35.公立小中学校施設の耐震化等(拡充)

平成21年度要求額:193,510百万円
(平成20年度予算額:114,971百万円)

●事業の概要等

1.事業概要

 本事業は、地方公共団体が実施する耐震補強や改築事業等の施設整備が円滑に進むよう、地方公共団体からの要望をふまえて必要な予算を確保し、それらの事業に対して、各事業の緊急性、国庫補助の全体事業量、国庫補助単価の適正化、適切な国庫補助率及び地方負担分に対する地方財政措置の設定などに留意しつつ、国庫補助を行うことなどにより、公立小中学校施設の耐震化等を推進するものである。特に、地震による倒壊等の危険性が高い公立小中学校等施設(約1万棟)については、できる限り早急に耐震化を図る必要があるため、各地方公共団体に対して重点的に支援・要請を行う。

2.指標と目標

【指標(効果の把握方法)】

 公立小中学校施設の耐震化率及び大規模な地震による倒壊等の危険性の高い公立小中学校等施設(約1万棟)の耐震化棟数

【目標】

 公立小中学校、幼稚園、特別支援学校の耐震化率を向上させる。特に、大規模な地震が発生した際に倒壊等の危険性の高い公立小中学校等施設(約1万棟)について、優先的に耐震化を支援し、地方公共団体に対してできる限り早期に耐震化を図るよう要請する。

●事業の事前評価結果

1.必要性の観点

 公立学校施設は、児童生徒等が一日の大半を過ごす場であるとともに、災害発生時には地域住民の応急避難場所ともなるため、その安全性の確保は喫緊の課題である。しかしながら、平成20年4月1日現在の公立小中学校施設の耐震化率は62.3パーセントとなっており、特に大規模な地震による倒壊等の危険性の高い公立小中学校施設は、10,656棟と推計されている。このため、安全・安心で豊かな学校施設の整備推進を達成するためには、進捗にやや遅れが見られる公立小中学校施設等の耐震化を推進することが必要不可欠であり、特に大規模な地震によって倒壊等の危険性が高い公立小中学校施設(約1万棟)については、できる限り早期に耐震化を実施する必要がある。

2.有効性の観点

 公立小中学校等施設の耐震化は進捗にやや遅れが見られるものの、整備の推進による一定の効果が得られている。(平成20年4月1日現在の公立小中学校の耐震化率は62.3パーセント)
 本事業の実施により、全国の公立小中学校等施設の耐震補強等事業が促進され、現在より多くの公立小中学校等において、児童生徒や教職員等が一日の大半を過ごす場の安全が確保されるとともに、非常災害時における地域住民の応急避難場所の安全が確保される。
 なお、耐震化が進まない原因は地域によって様々であるが、1多くの学校施設が昭和56年以前に建設されたため、耐震化を必要とする施設の絶対量が多いにもかかわらず、耐震化をしていない施設が大量に残っている。2一度に多くの耐震化事業を実施するとなると市町村の財政負担が大きくなり、市町村の財政力の限界を超えることになって事業化ができない。総じて市町村の財政状況は厳しく余裕がない。3地域住民への情報提供が十分でないなどの理由で、地域として地震防災の意識が低いため、他の課題に優先して耐震化に取り組んでいない。4学校の統廃合等の問題を抱えており、施設整備の計画自体が策定されていないため、耐震化に着手できないでいる。などの理由が挙げられる。
 このため、目標を達成するには、地方公共団体の財政負担の軽減等が必要となるが、本年6月に地震防災対策特別措置法が改正され、地震による倒壊の危険性が高い公立小中学校等施設(約1万棟)の耐震化事業についての国庫補助率の引き上げ等の加速策が講じられたところである。これにより、事業量の増加が見込まれるため、本事業の拡充により、地方公共団体の事業の前倒しに対応できるような予算の確保に努めることが必要不可欠である。

3.効率性の観点

アウトプット

 本事業の実施により、地方公共団体が実施する耐震補強や改築事業等の施設整備が円滑かつ計画的に実施され、全国の公立小中学校等施設の耐震化等が促進される。

事業スキームの効率性

 地方公共団体の要望に応じて必要な予算を確保し、国庫補助を行うことで、現在より多くの公立小中学校等において、児童生徒や教職員等が一日の大半を過ごす場の安全性が確保されるとともに、非常災害時における地域住民の応急避難場所の安全性が確保されることから、本事業のインプットとアウトプットの関係は効果的と考える。
 なお、「公立の義務教育諸学校等施設の整備に関する施設整備基本方針」(平成18年4月24日文部科学省告示第61号)において、「建て替え方式から、耐震補強・改修方式に重点を移すなど、より効率的に耐震化を進めることができる手法を選択することが重要である」旨明示されており、この基本的な方針に基づいて本事業は行われる。
 また、一定額の予算を確保したとしても、地方負担分を軽減する適切な国庫補助の設定が行われていなければ、円滑な事業化が進まず、限られた予算の中で効率的な執行をすることが困難である。この点、本事業に関しては、平成20年6月の地震防災対策特別措置法の改正により、特に地震による倒壊等の危険性が高い施設の耐震化事業について、国庫補助率の引き上げを行うとともに、地方財政措置についても拡充しているため、各地方公共団体においてこれらの施設の耐震化事業を優先的に行うインセンティブが働き、効率的な執行を可能としているものと考えられる。

代替手段との比較

 公立学校施設の整備は、設置者において一時的に多大な財政支出を要するとともに、年度により地域的な偏在も大きい。したがって、国が果たすべき責務である義務教育をはじめとする教育の機会均等と水準の維持向上を保障する観点からも、国において公立学校施設の整備に目的を特化した財源を保障した上で、必要な予算を確保し、公立学校施設整備に国庫補助を行うことが必要である。
 特に、耐震化を加速させるためには、各年度における整備事業量の増加が見込まれるため、各地方公共団体において負担できる限界を超えることが予想される。地方交付税の総額が抑制される中、地方財政措置だけでは対応困難であるため、国庫補助を主体とした手厚い国の支援が必要である。

-- 登録:平成21年以前 --