日本ユネスコ国内委員会文化活動小委員会(第136回)・コミュニケーション小委員会(第98回)合同小委員会 議事要録

1.日時

平成30年3月19日(月曜日)16時00分~17時30分

2.場所

文部科学省12階 国際課応接室

3.出席者

(委員)
 岡田保良(文化活動小委員会委員長)、小長谷有紀、羽田正、山田卓郎、大枝宏之、小林真理、島谷弘幸、蓮生郁代【敬称略】
(関係省庁)
 外務省、文化庁関係官
 (文部科学省(日本ユネスコ国内委員会事務局))
 川端国際統括官、池原文部科学戦略官、小林国際戦略企画官、秦国際統括官補佐、生田ユネスコ協力官、その他関係官

4.議事要録

【小林国際戦略企画官】  本日は御多忙中のところお集まりいただきまして、ありがとうございます。定刻になりましたので、本委員会を開始させていただきます。
 昨年の11月末で、コミュニケーション小委員会の西園寺委員長が、任期満了により退任されましたので、本日の合同委員会の議事進行につきましては、文化活動小委員会委員長である岡田委員長にお願いしたいと存じます。
 それでは、岡田委員長、よろしくお願いいたします。
【岡田委員長】  皆さん、こんにちは。岡田でございます。まことに僭越ではございますが、進行を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 早速ですけれども、まず事務局の方から、委員会の定足数について確認をお願いしたいと思います。
【秦国際統括官補佐】  本日は、出席の委員が文化活動小委員会の委員が7名、コミュニケーション小委員会の委員が3名となっております。文化活動小委員会におきましては、委員の過半数6名以上を満たしておりますが、コミュニケーション小委員会におきましては、委員の過半数4名以上を下回り、定足数を満たしておりませんので、コミュニケーション小委員会部分につきましては、懇談会という形での開催となります。
【岡田委員長】  ありがとうございました。少し変則的ではございますけれども、本日は文化活動の小委員会と、コミュニケーション小委員会の方は懇談会ということで、合同の委員会として開催させていただきます。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、本委員会は、「会議の公開手続」の第1項に基づきまして、人事案件であります最初の議題を除きまして、そのほかは公開ということになっております。傍聴の方については、第1の議題の終了後に入室していただくということになります。また、公開部分においての御発言は、議事録としてそのままホームページ等で公開されますことを御承知おきいただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、今日の出席の皆様の御紹介を、事務局の方からお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【秦国際統括官補佐】  それでは、御紹介させていただきます。
 まず、昨年12月1日付で国内委員会の委員に御就任され、文化活動小委員会の方に配属されたということで、大枝宏之委員。
【大枝委員】  大枝でございます。よろしくお願いいたします。
【秦国際統括官補佐】  それから、文化活動小委員会委員の、小林真理委員。
【小林委員】  小林でございます。どうぞよろしくお願いします。
【秦国際統括官補佐】  文化活動小委員会並びにコミュニケーション小委員会委員の、小長谷有紀委員。
【小長谷委員】  小長谷です。よろしくお願いいたします。
【秦国際統括官補佐】  文化活動小委員会委員の、島谷弘幸委員です。
【島谷委員】  島谷です。よろしくお願いいたします。
【秦国際統括官補佐】  文化活動小委員会委員の、岡田保良委員でございます。
【岡田委員長】  岡田でございます。今日もよろしくお願いいたします。
【秦国際統括官補佐】  また、同じく昨年12月から国内委員に就任されまして、文化活動小委員会に配属されています蓮生郁代委員です。
【蓮生委員】  初めまして。よろしくお願いします。
【秦国際統括官補佐】  続きまして、文化活動小委員会並びにコミュニケーション小委員会の委員でおられます羽田正委員でございます。
【羽田委員】  羽田です。どうぞよろしくお願いします。
【秦国際統括官補佐】  コミュニケーション小委員会委員の、山田卓郎委員でございます。
【山田委員】  山田です。どうぞよろしくお願いいたします。
【秦国際統括官補佐】  また、本日は御欠席ですが、昨年12月から細谷龍平委員が国内委員に就任し、文化活動小委員会に配属されていることを御報告いたします。
 以上でございます。
【岡田委員長】  ありがとうございました。
 それでは、議事に入ります前に、国際統括官の川端様から一言御挨拶いただければと思います。
【川端国際統括官】  昨年4月に統括官に就任しました川端でございます。よろしくお願いいたします。
 この文化活動小委員会とコミュニケーション小委員会の合同委員会の開催に当たりまして、まず御礼を申し上げたいと思います。また、遠路からおみえの方、まことにありがとうございます。
 この文化・コミュニケーション分野というのは、昨年11月に新しいユネスコの事務局長が、アズレーという女性がなられましたけども、この方はフランスの前文化大臣でいらっしゃったということもあって、この分野には大変御関心が深いというふうに聞いています。
 日本においても、世界遺産条約とか無形文化遺産条約といったことについて、取組みをこれまで推進してきたところですが、このアズレー事務局長とは昨年の11月のユネスコ総会の時に、林文科大臣もお会いいただきまして意見交換をしました。大臣もなかなか御案内のとおり芸術・文化通でいらっしゃって、非常に息の合った意見交換がなされたと思います。その中でも、特に新しいアズレー事務局長にはリーダーシップを発揮していただくようにいろいろな分野でお願いをするとともに、SDGsをこれから日本も一生懸命やっていくんだというようなことを申し上げていたということです。
 これからもこの文化・コミュニケーションの分野においても、SDGsという――最近やっとというか、ここのところ急に有名になった概念かと思いますけれども――そういった観点を意識しながら取組んでいくことも重要かと思っております。
 本日は、皆様の忌たんのない御意見を頂戴することを期待しております。ありがとうございます。
【岡田委員長】  どうもありがとうございました。
 それでは、会議に入ります前に、今日、皆さんお手元に配付資料が置かれているかと思いますけれども、その資料を確認したいと思います。事務局の方からお願いします。
【秦国際統括官補佐】  (事務局より配布資料について説明。)
【岡田委員長】  不足資料がありましたら、申し出ていただきたいと思いますが、議題に入らせていただきたいと思います。


〈議題1 日本ユネスコ国内委員会コミュニケーション小委員会委員長の選出等について〉

人事に関する案件のため、非公開


 続きまして、よろしいでしょうか。議題の2の方に移らせていただきたいと思います。ここからは公開でございますので、傍聴の方がいらっしゃいましたら、入室をお願いしたいと思います。
(傍聴者入室)
【岡田委員長】  それでは、議事に戻りたいと思いますが、ここではユネスコ本部での主な動きの御報告、それから国内でのユネスコ関連の取組について、それぞれ御担当いただいている方々から説明を頂きたいと考えています。報告あるいは御説明はそれぞれ最長10分程度で、幾つかの報告内容がありますけれども、全ての御報告をいただいた上で、最後に御質問等はまとめて受け付けたいというふうにお願いしたいと思います。
 それでは、最初の御報告ですが、昨年10月、先ほど統括官からもございましたけれども、10月に執行委員会、11月にはユネスコの総会が開催されています。それらの会議につきまして、事務局の方から御報告をお願いしたいと思います。
【小林国際戦略企画官】  それでは、資料1-1をご覧いただければと思います。第202回ユネスコ執行委員会・第39回ユネスコ総会の結果について(概要)という資料でございます。
