第64回日本ユネスコ国内委員会自然科学小委員会政府間海洋学委員会(IOC)分科会議事録

1.日時

平成26年6月19日(木曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省 旧文部省庁舎 5階 文化庁特別会議室

3.出席者(敬称略)

〔委員〕

植松光夫(主査、国内委員)、春日茂、蒲地政文、坂元茂樹、津田、中田、深澤理郎、福代康夫、道田、山形俊男、横山辰夫、渡邉研太郎

〔関係省庁等〕

外務省、文部科学省海洋地球課、気象庁、海上保安庁、環境省、独立行政法人海洋研究開発機構

〔文部科学省(事務局)〕

加藤国際統括官、籾井国際統括官付国際戦略企画官、その他関係官

4.議事

【植松主査】
 本日は、御多忙中お集まりいただき、ありがとうございます。定刻になりましたので、事務局から定員数の確認をいたします。
【野田ユネスコ協力官】
 本日、委員総数16名のうち、12名の先生に出席していただいており、過半数となっておりますので定足数は満たしております。
【植松主査】
 ありがとうございます。
 ただいまより、第64回IOC分科会を正式に開催いたします。今日は、午後2時から4時まで2時間の間ですが、大きな議題として三つございます。今までの活動報告、それから執行理事会の対処方針、それから我が国のIOCの活動の方向性ということで、活動報告については10分ほどで短くまとめていただいて、対処方針を約1時間、IOCの方向性については30分ほど皆様と議論を重ねればと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
 本分科会は、原則として公開とされております。座長が認める場合は非公開とすることができるとされております。本日は、第47回IOC執行理事会の対処方針について検討を行うため、公開規則第4項に基づき、公開することにより会議の公平、かつ中立な実施に著しい支障を及ぼすおそれがあると認められるため、議題2については議事を非公開といたします。
 それでは、委員及び事務局の方で異動がありましたので、報告をお願いいたします。
【野田ユネスコ協力官】
 4月1日付けで委員の御異動がございまして、まず横山委員に新たに就任していただいております。
【横山委員】
 気象庁地球環境・海洋部長の横山でございます。よろしくお願いいたします。
【野田ユネスコ協力官】
 海上保安庁の方から、春日委員が新たに就任されております。今日は、少し遅れていらっしゃるということでございます。
 それから、事務局の方でも4月1日付けの人事異動がございまして、まず中馬ユネスコ第三係長は大臣官房国際課の方に異動になりまして、後任といたしまして児玉係長が着任してございます。
【児玉ユネスコ第三係長】
 児玉です。どうぞよろしくお願いいたします。
【野田ユネスコ協力官】
 それから、ユネスコ第三係の亀井の方は米国研修に参りましたので、後任として清村係員が着任しております。
【清村第三係員】
 清村と申します。よろしくお願いいたします。
【野田ユネスコ協力官】
 それから、ユネスコ協力官の堀尾の方は文化庁に異動になりまして、私、後任の野田と申します。よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【植松主査】
 どうもありがとうございました。
 本日は、関係省庁として、外務省、文部科学省海洋地球課、気象庁、海上保安庁、環境省から御出席を頂いているほか、IOC協力推進委員会の事務局である海洋研究開発機構からも御出席を頂いております。IOC協力推進委員会は先週も開きまして、専門部会はじめ、この会議のために非常にいろいろな努力をしていただいておりますので、改めてここでお礼を申し上げます。
 また、第47回IOC執行理事会に出席頂く東京大学大気海洋研究所の小松輝久准教授、海洋研究開発機構の北沢一宏アドバイザーに、本分科会に御出席頂いております。
【野田ユネスコ協力官】
 小松先生は、少し遅れているようです。
【植松主査】
 そうですか。
 以上の方々には、非公開の議題においても御意見を求める場合がありますので、御参加いただきます。
 それでは、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
(事務局から配付資料について説明)
【植松主査】
 ありがとうございます。
 前回の会議の議事録、資料64-1については、時間の関係から読み上げは省略させていただきます。万が一、お気付きの点があれば、本日より1週間以内に事務局まで御連絡ください。

