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立命館大学(立命館大学Sustainable Week実行委員会)

SDGs体験型イベントSustainable Weekによる持続可能な社会の実現に向けた取組

 立命館大学Sustainable Week実行委員会は、キャンパス(びわこ・くさつキャンパス)を“小さな地球”と見立て、世界的に取り組まれているSDGs達成に向けた活動を大学生が身近な社会課題を通して実践する団体である。本稿では、Sustainable Week 2017及び立命館地球市民会議の2つの取組を紹介する。

Sustainable Week 2017の開催

SDGs体験型イベント「Sustainable Week 2017」について

 日本初の学生主催によるSDGs体験型イベントSustainable Week は以下の3点を目的として活動してきた。

  • (ア)立命館大学の学生団体による社会課題解決を目指した取組や市民向けのSDGsの啓発
  • (イ)時代、社会、人の変化に対応できるサステイナブルキャンパスの実現
  • (ウ)学生が自分自身、所属団体の持続可能性について考え、自己表現する機会の創出

 Sustainable Week 2017は、上記の目標を達成するに当たり、一過性の学生主催のイベントにならないように留意し、大学や地域社会にSDGsの考え方を普及することを目指して、従来の講義・講演形式よりも受け入れやすい「体験型のイベント」を実施した。これはSDGsの「誰ひとり取り残さない」という理念を実現するものである。その例として、私たちのキャンパスが位置する滋賀県草津市にあるUDCBK(アーバンデザインセンターびわこ・くさつ)での市民参加型の社会実験(図1)、地域の市民向けのまつり「第7回みなくさまつり」(図2)をSustainable Week 2017とのつながりを意識して実施してきた。これらの活動を実施するにあたって、地域住民や子どもに対して健康に関する啓発活動を行う団体や、環境分野での地域活動を担う団体なども参画した。本イベントは、SDGsの達成目標に対して、地域住民が日常の生活の中で感じる身近な課題や自分の生活に関連付けたものを取り扱うことにより、様々な年代・所属の方々がSDGsについて知り、考える機会となった。本イベントに対し、ご高齢の方からは「これまでの滋賀県の環境に対する活動がどのようにSDGsにつながっているのかを知る機会になった」、また、企画に参加した子どもの保護者からは「子どもが参加したいというので見学しているが、子ども向けの説明を聞く中で自分の理解も深まった」といった声を頂いた。

多様な学生運営によるピアラーニングの実現

 Sustainable Week実行委員会は、運営の中心を担う約15名の学生に加え、男女・文理混合の700名以上の学生によってイベントが成り立っている。実際の組織図は図3の通りである。また、Sustainable Weekでは運営を担う学生がSDGsについて深い理解をするべく、図4に示したSDGsの階層図に従ったグループを編成し、それぞれが企画実行に向けて相互理解や連携を行ってきた。この階層図は、ストックホルム・レジリエンス・センター所長の環境学者 ヨハン・ロックストローム氏によって提唱された。「それぞれの階層の土台にある目標が達成されてこそ、上位階層の達成目標に到達することができる」ということを示している。Sustainable Week実行委員会では、この意図を大切にし、それぞれの階層グループがどのように他階層のグループの取組に関与していくかを考えた上で、企画を実施した。このような活動は、SDGsが目指す「環境・経済・社会の統合的な発展」を考える上で非常に重要な取組だと言える。

 また、Sustainable Week実行委員会では、企画参加者だけではなく、運営側も持続可能性について学ぶことを意識することにより、知識偏重ではない、思考力を育む実践的な活動に力を入れている。これは学生が、SDGsについてインプットした後すぐにアウトプットし、失敗などを経験しながら企画を実行することによって達成されてきた。というのも、大学生としての学びが『言われたことを行う』といった旧来の受動的な学習から、能動的に学習・行動するアクティブ・ラーニングに変革が進みつつあるものの、本当に自ら学びをできるようになったと自信を持って言える学生は少ないと感じていた。また、「大学生の多くがアウトプットを重視するあまり、インプットが低下していることに気づけていない」といった問題がある。Sustainable Week実行委員会はこの問題を解決するため、インプット・アウトプットを組織内で同時に行うことでSDGsへの理解と活動の推進をしてきた。その例として、各企画の担当者同士で企画のブラッシュアップの実施、有識者へのヒアリングと解決案の提案をセットにした滋賀県庁職員との共同ワークショップなどがある。また、次年度の実行委員会の学生に対して、前年度実行委員会の経験者がSDGsや企画についてアドバイス等を行う団体内でのエコシステムを作ることを心がけていた。また、創設から3年目に入り、SDGsについて主体的に学んだ学生らが、卒業生、大学教員とともに一般社団法人SDGs Impact Laboratoryを立ち上げ、学内外のSDGsに関する相談などを柔軟に対応できる「開かれた研究室」として活動を発展させていることも特徴的である。