 まず、第202回ユネスコ執行委員会についてですけれども、昨年の10月4日から10月18日まで、フランスのパリにございますユネスコ本部でこの執行委員会が開催されております。
 そもそもこのユネスコ執行委員会と申しますのは、ユネスコ総会での選挙により選出された執行委員国、これは58か国で、日本もこのうちに入っておりますが、この58か国のみが参加できる総会の下部機関です。この執行委員会の会期中は、ユネスコが実施する様々な事業に関する議論が行われたほか、ユネスコの新しい事務局長候補を選出する選挙が行われました。
 具体的な文化・コミュニケーション分野に関係する主な議題について御紹介いたしますと、まずユネスコで様々な登録事業が行われております。生物圏保存地域――これはユネスコエコパークと言われているものですけれども――あるいはユネスコの世界遺産、それからユネスコの世界ジオパーク、こういったユネスコの登録事業のブランドの認知度を強化するための戦略や行動計画について報告がなされまして、具体的には例えば各登録サイトの入り口に掲示するための統一のユネスコメッセージを作成することが合意されております。
 それから、ユネスコで博物館に関する勧告、それから歴史的都市景観の勧告というのがございますけれども、この両勧告につきまして、各国における実施状況に関する調査を実施して、2019年の第40回ユネスコ総会において報告するためのプロセスが確認されたところでございます。
 それから、「世界の記憶」事業につきましては、制度改善に関する決議が全会一致で採択されておりまして、今後ユネスコ事務局において当該見直しのための行動計画を作成し、2018年の第204回執行委員会に提出することとなっております。
 次に、第38回ユネスコ総会が、昨年の10月30日から11月14日まで、これもフランス、パリのユネスコ本部で開催されまして、林文部科学大臣が出席いたしました。
 そもそもこのユネスコ総会は、2年に1度開催されるユネスコの最高意思決定機関でございます。会期中は、加盟国による次期ユネスコ事務局長の承認やユネスコ次期4か年の事業予算案に関する審議・承認のほか、第3回ユネスコ/日本ESD賞、これは日本の資金支援により行われているものですけれども、この授賞式が行われました。
 会期中の11月3日には、我が国の政府代表として林文部科学大臣が出席いたしまして、一般政策演説を行うとともに、アズレー次期事務局長候補――当時はまだ候補だったわけですけれども――あるいは各国閣僚との会談を行ったところでございます。一般政策演説での文化・コミュニケーション分野に関する林文部科学大臣の発言といたしましては、ユネスコがこれまで世界遺産条約や無形文化遺産保護条約を通じて、有形・無形の文化遺産を国際的な枠組みで保護・継承し、SDGsの基本理念でもある平和な社会の構築に寄与する文化の多様性維持に大きく貢献してきたこと。また、「世界の記憶」事業について、加盟国と協力して事業の包括的な見直しに取組むよう求めた前回の執行委員会における決意と歓迎し、包括的見直しにおいても責任ある加盟国としての役割を果たしていきたい旨、大臣から発言したところでございます。
 具体的な大臣の発言、あるいはそのユネスコ総会における大臣の一般政策演説の写真も含めた資料、あるいはアズレー事務局長候補との会談などの資料につきまして、資料1-2で御用意しておりますけれども、説明の方は割愛させていただきます。
 以上でございます。
【岡田委員長】  ありがとうございました。御質問等あろうかと思いますが、後ほどまとめて受け付けたいと思います。
 それでは、活動ごとに御報告をお願いします。最初、文化庁記念物課の方から、中村専門官においでいただいておりますが、世界文化遺産について御報告をお願いいたしたいと思います。
【中村専門官】  では、皆様、資料2に基づきまして、ユネスコ世界文化遺産について御説明させていただきます。
 資料2の冒頭に世界遺産条約とはというところから始まっておりますが、文化遺産及び自然遺産の中には、特別の重要性を有し、人類全体のための世界の遺産として保存する必要があることを考慮し、その保護を行うための国際的な協力及び援助の体制を確立することを目的とする条約でございます。
 1972年にユネスコ総会で条約が採択されて以降、日本は1992年に条約を締結しまして、2017年2月現在では締約国数は世界で193か国、世界遺産の登録数は1,073件ということになってございます。
 グラフでは、世界の地域別の世界遺産登録件数と、世界遺産の登録数の上位20か国をお示しさせていただいておりますけれども、地域で見ますとヨーロッパ・北米、アジア・太平洋、そこにラテンアメリカ・カリブ、アフリカ、アラブと続いていくわけですけれどもヨーロッパ・北米諸国の登録件数が多い中で、日本は下の上位20か国のグラフで見ますと、世界の中では12番目、21件の文化遺産と自然遺産が所在している国ということになってございます。
 国土の広さですとか、ヨーロッパのように石でできたようなもの以外のもので、日本でこれだけの数が世界遺産に登録されているということについては、アジアの中でも国土が広い中国ですとか、そういったところと比較してもかなり件数は多い国なのではないかと文化庁としては思っているところでございます。
 おめくりいただきまして、我が国の世界遺産21件と先ほど申し上げましたけれども、平成5年以降、法隆寺地域の仏教建造物から、新しい平成29年の登録資産としては福岡県の『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群までを含めて、合計21件。そして文化庁では一番右の区分に「文化」とついている文化遺産を主として担当しておりまして、自然遺産につきましては主として環境省が担当しているというところでございます。
 3ページ目に移りまして、現在、世界遺産にはまだ、世界遺産一覧表への登録はされておりませんけれども、今後我が国から世界遺産の一覧表に記載をされていく候補として、暫定一覧表に記載されている物件のリストでございます。
 こちらにございます8件並んでいる中で、現在も世界一覧表への記載に向けて現在進行中なのが、丸4番の長崎の教会群とキリスト教関連遺産、これが平成29年1月に国内から推薦している案件で、また7番の百舌鳥・古市古墳群(大阪府)、こちらが平成30年1月に国内から推薦されたものとして、今後の世界遺産委員会での審議を待っている案件ということになってございます。
 下の枠外の※で書かれておりますとおり、世界文化遺産の審査は、ユネスコの定めによって各国年1件に制限をされているところでございますので、我が国からは最も世界文化遺産としての一覧表に記載される準備が整っている案件を、世界遺産に登録されるまでの推薦候補案件として推薦を進めているところでございます。
 1ページおめくりください。4ページ目ですけれども、暫定一覧表に記載している案件とは少しタイトルを変えておるのですけれども、現在我が国として推薦してるのが「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」についてということでございます。
 こちらは、長崎県と熊本県の2県に所在する、16世紀にキリスト教が大航海時代を背景に極東の国日本へと伝来して、その後の江戸幕府による禁教政策の中で、潜伏キリシタンがひそかにキリスト教への信仰を継続して、長崎と天草地方の各地において、厳しい生活条件の下に既存の社会・宗教と共生しつつ、独特の文化的伝統をはぐくんだことを物語る貴重な証拠であるというような価値の主張で世界遺産に推薦しており、平成30年、今年7月の世界遺産委員会での審議が予定されているところでございます。
 また、その次のページにございます「百舌鳥・古市古墳群」につきましては、今年2月に我が国から推薦したところですので、平成30年度は現地調査など、そういったことを進めていく案件になりますが、百舌鳥・古市古墳群については、大阪府の堺市、羽曳野市、藤井寺市に所在する45資産49基の古墳群を構成資産として推薦をしておりまして、こちらは古墳時代の最盛期である4世紀後半から5世紀後半に築造された複数の古墳からなる様々な形・大きさの多数の墳墓が集中して造営されている古墳群を、日本列島における古墳時代の文化の傑出した物証として推薦をしているところでございます。