<議題1>前回会議以降の活動報告について(平成25年6月~平成26年6月)
【植松主査】 それでは、議題1.前回会議以降の活動について、事務局から報告をお願いいたします。
【野田ユネスコ協力官】
 それでは、資料64-2を御覧いただきたいと思います。
 まず、第27回IOC総会、第46回IOC執行理事会が平成25年6月から7月にかけまして、ユネスコ本部で開催されております。我が国からは道田委員が副議長として第2期目、選出されておりますほか、日本としては引き続きIOC執行理事国として選出されております。
 次は、WESTPAC25周年記念事業関係でございますが、(1)IOC/WESTPACインド洋-太平洋フォーラムが平成25年11月にバンコクのタイで開催させていただいております。西太平洋の14沿岸国から40名の専門家が出席、日本からは道田先生、植松先生、それから深澤先生等が出席されております。また、本フォーラムでは、アジア太平洋地域における海洋研究・海洋サービスの各国の現状に関する報告、将来構想、人材育成等について意見交換が行われております。
 次のページに参りまして、WESTPAC諮問グループ及び国際科学シンポジウム国際科学運営委員会でございますけれども、こちらは平成25年12月にベトナムのニャチャンで開催されておりまして、日本からは安藤先生、西田先生、福代先生等が出席されておりまして、第9回国際科学シンポジウムへの対応について審議が行われております。
 次の(3)でございますが、WESTPAC第9回国際科学シンポジウムということで、平成26年4月にベトナムのニャチャンで開催されております。出席された先生から、後ほど簡単に補足を頂ければと存じております。
 3ページ目以降は、各個別分野に係る会議が開催されておりますので、それを一覧表にさせていただいております。
 また、5ページからは、JAMSTECさんの方でいろいろ協力を頂いておりますIOC協力推進委員会、また、その分野別専門部会が開催されております。そちらの情報について記載をさせていただいているところでございます。
 以上でございます。
【植松主査】
 どうもありがとうございました。
 以上の報告以外で、補足、あるいは質問などがあればお願いいたします。特に、WESTPAC第9回国際科学シンポジウムということで、かなり多くの方が日本から出席されました。21か国、550名、約500件の口頭発表、それからポスター発表がされました。
 その中で、一つは、シンポジウムに併せて、西太平洋地域にある18の研究機関の代表が集まって、今後のWESTPAC、それから周辺海域、インドパシフィックと呼んでおりましたが、そういった研究や観測の強化方策について話しをする研究所長フォーラムというものが開かれました。日本からは、東京大学大気海洋研究所の新野所長が出席されまして、道田IOC副議長が共同議長を務めたということで、最後は皆さん手をつないで記念撮影をして、なかなか良かったと感じました。
 その後ですが、今までのWESTPACの海洋学の発展に貢献した研究者ということで、日本からは福代前WESTPAC副議長、それから道田IOC副議長、この2名がアウトスタンディング・サイエンティスト・アワードというものを頂きました。
 それと、シンポジウムのときに口頭発表、ポスターがありました。日本からは2名、オーラルプレゼンテーションでJAMSTECの中嶋さん、それからポスター賞で山形大学の高橋さん、若手2名が受賞されまして、日本としてはちょっと目立ち過ぎるのではないかというぐらいの活躍だったと思います。
 ほかに何か補足ございますでしょうか。特になければ、次の議題に入りたいと思います。

