24.いじめ対策緊急支援総合事業(拡充)

平成21年度要求額:105百万円
(平成20年度予算額:105百万円)

●事業の概要等

1.事業概要

1 学校問題解決支援事業

 学校だけでは解決困難ないじめ等の問題行動等に対応するため、外部の専門家等からなるチームの設置・派遣の在り方について調査研究を行う。

2 いじめ未然防止に向けた社会性育成事業

 特に小学生期における適切な人間関係の構築方法等に係る優れた教育実践や、メンタルフレンド等の外部人材の活用や、ピアサポート等を通じた異年齢交流の取組など様々な活動を支援し、ノウハウを蓄積させ、地域での取組の浸透を図る。

3 子どもたちによる「いじめ根絶運動」支援事業

 生徒会等児童生徒自身によるいじめ根絶に向けた活動や、いじめゼロに向けた望ましい人間関係づくりに資する取組など、いじめ問題に対する中・高校生の自主的・主体的な活動を支援し、地域での取組の浸透を図る。

2.指標と目標

【指標】

  • 1 「いじめに起因する事件」において、被害少年が相談しなかった割合
  • 2 いじめの認知件数に占める、いじめの解消しているものの割合
  • 3 いじめの認知件数に占める、いじめられた児童生徒が誰にも相談していない件数の割合
  • 4 学校におけるいじめの問題に対する日常の取組のうち、地域の関係機関と連携協力した対応を図った学校数の割合
  • 5 不登校児童生徒数に占める、指導の結果登校する又はできるようになった児童生徒の割合
  • 6 不登校児童生徒数に占める、学校内外の相談機関等で相談、指導、治療を受けた児童生徒の割合

【参考指標】

「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」文部科学省調べ 等

【目標】(現状から目標)

115.0パーセントから15パーセント未満、280.9パーセントから90パーセント以上、310.2パーセントから10パーセント未満、414.5パーセントから30パーセント以上、530.4パーセントから40パーセント以上、665.6パーセントから70パーセント以上

【効果の把握手法】

 本事業の効果は、毎年、文部科学省で実施している「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」等の結果に基づいて検証する。

●事業の事前評価結果

1.必要性の観点

 いじめ問題については、いじめを苦にした児童生徒の自殺が大きく取り上げられ、社会問題となるなど、依然として教育上の大きな課題となっている。
 問題行動等の原因や背景は個々のケースにより様々であるが、問題が深刻化した背景として、1学校の危機管理に係るノウハウの集積が不十分であり、児童生徒の自殺が発生した場合などの緊急事態に十分対応できない、2いじめ等をめぐり保護者との意思疎通の問題等が生じているなどの理由で、教育委員会や学校による解決が困難な場合がある、等という状況が報告されている。また、インターネットや携帯電話を介した「ネット上のいじめ」という新しい形のいじめ問題が生じており、インターネット等に関する専門的な知識も必要となり、学校だけではいじめの発見や発見した後の対応が困難な状況が見られる。さらに、「いじめは決して許されない」という意識が児童生徒に依然としてしっかり身についていない状況も課題となっている。
 こうした現状を踏まえ、いじめ問題への適切な対応を推進するために、未然防止、早期発見・早期対応につながる効果的な取組や、外部の専門家や関係機関等の協力を得た取組に関して、学校や教育委員会による適切な対応を効果的に支援する方策の在り方について調査研究を行い、その成果や課題を十分に検証・分析したうえで、効果的な取組については、全国に普及する必要がある。各種答申等においても、こうした取組の重要性・必要性が求められているところであり、引き続いて、これらの取組を国として積極的に実施する必要がある。

2.有効性の観点

 本事業は、いじめをはじめとした問題行動等への適切な対応の充実の観点から開始され、いじめ等の問題行動が生じた際に、外部専門家等や関係機関の協力を得て、教育委員会や学校による適切な対応を効果的支援する方策等のあり方について調査研究し、効果的な取組については、全国に普及させることを目的としている。
 本事業では、文部科学省で実施する「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」等に基づく各種の指標を用いて、それぞれの指標に対する目標を達成することを目指している。
 平成21年度においては、学校問題解決支援事業を拡充し、調査研究内容を充実させるとともに、より効果的に成果の普及を図ることで、関係機関との連携の促進やいじめ問題の解決に資するものと考えられる。

3.効率性の観点

アウトプット

 指定地域において、いじめの未然防止や円滑な問題解決に資する取組に関する調査研究が実施され、いじめ等への対応が充実される。本事業において、外部の専門家等からなるチームの派遣・設置のあり方等の調査研究を行い、いじめ問題への適切な対応に資するという波及効果を考えると、本事業は効率的・効果的に実施されるものと判断される。
 なお、本事業は、毎年、児童生徒の問題行動等の変化を踏まえて、調査研究の内容について、重点化を図るとともに、3年後を目処に事業全体の見直しも検討することとしている。

事業スキームの効率性

 本事業の予算規模(105百万円)に対して、アウトプットとして、国が、一定の趣旨、目的のもと、都道府県・市区町村教育委員会等の事業計画等を専門家による精査を経た上で、効果的な事業の成果が見込まれる都道府県・市区町村教育委員会等に委託することを通し、各地域において効果的な取組が行われ、調査研究の成果を全国に普及させることを見込むと、本事業のインプットとアウトプットの関係は効果的と判断する。

代替手段との比較

 本事業は国の委託事業により行うが、地方自治体や民間団体等の事業として実施することとした場合には、特色ある取組を広く全国に周知し、他の教育機関等が特色ある多様な取組を実施する波及効果を期待している本事業における十分な効果が期待できない。
 様々な要因や背景のある問題行動等に対応するためには、地方自治体単独の取組ではなく、国の委託事業として行うことにより、各都道府県や市町村の教育委員会等が、全国連絡協議会での情報交換等を通じて、より効果的な取組の推進という効果も期待できる。

-- 登録:平成21年以前 --