 ページをおめくりいただきまして、6ページでございます。我が国から毎年1件、国内の推薦候補として推薦をしているわけですけれども、既に推薦をしております長崎と天草地方のキリシタン関連資産と百舌鳥・古市古墳群については、記載のようなスケジュールで進んでいくであろうということが予定されておりますので、今後の部分については「予定」と入っている部分もございますが、来年夏のユネスコ世界遺産委員会において、それぞれが審議されていくものと考えております。
 また、例年の5月頃、イコモス勧告ということで、報道などなされることも多いですけれども、文化遺産に係るユネスコ世界遺産登録の可否については、世界遺産委員会の諮問機関であるイコモスからの世界遺産委員会に対する勧告というものがなされます。イコモスの専門的な見地から、記載が適当であるというところから、丸1から丸4までのような評価によって、イコモスからの勧告を踏まえて、世界遺産委員会における審議がなされるというのが、ユネスコ世界文化遺産の登録までのスケジュールとなってございます。
 ここまで資料を基に御説明をさせていただきましたけれども、文化庁といたしましては、こういったユネスコ世界文化遺産の新規登録に向けた事務、またその世界文化遺産に登録された後の世界文化遺産としての価値の普及啓発に係る予算事業というような事務をやってございまして、新規の推薦、また公開・活用、また世界遺産条約の本旨である次世代へのきちんとした形で保護して残していくというような文化財の保護の取組といったようなところを継続して今後もやっていきたいと考えておるところでございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。
【岡田委員長】  中村専門官、ありがとうございました。
 今、世界文化遺産の報告でございましてたが、続きましては無形遺産の方につきましては、文化庁の伝統文化課文化財国際協力室の軸丸室長の方からお願いできますでしょうか。
【軸丸室長】  それでは、ユネスコ無形文化遺産につきまして御説明いたします。資料3を御覧ください。A4縦で両面刷りで3ページの資料になります。
 無形文化遺産保護条約につきましては、まず1ページでございますが、2003年に採択されまして、2006年に発効しております。我が国はいち早く2004年に締結いたしまして、現在締約国数は177か国になっております。
 この無形文化遺産を保護する条約でございますが、その中で具体的な例を示すことで無形文化遺産の認知を高め、保護のための意識の向上を図るために、代表一覧表というのを作成しておりまして、これがいわゆるユネスコ無形文化遺産と称しているものでございます。
 我が国の代表一覧表への登録は、1ページの真ん中あたりに書いておりますが、表のとおり現在21件が登録されています。これは世界全体で見ますと、中国に次ぎまして2番目に多い数字であります。世界全体では399件が登録されておりまして、先ほど御説明がございました世界遺産はヨーロッパが多いのに対しまして、この無形文化遺産は世界で一番多いのは中国が31件、それから日本、我が国が21件、韓国は11件ということで、アジアが中核をなしているということになります。
 これの登録までの流れでございますが、代表一覧表の登録までの流れは、ページ左下のところを御覧ください。その締約国が毎年3月末までにユネスコへ提案書を提出します。評価機関、こちらは専門家とかNGOで構成されているものでございますが、こちらの方の審査を経て翌年末、大体11月頃の政府間委員会において審議されます。政府間委員会というのは、締約国から選出されました24の国で構成されています。毎年11月頃開催と申し上げましたが、それで代表一覧表の登録の最終決定を行いますが、次回は本年11月にアフリカのモーリシャスで開催される予定になっています。
 代表一覧表への提案の件数と処理件数というのは、最初は制限を設けずにスタートいたしましたが、加盟国も増える中、審査する側もユネスコ側の事務処理のキャパシティ等の問題等もございまして、現在は各国1件の審査に制限されています。さらに登録がない国の審査が優先されまして、我が国のように既に多くの件数を登録されている国につきましては、2年に1件の審査保証というように絞られております。
 なお、提案の案件は国内の手続といたしましては、まず文化審議会の無形文化遺産部会で審議されまして、その後、外務省など関係省庁との会合で決定された後に、ユネスコに提出される流れになっております。
 我が国の対応でございますが、ページ右下、ここに登録基準というのを載せています。登録基準というのは、こちらの代表一覧表に載るものの基準でございますが、無形文化遺産の定義に該当すること、それから保護措置が実施されていること、関係団体の同意があること、目録の掲載などが求められております。したがいまして、我が国はこれまで文化財保護法による指定または選定を受けました重要無形文化財、重要無形民俗文化財及び選定保存技術の中から申請しております。
 以前は文化財指定の早いものから、一つずつ個別に順に申請しておりましたが、しかしユネスコの審査件数の制限、あるいは提案した中には既に登録している案件との類似性を指摘されまして、追加情報を要求するという情報照会というものの決定を受けたものもございます。
 具体的にはこの情報照会の決定を受けたものは、2011年の欄に書いてございます、本美濃紙等4件の案件でございます。こういったことがございましたので、我が国の対応といたしましては、最近は同類型の無形文化財をグルーピングして提案する方針に変更せざるを得なくなりました。したがいまして、最近3回の対応でございますが、2014年、2016年及び提案中のところがございますが、和紙、山鉾屋台行事、来訪神、これらはかつて情報照会を受けたものの対応で、既に登録されていた案件の拡張といたしまして提案しております。
 最新のところですと、昨年3月に我が国が提案いたしまして、本年11月の政府間委員会で審査される予定の来訪神でございますが、こちらは2009年に既に登録されております鹿児島県の甑島のトシドンでございますが、こちらに秋田県のナマハゲ等9件の年中行事、具体的にはこれは正月なんかに家々を訪れまして、新たな年を迎えるに当たりまして怠け者を戒め、あるいは人々に福をもたらすような行事でございますが、こうした行事を追加して、計10件として拡張するものでございます。こちらが本年11月に審査される予定になっています。
 続きまして、裏側の2ページを御覧ください。こちらは今提案中の来訪神の次の提案として、今月末までに「伝統建築工匠の技」というのをユネスコに提出予定にしております。これは建造物修理、木工、あるいは屋根葺き、左官など、我が国の伝統的な木造建造物を支える伝統建築技術、具体的にはこちらの3ページに載せております計14件の選定保存技術を一括して提案するものでございます。
 この選定保存技術というものでございますが、こちらは文化財保護法に基づきまして、文化財そのものではございませんが、文化財の保存のために欠くことができない伝統的な技術または技能で、保存の措置を講ずる必要があるものということで国が選定いたしまして、その技を保持している団体などを認定することで保存を図っていくというものでございます。
 2ページ目のところにまた戻りますが、2ページ目の下にあたりに書いておりますが、今後の予定の方につきましては、今月末までにユネスコに提案いたしまして、我が国は2年に1件の審査の予定でございますので、最速のスケジュールですとこれは2020年11月に政府間委員会での審議の見通しとなっております。
 以上、駆け足でございましたが、ユネスコ無形文化遺産のこれまでの経緯及び今のところの現状でございます。
 以上でございます。
【岡田委員長】  軸丸室長、ありがとうございました。
 続きましてですが、「世界の記憶」ですね。この事業につきましては、選考委員会の委員長を務めていただいております島谷委員のほうから御報告をお願いしたいと思います。
【島谷委員】  報告させていただきます。「上野三碑」というのが国内委員会から選考した1件でございまして、「朝鮮通信使に関する記録」に関しては二国間以上で、具体的には韓国と一緒に推薦したものでございます。