<議題2>第47回IOC執行理事会対処方針について
第47回IOC執行理事会対処方針について審議を行った。

<議題3>我が国のIOC活動の方向性について
【植松主査】
 ありがとうございます。
 では、次、議題3.に移ります。我が国のIOC活動の方向性についてということで、ここからはまた公開といたします。ここでは、中長期的な観点から、我が国のIOC活動の方向性について意見交換を行いたいと思います。
 まずは、事務局から資料の説明をお願いいたします。
【野田ユネスコ協力官】
 資料64-3、御覧いただきたいと思いますが、我が国のIOC活動の方向性について(論点案)ということで、主査とも御相談の上、事務局の方で作成させていただいたものでございますが、3点ほど書かせていただいております。
 1.といたしましては、IOC活動と国内の海洋学研究及び海洋政策をどのように結び付けて活用していくか。
 2.といたしまして、IOCの中期戦略を踏まえ、どのような分野で日本としてのプレゼンスを出していくか。IOCのメイン事業として、日本から打ち出すべきものは何か。
 3.といたしまして、IOC/WESTPACで各国に求められているトレーニングセンターの我が国での設置に向けて、どのような課題があるか。また、我が国の海洋学研究での強みは何か。
 こういう3点、掲げさせていただいております。
 以上でございます。
【植松主査】
 どうもありがとうございます。
 先ほどの対処方針のときも出てきましたけれども、我が国とIOC、我が国とWESTPAC/IOCというつながりで、どういうような形で日本のプレゼンスを示すかというようなことと、具体的な、一体何を日本としては強調していくかということもあると思います。
 1.というのは、IOC活動と国内の海洋学研究と海洋政策をどう結び付けていくかということで、これは山形委員がされているFuture Earthの中でICSUの動きがありますが、これも海洋学、サイエンスだけではなく、経済、それから施策ということも含めて取り組むというような動きがあります。国内のということでアジア、どこのリージョナルなものか、全体なのかということも含めて、いろいろな見方が出てくると思います。これに関して、全部話題はつながっていくものだと思いますけれども、特に海洋政策という面では、坂元委員がかなりいろいろなことで直面されているといいますか、どうしても科学、マリンサイエンスの方は多いのですが、そういったところで、こういう海洋政策とどういうようなつながりがあるべきかということが出てくると思います。
 海洋学会でも、以前、津田委員と、それから北沢アドバイザーでシンポジウムを開いて、サイエンスだけではなく、海洋法的な問題、いろいろなものを含んでいるということで、研究者もそういうことを知るべきだというシンポジウムが開かれています。それだけではなくIOCの活動、これはWESTPACで安藤オブザーバーが中心に活躍して、いろいろな活動をされていますが、こういったことを含めて、どういうようにIOCの活動をもっていくのか。方向性、具体的にというよりも、どういう形が一番望ましいかということを皆さんの御議論の中から見出していければいいと思いますが、いかがでしょう。どなたか。
【福代委員】
 もし、いらっしゃらなければ。
【植松主査】
 はい。
【福代委員】
 何度も発言して申し訳ないのですが、極めて単純に考えると、以前は海洋学はサイエンスとしてかなり独立性を保つことができたようにも思いますが、最近はやはりサイエンスの成果をより普及、啓発するということになっていると思います。それから、例えば津波であれば、それによる被害を防ぐというようなこと。あるいは、沿岸域だと一番考えやすいのですが、沿岸域で起こる様々な問題、私自身は赤潮とか、貝毒とかを研究しているのですが、そういう問題をどのように防ぐか。我が国は、この点について非常に長い経験があるもので、WESTPACでいえば、今後、沿岸域をより活用してくるようなASEAN各国に対して、どのようにしたら防げるのかということをサイエンスをベースに、例えばトレーニングコースなどで周知をしていく。及びそのような活動を行っている団体、例えばPEMSEAのような団体があると思いますが、こういうところとタイアップをした上で、IOCはきちんとしたサイエンスを提供するということを示す。それに基づいての判断というのは、政策的な判断まではIOCは出さないけれども、下さないけれども、どういうことを行ったら、どういう結果が見えるというようなシナリオを幾つか提供することまではできるかもしれない。そういうスタンドポイントを明確にした形で、海洋政策まで視野に入れた事業を本来的業務として含めるべきではないか。それを含めることによって、より信頼性も増し、重要性も増してくると考えます。
【植松主査】
 ありがとうございます。要するに福代委員は、海洋科学があって、それから施策は施策であると。一応、IOCとしては、サイエンスの分かったこと、こうなればこういうことになるという事実を伝える、それと連携するところに渡すというような形で。
【福代委員】
 そうですね。非常に単純な例でいうと、以前は日本の沿岸域は非常に富栄養化してきた。それを抑えるために里海というようなアイデアも出てきたり、逆に富栄養化を抑えることによって、今、貧栄養化した海の問題が出てきている。そういうことをサイエンスに基づいて説明することによって、今後、施策を取られる方は非常に参考になるのではないか。
【植松主査】
 それをコントロールするというのは別のコミュニティーだということですか。
【福代委員】
 そうですね。
【植松主査】
 その情報をできるだけ緊密にやり取りするようにするというお考えですか。
【福代委員】
 はい。
【山形委員】
 よろしいですか。
【植松主査】
 はい。
【山形委員】
 私、少し海洋政策の方に絡んでいまして、今もちょっとそうした国際会議を抜けてきたところなのです。サモアで9月1日から4日にSmall Island Developing States(SIDS)に関する国連の会議がありますが、それへの準備会議です。それも含めまして、私の歴史認識では、IOCはもともと観測、それから取れるデータとデータの交換、それに基づくマリンサイエンスのバックアップ、そういうことをやるためのキャパシティービルディング、その四つが基本だったと思います。それがもう一度、FUTURE EARTHの基本であるFUTURE OCEANで原点の重要性を再確認する必要性、FUTURE OF THE IOCがでてきたのだと思います。
