SDGsはグローバルな目標ではあるが、対象はすべての国、地域、企業、我々自身である。そして、SDGsの目標に対してそれぞれが自由に優先順位を持って取り組むことができる。それらの利点を生かし、このプロジェクトは、「少子高齢化」、「人手不足」、「環境破壊」など複雑化する沖縄県読谷村の問題をSDGsの観点から分析し、これに基づいた2030年の目標を検討することにより、現地のニーズに合った形でSDGsのローカル化を行うことを目的としたフィールドワークプログラムである。
本プロジェクトでは学生が主体となり、自分たちで考え、現地調査を行い、その後に読谷村が目指す2030年のビジョンを策定、そして最後にそれらをバックキャスティングして今後のアクションについての政策提言を行うものであり、具体的には現地協力者のもとでの一年近くの課題調査の後、2017年6月にはステークホルダーへの聞き取り調査を実施した。
現地調査では、求職者と求人している職の不一致や交通整備、米軍基地の跡地利用問題といった様々な課題が浮かび上がった。これらの課題をSDGsの各ターゲットに対してどのような影響を及ぼすかについて分析を行った。これをもとに同年11月に再び読谷村にて、地域ステークホルダーとワークショップを行った。目的は、課題を明らかにしながら、2030年へ向けた村のあり方について明らかにすることである。
ヒアリング調査や11月のワークショップをもとにセクターやステークホルダー、課題の関連性を考慮に入れたより明確なビジョンを作り、そして今後も地域住民の方々と議論を重ねる中で政策提言に繋げて行けるように活動を行っている。
2030年のあり方、ビジョンというのは地域によって様々である。そこで今後期待される効果としてSDGsのターゲットの視点から課題解決を模索することで、課題間の相互関係を明らかにして課題の関連性の「見える化」を行い、これを通じて、より持続可能な将来のあり方を検討し、そのためのアクションを考察することにある。これは地域住民にとって理解が進みづらい側面のある政策をより理解しやすいものにし、議論を生むきっかけにもなりうる可能性がある。
また、沖縄県読谷村におけるビジョンを目指した持続可能な開発・発展や政策立案の一つの方法としてSDGsを活用していくことで、グローバルな目標であるSDGsが地域創生に対しても活用できるということを示す成功例・参考例として示したい。自治体でのSDGsの活用が徐々に増えてきてはいる中、グローバルな目標であるSDGsを地域創生に対して活用していくことの成功例を作っていくことによりSDGsの可能性を検討したい。
フィールドワークに必要な経費及び現地の行政による「補助金疲弊」の克服にある。住民や漁協の関心の高さに比して、行政の関心が同程度の水準でないことが課題の1つである。
文部科学省国際統括官付