高等教育の資格の承認に関する世界規約(仮訳)

高等教育の資格の承認に関する世界規約(仮訳)

 

2019年11月25日 第40回ユネスコ総会採択

 

前文

国際連合教育科学文化機関の総会は、二千十九年十一月十二日から二十七日までパリにおいてその第四十回会期として会合し、
締約国間の教育的、地理的、人道的、文化的、科学的及び社会経済的なきずなを強化し、並びに地域の間の対話並びに承認に関する締約国の文書及び慣行の共有を促進するという共通の意思に動かされ、
「この機関の目的は、教育、科学及び文化を通じて諸国民の間の協力を促進することによって、平和及び安全に貢献することである」旨を規定する国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)憲章を想起し、
千九百四十五年の国際連合憲章、千九百四十八年の世界人権宣言、千九百五十一年の難民の地位に関する条約及び千九百六十七年の難民の地位に関する議定書、千九百五十四年の無国籍者の地位に関する条約、千九百六十年の教育における差別の防止に関するユネスコの条約(特に、第四条(a))、千九百六十六年の経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約並びに千九百八十九年の技術教育及び職業教育に関するユネスコの条約の規定に留意し、
千九百九十三年の高等教育における修学及び資格の承認に関するユネスコの勧告、千九百九十七年の高等教育の教員の地位に関するユネスコの勧告、二千七年の先住民族の権利に関する国際連合宣言並びに二千十七年の科学及び科学研究者に関するユネスコの勧告に留意し、
高等教育の資格の承認に関するユネスコの地域規約に立脚し、
全ての段階における包摂的かつ衡平な質の高い教育並びに全ての人に対する生涯学習の機会を促進する締約国の責任を再確認し、
高等教育における国際協力の増進、学生、労働者、専門家、研究者及び学者の移動、科学研究における変化並びに教育及び学習における形態、方法、発展及びイノベーションの相違を意識し、
公共財及び公の責任として公立及び私立機関の双方によって提供される高等教育を考慮し、並びに学問の自由及び高等教育機関の自律性の原則を支持し、及び保護する必要性を認識し、
高等教育の資格の国際的な承認が、学習者及び学習、学者、科学研究及び研究者並びに労働者及び専門家の移動を通じて、相互に依存した学習及び知識の発展を容易にし、並びに高等教育における国際協力を強化することを確信し、
締約国間の文化的な多様性(特に、教育に係る伝統及び高等教育の価値における相違を含む。)を尊重し、
高等教育の資格の承認に関する世界規約が高等教育の資格の承認に関するユネスコの地域規約を補完する必要性に対応し、及びこれらの規約の間の結束を強化することを希望し、
承認に関する慣行を世界的に改善するための共通の、実際的な及び透明性のある解決策を見いだす必要性を確信し、
この規約が国際的な移動、承認のための公正で透明性のある手続に関する連絡及び協力並びに世界的な規模における高等教育の質の保証及び学術の一体性を促進することを確信して、
この規約を二千十九年十一月二十五日に採択する。

第一章 用語の定義
第一条
この規約の適用上、次の定義を適用する。
「(高等教育を)受ける機会」とは、資格を有する個人が高等教育の段階への入学許可を申請し、その入学許可について検討される権利をいう。
「(高等教育機関又は高等教育課程への)入学許可」とは、資格を有する申請者が特定の機関又は特定の課程における高等教育を履修することを認める行為又は制度をいう。
「申請者」とは、次のものをいう。
(a) 評定若しくは承認を受けるための資格、部分的な修学又は従前の学習を権限のある承認当局に提出する個人
(b) 同意を得て個人に代わって行動する機関
「評定」とは、資格の評価に従事する権限のある承認当局が申請者の資格、部分的な修学又は従前の学習に対して行う評価をいう。
「権限のある当局」とは、指定された任務を遂行する権限、能力又は法的権限を有する個人又は機関をいう。
「権限のある承認当局」とは、締約国の法令、政策又は慣行によって、資格を評定し、又は資格の承認について決定を行う機関をいう。
「構成単位」とは、締約国の地方管轄(邦、州、郡、県等)の段階の公的機関であって、この規約の第二十条(b)に規定する憲法上の連邦制又は非単一制に基づくものをいう。