 まず、「上野三碑」でございますが、古代から近世まで上野国、群馬県の南西部にありますところにある山上(やまのうえ)碑(ひ)、多胡(たご)碑(ひ)、金(かな)井沢(いざわ)碑(ひ)、この3つの古代石碑に関しまして、申請の案件がございましたので、国内委員会で選考しまして選んだうちのこれは1点でございます。
 「朝鮮通信使に関する記録」でございますが、これは日本のNPO法人の朝鮮通信使縁地連絡協議会、それから韓国の財団法人釜山文化財団、両方の国からの推薦で、1607年から1811年まで約2世紀の間に、幕府の商船により12回、代替わりごとではございませんが、日本に派遣された外交使節団に関する資料でございます。両国からの推薦ということで、ナショナルコミッティーの推薦とは別枠で、これは推薦されたものでございます。
 1枚めくっていただきますと、「世界の記憶」には国際登録がございまして、ユネスコの事業として1992年に開始されたというのは説明にあったとおりでございますが、審査はこれも2年に1回、1か国からの申請は2件以内ということでございまして、我が国では2011年5月、山本作兵衛の炭鉱記録画が登録をされました。これは国内委員会を通さずに、個人でも申請できるということで申請されたものでございます。
 それを受けまして、2013年、2年後、これは指定されているものの中からちょっと検討しようということで、藤原道長の自筆の日記、これは世界でも例がない著名な人が長年にわたって書いた記録でございます。それから「慶長遣欧使節関係資料」、この2件が選出され、無事登録したものでございます。
 それで、その2年後には「舞鶴への生還」という形で、これは外国での調査も踏まえたもので1点選びまして、もう一つは「東寺百合文書」、これは文書としてのデジタルアーカイブとしても非常に貴重であるということで選ばれたもので、この2点を推薦し、それが選ばれたものでございます。
 昨年は、今申し上げました「上野三碑」と二国間の申請によります「朝鮮通信使に関する記録」が登録されたということでございます。
 簡単ではございますが、以上でございます。
【岡田委員長】  ありがとうございました。
 以上、三大事業といいますか、ユネスコの文化遺産保護に関する三大事業のレビューをしていただいたわけですが、そのほか、事務局の方から報告の事項がございましたらお願いしたいと思います。
【秦国際統括官補佐】  資料5になるんですが、ユネスコ創造都市ネットワークへの加盟についてという資料を用意してございます。こちらの方に、2017年、山形市が新たに加盟を認められたということで、御報告申し上げます。
 ユネスコの創造都市ネットワークというのは、クリエイティビティを核とした都市間の国際的な連携によりまして、地域の創造産業の発展を図ったり、都市の持続可能な開発を目指すということを目的に、ユネスコがネットワークを組ませているという形になっています。
 このネットワークを活用して、各市は知識・経験の交流、人材育成、プログラム協力などを行うんですけれども、資料の3のところにありますように、7分野設けたネットワークになっております。このたび山形市の方は、日本では初なんですが、映画分野でネットワークに加盟されたということでございます。
 簡単ですが、以上でございます。
【岡田委員長】  ありがとうございました。
 以上、ユネスコの文化・コミュニケーション活動について御報告がありました。この後、少し御出席の委員の先生方から御質問、あるいは御意見等伺いたいと思います。どなたからでも結構でございますが、今のユネスコの事業に関する報告に関しまして、御質問等ありましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 羽田委員。
【羽田委員】  すみません、簡単なことで私が知らないだけなんですけれども、世界遺産条約とはというこの資料の地域の分け方が、アジア・太平洋とかラテンアメリカとかになっていて、アラブ諸国というのがありますよね。5つに分かれていて、これはユネスコの本部の方がこういう分け方をしてるんですか。それとも、日本の方でこういうふうなやり方をしてるんですか。イランというのは日本の前に11というのがあるんですけれども、これは、イランはアジア・太平洋の方に入るという理解でよろしいんでしょうか。
【中村専門官】  もし私が間違ったことを言ってしまったら、外務省の方から補足を頂きたいんですが、世界遺産委員会の委員国をどういった地域から何人選出するかというような分け方でこういった地域の分け方をしていたと思うので、これは文化庁の統計の取り方もそれに準じてグラフを作っていたと思っておるんですが、もしよろしければ外務省から。
【守山補佐】  外務省国際文化協力室の守山と申します。若干補足させていただきます。
 ユネスコにおいては、国際機関として、世界の各地域のどこにも不公平のないようにということで、地域の衡平性を常に考慮した議論がなされるように地域グループ分けを行っております。その地域割は、御指摘のとおり、例えばイランはアジア・太平洋諸国に割り振られておりましたり、若干日本で言うところの概念とは違っており、日本だと中東ということでまとめるような印象がありますけれども、ユネスコの場合はアラブ諸国ということでまとめており、そのアラブに属さないものについてはアジアという分け方になっております。
【羽田委員】  アフリカの中でも、アラブの国はアフリカ諸国には入らないってことですね。
【守山補佐】  はい。アフリカ諸国というのは、アラブの国はアラブ諸国グループに入っており、それに該当しないところがアフリカ諸国。ユネスコの中では、実はアフリカ諸国グループとアラブ諸国グループというのはグループ5というのでまとめられておりまして、その5の中で、5Aというのがアフリカ、5Bがアラブという分け方になっております。
【羽田委員】  ユネスコに文句を言っても仕方がないですけど、ヨーロッパと北米を一緒にしておいて、アラブだけ一つにするっていうのは、何だかちょっと……。
【守山補佐】  実はヨーロッパも、この統計では一緒になっておりますけれども、1と2に分かれておりまして、1が北米といわゆる西ヨーロッパ、2が東ヨーロッパという分け方になっております。
【羽田委員】  分かりました。ありがとうございます。
【岡田委員長】  ついでにですが、例えばトルコやイスラエルなんかも微妙な扱いでしたよね。
【守山補佐】  両方ともグループ1ですね。ヨーロッパに。
【岡田委員長】  ヨーロッパの方に入っているんですね。
【守山補佐】  はい。
【羽田委員】  難しいですね。
【岡田委員長】  難しいですね。 蓮生先生。
【蓮生委員】  すみません。ユネスコの創造都市ネットワークのことなんですけれども、これに対しては、これはたしか自発的拠出金で賄われているプログラムということでしょうか。これに対して、例えば日本は今、日本政府としてはどのようなスタンスを取っていらっしゃるのかというのをちょっとお伺いしたいんですが。地方自治体としては非常に関心の高いプログラムかと思いますので、お伺いできないでしょうか。
【秦国際統括官補佐】  基本的にUNESCO Creative Cities Network事業につきましては、ユネスコが行っているものとして、国内委員会の方ではその窓口としてその推薦書を募集して提出する作業をやっているところでございます。
 一方で、今日担当者はおられないんですけども、文化庁さんの方でもこういったCreative Citiesの概念というのは世界的にも重視されているという動きを踏まえて、創造都市の推進というような事業を別個やっていらっしゃいます。
【蓮生委員】  予算的にはどういうことに、今、どういうスタンスを取っているんでしょうか。
【秦国際統括官補佐】  ユネスコ上の予算ですか。
【蓮生委員】  はい。このCreative Cityに対する。
【秦国際統括官補佐】  申し訳ありません。ちょっと手元に資料がないんですが、私の理解するところでは、基本的にはこれは自治体の方で手を挙げているところがそれぞれに予算措置をして、国際的なこのユネスコのネットワークを通じて頑張っていくというようなふうに理解しております。
【岡田委員長】  ということは、国内委員会で特に予算措置はないという?
