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国立大学法人 千葉大学

文理融合教員インターンシップの日本・ASEANでの双方向実践

取組の目的

 本取組はSDGsゴール4「質の高い教育をみんなに」を基盤とし、その発展的成果としてゴール8「働きがいも経済成長も」及び9「産業と技術革新の基盤を作ろう」にも到達する取組である。また、大学での教員養成の意識を根幹から革新し、グローバル時代に対応した新たな教育者と理系人材を同じプラットフォーム上で育成することにより、グローバルかつ創造的な教育活動を加速する試みでもある。具体的には、日本及びASEAN 諸国間における教員インターンシッププログラムを開発・実施することを目的とした、文理融合型のプロジェクトベーストラーニングによる教育活動を通して、教員養成システムのグローバル化の先鞭をつけるものである。

海外教員インターンシッププログラム

 海外教員インターンシッププログラムとは、千葉大学教育学研究科院生・学部生と工学、園芸学研究科などの院生・学部生のグループが協働し、同大が世界に誇る先端研究に関する授業を小・中・高等学校において実施するものである。具体的には、教材を含めた授業内容を英語で実施できるようにした上で、千葉大学・ASEAN拠点大学コンソーシアムと連携する現地小・中・高等学校において授業を実施し、ASEAN諸国における日本に対する理解を促進するとともに学生がグローバル人材としての能力を獲得することを目標としている。千葉大学は当該目標の実現に向け、これまで各年度約80名の院生・学部生を送り出している。

日本国内での試み

 こうした海外での試みと同時に、千葉大学では国内における留学生用のプログラムも併せ持つ。具体的には、科学技術教育に関わるASEAN諸国の学生を日本に招き、最先端の日本の教育に接する機会を提供するものであり、当該プログラムには、1)大学研究室におけるゼミ・実験体験と、2)高校での教育体験がある。前者は留学生が特に関心を持つプログラムであり、日本の高等教育のあり方や、日本の大学の施設や機材の充実ぶりを知ることにより、日本の大学院への進学や日本での就職に関心を持つ人が多いという事実がある。両体験を通じて、留学生が総合的に日本の教育に対する理解を深めることに貢献している。さらに、留学生による日本での教育活動は、国内の高校生のグローバル化への関心を醸成するものでもあり、その点で国内外双方のグローバル化促進を同時に行う試みと言えよう。

海外インターンシッププログラムの特徴と期待される人材像

 海外インターンシッププログラムの特徴は、2種類の異なる人材、すなわち1)グローバルな教育能力や視点を持つ教員と2)教育マインドを持つグローバル研究者を1つのプログラムの中で養成することである。実践的教育研究に取り組む教育学研究科と最先端科学研究に取り組む他研究科の院生が協働するこれまでにない新たな試みであり、文系と理系の壁、日本とASEANの壁、学校における児童・生徒と教師の間に、またそれぞれの中における暗黙の規律という、国の枠を超え共通して存在する学校文化の壁と言う3つの壁を乗り越える体験をする中で、「さまざまな状況に対する最適な「解」を見つけ前に進むグローバル人材」が育まれる。
 また、学生が学際的な新しい視点を身につけ、それぞれが持つ分野横断的な潜在的能力を発揮することが期待される。こうした新たな文理融合教育プログラムによって養成されたグローバル化時代に対応するリーダー教員は、日本の教育現場におけるグローバル化の主たる担い手となり、後進の育成に継続的に携わることとなる。他方、教育的視点を持った理系グローバル人材は、従来の研究者としての職務に加え、サイエンス・コミュニケーターとして多様な人々に広く科学技術の発信を行うことにより、文理双方の仲介者としての役割を果たすことが期待される。

学内の体制整備とその現状

 上に述べたような、いわば双方向の教育プログラムを実施するため、千葉大学ではASEAN諸国と連携し、「文理融合によるグローバル人材養成推進ツインクルコンソーシアム」を平成24年度に発足させた。現在はASEAN6か国、14大学および32校の小中高校、また日本側は千葉大学を起点とした近隣都県の連携33高校がその主たるメンバーである。当該コンソーシアムでの教育・研究活動は、これまでの実績からASEAN以外でも俄かに注目が高まり、現在ではさらに地域を広げ台湾師範大学及びその附属高校の参加を得て、質量ともにますますの充実ぶりを見せている。
 2018年2月にはこうした基盤を継続的に活用することを目的として、千葉大学教育学部内に「アジア・アセアン教育研究センター」を開設した。同センターでは早速、高校のESD部会及びユネスコスクール(高校)、教育委員会、各種企業とも連携し、「感性に基づく教育活動」によるESDプログラム(チームリーダー、伊藤葉子教授、同センター副センター長)を本格展開している。さらに、スポーツ・健康教育を核とするSHAIN(Sports & Health International Network for Education)プログラム(チームリーダー、下永田修二准教授)、日本の倫理教育を基盤としたバリュー教育(チームリーダー、土田雄一教授、教員養成開発センターグローバル担当)等複数の野心的な試みをASEAN諸国において同時展開しており、科学技術教育にとどまらず、より広範な視点からグローバルな教育活動を積極的に実施している。

