2019年4月から大学院SDGs教育プログラム、G2SDを運用している。すべて授業が英語で行われる(殆どの科目を日本語でも提供)、産学官連携によるSDGs教育と研究を目指している。
※G2SDプログラムホームページ http://www.intcul.tohoku.ac.jp/g2sd/jp/
⇒ プロジェクト型学習(教科横断型学習)、地域の課題解決及び地域再生・地方創生との関係(地域課題の解決に資する人材の育成等)
昨年12月21日、河野外務大臣、元NHKキャスター国谷氏、国連環境計画・金融イニシアチブ特別顧問末吉氏などを招いて「東北大学SDGsシンポジウム」を開催した(700人規模)。このシンポジウムは、上記のG2SDプログラムのキックオフイベントであり、MS&ADインシュアランスグループとの共催で実施された。このシンポジウムはSDGs達成に向けた人材育成の重要性を地域社会に幅広くアピールした(写真1、2、3)。
⇒ 地域の課題解決及び地域再生・地方創生との関係(地域課題の解決に資する人材の育成等)
白石高校では、昨年から1~3年生を対象(約570人)にSDGsに関する課題研究(年間)を実施している。この課題研究は、学生達を地域創生・SDGs社会科学群・SDGs人文科学群・SDGs自然科学群の4つのゼミ群に分けており、上記のG2SDの担当教員が課題研究の方向性を提示したり、議論に参加したり、研究成果を評価するなど、地域創成とSDGsに関する教育活動を支援している。
(写真4、5)
⇒ ESDの実践
東北大学大学院国際文化研究科は、震災直後から被災地の小学校を対象にSDGsに関する出前教育(復興教育支援事業)を行っている。昨年は、4~6年生を対象に廃プラスチックの適正処理と再資源化をテーマに出前事業を実施した。また、この出前授業は東北大学大学院国際文化研究科、世界最大手プラスチック原料メーカー「Dow Chemical」、東北最大手リサイクル企業「青南商事」との連携によるものであり、今後も産学連携による持続的な支援を行う予定である。(写真6、7)
⇒ ESDの実践
河北新報の「子どものたより場応援プロジェクト」を通したSDGs達成のための広報・啓蒙活動を展開している。このプロジェクトは、県内の子供の貧困や困難な状況と、子供たちを支える活動団体(公益財団法人 地域創造基金さなぶり(NGO))の取組を伝えることにより、宮城県内の子供たちを支援することを目的としている。2019年3月31日付けの河北新報には、「SDGsの概念と取組が子供たちの支援にどのような役割を果たすべきか(テーマ:SDGsとたより場の最前線をつなぐ)」について、東北大学G2SDプログラム代表の鼎談記事が掲載された。(写真8)
※「子どものたより場応援プロジェクト」 http://kodomonotayoriba.kahoku.co.jp/
⇒ 地域の課題解決及び地域再生・地方創生との関係
東北の各自治体や民間企業は、他の地域に比べてSDGs実現に向けた具体的な取組や広報・啓蒙活動が相対的に十分ではない。東北大学にはSDGs研究・教育成果を活用し、東北地域のSDGs活動を積極的に支援するとともに、優れたSDGs人材育成・産学連携による研究成果、国際交流などが期待されている。
また、グローバルガバナンスと持続可能な開発プログラム(今年4月スタート、日本人2名・韓国人1名・中国人1名入学)、産学官連携(JICA、民間企業など)と地域社会との連携(自治体・教育機関・地元メディア・NGOなど)通して国内外から多様な学生を受け入れてSGDs人材を育成し、SDGs推進に関する研究成果を幅広く公表することのみならず、地域社会との強い連携が求められている(東北大学SDGsシンポジウム⇒700人規模、白石高校の課題研究⇒高校生約570名対象)。
今までの成果と実績をさらに発展・定着させて、持続可能なSDGs教育・研究・社会連携を行うためには、部局横断的な教育(学部+大学院)・研究組織を整備する必要があり、教員の拡充やカリキュラムの見直しと再構築、国内外の最先端事例分析と情報収集のために財政的支援、体系的な事務支援などが必要である。また、受験者(保護者)及び在学生、民間企業、自治体、教育機関(小中高)、NGO等が、SDGs教育・研究の取組について理解を深めることができるように幅広く広報・啓蒙を行う重要であり、産学官連携・地域社会との連携のための担当部署や専門スタッフの配置が必要である。
文部科学省国際統括官付