 そして、Sustainable Week実行委員会の運営の特徴として、ICTを積極的に活かした情報共有が盛んである。パソコンやスマホなどのデジタルデバイスを使いこなせる学生が想像以上に少ないと感じていた。そのような状況の中でSustainable Week実行委員会では、ChatworkやSlackなどのオンラインチャットツール、appear inやZOOMなどのオンライン会議ツールを用いることにより、多くの運営メンバーを統率してきてきた。これは既存のSNSツールと比べて、活動や運営を行うために必須のものであることを運営の学生に理解してもらい、実際に利用してもらうことができた事例である。この取組により、通常活動しているキャンパスとは異なるキャンパスに在籍している、あるいは他の所属団体に所属している、といった理由により会議への参加が難しい学生も含めて企画運営について議論できたため、学部・キャンパス・大学を超えた形での組織展開や活動展開を行っていくことに成功したのではないかと言える。

Sustainable Week 2017で開催した企画の紹介(一部)
外来種を喰らえ(BIOSPHEREグループ)

 琵琶湖に存在する外来魚により生物多様性が損なわれている問題をうけて、行政に依存しない、個人でできる外来魚の食を通した問題の認知と駆除の必要性を訴えた。 この企画では、ブルーギルやブラックバスの唐揚げを参加者に無料で提供し、外来魚や在来湖魚に関するアンケート調査や企画展示を行った。当活動は滋賀県の生物多様性を保護する上で、市民が持たなければならない課題意識を醸成することを目的とした。

再生可能エネルギーライブ(SOCIETYグループ)

 音楽団体によるライブパフォーマンスを通じて、再生可能エネルギーの日常生活への活用の可能性を訴えた。ライブでは、今回電力源として使用したソーラーポッド(家庭仕様の太陽電池と蓄電池)の紹介やその必要性について伝えた後、3団体によるバトンリレー式の合同ライブと書道部とのコラボパフォーマンスを行い、身近な音楽活動を通じてもエネルギー問題や環境に対して影響を与える可能性があることを知ってもらうことを狙いとした。

Technologyを体感しよう (ECONOMYグループ)

 現在、IoTやAIに携わる人材が不足している問題をうけて、これからの未来を担う小中学生に向けてものづくりの重要性を訴えた。また、様々な機械を動かす中で、その利用方法や社会での活用方法などについても解説を行い、持続可能な社会におけるこれからの技術発展の可能性についても伝えられていた。この企画では、ロボット技術研究会が製作した、NHKロボコン2017に出場した機体や対戦用機体の操縦体験を行い、参加者に科学技術の面白さを伝えた。

立命館地球市民会議の開催

立命館地球市民会議について

 SDGsに関する取組を実践している大学生たちが講師となり、高校生にSDGsに関する活動紹介、及び意見交換を行った。これは学校法人立命館が持つ一貫教育の強みを活かした活動であり、大学進学を控える高校生たちにSDGsを通した大学での学びや活動の可能性を伝えた。それに加えて、ハーバード大学に進学した学生を招き、グローバルな視点でSDGsに関する取組を紹介して頂いた。

立命館地球市民会議の開催概要

 立命館高校長岡京キャンパスで行われた本イベントには、同校の生徒約80名及び大学生講師10名、オーディエンス20名が参加した。SDGsに関連する様々な活動を行っている大学生講師が、高校生に対して自身の活動を紹介するとともにSDGsに関する座談会を行った。主なプログラムの概要は下記の通り。