【植松主査】
 ええ、先ほどの。
【山形委員】
 私が主査として担当していた頃は、IOCはどこに行く(クォ・ヴァディスIOC)とかいうようなことがいつも出て来ていました。
 私が思うには、今、世界の海というのはいろいろな意味で劣化していますよね。例えば、海洋酸性化というのは大気の炭酸ガスが増えれば確実に起きますね。確実に起きるということで、地球温暖化よりも明確です。閉じたビーカーの中に水と炭酸ガスを入れて、炭酸ガスを増やしていけば必ず酸性化が進むからです。だから、温暖化より不確定性がないというか、確実に起きることとして、将来的に非常に問題になってくるでしょう。それから、大気の温暖化の熱は最後にどこにいくのかといえば、海を温暖化すること、あるいは氷を溶かすことにいくのですから、海洋の温暖化は確実に進みますね。
 そういうことで、IPCCはWMOなどといろいろなことを、つまり政府間のことをやっていますね。同様にIOCというのは、やはりインターガバメンタルであるというところに強みがあるわけです。しかし、その強みが余り出てないのです。私は海洋政策についてはにわか勉強なのですけれども、世界の海を守るという意味で、IPCCの中の海洋の部分をIOCがもう少ししっかり担っていく。そういうことをやることが非常に必要なのではないでしょうか。
 国連の海洋法では公の海に関しては、極端に言えば何をやっても構わないみたいなところになっています。それはまずいのではないかということで、例のGlobal Ocean Commissionが、各国の外務大臣経験者とか、何人か有力な人が集まっていろいろ議論しているようです。日本からは元環境大臣、外務大臣の川口順子さんがメンバーです。私もそれを支援すべくこの1、2年、勉強会に参加してきました。そういう中で、やはり公共資産としての海を監視し、守るという意味で、海を中心に置いたIPCC的なものを作る必要があるのではないかという意見が強くなっています。日本としてもそういう方向のイニシアチブを取ろうということで、確か6月13日の金曜日に、川口さんの諮問委員会、私的な諮問委員会に近いのでしょうけれども、案をまとめ、海洋担当大臣の山本さんに提出したはずです。そういうところで日本のイニシアチブを取ろうと。
 後で触れたいと思いますが、この中では、私が、今、関係しているSIMSEAにも言及していると思いますが、IOCはその辺のところをどんどん進めるべきではないでしょうか。たしかアジェンダ21の第17章ではIOCが国連の海洋の中心機関であると書かれていたはずです。それで非常に盛り上がった時期がありましたね。1990年代の始め頃でした。やはりそういうところに戻って、法的な概念をしっかり作っていくというところに、日本としてIOC活動を推進する意味があるのではないでしょうか。
 IOCは、その辺が少し弱いなと思います。堂々巡りしていますよね。やはり世界の海を守るということに関しては、体制が違う国でも、中国でも何でも、ロシアでも何でも一緒にやらなければいけません。その辺で、もう少し日本の力を出していったらいいのではないでしょうか。そういうところで海のサイエンスというものをきちんと使う。それから、世界の海をみんなで一緒にきちんと観測していく。そういう方針をもう一度しっかり出していったらいいのではないでしょうか。
【植松主査】
 そのオブザベーションと、それからデータマネジメントという。
【山形委員】
 まさにそういうインターガバメンタルなことをきちんと強化しようということです。そして、最終的には形のあるものにする。そうすると、発展途上国との難しい問題が(IPCCが関わっているのと同じ問題が)出てくるでしょうけれども、しかし、それを克服していかなければいけないのではないでしょうか。
 その他のところで言おうと思ったのですが、植松主査がFUTURE OF THE IOCをFuture Earthと言ってしまったので、Future Earthに触れさせていただきます。IOCとこれまでもいろいろ一緒にやってきたICSU、これは学術団体の母体ですけれども、このICSUがFuture Earthの中心になっています。ISSCという社会科学系の国際団体がありますが、日本は加盟していなかったのですが、最近、日本学術会議もISSCのメンバーに入りました。ISSCも加わり国連関係のいろいろなことも連携して、様々なステークホルダーが一緒にやっていくということで、持続可能な地球社会の構築をめざして世界が大きく動いています。元々は気候のWCRPとか、生物のIGBPなどの学術プログラムから生まれたのでしょうけれども、そういう学際的、超学際的なものが生まれつつあります。
 そういう中で、私は海のコンポーネントが非常に弱いと思いまして、いろいろなところで、Future Earthというのは元々Future Oceanではないかということを主張しています。Future Earthの概念そのものはかなり成熟したヨーロッパの概念にかなり近いと思います。インターディシプリナリー、あるいはトランスディシプリナリーというところで地球を守っていくということですから。持続可能性に関して、多くの問題を抱えるアジアのプレゼンスが非常に弱いということで、ICSU会長が台湾の李さん(ノーベル化学賞受賞者)はとても心配されているようです。私もそういうことを聞いていましたので、2月末に、私の所属するJAMSTEC(アプリケーションラボ)とICSU RCAP(アジア太平洋地域委員会)と共催で、日本学術会議の後援も受けまして、SIMSEA (Sustainability Initiative in Marginal Seas of East Asia)というプログラムを立ち上げるためのプレスコーピング会合を開きました。
 アジアの縁辺海はいろいろな意味で非常に荒れていて、観測もままならない状況です。特に南シナ海、東シナ海はそうですね。アジアでは縁辺海周辺に非常に多くの人が住んでいて、沿岸域にはメガシティーもたくさんあります。しかも、そこで海の幸にいろいろな人たちが頼っている。それが非常に荒れて、観測もできない状態になっているということで、なんとかこれから脱して、体制の違う国々も協調して一緒にやれるものはないだろうかと考えたわけです。そうすると、やはり海の環境問題、海の健康問題、そういうところであれば共通の利害関係でいけるのではないか、そういう準備をしてみようではないかということになったのです。
