成蹊中学・高等学校

Jumbo Tanzania!! タンザニアとの学校交流

取組の目的

 成蹊学園は、「個性の尊重」「品性の陶冶」「勤労の実践」の3つを建学の理念に掲げている。どれもが普遍的で、グローバル社会で必要な「あらゆる多様性に気づく繊細さやその多様性を受け止める寛容な心」や「多様な仲間たちの中で培われる価値観を基に、他のために動ける行動力」「異なる文化をもつ人からも信頼される人間性」などの育成を目指しており、持続可能な社会や平和を目指す「SDGs17の目標」との親和性も高いと認識している。特に、2017年度の文化祭で中学生の有志団体が行ったタンザニアとの学校交流企画「Jumbo Tanzania!!」は、協働的なプロジェクトの遂行を通じ、多様性の理解だけでなく、多数の他者との「出会い」を通じて互いの視野を広げ、深い価値観を構築するという教育の機会にもつながるものであり、1つの国際交流活動のモデルとなると考えられる。

文化祭における発表

 成蹊中学・高等学校の文化祭(蹊祭9/30,10/1)では、学年やクラス、部活単位での参加以外にも、特別研究グループという有志団体としての参加が認められている。この「Jumbo Tanzania!!」は、昨年度の冬(2017年1月)から自発的な活動を始めたものであり、アフリカのタンザニア・ダルエスサラームに青年海外協力隊の看護師隊員として赴任中だった卒業生と協力し、「鉛筆贈ろうプロジェクト」「アートマイルプロジェクト」などを実施した。

「鉛筆贈ろうプロジェクト」

 「鉛筆贈ろうプロジェクト」は、2016年度3学期に校内に呼びかけて集められた文具(鉛筆やノートなど)を、上記卒業生を通じて、アザニア・セカンダリー・スクール、モロゴロのセカンダリー・スクール、キゴマの小学校などに贈る活動である。文化祭時には、贈られた鉛筆を手に写されたタンザニアの子どもたちの写真の下に、その鉛筆を贈った生徒のコメントを貼るなど、双方向の交流の方法として国際交流のモデルともなると考えられる。【資料1】(目的1,4,17)

「アートマイルプロジェクト」

 文化祭までに行われたアザニア・セカンダリー・スクールの生徒たちとの4回のスカイプによる会話を通じ、「アートマイルプロジェクト」を企画・実施した。「1.1.8m×3.4mのシートを2つに切り、2枚の絵を描き、完成後は1枚ずつもらう。2.構図は、1枚は手をつないだ2人の人を描く。もう1枚はハートを描き、その周りに2つの国のいろいろなものを描き込む。」というものである。互いに母国語ではない英語でのイメージ伝達は困難を極めた点もあり、夏休みに届いたタンザニアからの絵は、相談したものとは相当程度異なっていたが、文化祭での展示は素晴らしいものに仕上がった。【資料2,3】(目標4,17)
 さらに文化祭当日にも2回のスカイプ交流を実施し、見学者も交えたより多くの人とこうした体験を共有することで、学内にとどまらないSDGsの達成に向けた活動を行った。現在も、同校との継続的なスカイプ交流が行われており、いろいろなメンバーを加えながら、楽しい交流が続いている。【資料4】(目標17) 卒業生ではあるが、こうした外部の力を一部借りることも、学校教育を外に開き、生徒たちの視野を広げ、物事を他人事では終わらせない価値観を育むことにつながり、「一人も取り残さない教育」に貢献できると認識している。

期待される成果

 自主的な活動ではあるが、協力して1つのものを創り上げるプロジェクト型の活動は、グローバル社会における活動のモデルとなり、若い世代同士の交流はこれからの協働社会や平和な世界の継続にも大きく貢献するものである
 「鉛筆贈ろうプロジェクト」や「アートマイルプロジェクト」を通じて両国の生活の違いを知り、「だれ一人取り残さない」という思いを学んだだけでなく、豊かな心についても学ぶことができた。また、スカイプなどの交流を通じ、異なる文化や歴史をもつ人たちとの共生やあらゆる多様性に気づける繊細さの育成にもつながる活動となった。
 現在も継続しているスカイプでの交流では、両校とも参加メンバーに広がりが出ているので、今後もこうした自主的な活動が続くと思われるが、毎年4月に一般公開で行われるESD成蹊フォーラムやホームページを通じた活動報告なども予定している。

鉛筆贈ろうプロジェクト

鉛筆贈ろうプロジェクト

アートマイルプロジェクト(1)

アートマイルプロジェクト(1)

アートマイルプロジェクト(2)

アートマイルプロジェクト(2)

スカイプによる交流

スカイプによる交流


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文部科学省国際統括官付