【秦国際統括官補佐】  国内委員会ではございません。
【岡田委員長】  ということなんですね。
 今ちょっと秦さんから、文化庁の方でも似たようなスキームといいますか、たしか芸術という言葉を付けたかと思いますが。
【秦国際統括官補佐】  そうです。文化芸術創造都市という事業を展開しています。
【岡田委員長】  そちらの方は、予算措置が何らかはあるということなんですか。
【秦国際統括官補佐】  はい、そうだと承知しています。
【岡田委員長】  直接の関係はあるのでしょうか? 例えば文化庁で選ばれたものがこのユネスコのネットワークの方に優先的に推薦されるとか、そういうシステムがあるわけではないと。
【秦国際統括官補佐】  ないです。はい。そうではございません。
【小林委員】  いいですか。ちょっと関係しているので何ですけれども。
【岡田委員長】  はい。
【小林委員】  言っていいのか分からないんですけど、その文化芸術創造都市の推薦委員というのをずっと何年かやってるんですけど、基本的にはその推薦委員が推薦したところが、毎年何件か自治体が選ばれるんですね。それで、その中の選ばれたところが、できればこのユネスコの方の創造ネットワークに入ってほしいなという思いを持ちつつ選んでいくというのがあるんですけど、それは別に強制してるというわけでは全然ないんですね。多分文化庁の方では、余り詳しく存じ上げませんけれども、その文化芸術創造都市のために特別にすごく予算を割いてるというわけではないと思うんですけど、いかがなんでしょうかね。
【秦国際統括官補佐】  基本的に細かいデータは現在持ち合わせておりませんが、国内では、文化芸術創造都市を文化庁の長官表彰という形式で推進している一方……。
【小林委員】  そうですね。
【秦国際統括官補佐】  国内でもそういった芸術創造都市のネットワークの事業を取りまとめたような形の機能を……。
【小林委員】  そう、何かやってますね。
【秦国際統括官補佐】  文化庁さんのほうで措置されてるというふうに理解しています。
【小林委員】  そうですね。はい。何かそういうシンポジウムとかやってましたね。
【秦国際統括官補佐】  やってます。
【小林国際戦略企画官】  ネットワークのための予算がたしか付いてると思いますけど。
【小林委員】  そうですね。
【小林国際戦略企画官】  ええ。個別の指定に対してどうこうというんじゃなくてですね。
【岡田委員長】  例えばこの山形市の場合だと、山形市はこれはユネスコの方ですから、こちらの国内委員会の方に推薦を申請というか依頼があるという形なんでしょうか。
【秦国際統括官補佐】  そうです。
【岡田委員長】  蓮生委員、よろしゅうございますか。更にもっと何かありましたら。
【蓮生委員】  すみません。私がちょっとお伺いしたかったのは、ユネスコ本部の方でこのプログラム、Creative Cities Networkというプログラムを今後推進してく上で、日本がイニシアティブを取れるかどうかという観点から質問させていただいたんですけど、そのためには本部の方に自発的拠出金等を日本政府が入れていく必要があるわけですが、今、たしか中国の方は入れているんですよね。日本政府はどういう立場だったのかなということを、すみません、確認させていただきたかったんですけれども。
【岡田委員長】  分かりますでしょうか。
【秦国際統括官補佐】  今のところ、これに特化した拠出というのは行っていないという状況でございます。
【岡田委員長】  中国だけが拠出しているか、あるいはその辺の事情は。
【秦国際統括官補佐】  ユネスコ全般で、ちょっと申し訳ございません、どこの国が拠出しているかというデータは持ち合わせていないところです。
【岡田委員長】  これはちょっと調べておいていただいて、今、委員御指摘のように、日本もかなりこのネットワークに入っている市が増えてきてますので。
【蓮生委員】  そうですね。日本サイドでやはり関心が高い分野において、ある程度本部でイニシアティブを取れる立場を確保していくということも政治的には重要かと思いますので。
【岡田委員長】  ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、まだ時間少々余裕ございますけれども、次の議題に移りたいと思います。日本の国内におきますユネスコ活動の推進に関することであります。資料6-1になります。2点論点がございます。1つは次世代への継承を意識した国内ユネスコ活動の活性化について。もう一点は、持続可能な開発目標、先ほどから話題になっていますが、SDGsへの貢献を意識した取組をどのように推進できるか。そのような観点から議論をお願いしたいと思うわけです。
 まず、ユネスコには様々な登録事業がありまして、これらを発信・活用するということで、若い世代がユネスコの活動に興味を持つというような取組が考えられないかということで、これに関しまして、まず参考となりそうな国内の動きといたしまして、文化庁がやっていらっしゃいます日本遺産事業、そしてもう一つは私も注目しておりますけれども、本年になるのか、近々文化財保護法の改正ということがスケジュールに載っているようで、その辺の話題について御紹介いただきたいと思います。
 まず、日本遺産につきましては、記念物課の中村専門官の方からお願いしたいと思います。
【中村専門官】  お手元の資料の6-3という横書きの資料で、日本遺産(Japan Heritage)について説明をさせていただきます。直接的に次世代の継承ですとか、あとはSDGsへの貢献というところの関係としては、少し既に何か登録されているものではないんですけれども、日本国内における取組として、情報提供させていただければと思います。
 まず、日本遺産というものが何なのかというところなんですが、従来の文化財行政としましては、例えば不動産である史跡・名所・天然記念物のような文化財や重要文化財の建造物、また美術・工芸品など、そういった国の指定の文化財を一つ一つ保存すると、そしてそれを活用するというようなことを取組んでまいりましたが、実際にそういったことを地域という面で捉えてまとまった理解をされている方がいるかというと、なかなかそういったことにはなっていないのではないかと、そういったような現状認識を背景にしております。1枚目はそのイメージ図なんですけれども、日本遺産の仕組みは2ページ目、1枚おめくりいただいて御説明できるかと思います。
 まず、日本遺産というふうに名前を付けておりますのは、地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーを、日本遺産として文化庁が認定するというのが事業の仕組みでございます。その文化庁が認定するストーリーについては、各地方公共団体から手を挙げて申請していただくというような形になっているんですが、そのストーリーを語る上で不可欠になるのが、地域の文化財でございます。
 不可欠な魅力ある有形・無形の文化財群を地域が主体となって総合的に整備・活用して、国内外に戦略的に発信していただいて、地域の活性化を図るというのが日本遺産事業の目的となっておりますので、文化庁は地域にある文化財というものを媒介にした歴史的魅力や特色が入っているストーリーを認定するというようなことを実際にやっているということでございます。
 3ページ目の、これもイメージ図ですけれども、実際には日本各地に有形・無形のすぐれた文化財が点在しているわけですけれども、これを日本遺産というストーリーで一くくりにすることによって、文化財を核とした地域のブランド化やまちづくりに貢献していこうと。そうすることによって、地域住民のアイデンティティの創出ですとか、文化的な魅力の再発見というようなことにつながって、日本各地が文化の力によって盛り上がっていくと、地域が活性化していくといったようなことを狙っている事業でございます。
 1ページおめくりください。4ページ目、日本遺産のストーリーですけれども、少し誤解されがちなのが、先ほど御説明させていただきました世界文化遺産というものについては、その文化遺産として、人類共通の宝として守るべき文化財を保護するということが目的でありますが、日本遺産については貴重な文化財そのものを認定しているわけではありません。その地域の歴史・文化を紹介するために、誰にでも分かりやすく、また文化財を紹介する時の明確なテーマを設定して、単なる歴史文化財の教科書的な説明ではないストーリーを認定するということを行っております。