 私は現在ICSUのRCAP(Regional Committee for Asia and the Pacific:アジア太平洋地域委員会)の委員をやっていますが、この委員会の事務局はマレーシアにあります。インターガバメンタルではありませんが、ちょうどパリに本部のあるIOCのWESTPACみたいなものですね。そこのハッサン事務局長と、あとフィリピンのナショナルアカデミーの当時の総裁だったクルーズさんという方、あとベトナムとかインドネシアとかから、いろいろな方々を招いて、2月の末にSIMSEAというものを立ち上げようか、どうしようかというブレーンストーミングの会合をもったのです。少し急だったので、広く声をかける時間がなかったのですけれども、準備が非常にできなかったのですが、40人以上の方々が参集されました。一応そこでおおまかな概念を描いて、海の健康ということでやっていこうということになりました。SIMSEA(Sustainability Initiative on the Marginal Seas of East Asia)計画の原案を作りまして、ICSUのRCAPの承認を4月の定例会議で得ました。ICSUのアジア太平洋地域委員会加盟国は24か国ありますが、必ずしもそれぞれの国から代表が出ているわけではなく、現在の委員は10名です。
 それで、パリの本部に駄目もとと思って提案しましたところ、準備資金として2年間で2,000万円を頂きました。準備資金がそのサイズですから、これを本物にするには恐らく何億円ものプロジェクトを作らなければいけないと思います。国連のGEFなどに応募して行こうとしています。国内委員会、それから国際事務局を向けることになりますが、是非、こういうプログラムでICSUと連携を取って、最終的には海洋の地球規模の問題への対処をインターガバンメンタルもの、一番最初に言いましたIPCC的なものに持っていくようなイニシアチブを日本が取れるといいのではないでしょうか。
 SIMSEAに関しては、また先生方にいろいろ御協力を頂かなければいけませんので、もう少し固めた段階で御協力をお願いすることになると思います。
 ICSUはNGO、ここはガバメントの会議ですから、少しはみ出してしまいましたけれども、御参考になればと思いました。
【植松主査】
 どうもありがとうございました。
 インターガバメンタルか、ICSUというのはボトムアップというか、学術会議の基本になると思いますけれども、これも一つ日本が、どこがというよりも全体、こういう海洋学に携わっている人間が取り組むべき一つのフィールドだとは思います。
 ほかにどなたか、我が国のIOC活動の方向性ということで何か御意見ありますか。
【道田委員】
 いいですか。
【植松主査】
 はい。
【道田委員】
 我が国のということでは必ずしもないのかもしれないですけれども、私、3年ぐらい副議長をやって、思っていることを少し申し上げますと、今、お金がないというのが一番大きな問題ですが、それを除いたにしても、私、2000年からずっとIOCの総会や執行理事会に出ていますけれども、最近、どうも議論が、出ている科学者にとって退屈だし、逆に職業外交官の方々も出ていますけれども、彼らから見ると、科学者が何か生ぬるい議論しているみたいな、そんな感じにどうも見受けられる。そうとは言いませんけれども、何かそんな傾向があって、本当に必要な、建設的な議論になかなかなりにくくなっている状況があるのではないかと思っています。
 何とかその辺、そこはインターガバメンタルな組織の特徴でもあるので、本当はそれがうまい方に回れば、サイエンティストと職業外交官が同じテーブルに着いているわけだから、いい議論ができるはずですが、今、逆に回っている感じがするのを、日本が何か言ってひっくり返せる、逆に回るようにできれば理想的だなと思います。どうしたらいいかよく分かりませんけれども、そういうように思っているんですね。
 今回の執行理事会は間に合わないかもしれないですけれども、次の総会、私、副議長で最後の総会なので、そのときまでに何かいい方向に回せる、先ほどのSIMSEAもそうですけれども、せっかくあるインターガバメンタルなフレームをいかにうまく、例えばサイエンティストで利用するのかとか、利用するというのは語弊があるかもしれませんけれども、いずれにせよ海はつながっているので、インターガバメンタルな調整をどこかでやらざるを得えません。ARMなど非常にうまくいきましたけれども、そういうところでいかに日本が、日本のことももちろん考えるが、大所高所から意見が言えるといいかなと思います。お金は急に増えない、アメリカが戻ってこない限り、なかなかこの情勢は変わらないと思いますけれども、日本からの拠出金も増えるのは大変難しい。であれば、せめて理念のところで、ちゃんとしたことを日本は言うべきときに来ているのではないかという気がします。
 先ほど福代委員も言われましたけれども、おそらく、科学的な根拠に基づくインターガバメンタルな決定というところがIOCの本質なので、時々、極端な意見を言う発展途上国の人もいるし、先進国も逆の意味の極端な意見を言う人もいますが、そこでうまくバランス取った意見が言えるといいなという気がするので、そちらに向けた議論を、例えばこういう場とか、IOC推進委員会の場とか、もう少しできるといいかなと思いました。
 以上です。
【植松主査】
 どうもありがとうございました。
 では、坂元委員。
【坂元委員】
 私、IOCの現状を知らないわけですが、抽象的に言うと、IOCの存在価値を示すためには、IOCが国際公共財としての海洋の守護者として、科学的知見に基づいた海洋の現状について正確な科学的情報を提供して、各国が取り込むべきグローバルアジェンダを打ち出す。これがないと、各国いろいろ、今は取りあえず海洋圏域を確保しようとか、そういうようなことばかり考えていますが、肝心の海そのものが非常に危機的な状況にあると、そういうグローバルアジェンダみたいなものを、今は海水面の上昇を皆が考えているわけですけれども、しかし海洋の酸性化とか何とか、そういうグローバルアジェンダになり得るようなものを打ち出すということが最も重要なのではないですか。そうしたら、各国は自国の政策利益ということではなくて、いわば国際社会を構成する国家として、海を利用する責任としてやはり取り組むべきだ、となります。そういうグローバルアジェンダが何かないと、なかなか存在感というものが示しにくいのではないか。そういう印象を、今、お聞きしながら感じました。
