資料3 第42回MAB計画分科会における主な意見

―日本のBRの特徴・強み、更なる推進に向けて必要なことがらについて―

日本のユネスコエコパーク(BR)の特徴・強みについて

○ 日本の特徴として、ユネスコエコパークは基礎自治体中心で管理しているという点が挙げられる。
○ 日本はESD(注1)(持続可能な開発のための教育)の先進国であり、ESDはユネスコエコパークに期待されている機能を実現する手段かつエンジン。ESDによるユネスコエコパークの「担い手」づくりは日本の強みである。
○ 海外と比べて、日本は基礎自治体と大学との連携が比較的に進んでいる。教員養成におけるユネスコエコパークの活用をはじめ、学生が地域に入って学ぶという形式が一部のユネスコエコパーク周辺で進められてきている。

日本のBRの可能性(重要性)について

○ 認知度の向上を図る上でも、こどもに対する教育は重要。教育により得られる成果などの目標設定が必要。短期的に成果が得られるものではないからこそ、ユネスコエコパークとして持続性を持った取組が重要となる。自治体としての役割には教育委員会との連携強化が望まれる。
○ ユネスコエコパークは、認定された地域による世界ネットワークへの加盟により情報共有と取組の更なる推進が期待される仕組み。国内審査基準において、世界のみならず、国内ネットワークであるJBRN(注2)への参加の推奨を整理したらどうか。
○ 各ユネスコエコパークにおいて、企業連携をさらに推進することが重要。

日本のBRにおいて推進していくことが望まれることがらについて

○ 継続性をもったユネスコエコパークの自然保護・活用を行うため、国内審査基準において、国内の制度として、各ユネスコエコパークに専従専門員を組織的に含めることを推奨できないか。ユネスコエコパークの価値について普及するキーパーソンが不可欠。
○ BRにおいてESD(持続可能な開発のための教育)を深化する上で、ユネスコエコパークの運営主体、他のBR、学校、地域(社会教育)、ESD支援組織、産業など多様な関係者を「つなぐ」コーディネーターが重要

その他

(ゾーニング(区域設定)について)
○ ユネスコエコパークの趣旨を鑑み、より多くの地域の設定が可能となるよう国内審査におけるゾーニングと国内法との相関性について再検討されてもよいかもしれない。
○ ユネスコエコパークのゾーニングにおいて、核心地域を緩衝地域が取り巻き(或いは隣接する形となり)、それより外側に移行地域があるという構造が基準となっているが、日本の山間地域では必ずしもそういったゾーニングにはならないのではないか。例えば、みなかみユネスコエコパークなど、移行地域が緩衝地域に覆われている。
(参考)海外(Crocker Range BR(マレーシア))では、先住民が国内法制上の核心地域に居住している例があり、ユネスコエコパークのゾーニングでは、核心地域にコミュニティー利用区域を緩衝地域として設定し、認定を認められた事例もある。

(審査方式等について)
○ 10年に1回のユネスコへの定期報告書の提出の前に、国内の制度として中間時期に点検を行い、ユネスコエコパークの活動を支援することができないか。また、各ユネスコエコパークの活動を科学的見地から支援するMAB計画委員会(注3)との連携を検討したらどうか。


注1. ESDは、環境・貧困・人権・平和・開発といったさまざまな地球規模の課題がある現在において、『これらの現代社会の課題を自らの問題として捉え、身近なところから取り組む(think globally, act locally)ことにより、それらの課題の解決につながる新たな価値観や行動を生み出すこと、そしてそれによって持続可能な社会を創造していくことを目指す学習や活動』(日本ユネスコ国内委員会 2013)
注2. 日本ユネスコエコパークネットワーク(JBRN: Japan Biosphere Reserves Network)は、2010年9月30日、日本のユネスコエコパーク(Biosphere Reserve:BR)登録地とこれから登録を準備する地域のネットワークとして設立。

注3. MAB計画委員会は、JBRNを通じた交流の円滑化、および各BRの活動を科学的見地から支援する、学術研究者等で構成される任意団体。


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