期待される成果

 当該プログラムの成果は以下である。

  • (1)900名を超える相互交流が実現
  • (2)16,000人以上のASEAN高校生が千葉大生による日本の科学の授業を受講
  • (3)2,000人以上の日本人高校生がASEAN留学生による授業を受講
  • (4)ASEAN及び日本間に、次世代を担う若者のネットワークが構築
  • (5)ASEANの参加者が、科学・技術文化を通して日本の魅力を再発見
  • (6)ASEAN諸国における親日派が増加し、日本の国際プレゼンスも向上

 目標としては、

  • (1)グローバルな視点を持ったリーダー教員を養成し、日本の教育現場におけるグローバル化への対応力を増す。これにより世界に羽ばたく若者を養成する。
  • (2)教育的視点を持った理系研究人材を養成し、説明責任を果たし科学・技術の発信力を高める。
  • (3)ASEAN諸国の学生と教員インターンシップを通して交流し、次世代を担う若者のネットワークを構築する。
  • (4)科学教育活動により、科学・技術文化を通して日本の魅力を伝え、ASEAN諸国における日本への理解を促進し、日本のプレゼンスを高める。
  • (5)優れた日本の科学教育を輸出産業化する基盤を形成する。
  • (6)現在はさらにスポーツ科学・教育の観点から、スポーツ振興と健康増進のための教育プログラムをASEAN諸国の学校で展開しており、東京オリンピック・パラリンピック開催も視野に入れ幅広い教育活動をさまざまな子供たちに向けて実施中である。

今後の課題

1)海外教員インターンシップカリキュラムの必修化

 現時点では当該インターンシップはグローバルジャパンカリキュラムの科目であり、自由選択科目として位置づけられている。政府の方針として海外からの労働者の活用促進が検討されており、今後、教育現場の更なるグローバル化の進行が予想される。このため教員のグローバル対応力強化は必須であり、学生が身に着けるべき素養である。このため必修化を目指し改革を実施する。

2)派遣体制の強化

 大学における派遣のノウハウと体制に関しては整備が進んでいるが、プロジェクト経費で専門職員を雇用しているなどの状況があり、体制が不安定である。さらに今日的課題としては、経済的に困難を抱える学生の増加が挙げられ、派遣学生を対象とする奨学金による支援が重要である。現在はJASSO及び大学独自の資金を財源とする支援を行っているが、安定的な資金の確保が課題である。

3)受け入れ態勢の強化

 本取組の特徴は、1年の教育活動の中で日本とASEANとの間で繰り返し交流を行い、より深い人間関係を構築する双方向型のプログラムである点にある。特に千葉大学における交流においては、7カ国の学生がともにチームを作ってアクティブ・ラーニングを繰り返すことにより、多様性に対する理解を深め、グローバル環境の具体的なイメージをつかむことを目的としている。したがって、海外からの留学生数の安定的確保及び拡大のために奨学金、学生寮などの留学生受入宿泊施設の整備等が重要である。

4)科学・技術教育内容の高度化

 教員インターンシップとしてASEAN諸国の高校で実施している科学・技術実験の内容の高度化を継続的に実施する必要がある。本取組のポイントの一つが科学・技術文化を通じて、ASEAN諸国の若者の日本に対する理解と友好的感情を促進することにある。現時点ではASEAN諸国の高校生のレポートからは、日本の良い点としてアニメや町のきれいさなどが多くあげられており、科学・技術立国日本の姿が見えにくい状況にあることがうかがわれる。このためASEAN諸国の若者の意識の変革を目指し、高度で先進的な日本の科学・技術の取組を授業の中で紹介することが肝要であり、本プログラムの教育活動の中でも魅力的な授業研究を行う必要がある。これに係る経費の確保も重要であり、広報の強化により民間企業も含め各主体に対する活動の浸透を図り、支援を要請していきたい。

海外教員インターンシッププログラム
ASEAN諸国での教員インターンシップ
本プログラムでの7年間の派遣・受入実績(931人)
ASEAN留学生による日本でのツインクル教育活動
高校生の英語での研究発表会準備の支援

お問合せ先

文部科学省国際統括官付