【山形委員】
 各国はそうしたグローバルアジェンダに対して、公共財としての海を管理する責任があるわけですよね。最近はあたかも自分の領土みたいな感じでいる国もありますが、あれは間違った考え方ですね。しかし、そうした考えがどんどん世界中にはびこっていますが。
【植松主査】
 何か具体的な、そういうグローバルアジェンダみたいな、先ほどの海洋酸性化なり、そういうものがあった方がみんな具体的に取り組みやすいのではないだろうか。何か委員会を作って、そういうテーマを議論する委員会をやりましょうとか、そういう形式論ばかりで時間が費やされて、本質的なサイエンスみたいなものというのは、最近、なかったように私も思います。そういう意味では、日本として出せるようなということはあると思います。
 ただ、そうすると、福代委員が言われたみたいに、リージョナルみたいなものの、もっと身近な海での問題を隣国同士で何か取り組むというのは、本当は大事だし、人にとっても重要ですけれども、何か少し、このグローバルアジェンダとはまた別のカテゴリーになってしまうような気がします。SIMSEAもそうですが。どちらかというと、グローバルアジェンダの方が差し障りないから、それにはみんなジョインしたい、公海上のこととか、かなり沖の方だとみんな一緒になってまとまるというような、そういう印象も持ちます。
【道田委員】
 いや、グローバルアジェンダを実現するためにリージョナルで取り組むべきことは当然あるわけですから、IOCは三つサブコミッションがありますけれども、そこがしっかりと機能することです。
【植松主査】
 そう、コースタルからリージョナル、それからグローバルまでというのがシームレスにつながれば良いのですが。そういうテーマがあれば一番いいような気がします。
【道田委員】
 多分、何か大きな傘が要ると思います。そうでないと、リージョナルだけで話していると、どうしてもジオポリティクスに陥ってしまって、本当に膝詰めになると、それを超えた議論になかなかなりにくいんですね。本当はそこを何とかしたいですね。
【植松主査】
 そうですね。
【福代委員】
 ただ、リージョンで、例えば今後、WESTPACで取り組むべき課題というのは、沿岸域の富栄養化の問題とか、それから何といいますか、海洋生物資源、あるいは非生物資源の利用の問題というのは、リージョンではありますけれども、今後、例えばインド洋、アフリカ沿岸でも同様の問題が起こるわけで、決してリージョンだけの問題ではない。そういう意味で、今、当面は問題になるWESTPAC、リージョンの問題だけれども、グローバルだという視点を持ち込むことは十分できると思います。
【植松主査】
 なるほど。何か具体的にIOC全体の国が一緒になって考えられるような、そういうものがあってもいいのではないかと思いますが。
【山形委員】
 今、世界にmarine protected areaという概念がどんどん広がっています。それは、国際法と整合的でない部分も結構ありますよね。
【坂元委員】
 そうですね。管轄権を超えるところでMPAを作ろうという問題がありますね。
【山形委員】
 それも、やはり科学的な知識に基づくべきで、海の生物資源、海底生物資源の問題もありますね。その辺の問題に関してのIOCのプレゼンスというのも余り見えません。国際法とどのように整合をとっていくのか、あるいは国際法を変える必要があるのかとか、その辺をもう少し詰めていくべきだと思います。先ほど道田委員に見せていただいた、何番でしたか。
【道田委員】
 国連との貢献。
【山形委員】
 そう、国連との貢献です。やはりIPCCもそうだけれども、国連との関係が何か少し弱くて、海の問題はいろいろなところにバラバラに関係しています。日本でもそうですけれども、この委員会は現実には余り権限ないですよね。本来なら、植松IOC主査がかなりの権限を持って我が国の総合海洋政策に関与すべきだと思うのです。しかしそうした国の委員会のメンバーでもないですね。
【植松主査】
 ではないです。
【山形委員】
 参与でもないですよね。
【植松主査】
 はい。
【山形委員】
 それは非常におかしいと思います。やはり環境保全とか重要な問題が十分にあるわけで、その辺で、国内でのビジビリティーも上げなければいけないし、国連でのビジビリティーも上げなければいけない。そして、今のグローバルアジェンダとか、メーンイシューに絡まないといけませんよね。それにIOCはあまり絡んでないのではないか。それがIOCの元気がない理由でしょう。IOCよ、どこに行くではなくて、ちゃんと行く場所は決まっているんですよね。ちゃんとアジェンダ21のチャプター17に書かれているわけですよ。その方向を強力に推進していかないといけないのではないでしょうか。
【福代委員】
 IOCの中で生物関係を扱うテーマというのは、私、一時びっくりしましたが、ハブだけだと言われて、有害プランクトン、ですから生物資源そのものはFAOとの絡みで扱いにくいとか、例えばICAM(Integrated Coastal Area Management)みたいな議題は総会でも出てきたとは思いますが、なかなか展開ができないという状況がIOCの中にある。そういう意味で、UAの7派でなかなかIOCのポジションが定まらないところがあるのではないでしょうか。
【植松主査】
 分かりました。ほかにどなたか御意見。
【深澤委員】
 いいですか。
【植松主査】
 はい。
【深澤委員】
 これ、私の感覚ですけれども、グローバルアジェンダを作るところはたくさんあるんですよね。ICSUだってそうだと思います。グローバルアジェンダを作るんですよね。
【山形委員】
 でも、NGOです。
【深澤委員】
 NGOだろうが何だろうが、金をもらうのは、自分たちの寄附金でやるわけではありませんから。それから、GOOSだってそうですし、どこでもグローバルアジェンダはある。
 その中で、今の福代委員の話を聞いて非常に思うのは、先ほどMPAの話も出てきましたけれども、例えばエリアルとリージョナルと、それからグローバルというオーダーをやって、その中でのコラボレーションタイプを考えたときには、どうしても三つ違うものが出てきてしまう。それは確かだと思うんですよ。エリアルなのは、まさに我々の生活というか、それに近い。それが集まるとリージョナルで、それを超えてグローバルアジェンダができるかどうかという話。グローバルアジェンダを作るのは、ある意味で夢を作るのでかなりいいのですが、それを実際に実現するためにリージョナル、エリアルがあるとすると、そこのところを誰が面倒を見るか。