 ストーリーのタイプとしては、一つの市町村に納まる地域型という形と、複数の市町村にまたがって一つのストーリーを作るシリアル型というその2つのタイプを認めておりますので、広域で連携をして一つのストーリーを作って出していただいているところも近年多くなっているところでございます。
 文化庁の認定してきた日本遺産一覧については、5ページ目の日本地図を御覧ください。これまで17件から19件ほど毎年認定を増やしておるんですけれども、これまでの認定件数は全部で54件、40道府県まで認定されているストーリーを持つ自治体が増えてきてございます。今後も毎年15件から20件ほどの認定をして、2020年までには100件程度の認定を目指しているところでございます。
 時間が限られておりますので、認定された後の支援の部分についても御紹介をしていきます。次の6ページを御覧ください。日本遺産魅力発信推進事業ということで、昨年度と今年度の予定額では約13億円の予算を付けてございます。認定された日本遺産のそれぞれの日本遺産は、協議会というものを地域で作っていただいておりますので、その協議会に対して定額の補助をするといったような補助金事業でございます。
 資料の右側の事業内容の部分を見ていただければと思うんですが、日本遺産魅力発信推進事業として丸1から丸4まで、情報発信や人材育成、地元のボランティア解説員の育成など。また、普及啓発事業としてはワークショップ、シンポジウムの開催やPRイベント、国内外の開催。丸3としては、更に日本遺産のストーリーに関する調査・研究をしていただいて、まず文化財的な魅力を深めるということもできますし、訪れる人がどういった顧客層に求められているのかといった志向性の調査にも使えるような調査・研究、そして丸4として、周辺の公開・活用のための整備として、日本遺産に関するガイダンス施設として建物の内部を改修するようなもの、トイレ・ベンチなどの設置などにお金を使えるような支援をしております。
 次の7ページ目は文字が多いので、後ほど御覧いただければと思うんですが、今後民間企業や広く普及・啓発をしていくためのイベント、企業間連携、マスコミとの連携などもこれから進めていく予定であるといったような資料でございます。
 最後に8ページ目ですけれども、下段で認定地域の取組例として、4つの地域を挙げさせていただいているんですが、左上にある島根県津和野町の取組や、右下にあります大分県日田市の咸宜園に関するものですけれども、近世日本の教育遺産群といったような、認定された地域ではそれぞれ地元の方や子どもたちなどを巻き込んだ取組がされているところでございます。
 津和野の日本遺産センターでは、日本遺産コンシェルジュというような形で、これは小学校の教員だった校長先生が退職された後に、地元の歴史を日本遺産のストーリーという形で紹介できるような形で、日本遺産コンシェルジュを務めていただいたり、海外から留学してきていただいている博士課程の大学院生に、日本遺産コンシェルジュとして協力していただくような形で、地域の人、また地域を訪れる外国人の方にストーリーをきちんと説明してから街歩きをしてもらうといったような取組をしているところです。
 右下の大分県の取組については、教育委員会と連携をいたしまして、地域の小学校5・6年生がガイドさんになって、地元の人に対してガイドしてくれるといったようなことを教育活動の一環として行っているのですが、地域の歴史学習というような意味もありますが、また社会に出ていく大人としての振る舞いを身に付けるといったことにも役に立っていると聞いております。
 また御質問などありましたら、後ほど質疑の中で御紹介できればと思います。
 以上でございます。
【岡田委員長】  中村さん、ありがとうございました。御質問等はまたちょっと後ほどまとめて受けたいと思います。
 続きましては、文化庁の菅野課長補佐から、文化財保護法の改正についての御紹介をお願いいたします。
【菅野課長補佐】  文化庁の伝統文化課でございます。資料は6-2と書かれていますこのオレンジ色の枠の入っている日本遺産の一個前に入っている資料です。
【岡田委員長】  順序が逆でしたね。失礼しました。
【菅野課長補佐】  とんでもありません。よろしくお願いいたします。
 両面に印刷させていただいていますけれども、このオレンジ色の方がイラストになっておりまして、裏側はそれを文字に起こしたものとなっておりますので、本日時間限られておりますので、イラストのこのカラフルな方で御説明をさせていただきたいと思います。
 文化財保護法の改正ということでございます。これはスケジュール的には、今、既に国会の方には法案を閣議決定いたしまして、国会の方に出したという状況で、また国会審議を待っているというような状況でございます。
 まず、この文化財保護法に関してでございますが、もうこれは御案内のとおりかとは思いますけれども、我が国の文化財保護法は昭和25年から制定されておりまして、特徴として有形の文化財から無形の形のない文化財まで、体系的に一つの法律の中で制定をしているというものでございます。無形の文化財というと、いわゆる人間国宝でありますとか、お能でありますとか歌舞伎でありますとか工芸技術、また無形の民族文化財といった中では地域の固有の年中行事でありますとか、ないしはお祭りでありますとか、また有形の文化財としては寺社仏閣、仏像といったような信仰に関するものから、古民家でありますとか様々なものがあるというような状況でございます。
 今回のこの改正でございますけれども、背景としましては、過疎化や少子高齢化といったことの中で、地域の姿が次第にどんどん変わっていくというものの中で、じゃあ、地域の固有の文化といったものをどうやって残していくことが実態的に可能なのかということでございまして、これも文化財行政の中ではかねてから対面している課題でございますけれども、今回はそれを解決する手段の一つとして、文化財の担い手を増やし、地域一体で文化財を守っていただくというような形を作っていこうということでございます。
 改正内容はこの紫に印刷されている3本ぐらいのものがありますけれども、まず1つ目が、地域における文化財の総合的な保存活用というものでございます。左の個別個別に文化財を指定しまして規制を掛けていくといったようなことをこれまでもやってきましたし、今後ともこの件に関してはやっていこうと思いますけれども、これを右の図にありますように、国が全体として方針を出しまして、都道府県が大綱を策定いただいて、また市町村が地域の計画というものをお作りいただくといったような図式にしております。
 また、この地域で計画を作っていただいた上で、地域の文化財を総合的に保存活用していただいて、この緑の枠の中に多用な人材を入っていただくように、例えば民間の文化財の保存活用の支援団体を指定する仕組みでありますとか、また左上にありますような協議会を作って、その中に多様な人材に参画をいただくといったようなことでございます。
 これで、文化庁といたしましては10年ほど前から歴史文化基本構想という取組をやっておりまして、地域の中にどんな文化財があるかというのを総合的に調査・把握をして、自分たちの街の中にある魅力、地域固有の文化というのを改めて見直していただいて、じゃあ、それをどう保存をし、どう活用していくか、どう普及・啓発を図っていくかといったようなことを考えていただくというものでありますけれども、これを法定化しようということでございます。
 また、2点目ですけれども、個々の文化財の確実な継承に向けた保存継承制度の見直しとございます。これも背景は同じでございまして我が国の文化財、例えばこの下に書いてありますような「旧何々家住宅」でありますとか屏風でありますとか、様々なものは人とのかかわりの中で育まれてきたものでありまして、特に木であったり紙であったりといったものでございますから、人がいなくなってしまうと、それは守っていくのは非常に難しいというものでございます。
 これをいかに計画的に守るかということで、左側には個別の文化財について保存活用計画を作っていただいて国が認定をするという仕組み、また右側に所有者の代わりとありますけれども、所有者の方に代わって文化財の保存活用を担うようなNPO団体でありますとか、社団でありますとか、財団でありますとか、そういったところが所有者の方とともに文化財を積極的に運営していけるような形にするというものでございます。