「国境を越える教育」とは、締約国の国境を越える人、知識、プログラム、提供者及びカリキュラムの動きを伴う教育の提供の全ての形態(質が保証された国際的なジョイント・ディグリーの課程、国境を越える高等教育、国際的な教育、オフショア教育及び国境のない教育を含むが、これに限らない。)をいう。
「避難民」とは、自己の所在地又は環境及び職業上の活動から別の場所又は環境へ移動することを強制された個人をいう。
「正規の教育制度」とは、締約国の教育制度(教育に責任を有する公式に認められた全ての機関並びに締約国の権限のある当局が認め、並びに当該当局が教育及びその他の教育関連の役務を提供するために認可する全ての段階の公立及び私立の教育機関を含む。)をいう。
「正規の学習」とは、正式な資格の取得に結びつく構成された学習環境内の活動から派生する学習であって、締約国の権限のある当局が認め、及び当該当局がその学習の活動を提供するために認可する教育機関によって提供されるものをいう。
「高等教育」とは、中等教育後の段階の全ての種類の修学の課程又は一連の修学の課程であって、締約国又はその構成単位の権限のある当局が自国の高等教育制度に属すると認めるものをいう。
「高等教育機関」とは、高等教育を提供する施設であって、締約国又はその構成単位の権限のある当局が自国の高等教育制度に属すると認めるものをいう。
「高等教育課程」とは、締約国又はその構成単位の権限のある当局が自国の高等教育制度に属すると認める中等教育後の修学の課程であって、その完了により、高等教育資格が学生に付与されるものをいう。
「非正規の学習」とは、正規の教育制度外の学習であって、労働、家族、地方の社会又は余暇に関連する日常生活の活動の結果として生ずるものをいう。
「国際的なジョイント・ディグリー」とは、国境を越える教育の学位の一形態をいい、統合され、調整され、及び共同で提供される課程を修了する場合に、二以上の国に属する二以上の高等教育の機関が共同で認め、又は認可し、及び付与する単一の学位をいう。
「学習成果」とは、学習者が、学習の課程の修了に際して得ている知識及び技能をいう。
「生涯学習」とは、正規の学習、正規でない学習又は非正規の学習のいずれであるかを問わず全ての学習の活動をいい、生涯の全ての期間を対象とし、並びに人の受容力、知識、技能、態度及び能力を向上させ、及び開発させることを目的とする過程をいう。
「移動」とは、修学、研究、教授又は労働を目的とする個人の自国の外の物理的な又は事実上の動きをいう。
「正規でない学習」とは、教育又は訓練の枠組み内で得られる学習であって、労働生活に重点を置き、及び正規の教育制度に属しないものをいう。
「非伝統的な学習形態」とは、原則として教育者と学習者との間の対面の交流に依拠しない教育課程及び学習の活動の提供のための正規の、正規でない及び非正規の手段をいう。
「部分的な承認」とは、権限のある承認当局による実質的な相違の証明を理由として完全に承認することができない完全なかつ修了した資格の部分的な承認をいう。
「部分的な修学」とは、評価される高等教育課程の一部であって、それ自体は完結した課程ではないが、知識、技能、態度及び能力の相当な取得を表すものをいう。
「従前の学習」とは、特定の一連の学習成果、目的、又は水準に照らして評定される正規の学習、正規でない学習又は非正規の学習の結果として、個人が取得する経験、知識、技能、態度及び能力をいう。
「資格」に関し、
(a) 「高等教育資格」とは、権限のある当局が付与する学位、修了証書、証明書又は賞であって、高等教育課程を修了したこと又は該当する場合には従前の学習を確認したことを証明するものをいう。
(b) 「高等教育を受ける機会を与える資格」とは、権限のある当局が付与する学位、修了証書、証明書又は賞であって、教育課程を修了したこと又は該当する場合には、従前の学習を確認したことを証明し、及び当該資格を有する者に高等教育への入学許可について検討される権利を与えるものをいう。
「資格を有する申請者」とは、高等教育の入学許可を申請するための関連する基準を満たし、かつ、その適格性を有すると認められる個人をいう。
「資格の枠組み」とは、一連の基準に従って質が保証された資格の分類、公表及び構成のための制度をいう。
「質の保証」とは、受入れ可能な教育水準が継続して維持され、及び引き上げられていることを利害関係者に保証するため、一又は二以上の権限のある当局が、高等教育制度、高等教育機関又は高等教育課程の質を評定する進行中の過程をいう。