  1. SDGs紹介&活動紹介
     SDGsの概要の紹介とSustainable Week実行委員会に関する活動紹介を行った (図9参照)。その後、SDGsに関して各学生が取り組んできた活動を立命館大学理工学部環境都市工学科3回生(当時)の那須優悟氏とハーバード大学環境エネルギー工学・環境政策専攻3回生(当時)の高島峻輔氏が紹介した。那須氏は自身の活動テーマである「新興国の社会インフラ設備に関して」、高島氏は「自分がハーバード大学で学んだこと」に関してSDGsを踏まえながら発表を行った。
  2. SDGs座談会
    SDGs座談会では、1グループ1名の大学生と8名の高校生で座談会を行った。それぞれの大学生がこれまで行ってきたSDGsに関する活動の紹介や、大学生らがそのような活動を行うに至った経緯について説明するものであり、高校生がより多くの大学生の話を聴くことができるよう、大学生が各グループを順番に回る形式で行われた。その後、質疑応答の時間が設けられ、高校生は様々な質問を大学生に投げかけていた。(図10参照)

 これまでの学生主催による一連のSDGs企画で期待される効果と今後の課題は、以下の通りである。

期待される効果

Sustainable Week 2017開催

 日本初の学生主催のSDGs体験型イベントとして、17個の目標達成に向けた企画を同時に実施し、2,300名以上の参加者を集めることができた。このような取組から得られた知見を活用して、他大学や他地域で応用展開されることを期待している。また、現在では一般的になったヨハン・ロックストローム氏のSDGsのウエディングケーキを用いた日本の大学では初の企画運営を実施した(Sustainable Week実行委員会調べ)。このように環境、社会、経済の三側面を相互に関連付けた取組をより意識して行っていく必要がある。また、今回Sustainable Week 2017を後援していただいた株式会社 日吉、Dari K 株式会社、たねやグループ、近江八幡商工会議所、滋賀県、草津市、立命館地球環境委員会、立命館サステイナビリティ学研究センターの皆様には、Sustainable Weekの趣旨に賛同していただき、様々な協力をしていただいた。今後、SDGsに関する企画をする際に、多くの団体がSustainable Week 2017を参考に、自団体だけでなく様々なステークホルダーを巻き込んだ取組を実施していくことが期待されるだろう。

立命館地球市民会議開催

 立命館地球市民会議の成果として、立命館大学と立命館高校の間で、SDGsを通した新たなつながりを構築したことが挙げられる。その結果、大学生講師、高校生、見学者に対してそれぞれ行ったアンケートにおいて、多くの方から満足度が高いとの回答を頂いた。参加者側である立命館高校生80名に対してのアンケート結果では、約93%がこの企画に満足したとの回答であった。具体的には、「SDGsについて授業では学んでいたけれど、スケールが大きすぎて解決策に関しては思いつきもしなかった。けれど、今回の企画を通して具体的な解決を考えるきっかけになった。」「とても楽しかった、また企画して欲しい」などの意見が多数寄せられており、本企画は多くの高校生に対して座学での学びから実践への導入として有意義だったと考えられる。また、大学生側も「自分自身の活動のモチベーションが上がった」「高校生と話す貴重な経験だった」などの意見が多かった。

今後の課題

Sustainable Week 2017・2018開催

 今回、大学のキャンパスを地球に見立て、多くの方の関心を引き付けることはできたが、今後一過性のイベントや企画のマンネリ化により若い世代のSDGsの意識が下がるのではないかと心配している。また、SDGsの啓発をするだけでなく、若い世代が2030年に向けてSDGsをどのように解決していくかを意識した取組となる必要がある。また、Sustainable Week実行委員会は、現在大学の助成金によって活動をしているが、学生団体としての取組だけでなく、2019年4月に設置された立命館SDGs推進本部との連携が大切になってくる。

立命館地球市民会議開催

 立命館地球市民会議での課題は、企画主体者が大学生のみであったため、事前に高校生がどのような話を期待していたのか把握ができなかったことである。それに加えて、今回企画を行った生徒に関しては、文系を進路としている人が多かった一方で、大学生側は理系専攻の学生が多かった。そのため、「高校生がどこまで自分ごととして受け取っていたのか」、「文系の学生による発表の方が高校生にとって需要があったのではないのか」といった課題が明らかになった。最終的に、実際に高校生がSDGsや社会課題に対して、何らかのアクションを起こす「仕掛け」を作るべきだと感じた。

