盤社会を担う優れた人材を養成し、高度化・多様化する社会からの期待に応えていけるよう、各大学等が教育の質の向上に向けた取組を推進し、人材育成機能の強化を図る必要がある。また、社会の信頼に応える高等教育の実現のために、大学設置基準等を改正し、人材養成目的の明確化やFDの実施等について新たに規定したところであり、各大学等において積極的に対応する必要がある。そこで、各大学等が行う教育の質の向上に向けた様々な優れた取組を積極的に支援するとともに、これらの取組の情報を社会に提供することで、我が国の高等教育全体の更なる活性化を図る必要がある。

2.有効性の観点

 本事業の実施により、各大学における大学教育改革の取組が一層積極的に行われると見込まれる。
 平成15年度からの「特色ある大学教育支援プログラム」、平成16年度からの「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」への申請数は毎年多く、また、学長や選定取組者を対象としたアンケート調査では約9割以上がこれらの事業が大学改革に役立っていると回答するなど、本事業の定着及び他大学を含めた社会への普及・啓蒙は一定程度達成したと考える。
 また、平成18年度において、教員の教育力の向上のための取組(ファカルティ・ディベロップメント)を行う大学は628校(前年度比53校)、厳格な成績評価(GPA)を行う大学は294校(前年度比46校)、学生による授業評価結果を授業改善に反映させる組織的取組を行う大学は377校(前年度比42校)と、それぞれ増加している。
 このように大学改革への意識の高まりが醸成されていることから、本事業を国公私立を通じた競争的な環境の下で展開することで、より効果的に大学改革が促進され、社会からの信頼に応え、求められる学習成果を確実に達成する学士課程教育の質の向上が図られるものと考える。

D.効率性の観点

アウトプット

 本事業においては、21年度に200件程度(目標)の優れた取組を選定し財政支援を行うとともに、Webサイトでの公開等により、優れた取組の内容や成果を広く社会へ提供することとしている。

事業スキームの効率性

 国公私立を通じ、大学教育の優れた取組を選定し、財政支援を行うことにより、競争的環境の醸成や資源配分の効率化が図られるとともに、選定大学における改革促進はもとより高等教育全体の活性化を促進することができることを見込むと、本事業のインプットとアウトプットの関係は効果的と判断する。

代替手段との比較

 大学に対する支援については、個性・特色の明確化を図ろうとする各機関に適切な支援が行えるよう、基盤的経費助成と競争的資源配分を有効に組み合わせることにより、きめ細やかなファンディング・システムを構築する必要がある。
 仮に、本事業を地方自治体の事業として実施することとした場合、地方自治体の財政状況や取組姿勢によって地域格差が生じるおそれがある。
 本事業は、国として、国公私立を通じた競争原理に基づき大学教育の質の向上に向けた優れた取組を支援することで、大学間の競争的な環境を醸成し、質の高い大学教育が推進されることが期待できる。

-- 登録:平成21年以前 --