「承認」とは、申請者に少なくとも次の事項を含む結果を提供するために行われる、外国において付与された教育の資格、部分的な修学又は従前の学習の妥当性及び学術上の水準に関する権限のある承認当局による正式な確認をいう。
(a) 高等教育への入学許可を申請する権利
(b) 雇用の機会を求める可能性
「地域」とは、ユネスコが地域的な活動を実施することを目的として、ユネスコの地域に関する定義に従って特定されるいずれかの領域(アフリカ、アラブ諸国、アジア太平洋、欧州、並びにラテン・アメリカ及びカリブ)をいう。
「承認に関する地域規約」とは、ユネスコの各地域における高等教育の資格の承認に関するユネスコの規約(地中海沿岸のアラブ及び欧州諸国における高等教育の修学、修了証書及び学位の承認に関する地域規約を含む。)をいう。
「要件」に関し、
(a) 「一般の要件」とは、高等教育を受ける機会若しくは一定の水準の教育を受ける機会のため、又は一定の水準の高等教育資格の取得のために満たされなければならない条件をいう。
(b) 「特定の要件」とは、特定の高等教育課程への入学許可を得るため、又は特定の修学分野における特定の高等教育資格を取得するために一般の要件に加えて満たされなければならない条件をいう。
「実質的な相違」とは、外国において付与された資格と自国の資格との間の相当な相違であり、申請者が希望する活動(更なる修学、研究の活動又は雇用の機会を含む。)の実現を妨げる可能性が高いものをいう。

第二章 この規約の目的
第二条
この規約は、承認に関する地域規約の調整、改善及び成果に立脚し、並びにそれらを促進して、次のことを目的とする。
1 高等教育における国際協力を促進し、及び強化すること。
2 高等教育における国際協力のための地域間の自発的活動、政策及びイノベーションを支援すること。
3 締約国の高等教育制度の多様性を理解し、及び尊重した上で、当該締約国の資格を有する者、高等教育機関、雇用者及びその他の関連する利害関係者のそれぞれの利益となるように、世界的な移動及び高等教育における価値の達成を容易にすること。
4 公正な、透明性のある、整合的な、一貫性のある、時宜を得た及び信頼できる高等教育の資格の承認のための包摂的な世界的枠組みを提供すること。
5 高等教育機関及び制度の自律性及び多様性を尊重し、支持し、及び保護すること。
6 特に、一体性及び倫理的な慣行を促進することを通じ、資格の質及び信頼性における信用及び確信を促進すること。
7 高等教育機関及び制度において質の保証の文化を促進し、並びに国際的な移動を支援するため、質の保証、資格の枠組み及び資格の承認における信頼性、整合性及び補完性の確保に必要な能力を開発すること。
8 利用可能な、最新の、信頼できる、透明性のある及び関連する情報の拡充、収集及び共有、並びに利害関係者、締約国及び地域の間における最良の慣行の普及を促進すること。
9 資格の承認を通じて、包摂的かつ衡平な質の高い高等教育を受ける機会を促進し、及び全ての人々(難民及び避難民を含む。)の生涯学習を受ける機会を支援すること。
10 持続可能な開発のための教育を促進することを目的として、人材及び教育の資源を最も適当な形で利用することを世界的に促進し、並びに全ての社会のために構造的、経済的、技術的、文化的、民主的及び社会的な発展に貢献すること。

第三章 高等教育の資格の承認に関する基本的原則
第三条
この規約は、高等教育の資格の承認のため、次の原則を定める。
1 個人は、高等教育の修学への入学許可を申請すること又は雇用の機会を求めることを目的として、自己の資格について評定される権利を有する。
2 資格の承認は、各締約国の規則に従い、透明性のある、公正な、時宜を得た及び無差別なものでなければならず、また、負担しやすい費用でなければならない。
3 承認の決定は、信用、明確な基準並びに公正な、透明性のある及び無差別な手続に基づくものであり、また、雇用の機会に結びつく公共財として、衡平に高等教育を受ける機会の基本的な重要性を強調するものである。
4 承認の決定は、高等教育の制度、機関、課程及び質の保証の仕組みに関する適当な、信頼できる、利用可能な及び最新の情報に基づくものであって、締約国の権限のある当局、公式の国内情報センター又はその他類似の機関によって提供されるものである。