 また、最後3点目が地方の文化財行政の推進力強化ということでございまして、これは地方公共団体における文化財の保護の体制というのは非常に現在では厳しいものがございますけれども、これをどうやって推進力強化を図っていくかということでございます。
 1点目は、地方で文化財保護の所管というのは教育委員会が行うということになってございますけれども、例えば文化でありますとか景観でありますとか街並みといったものとの一体性ということで、徐々に様々なところと文化財部局が連携する例が多うございますので、条例によって文化財保護の担当を首長部局でも御担当いただけるといったようなことにするとともに、その場合には専門性の担保のために地方文化財の保護審議会というのを設置とするといったようなことを盛り込んでございます。
 裏面に書かせていただいておりますけれども、裏面の一番下ですが、施行期日31年4月1日というのを目指して取組んでいこうというものでございます。
 また、この法律案に関しては文化審議会の文化財分科会で検討を行っておりましたものですが、今回の文化審議会の答申は第一次答申ということでございまして、また文化財の関係では様々なことが課題として残っておりますので、また今後第二次答申、第三次答申というふうに検討が続いていくものと承知をしております。
 説明は以上でございます。
【岡田委員長】  ありがとうございました。文化財行政がどのぐらい変わるかというようなお話でございました。また後ほど御意見を伺いたいと思います。
 それでは、続きまして、話題となっておりますSDGsへの貢献を意識した取組を展開するということに当たりまして、その補助事業でしょうか、そういうものを含めて、事務局の方からお話を頂きたいと思うんですが、秦補佐、お願いします。
【秦国際統括官補佐】  本日はSDGsの関連の資料として2種類、資料6-4と6-5をお配りしております。6-4が、ユネスコにおいてSDGsへの貢献をどのように考えているかということを示す資料でございます。6-5が文部科学省の来年度予算等に関連して、SDGs達成に資するユネスコ活動推進を打ち出している関係資料でございます。
 資料の6-4はポイントだけ簡単に説明させていただきます。
 1枚目が、これは全般的にユネスコが関連するSDGsについて、ユネスコが簡単にまとめているものでございます。全体版でございます。グローバルレベル、地域レベル、国家レベルでこういったユネスコ活動を推進していきたいといったものでございます。
 おめくりいただきまして、2枚目でございますけれども、こちらが文化分野で貢献し得るということでまとめている資料でございます。ユネスコでは文化遺産創造性の推進などを通じて、文化は横断的に持続可能な発展のために様々な目標に貢献できるという図になっているかと思います。中心にゴール11と16を据えていらっしゃいますけれども、目的として主に文化のところでは、具体的には11.4というゴールになりますけれども、世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全というのが明示的に書かれている部分です。
 おめくりいただいて、3ページ目に参考までに11と16の目標の細かいところを示させていただいていますけれども、青字で示させていただいているところが文化系のところの保護・保全の努力を強化するというところです。
 基本的には2ページ目の図の円上に掲載されている複数のゴールについては、例えば人間と社会経済の発展、質の伴った教育、持続可能な都市、環境的な持続性、平和な社会作りといった観点で、文化分野横断的にユネスコ活動は貢献できるといった概念図になっております。
 4ページ目でございますが、こちらがコミュニケーション分野での貢献を示す図となっております。ユネスコでも情報やコミュニケーション、アクセスというようなところが最近では多くうたわれているところでございまして、ユネスコ内でもコミュニケーション・情報セクターの部署がございます。ゴールの4、9、16等を中心に据えていますけれども、創造性、イノベーションを促進する上で、オープンソリューション的なアプローチが重要であるという精神で、若い世代や女性を含むあらゆる人々によるICTの活用だとか、情報へのアクセスを可能にする取組が推進されているということでございます。
 また、文書へのアクセスを促進する取組としまして「世界の記憶」をやっていますけれども、これもそのような中での位置付けというふうにユネスコは整理しているところです。
 資料6-5でございますが、こちらは文部科学省におきまして、30年度に様々なユネスコ活動を推進する上で、SDGsを少しキーワードにして支援していくというようなこととしております。
 具体的に今この三本柱になっておりますけれども、右側の柱と真ん中の柱の部分ですけれども、国内の事業者が主体的に行う取組として、例えば真ん中のところは国際的なSDGs推進に貢献するユネスコ活動の助成として、これまでODA対象の支援事業として推進してきたものなのですが、今後は先進国を含む関係機関との協力をして実施する取組として衣替えをしております。
 さらに一番右の部分でございますが、こちらはESDの推進というところがございますけれども、自治体など学校以外の機関もSDGs達成に貢献する観点で、コンソーシアムを組んで能力開発に携わるというようなことを推進する事業でございます。
 この中でちょっと明示的に書いていないかもしれないんですが、ユネスコの様々な事業、例えば文化、科学、いろいろなコミュニケーション分野がございますが、そういうところの視点でコンソーシアムを組んで、人材開発、人材育成というキーワードで様々なステークホルダーが連携して行うものについても推進するというものです。
 簡単ですが、以上でございます。
【岡田委員長】  ありがとうございました。SDGs達成に貢献するための予算措置も講じられているということでございました。
 それでは、引き続きですが、委員の先生方が関わっていらっしゃる事業等につきまして御意見をいただきたいと思います。といいますのも、2019年に予定されております次のユネスコ総会では、そのユネスコ活動に関する戦略的な見通し、あるいはその事業の枠組み、そういうものを8か年の中期戦略ということでまとめるという議論が開始される。その次の中期というのは2022年から始まるということですけれども、それに関する議論の参考という形で各国からの意見がそこで戦わされるということだそうでございます。日本からもいろいろな活動や知見を基に、その中期戦略に関して貢献できればということで、今日は委員の皆様にも幅広く御意見を頂きたいという趣旨でございます。
 恐縮ですけれども、まず、島谷委員は九州国立博物館の館長をずっと務められていて、私も非常に興味を持って拝見しておりますけれども、博物館の取組について御紹介いただければと思いますが、いかがでしょうか。
【島谷委員】  うまくリンクしているかどうかというんですが、九州国立博物館は、特に日本文化の形成をアジアとの交流の観点から捉えるというミッションを立てて、博物館ができて13年になります。そういう観点でアジアの交流を図るために、学術交流協定というのを10館と結びまして、中国5、韓国3、あとベトナムとタイという形で、まだほかからも、学術交流協定を結びたいというところがすごくたくさん来ておりまして、現在中国が入館者の数ではなくて、国際交流ということで評価が大きく変わってきておりますので、中国の大きな博物館からも協定を結びたいというところがあるんですが、いかんせん体力の問題があるから十分にはできていないところで、学術交流協定といっても、それを交流することによって、博物館で展覧会を行う、あるいは向こうに展覧会を持っていくという、そういったような交流が実現しているところと、ただ単に親睦協定でお互いに研究をし合うというのと、両方の試みを進めているところでございますが、そういった点で国際交流という意味では非常に意味があるかなと思っております。
 ことに韓国・中国とは政府間でちょっと難しい政治的な問題があったりするんですけれども、担当者間では割と円滑な交流が進んでいるというところがありますので、更にそれは進めていく必要があろうかなとは思っております。