今後の予定

前述した通り学校法人立命館では、立命館SDGs推進本部を立ち上げ、小学校から大学まで学園全体でSDGs推進に乗り出した。学生団体が始めたムーブメントで学園全体が動いた国内においても非常に稀なケースである。SDGsをはじめとする社会課題に対して、学長・総長トップダウンで作られた部局による取組ではなく、実際に行動に移すようなActors‐Based Community (実際に動く組織)による「小さくはじめて、大きく育てる実践」が重要になってくると考えている。その1つとして、SDGsに関する教養科目の必要性を学生が唱え、発案まで行ったことがきっかけで、2019年9月から「SDGs表現論」の授業が開講される。この授業は、答えのないとされる問いに対し、学生が自分が今できることを大切にしながら表現・発信することで学びを深めることが特徴的である。どこの教育機関でも抱えることが多いとされる「授業のための発表や評価」ではなく、受講する学生が自分の人生を変えるようなプロジェクトを実現するような授業により積極的に学びの支援・評価していこうとするものである。
 また、前述したICTをはじめとするテクノロジーを積極的に活用してきた学生であるからこそ、テクノロジー発達による社会変化は避けては通れないということである。それは私たちが普段学ぶ授業も全てオンラインでの配信になるかもしれない。そのような状況に柔軟に対応しながらではあるが、立命館地球市民会議のような「リアルな場」を共有することも重要になってくると信じている。同じ空間を共有して、何らかを一緒に取組んだ仲間の存在は、活動する学生にとっても「一生モノ」になるはずだ。これらを踏まえ、私たちが考えているのは、「ふるさとSDGs」である。誰にもふるさと(出身地・母校など)がある。そのふるさとをSDGsでつなぐ仕掛けを作り、実践していきたいと考えている。

連絡先

 立命館大学Sustainable Week実行委員会  
 〒525‐8577 滋賀県草津市野路東1‐1‐1
 E‐mail:sustainableweek@gmail.com
 HP:https://www.sustainableweek.org
 Facebook:@RitsBKCSDGs
 Twitter:@SustainableWeek
 Instagram:sustainableweek_bkc

 立命館SDGs推進本部
 HP:http://www.ritsumei.ac.jp/sdgs/

図1.UDCBK社会実験の様子

図1.UDCBK社会実験の様子

図2.みなくさまつりでのSDGs体験企画の様子

図2.みなくさまつりでのSDGs体験企画の様子

図3.Sustainable Week 2017実行委員会の組織図

図3.Sustainable Week 2017実行委員会の組織図

図4.ロックストローム氏提唱のSDGsの階層図

図4.ロックストローム氏提唱のSDGsの階層図

図5.朝日新聞社主催 大学SDGs ACTION! AWARDSに出場したSustainable Week実行委員会の学生

図5.朝日新聞社主催 大学SDGs ACTION! AWARDSに出場したSustainable Week実行委員会の学生

図6.BIOSPHEREグループ「SDGs 14:海の豊かさを守ろう」の企画パネルと当日の写真

図6.BIOSPHEREグループ「SDGs 14:海の豊かさを守ろう」の企画パネルと当日の写真

図7.SOCIETYグループ「SDGs 7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに」の企画パネルと当日の写真

図7.SOCIETYグループ「SDGs 7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに」の企画パネルと当日の写真

図8.ECONOMYグループ「SDGs 9:産業と技術革新の基盤をつくろう」の企画パネルと当日の写真

図8.ECONOMYグループ「SDGs 9:産業と技術革新の基盤をつくろう」の企画パネルと当日の写真
 (文:立命館大学Sustainable Week 実行委員会 戸簾隼人)

図9.Sustainable Week実行委員会活動紹介の様子

図9.Sustainable Week実行委員会活動紹介の様子

図10.SDGs座談会の様子

図10.SDGs座談会の様子

お問合せ先

文部科学省国際統括官付