5 承認の決定は、全世界における高等教育制度の多様性に十分な考慮を払って行われる。
6 承認の評定を行う権限のある承認当局は、決定に対して明確な理由を明示するとともに、誠意をもって承認の評定を行うものとし、承認の決定に不服申立てを行う仕組みを有する。
7 資格の承認を求める申請者は、取得した資格に関する適切かつ正確な情報及び資料を誠意をもって提供し、並びに不服申立てを行う権利を有する。
8 締約国は、最新の技術の使用を奨励すること及び締約国間の活動に係るネットワークを形成することにより、高等教育の資格に関する全ての形態の不正な慣行を根絶するための措置をとることを約束する。

第四章 締約国の義務
この規約は、締約国に対して、次の義務を定める。
第四条 高等教育を受ける機会を与える資格の承認
1 各締約国は、資格を取得した締約国と当該資格の承認が求められている締約国との間で高等教育を受ける機会のための一般の要件に実質的な相違があることが明らかである場合を除くほか、自国の高等教育制度を受ける機会のため、他の締約国で取得された資格及び文書化又は証明された従前の学習であって、当該他の締約国の高等教育を受ける機会のための一般の要件を満たすものを承認する。これに代えて、その承認は、他の締約国において付与された資格を有する者が、当該資格の評定を得ることを可能にすることで足りるものとする。
2 認められた非伝統的な学習形態を通じて取得された資格であって同等の質の保証の仕組みの対象となるものについては、締約国又はその構成単位の規則に従い、伝統的な学習形態を通じて取得された同様の資格に適用する基準と同一の基準を用いて評定する。
3 資格が取得された締約国における特定の種類の高等教育の機関又は課程のみを受ける機会が与えられる場合には、各締約国は、当該資格を有する者に対して、実質的な相違があることが明らかである場合を除くほか、該当するものがある場合、自国の高等教育制度に属する類似の特定の種類の機関又は課程を受ける機会を認める。
第五条 高等教育資格の承認
1 各締約国は、承認が求められている資格と承認が求められている締約国においてこれに相当する資格との間で実質的な相違があることが明らかである場合を除くほか、他の締約国において付与された高等教育資格を承認する。これに代えて、その承認は、他の締約国において付与された高等教育資格を有する者が、自己の要請によって当該資格の評定を得ることを可能にすることで足りるものとする。
2 認められた非伝統的な学習形態を通じて取得された高等教育資格であって、同等の質の保証の仕組みの対象となり、かつ、締約国の高等教育制度の一部とみなされるものについては、承認が求められている締約国又はその構成単位の規則に従い、伝統的な学習形態によって取得された同様の資格に適用する基準と同一の基準を用いて評定する。
3 国際的なジョイント・ディグリーを付与する国境を越える教育を通じ、又は二以上の国(少なくとも一の国は、締約国とする。)において実施された他の共同課程を通じて取得された高等教育資格については、承認が求められている締約国又はその構成単位の規則に従い、一の国において実施された課程を通じて取得された資格に適用する基準と同一の基準を用いて評定する。
4 他の締約国において付与された高等教育資格の締約国における承認は、少なくとも次のいずれかの成果をもたらすものとする。
(a) 承認が求められている締約国において、当該締約国の高等教育資格を有する者に適用される条件と同一の条件の下で、高等教育資格の承認を有する者に対して、更なる高等教育への入学許可を申請する権利を提供する。
(b) 承認が求められている締約国又はその構成単位の法令に基づき、高等教育資格を有する者に対して、高等教育資格に関連する称号を使用する権利を提供する。
さらに、当該資格の評定及び承認は、資格を有する申請者が、承認が求められている締約国又はその構 成単位の法令に基づく雇用の機会を求めることを可能にすることができる。
5 権限のある承認当局が承認が求められている資格と承認が求められている締約国においてこれに相当する資格との間で実質的な相違を証明することができる場合には、権限のある承認当局は、部分的な承認を認めることができるか否かを定めるよう努める。
6 各締約国は、国境を越える教育を通じて、又は自国の管轄内で運営されている外国の教育機関を通じて取得された高等教育資格について、自国若しくはその構成単位の法令が定める特定の要件又は自国と当該教育機関の本国である締約国との間で締結された特定の協定に基づいて承認を行うことができる。
