「はなはなSDGs」 聖心女子大学でSDGsを知らない学生をゼロへ
取組の目的
「はなはなSDGs」は、「聖心女子大学でSDGsを知らない学生をゼロにする」という目標を掲げ、一昨年9月から活動している学生団体である。当団体が活動を始めたきっかけは、SDGsをテーマとした大学の授業において、「現在世代の行動が次世代に影響を与える」とともに、「持続可能な未来を築くことが出来るのも我々自身である」ことを学んだものの、持続可能な社会を築くための指針となるSDGsについて知らない学生が多いことが課題であると考えたためである。当団体名の「はなはなSDGs」には、「花を鳥がいろいろなところに運ぶ」ように、「SDGsを達成するために必要な花を、SDGsを知った学生が鳥となって世界に運んでほしい」という願いが込められている。
SDGsのPR動画の制作
聖心女子大学内でSDGsの認知度を上げるため、SDGsをPRする聖心女子大学版の動画を作成した。この動画では、運動会などでおなじみの「天国と地獄」に合わせ、教職員や学生がSDGsのロゴが描かれたプラカードを持ち、SDGsについて紹介している。現在、動画はYoutube上で限定公開されている。(https://m.youtube.com/watch?feature=youtu.be&v=poLw3BGdCXY)。
動画の作成にあたっては、より多くの教職員や学生に関与してもらうよう工夫した。具体的には、教職員の懇親会の場を借りて本動画の周知を行い、学長や教授から撮影への協力を得たほか、SDGsに関連した活動を行っている学生団体には各団体にゆかりのある目標のプラカードを持った上で撮影への協力を得た。
- 撮影への協力を要請した学生団体とその団体が担当したプラカードである。
- M.S.S.S.:目標3(すみれセクション)、目標4(ムックセクション)、目標10(点字セクション)、目標11(手話セクション)、目標17(M.S.S.S.幹部)
- SFT:目標1、目標10
- SHRET:目標4、目標8、目標10、目標16、目標17
- 手作り小物クラブ:目標12
- スリランカスタディツアー:目標6、目標10、目標12、目標14
- ボランティアサークルであるM.S.S.S.(Madeleine Sophie Social Services)は、軽度の障がいを持つ子どもとの交流を行う「すみれセクション」、児童養護施設の子どもの学習支援を行う「ムックセクション」、手話での日常会話や手話歌を行う「手話セクション」、絵本の点訳と寄付活動を行っている「点字セクション」に分かれている。各セクションの活動にちなみ、すみれセクションは目標3(「すべての人に健康と福祉を」)、ムックセクションは目標4(「質の高い教育をみんなに」)、手話セクションは目標11(「住み続けられるまちづくりを」)、そしてM.S.S.Sの幹部は目標17(「パートナーシップで目標を達成しよう」)を担当。
- SFT(Sacred Heart for Fair Trade)は、開発途上国についての理解やフェアトレードの普及を推進している団体であり、目標1(「貧困をなくそう」)、目標10(「人や国の不平等をなくそう」)を担当。
- 難民支援団体のSHRET(Sacred Heart Refugee Education Trust)は、「学生だからできること」を軸に日本にいる難民の支援を行っている。難民問題に関わるSDGsの代表的なものである、目標4(「質の高い教育をみんなに」)、目標8(「働きがいも経済成長も」)、目標10(「人や国の不平等をなくそう」)、目標16(「平和と公正をすべての人に」)、そして目標17(「パートナーシップで目標を達成しよう」)を担当。
- 手作り小物クラブはアクセサリーを作り、バザーや学園祭で販売をしている。目標12(「つくる責任つかう責任」)を担当。
- スリランカスタディツアーのメンバーは、一昨年の夏にスリランカの小学校で環境問題へのアプローチとして3Rのワークショップを行っており、スタディーツアーでの各々の感想に合わせ、プラカードを担当。
- 「日本は水に恵まれていると帰国後感じた(=目標6(「安全な水とトイレを世界中に」))。」
- 「スリランカの方々との出会いを通し、あらゆる人が平等な世界を目指したいと思った(=目標10(「人や国の不平等をなくそう」))。」
- 「ワークショップでココナッツと古いTシャツのリサイクルを行い、環境のことを考えるきっかけとなった(=目標13(「気候変動に具体的な対策を」))。
- 「海の豊かさは人々に食べ物という恵みをもたらすことを実感した(=目標14(「海の豊かさを守ろう」))。」
その他、目標7(「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」)を紹介する場面では、英語英文学科ブレンダブッシェル教授のゼミが取り組んでいる、落ち葉から肥料を作る活動を取り上げた。
これらの活動の意義等が認められた結果、学生の意欲溢れる企画に対し支給されている「はばたけ聖心プロジェクト」という奨励金を得ることができた。また、当団体自体の認知度も高まり、当初2名だった部員が現在は28名にまで増加している。その後も学内にSDGsを広めるため、大学の学園祭で展示を行うなどの活動を実施した。
期待される成果
当団体の活動から期待される成果として第一に挙げられることは、当団体が作成した動画を目にしたり、動画作成に協力したりすることで、聖心女子大学におけるSDGsの認知度が向上することである。また、本動画の作成を通じ、学内でSDGsと関連する活動を実施する複数の学生団体の存在を把握したが、今後それらの団体の活動がより多くの学生に浸透するとともに、団体同士が様々な場面で相互に連携を深めることができれば、大学全体としてSDGsに関連した活動を広め、深めることにつながると考えている。
今後の課題
今後は、学内でのSDGsの認知度向上を実証するためのアンケートを行う必要があると考えている。また、学生の中でSDGsの認知度が向上したとしても、実際に問題意識を持ち、SDGsに適った行動を起こす学生が増えるとは限らず、SDGsが私たちの生活と密接しているものだということを強調し、自ら課題解決のために日々の行動を変えることを促していくことが求められている。
はなはなSDGsのロゴ
はなはなSDGs共同代表と顧問
外務省訪問
SDGsプラカード1
SDGsプラカード2
M.S.S.S.すみれセクション
手作り小物クラブ