東京大会を通じて環境・社会文化・経済のあらゆる分野にレガシーを残そうと大会組織委員会や東京都、政府など様々なステークホルダーが施策を立案している。しかし、これらの立案された施策が真に東京大会後も社会に持続的な恩恵をもたらす施策であるのかどうか評価されていないという問題がある。
2020年オリンピック・パラリンピック大会のレガシーがSDGsの達成に寄与するためにはいかなる戦略が必要であるかを理解する目的で、大会のレガシー分野ごとに2030年の東京におけるSDGsの達成ビジョン、および2020年における中間的な達成ビジョンを描く。
2020年東京大会組織委員会が発表した「レガシー&アクション・プラン」に示された計画と関連SDGsターゲットの分析に基づいて、2020年大会のレガシーによって2030年にSDGsターゲットが達成される条件について、2030年、および2020年時点のビジョン(実現すべき社会像)という形で表現する。この際、各時点において、ターゲットが十分に達成される状況を「達成シナリオ」、達成されない状況を「停滞シナリオ」として示す。
具体的には、下記の手順にしたがって、シナリオを作成する。
2020年オリンピック・パラリンピック大会のレガシーの5つの柱がSDGsのどの項目にプラスの影響を与えていて、SDGsの視点からどのようなアクション、事業を起こすことが効果的であるのかがある程度明確になり、また、2030年からバックキャスティング的に考えたこと及び達成シナリオとは反対に停滞シナリオを想定したことにより、2030年のビジョンをより明確に示すことができた。例えば、「スポーツ・健康」の柱の2030年の停滞シナリオにおいては、現在よりも少子高齢社会が進み、それに伴いスポーツ人口の減少が危惧されるとした。一方で、達成シナリオにおいては、スポーツ以外のアミューズメントと連携したイベントや事業を広く実施することにより、さらなるスポーツ人口の増加と、それに伴う健康長寿社会が実現することが示された。
前提となる「2020年、2030年のビジョンが本当に実現可能か」という点についてあまり議論がなされなかったために、現実味が足りないと考えられる点が挙げられる。
また、成功するためには、あるいは停滞しないためにはどうすれば良いのか、具体的なアクションを提示する必要がある。2020年だけでなく、2025年のシナリオを作成することにより、具体的なアクションを示すことが出来るのではないかとも考えられる。
文部科学省国際統括官付