第六条 部分的な修学及び従前の学習の承認
1 各締約国は、他の締約国において文書化又は証明された部分的な修学又は従前の学習と当該部分的な修学又は従前の学習の承認が求められている締約国において代替する高等教育課程の一部との間に実質的な相違があることが明らかである場合を除くほか、適当な場合には、高等教育課程の修了又は高等教育の修学の継続のため、高等教育を受ける機会に関する各締約国の法制を考慮しつつ、文書化又は証明された部分的な修学又は従前の学習であって、他の締約国において取得されたものを承認することができる。これに代えて、その承認は、他の締約国における文書化又は証明された部分的な修学又は従前の学習を行った個人が、当該個人の要請によって当該部分的な修学又は従前の学習の評定を得ることを可能にすることで足りるものとする。
2 認められた非伝統的な学習形態を通じて提供される文書化又は証明された高等教育課程の部分的な修了であって、同等の質の保証の仕組みの対象となり、かつ、締約国の高等教育制度の一部と認められるものについては、承認が求められている締約国又はその構成単位の規則に従い、伝統的な学習形態によって提供された部分的な修学に適用する基準と同一の基準を用いて評定する。
3 国際的なジョイント・ディグリーを付与する国境を越える教育又は二以上の国(少なくとも一の国は、締約国とする。)において実施される他の共同過程を通じて提供される高等教育課程の文書化又は証明された部分的な修了については、締約国又はその構成単位の規則に従って、一の国で取得された部分的な修学に適用する基準と同一の基準を用いて評定する。
第七条 難民及び避難民が有する部分的な修学及び資格の承認
各締約国は、高等教育を受ける機会、更なる高等教育課程を受ける機会又は雇用の機会を求めるための関連する要件(他の国において取得した部分的な修学、従前の学習及び資格につき証拠書類によって証明できない場合を含む。)を難民及び避難民が満たしているか否かについて公正かつ効率的に評定するための合理的な手続を作成するため、自国の教育制度の中で、並びに自国の憲法上及び法令上の規定に従い、必要かつ実行可能な措置をとる。
第八条 評定及び承認に関する情報
1 各締約国は、自国の領域内で取得された資格及び学習成果に関する完全な説明のための透明性のある制度を定める。
2 各締約国は、自国の高等教育制度における確信及び信用を促進するために、自国の憲法上、法令上の状況及び構成に基づき、実行可能な範囲で、自国の高等教育機関の認定、承認及び質の保証のための客観的なかつ信頼できる制度を設ける。
3 各締約国は、自国の高等教育制度についての関連する情報で正確なかつ最新のものへのアクセスを提供するために、公式の国内情報センターその他類似の機関を設立し、及び維持する。
4 各締約国は、情報に容易にアクセスすることを確保するために技術の利用を奨励する。
5 締約国は、次のことを行う。
(a) 適当な場合には、自国の高等教育制度、資格、質の保証及び資格の枠組みに関する権威あるかつ正確な情報へのアクセスを提供すること。
(b) 他の締約国の高等教育制度、資格及び高等教育を受ける機会を与える資格に関する正確な情報の普及並びに当該情報へのアクセスを容易にすること。
(c) 締約国の法令及び政策に従い、適当な場合には、承認事項(資格の評定のための基準及び手続を含む。)及び承認に係る良い慣行に関する参考資料の作成について助言及び情報を提供すること。
(d) 自国の高等教育制度に属する教育機関によって付与された資格の質が、承認が求められている締約国における承認を正当化するものであるか否かについて、他の締約国の権限のある当局が確認することができるようにするため、当該教育機関及びその運用する課程に関する適切な情報が合理的な期間内に提供されることを確保すること。
第九条 申請の評定
1 適当な情報を提供する責任は、第一に申請者が負う。当該申請者は、誠意をもって当該情報を提供する。
2 各締約国は、自国の教育制度に属する機関が、入手可能な範囲で、要請に応じて、合理的な期間内に、及び無償で、資格を有する者又は承認が求められている締約国の教育機関若しくは権限のある承認当局に関連する情報を提供することを確保する。
