46.特別支援学校等における指導充実事業(拡充)

平成21年度要求額:132百万円
(平成20年度予算額:100百万円)

●事業の概要等

1.事業概要

 本事業はこれまで、1特別支援教育研究協力校、2PT、OT、ST等の外部専門家を活用した指導方法等の改善に関する実践研究事業、3職業自立を推進するための実践研究事業の3つの内容を含むものとして実施してきた。
  1は特別支援学校や小・中学校等の特別支援教育に関する教育課程の編成又は学習指導の方法等について実践研究を行い、教育課程の改善に必要な資料を得るとともに、その成果の普及を図り、もって特別支援教育の改善・充実に資するものである。
  2は特別支援学校におけるPT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)等の外部専門家を活用した指導方法等の改善等について、モデル的に実践研究を行い、その成果の普及を図るものである。
  3は学校・教育委員会、労働関係機関、企業等の緊密な連携・協力の下、地域の企業関係者と協力した職業教育の改善、新たな職域の開拓や現場実習の充実など、障害のある生徒の就労を促進するための実践研究事業を行うものである。
 平成21年度においては、これらの研究事項を整理し、教育課程等の改善に関する実践研究として一体として実施することに加え、新たに自閉症の特性に応じた教育課程の在り方に関する調査研究を行うものである。

2.指標と目標

【指標】

  • 指導内容・方法等の改善が図られたとする教員や保護者等の意識

【参考指標】

委託先からの研究報告書

【目標】

  • 指定地域における研究の結果、指導内容・方法の改善が図られたとする教員・保護者等の割合について、80パーセント以上を目指す。
  • 研究成果の全国への普及を図る。

【効果の把握手法】

 本事業の効果は、指定された地域等において、アンケート調査等を実施し、教員・保護者等の意識や就職状況について検証する。

●事業の事前評価結果

1.必要性の観点

 特別支援学校においては、障害の重度・重複化、多様化が進んでいることから、一人一人に応じたきめ細かな指導の一層の充実が求められている。また、特別支援学校卒業後、自立し、社会参加していくため、国として教育、労働、福祉関係機関が一体となった施策の強化が求められている。
 小・中学校等においては、LD、ADHD、高機能自閉症等の児童生徒が約6パーセント程度の割合で存在する可能性が示されており、これらの児童生徒を含め、小・中学校等における障害のある児童生徒等に対し、適切な指導及び必要な支援を行うことが求められている。
 また、学習指導要領については、不断の見直しが求められており、国が教育課程の基準を改善するためには、国として実践研究を行い、その成果と課題を明らかにし、特別支援学校等における教育課程の改善に必要な実践データを収集していく必要がある。
 さらに、平成19年12月の国連総会において、「世界自閉症啓発デー」が決議され、自閉症の子どもについて、社会全体への意識啓発のための手立てをとることを促すこと等が盛り込まれており、こうした国際的な動向も踏まえ、自閉症についての正しい理解や障害特性等に応じた教育的な支援について検討することが必要である。
 これらの特別支援学校等における喫緊の課題に対応するためには、自立と社会参加に向けた指導の改善を図るための施策を総合的に行い、もって特別支援教育の改善・充実に資する本事業の拡充が不可欠である。

2.有効性の観点

 本事業では、特別支援学校や小・中学校等の特別支援教育に関する教育課程の編成や学習指導の方法等について実践研究を行い、教育課程の改善等に必要な資料を得るとともに、各学校における特別支援教育の改善・充実を図ることを目指している。
 各指定校や指定地域による研究について、外部有識者を含めた審査評価委員会により計画内容や成果の審査を行い、適切な指導助言を行うことや、研究成果について、研究報告書の作成・配付、文部科学省ホームページへの掲載、研究成果報告会の開催などを通じて、広く普及を図ることで、目標は達成できると見込まれる。

3.効率性の観点

アウトプット

 本事業では平成20年度までにのべ9道府県24の指定地域、及び35の指定校で研究を行っている。
 本事業で行われる、教育課程の基準の改善に関する研究や、外部専門家を活用した指導内容・指導方法の改善、自閉症に対応した教育課程の在り方に関する研究などの成果を、研究報告書の作成・配付等を通じて全国に普及することで、本事業は効率的・効果的に実施されると判断される。

事業スキームの効率性

 本事業の予算規模(132百万円)に対して、アウトプットとして、複数の指定先による研究が行われることを通し、全国で障害のある児童生徒等に対応した適切な指導や必要な支援が行われることを見込むと、本事業のインプットとアウトプットの関係は効果的と判断する。

代替手段との比較

 本事業は国の委託事業により行うが、地方自治体の事業として実施することとした場合は、当該自治体における研究のみであり、障害のある子どもを取り巻く環境(教育、福祉、医療、産業界など)の違いを考慮した評価や成果の活用が困難であり、本事業における十分な効果が期待できない。
 国の委託事業として行うことにより、各都道府県や指定校間での情報交換や報告書の作成・配付等を通じて、より効果的な取組が期待できる。

-- 登録:平成21年以前 --