 それから考えると、そういう意味でいったらIOCがグローバルモジュールを持っており、そしてリージョナルモジュールを持っているというのは、非常にいい構造だと思います。その中でWESTPACがどういう動きをするかということを考えたときに、今、WESTPACとか、そういった意味で考えたときに、特にグローバルというのはまだJFCSの中にGOOSとして入るから、まだ何となく座りがいいように形が見えるけれども、まさにリージョナル部分ですよね。
 今、ピコなどが中心になってやっているけれども、例えば日本で見たときの非常に弱いところというのは、私が見たときには、Future Earthは非常にいい考えだと思いますけれども、そこのところでステークホルダーというのがありますが、実は海に関して見ると、既にステークホルダーが持っている機関がたくさんあるわけですよ。水産庁もそうでしょう。それから、国土交通省の中の気象庁だってそうですよね。それが例えばWESTPACや、そういうリージョナルアライアンスの中にどういう具合に組み込まれてくるのか。その一つの形としてNEAR-GOOSとかがあるとしたら、あれをどういう具合にして我々はもっと大きくしていくのか。今度は、それにどういう具合にIOCのサイエンスが絡むのかということが一番のところ、特に国内の海洋学研究と海洋政策といったときには、海洋学研究というのはそういった意味では出口を持っている部分。例えば気象庁であったり、水産庁であったり、それを海洋学研究がどういう具合に支えて、方向付けるか。それを、いわゆる現業ですよね、その部分がリージョナル、若しくはエリアルに、エリアルが日本だとしたら、リージョナルはNEAR-GOOSかもしれない。更にもう少し広げると、ASEANの中のSEAGOOSであったり、ピアGOOSだったりする。そこのところにつなげる際にどうするか。
 そのときに海洋政策の専門家というのは、もちろん政治家の人も大事だけれども、今ある現業官庁が、例えば気象庁だとか、あるいは水産庁の活動というのをサイエンティストがどういう具合にサポートするのか。例えば、気象庁だったら、なぜか知らないけれども、これは決まっているわけではないけれども、観測は日付変更線の向こうに行かないとか、そういうことではなくて、もっとリージョナルに広げるために、我々の科学がどういう具合に、まさにステークホルダーを完全に持っているところを、例えば日本国内のIOCの活動の中でどうサポートするのかというのが一つの非常に大きな議題にはなると思います。それができたところが、IOCにしろ、全てが競合するわけではないけれども、GEOにしろ、それからFuture Earthにしろ、一番成功するところだと思います。そういう気がしました。
 以上です。
【植松主査】
 どうもありがとうございます。
 日本としては、確かにそれでいいかと思うけれども、リージョナルオフィスが三つあって、そのリージョナル同士が集まって、グローバルにまたつながるかというところが、今、余りにもリージョナルオフィスも違いますよね。
【深澤委員】
 だから、WESTPACでグローバルイシューも扱うというのは、話を聞いていて当然だと思いました。だから、バンコクでやったときに、私はWESTPACで話をしながらWESTPACの話をしなかったはずです。WESTPACはGOOSの中の一部、その中の一つであって、それにはグローバルイシューと、それからローカルイシュー、リージョナルイシューの二つがあって、両方とも無視するわけにはいかないだろうという話をしたはずです。
【山形委員】
 同じことがあって、ICSUもリージョナルオフィスがあるんですよ。三つほどありますが、アジアが一番頑張っていて、IOCのWESTPACと同じで、グローバルイシューとリージョナルイシュー。ICSUの場合は、今、Future Earthがありますから、地区全体の問題。それに対応して、やはり総合的にアジアの問題は何かというと、縁辺海であるとか、メガシティーであるとか、そこに一番ストレスが掛かっている。そこは整合的に進めようということで、多分、WESTPACはある意味で似たようなものなのではないでしょうか。
【植松主査】
 そうですね。Future Earthもそうですし、IGBPもそうですね。
【山形委員】
 地域の特殊性もあるわけなので。
【植松主査】
 IOCで、うまくそういう形がまとまればということで。
【山形委員】
 そうですね。
【植松主査】
 どうもありがとうございました。このまま行くとディナータイムまで話が行きそうな気がしますので、2時間ということですので、ここら辺で取りあえず切り上げたいと思います。
 そういうことで、本日の議論、今後のIOC活動に役立てていきたいと思いますし、引き続きこういった議論は続けていく必要があると思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
<議題4>その他
 議題4.その他に入ります。その他の事項としましては、春日委員に御説明をお願いするということになっておりますが、よろしいでしょうか。
【春日委員】
 海上保安庁海洋情報部長の春日でございます。すみません、本日は会議に遅れてまいりまして、申し訳ございませんでした。
 今、主査の方から御説明ありましたように、資料64-4を御覧いただきたいのですが、IOCの進めております国際海洋情報交換システム(IODE)に関連して、本分科会の場で海洋生物データの普及促進に関して御審議、御承認いただきたい案件があります。海洋生物地理情報システムに関する国際海洋データ・情報交換システム連携データユニットへの申請についてということに関して、本日は海洋情報課の勢田の方から説明を申し上げますので、それを聞いた上で御審議をお願いしたいと思います。
 お願いいたします。
【オブザーバー(勢田)】
 御発言をお許しいただきましたので、オブザーバー席の方から失礼いたします。海上保安庁海洋情報部日本海洋データセンターの勢田と申します。
 お手元にお配りいただいております資料64-4に従って御説明いたしますけれども、本件、簡単に申し上げますと、IOCのデータ交換のプロジェクトでございますIODEに、新しいメンバーシップのステータスということで連携データユニット(ADU)というものができまして、こちらに今現在海洋生物分野のデータを扱っておられますJAMSTECさんの方が申請されることを応援しようということでございます。