3 各締約国は、承認のために評定を行う機関が、申請が要件を満たしていない理由を証明すること又は実質的な相違が特定されている場合にはその旨を証明することを確保する。
第十条 権限のある承認当局に関する情報
1 各締約国は、自国の管轄内の承認事項に関する決定を行う権限のある当局について、この規約の寄託者に正式に通報する。
2 締約国は、自国の中央の権限のある承認当局がある場合には、当該承認当局は、この規約に直ちに拘束されるものとし、また、当該締約国の管轄内でこの規約の実施を確保するために必要な措置をとる。
3 締約国は、承認事項について決定を行う権限が自国の構成単位にある場合には、署名の時若しくは批准書、受諾書、承認書若しくは加入書の寄託の時に又はその後のいかなる変更においても、自国の憲法上の状況又は構造に関する簡潔な説明を寄託者に提出する。このような場合には、指定された構成単位の権限のある承認当局は、当該締約国の憲法上の状況又は構造において実行可能な範囲で、当該締約国の管轄内でこの規約の実施を確保するために必要な措置をとる。
4 各締約国又はその構成単位は、承認事項について決定を行う権限が個別の高等教育機関その他の機関にある場合には、当該締約国又はその構成単位の憲法上の状況又は構造に従い、この規約の本文をこれらの機関又はその他の機関に送付し、並びにこの規約に対する好意的な考慮及びこの規約の適用を奨励するために全ての必要な措置をとる。
5 2から4までの規定は、この規約に定める締約国の義務について準用する。
第十一条 高等教育課程への入学許可のための追加的な要件
1 関係する締約国の権限のある当局は、特定の高等教育課程への入学許可が高等教育を受ける機会のための一般の要件に加えて特定の要件が満たされるか否かによるものである場合には、他の締約国において取得された資格を有する者に同一の特定の要件を課すこと又は他の締約国において取得された資格を有する申請者が同等の要件を満たしているか否かについて評定することができる。
2 高等教育を受ける機会の前提としての追加的な資格試験と組み合わせることによってのみ一の締約国において高等教育を受ける機会を与える資格が付与される場合には、他の締約国は、これらの要件を自国における高等教育を受ける機会の条件とすること又は自国の教育制度においてこのような追加的な要件を満たすための代替的な措置を提示することができる。
3 特定の高等教育機関又は当該機関内の特定の高等教育課程への入学許可については、公正性及び透明性のある規則に従って、制限的又は選択的なものとすることができる。ただし、第四条の規定の適用を妨げない。
4 3の規定に関し、入学許可の手続は、外国において付与された資格の評定が第三条に定める透明性、公正性及び無差別の原則に従って実施されることを確保するものとすべきである。
5 特定の高等教育機関への入学許可については、当該資格を有する者が、その機関の一又は二以上の教育言語又はその他特定の言語における十分な能力を有していることを証明するという条件に基づいて行うことができる。ただし、第四条の規定の適用を妨げない。
6 各締約国は、高等教育課程への入学許可のため、自国の管轄内で運営されている外国の教育機関によって付与された資格について、自国若しくはその構成単位の法令が定める特定の要件又は自国と当該教育機関の本国である締約国との間で締結した特定の協定に基づいて承認を行うことができる。

第五章 実施に係る構造及び協力
第十二条 実施に係る構造
締約国は、次のものを通じて、又は次のものと協力してこの規約を実施することに合意する。
1 国内の実施に係る構造
2 国内の実施に係る構造のネットワーク
3 認定、質の保証、資格の枠組み及び資格の承認のための国内の、地域的及び世界的な機関
4 締約国の政府間会議
5 承認に関する地域規約委員会
第十三条 国内の実施に係る構造
1 締約国は、高等教育資格の承認を容易にするため、関連する機関(公式の国内情報センターその他類似の機関を含む。)を通じ、この規約を実施することを約束する。
2 各締約国は、締約国の政府間会議の事務局に対し、自国内の実施に係る構造及びその変更を通報する。
3 国内の実施に係る構造は、ネットワークを構築し、及び当該ネットワークに積極的に参加すべきである。
第十四条 国内の実施に係る構造のネットワーク
1 ネットワークは、締約国の政府間会議の枠組みの下で、締約国の国内の実施に係る構造で構成されるものとし、この規約の実際的な実施を支持し、及び支援する。
2 ネットワークは、要請に応じて、情報交換、能力形成及び締約国に対する技術支援を提供する。
3 ネットワークは、この規約に基づく地域間の協力を強化し、及び締約国の政府間会議とのつながりを支持するよう努める。
4 締約国は、承認に関する地域規約を通じて定められた既存の地域的なネットワークに参加すること又は新たなネットワークを構築することができる。既存の地域的なネットワークへの参加は、関連する承認に関する地域規約委員会の同意を条件とする。
第十五条 締約国の政府間会議
1 締約国の政府間会議(以下「会議」という。)を設立する。
2 会議は、この規約の全ての締約国の代表者で構成する。
3 締約国でない国及び承認に関する地域規約委員会の長は、会議の会合にオブザーバーとして参加するよう招請される。
4 関連する国際的な機関及び地域的な機関の代表者並びに高等教育資格の承認の分野で活動する政府機関及び非政府機関の代表者についても、会議の会合にオブザーバーとして出席するよう招請することができる。
5 会議は、少なくとも二年ごとに通常会期として会合する。会議は、自ら決定するとき又は締約国の少なくとも三分の一が要請するときは、臨時会期として会合することができる。会議は、会期と会期との間における活動に関する暫定的な作業計画を有する。会議は、ユネスコの総会の通常会期ごとに報告書を提出する。
6 会議は、この規約が効力を生じた後二年以内に第一回会合として会合するものとし、その際に手続規則を採択する。
7 会議は、世界的な又は地域間の段階の勧告、宣言、良い慣行のひな形その他の関連する補助文書を採択することにより、この規約の適用を促進し、及び実施を監督する。
8 会議は、承認に関する地域規約委員会と協議した上で、締約国のための運用指針を採択することができる。
9 会議は、この規約の実施に関して、ユネスコの管理機関による監視及び当該機関への報告に関する活動の事後措置を支援する。
10 会議は、ユネスコの枠組みの下で、承認に関する地域規約委員会と協力する。
11 会議は、当該会議と承認に関する地域規約委員会との間の必要な情報交換を確保する。
12 会議は、第二十三条の規定に従って、この規約の改正案の採択について検討する。採択された改正は、この規約に定める透明性のある、公正な、時宜を得た及び無差別な承認の原則を損なうものであってはならない。
13 会議の事務局は、ユネスコ事務局長が提供する。事務局は、会議の書類を準備し、会合の議題案を作成し、及び会議の決定が実施されることを確保する。

第六章 最終規定
第十六条 加盟国による批准、受諾又は承認
1 この規約は、ユネスコ加盟国及びバチカン市国により、それぞれの自国の憲法上及び法令上の手続に従って批准され、受諾され、又は承認されなければならない。
2 批准書、受諾書又は承認書は、ユネスコ事務局長に寄託する。
第十七条 加入
1 この規約は、ユネスコ非加盟国であって国際連合加盟国であり、かつ、ユネスコの総会が招請する全ての国による加入のために開放しておく。
2 この規約は、国際連合により完全な内政上の自治権を有していると認められているが、国際連合総会決議第千五百十四号(第十五回会期)に基づく完全な独立を達成していない領域であって、この条約により規律される事項に関する権限(これらの事項に関して条約を締結する権限を含む。)を有するものによる加入のために開放しておく。
3 加入書は、ユネスコ事務局長に寄託する。
第十八条 効力発生
1 この規約は、二十番目の批准書、受諾書、承認書又は加入書が寄託された日の後三箇月で、その寄託の日以前に批准書、受諾書、承認書又は加入書を寄託した締約国についてのみ効力を生ずる。
2 この規約は、1に規定する締約国以外の締約国については、当該締約国の批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託の日の後三箇月で効力を生ずる。
第十九条 この規約の締約国と承認に関する地域規約及びその他の条約の締約国との関係
1 承認に関する地域規約の批准、受諾、承認又は加入は、この規約の批准、受諾、承認又は加入の前提としてはならない。
2 この規約の締約国は、次のことを行う。
(a) この規約と当該締約国が当事国である他の条約(特に、承認に関する地域規約)との間の相互の支援を促進すること。