 時間もございませんので、紙に沿って簡単に説明いたしますと、主に海洋生物の出現情報を扱っております海洋生物地理情報システム、OBISという名前なんですが、こちらは2000年から2010年の間やっておられました海洋生物のセンサス、CoMLの下で実施されていたのですが、2010年の計画終了に伴ってIODEの傘下に統合されることが決まりました。IODEは、御承知のとおり、長らく各国に設置された国立海洋データセンター、日本の場合はJODCが担っておりますけれども、これの合議体という形を取ってきていたのですが、CoMLがあったものですから、OBISというのはNODCとは全く異なる枠組みで運用されておりましたので、この統合を契機に、IODEの方で2013年3月に国立海洋データセンターとは別の連携データユニット、ADUという新しい、メンバーシップといいますか、ステータスといいますか、機構という形のものを導入いたしました。
 これを踏まえまして、昨年11月ですけれども、IOCの事務局長の方から日本のOBISノードを務めてこられましたJAMSTECさんの方に対して、ADUのステータス申請を含めて、OBISのプロジェクトに対する継続的な協力依頼というものが行われております。これは、一応、レターとして1739が出ておりますので、添付として2枚目の方に付けております。
 我が国のIODEの代表機関というのは、私ども海上保安庁海洋情報部が務めさせていただいておりましたけれども、今回のADUの申請というのは、OBISに対する持続的な我が国の貢献になることと、国内における海洋情報の一元化、先ほど海洋政策のお話が出ましたけれども、海洋基本計画に基づきました海洋情報の一元化ということにも資すると考えておりますので、本件申請をJAMSTECさんと連携して推進することとしたいと考えております。
 2.のところですけれども、仮にこの場で連携データユニットの御承認を頂いて、さらに申請が通った後ということですが、海洋データ管理につきましては2.に書いてあるとおりでございまして、IODEと全体としては私も日本海洋データセンターが引き続き担当いたします。OBISの生物地理情報システムに係る部分については、新たにJAMSTECさんにお願いしていくということになります。また、両者の意思疎通がうまくいきますように、それぞれの主催する会議に相互に委員の方を派遣していただいて参加するようにして、さらに利用者のことも考えて、データの相互アクセスは実現できるように進めていきたいと考えております。
 本日、この委員会で御承認いただきましたならば、最後の申請手順というところに簡単に書かせていただいておりますけれども、年内のADU設立というものを目指して、IOC事務局と調整を進めていきたいと思っております。
 概要としては以上でございます。
【植松主査】
 どうもありがとうございました。
【春日委員】
 少し補足しますと、本件は既にJAMSTECさんの方とは調整は済んでおりまして、この申請が承認されますと、海洋生物に関する我が国のデータがより国際的に流通しやすくなると考えておりまして、利用者にとっても、また我が国のプレゼンスの向上の観点からも望ましいものと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
【植松主査】
 どうもありがとうございます。
 では、これは審議事項ということで、分科会として承認するかどうかということでしょうか。
【春日委員】
 はい、お願いいたします。
【植松主査】
 ただいま説明いただきましたけれども、何か御質問ございますでしょうか。
【深澤委員】
 少しいいですか。
【植松主査】
 はい。
【深澤委員】
 日本の場合でいいんですよ、中国の場合でなくていいのですが、JODCと今回のADU、その他のADUがあるかもしれない、できるかもしれないですけれども、NODCとADUの持っている義務と機能と、それを考えたときの両者の関係をもう少し委員の先生に説明しておいた方がいいのではないかという気はするのですが、どうでしょうか。皆さん、今の説明で分かりましたか。
【植松主査】
 JODCと。
【深澤委員】
 JODCとADUの機能とか、そういう関係。つまり、JODCはやめることができませんね。
【オブザーバー(勢田)】
 はい。
【深澤委員】
 でも、ADUはやめることができるし、場合によったらやめさせられることもあり得るわけですね。そういうことも考えると、ADUとJODCとの関係というのはある程度、極端な場合でも知っている方がいいような気がします。
【オブザーバー(勢田)】
 補足させていただきますと、深澤先生御指摘のとおりでございまして、IODEというIOCのプロジェクトに対する代表的な権限といいますか、代表的な位置付けというのは国立海洋データセンターでございまして、こちらは変わりません。そういう意味では、JODCが引き続き我が国の海洋データの管理の全般的なことについては対応するということになっています。
 これはあくまで日本の場合ですけれども、ADUという形で、今回、OBISのプロジェクトを今までどおりやっていただくために、JAMSTECさんにADUの申請をしていただきまして、生物地理情報のデータについてはIODEの中にあるOBISというプロジェクトに参加していただくという形を取りますが、例えばOBISがなくなった場合でありますとか、OBISのデータがもう更新されないというような事態になった場合は、例えばOBISのデータセットをJODCの方に移していただいて、JODCでファイナルアーカイブをするということになります。
【深澤委員】
 それでかなり明確になりましたね。
【植松主査】
 よろしいでしょうか。
 ただいまの案件につきまして、分科会として特に問題がなければ、お認めいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「はい」の声あり)
【植松主査】
 では、御説明のとおりに進めていただきたいと思います。
 その他の事項について、何か御発言ございますでしょうか。
 ないようでしたら、これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。どうもありがとうございました。

―― 了 ―― 

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