(b) 当該締約国が当事国である承認に関する地域規約を解釈し、及び適用する場合又は他の国際的な義務を負う場合には、この規約の関連する規定を考慮すること。
3 この規約のいかなる規定も、この規約の締約国が当事国である承認に関する地域規約及び他の条約に基づく当該締約国の権利及び義務を修正するものと解してはならない。
4 この規約、承認に関する地域規約、他の関連する二国間又は多数国間の協定及びこの規約の締約国が当事国であることができ、又は当事国となることができる他の現行の又は将来の条約の間における一貫した相互作用を確保するため、この規約のいかなる規定も、承認に関し、一層有利な規定(特に、公式の国内情報センター、ネットワーク及び実質的な相違に関する規定)に影響を及ぼすものとみなしてはならない。
第二十条 憲法上の連邦制又は非単一制
国際協定が、自国の憲法上の制度のいかんを問わず締約国をひとしく拘束することを認識して、憲法上の連邦制又は非単一制をとっている締約国に関しては、次の規定を適用する。
(a) この規約の規定であって、連邦又は中央の立法機関の立法権の下で実施されるものについては、連邦又は中央の政府の義務は、連邦制をとっていない締約国の義務と同一とする。
(b) この規約の規定であって、締約国の構成単位(邦、州、郡、県等)の管轄の下で実施されるものであり、かつ、連邦の憲法上の制度によって当該構成単位が立法措置をとることを義務付けられていないものについては、連邦の政府は、必要に応じ、締約国の構成単位の権限のある当局に対し、採択についての勧告を付して当該規定を通報する。
第二十一条 廃棄
1 この規約のいずれの締約国も、いつでもこの規約を廃棄することができる。
2 廃棄は、ユネスコ事務局長に寄託する文書により通告する。
3 廃棄は、2の文書の受理の後十二箇月で効力を生ずる。廃棄は、脱退が効力を生ずる日までは、この規約の廃棄を行う締約国がこの規約に基づいて負う義務に何ら影響を及ぼすものではない。
4 この規約の廃棄は、次の事項にいかなる影響も及ぼさない。
(a) この規約に従って既に行われた承認の決定
(b) この規約に従って依然として進行している承認の評定
第二十二条 寄託
ユネスコ事務局長は、この規約の寄託者として、ユネスコ加盟国及び第十七条に規定するユネスコの非加盟国及び国際連合に対し、次の事項を通報する。
(a) 第十六条及び第十七条に規定する全ての批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託
(b) 前条に規定する廃棄
(c) 次条の規定に従って採択されたこの規約の改正及び同条の規定に従って提案された当該改正が効力を生ずる日
第二十三条 改正
1 締約国は、ユネスコ事務局長に対して書面による通報を行うことにより、この規約の改正を提案することができる。同事務局長は、全ての締約国に当該通報を送付する。同事務局長は、当該通報の送付の日から六箇月以内に締約国の二分の一以上がその提案の要請に好意的な回答を行った場合には、審議及び採択のため、締約国の政府間会議の次の会期にこの提案を提出する。
2 改正は、出席し、かつ、投票する締約国の三分の二以上の多数による議決で採択する。
3 この規約の改正は、採択された後は、締約国に対し、批准、受諾、承認又は加入のために送付する。
4 この規約の改正は、批准し、受諾し、承認し、又はこれに加入した締約国について、締約国の三分の二が3の規定に係る文書を寄託した日の後三箇月で効力を生ずる。当該改正は、その後批准し、受諾し、承認し、又はこれに加入する各締約国について、当該締約国がその批准書、受諾書、承認書又は加入書を寄託した日の後三箇月で効力を生ずる。
5 4の規定により改正が効力を生じた後に締約国となる国は、別段の意思を表明しない限り、次のものであるとみなされる。
(a) 改正された規約の締約国
(b) 改正によって拘束されない締約国との関係においては、改正されていない規約の締約国
第二十四条 国際連合への登録
この規約は、ユネスコ事務局長の要請により、国際連合憲章第百二条の規定に従って、国際連合事務局に登録する。
第二十五条 正文
この規約は、ひとしく正文であるアラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語により作成する。

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