 あと、このユネスコ活動と共有するところがあるかどうか分かりませんけれども、科研費等をもらいまして、文化財のデータベース化というのをいろいろやっておりまして、それは日本で発信する場合とアメリカから発信する場合と両方ありまして、1つはまたこのユネスコとは別になりますが、カルコン(日米文化教育交流会議)というのがありまして、これは池田総理とケネディ大統領の時からスタートしたという、その中の下部組織として、美術対話委員会というのを隔年で日本とアメリカでやっている中において、今、取組んでいるのが、アメリカにおける文化財のデータベース化という、それで研究者を支援するというようなこともやっておりまして、来週ミネアポリスに行ってその辺を詰めてくることにはなっておりますが、そのデータベース化をすることによって、日本文化に特化することにはなりますが、継続的に日本美術研究者、日本文化研究者に便を図る。それも英語と日本語でやろうということで今進行して、その協力体制がどういうふうにしやすいかということを今検討している最中でございます。
 3つ目として、2019年ICOMの世界博物館大会を、3年に1回なんですけれども、京都でやることが決まっておりまして、その準備を着々としているところでございます。前回はミラノ、その前はブラジルという形で、各国の取組がそのICOMに対する姿勢を表しているのか、国民性を表しているのか特徴が、私もブラジルもミラノも行ってまいりましたけれども、いよいよ来年であるということで、その前の年ということで、各委員会が、31委員会あるんですが、その31の委員会を毎年どこかで開催をしているということなんですけど、今年はASPACというICOMのアジア・太平洋地域の大会を九博でしてくれないかという要請が委員長からありまして、この11月、12月にそのASPACの大会を九州国立博物館でやるというところまで決まっております。まだ理事会が開かれていないというので、細かい日時については11末か12の頭というところではございますが、そういった形で継続的に交流ができるような取組を、博物館の立場と政府の立場と両方あるかと思いますが、そんなことを九博ではやっております。
【岡田委員長】  ありがとうございました。ICOMの大会はかなり大きなものなんですね。
【島谷委員】  そうなんですね。ヨーロッパが中心ですが、数千人。
【岡田委員長】  京都に結集するということで。
【島谷委員】  ええ。京都に結集させて、一過性にならないようにするためにはどうしたらいいかということが今課題で残っているんですが、大会自体は恐らく大過なくうまく大成功で終わると思うんですが、ICOMの大会をやっただけということではなくて、日本にそのICOMという世界博物館との交流というのが根付く方向を、この1年でもう少し検討していきたいなと考えております。
【岡田委員長】  ありがとうございました。
 ただいま島谷九博館長から御紹介いただきましたが、そのほか、委員の先生方が活躍されているフィールドなんかで、ユネスコ活動の推進に貢献しそうだというようなことがございましたら随時御紹介いただきたいと思うのですが、何かございますでしょうか。
 山田委員は、白石のユネスコ協会で活動されているということですが、簡単な御紹介を。
【山田委員】  そうですか。今、委員長の方からありましたように、私は宮城県の南部にあります白石という約3万5,000人の市なんですけれども、そこのユネスコで活動しております。
 全部を把握しているわけではないんですけども、今、どういったことが行われているかというような感じで御紹介させていただきますけれども、今後もどうしても次世代へどのようにユネスコというのを広げていくかと。民間運動の方も、どうやってユネスコというものを広げていこうかということをずっと模索していたんですけども、私、最近一番思いますのは、ユネスコスクール、幸いにして私の市町村なんですけども、市のほうは全校がユネスコスクールに加盟していただきまして、それぞれの活動を行っております。
 どうしてもやはり地方に行きますと、その地方で持っている独特の文化ですとか、昔からの先ほど言ったいろいろな文化財ですとか無形文化財のようなものを子どもたちが継承していくと。そういった活動を各学校で行ってはいるんですけども、何分にも教育委員会単位が変わってしまうと、それがなかなかうまく活動ができていないと。
 子どもたちがやはりそういったユネスコスクールの活動を通じて、ユネスコというものにちょっとでも触れていただく、そういったお手伝いを我々民間ユネスコができればいいかなと思っておりまして、白石では3年くらい前から和食、和食が登録されましたので、その和食というのはどういうものか、そういったものを郷土の特色のある料理、あとはまたお年寄りとかそういった方を通じて、学校の授業の中で和食というものを今広げているような活動をしております。
 あとは、例えば私の町の宝物絵画展というのは前から日本ユネスコ協会連盟のほうでやっておりますけれども、そういったものを通して、子どもたちに自分の町というものを知ってもらう。そういった活動をして、それに加えて、その展示を行うのも、どうしても過疎化が進んで商店街が空洞化しておりますので、その商店街に協力を得まして、各商店にその絵を一点一点飾るようなことをやることによって、親御さんたちが商店に足を運んでいただくというようなこともやっております。
 ただ、やはり先ほど言いましたように段々ユネスコスクールが定着してはきているんですけども、そのもう一つの特徴としまして、横のつながりというものをもうちょっと持たせないと、ユネスコスクールというのも広がりは持ってこないのかなと。ですから、普及活動小委員会の中でちょっと私も発言させていただいたんですけども、国が主体的になって、その横のユネスコスクール同士のネットワークといったものをもうちょっと作っていただけないかなというようなことも思っております。一気に世界ということじゃなくて日本国内でもよろしいかと思うんですね。子どもたちが今やってるようなことを各いろいろな地域で情報交換をすることによって、子どもたちの理解が増え、ユネスコというものについての意識を持っていただけるのかなということを思っております。
 あと、今どうしてもESDというのが中心的になってるんですけども、SDGsということがなって、我々やはりユネスコ協会の中でも何がどうなんだという話が出てるんですけども、ただこの辺に関しまして、私は各学校で今取組んでいるようなそういった活動が、必ずSDGsのどこかに落とし込めるというようなことを思っていますので、余りその辺は難しく考えないで、今やってる活動を続けていく、そして広がりを持たせていくというのが次世代、どうしても我々高齢化が進んでいるというのが我々ユネスコ協会連盟の方では必ず問題にはなってるんですけども、ただ私は先ほどから言ったように、このユネスコスクールをうまく使っていく、これを広げていくことが、今後の子どもたちに対するユネスコの理解を広げていただけるのかなと思っております。
【岡田委員長】  ありがとうございました。地域の活動、いろいろあるというのが日本の特徴かと思います。
 もういつの間にか予定の時間が来ておりますけれども、ちょっと私の方から恐縮ですけども、1枚だけ用意させていただきました。御承知の方も多いかと思いますが、東文研に事務局を置いております文化遺産国際協力コンソーシアムにつきまして、簡単に御紹介だけさせていただきたいと思います。
 1昨年、たしか10周年の記念のシンポジウムを持ちましたですが、このコンソーシアムというのは、もともとは平成18年に制定された国際的な協力の推進に関する法律ということで、それに基づく基本方針が立てられて、それに基づく事業体といいますか、一応今のところは単年度事業として維持されている事業でございます。
 この4コマのスライドを見ていただきたいと思いますが、その組織の目的としましては、文化遺産の保護、特に海外の諸国と協力、あるいは日本からの支援を推進するということで、4つの柱で事業を運営しているところです。6つほどの分科会を設けて、ワーキンググループ等を設けまして、ネットワークを構築する。そして、先ほどデータベースの話もどこかで出ましたけれども、国際協力に関する情報をここに集約していく。そして、海外にどういう日本に対する需要があるかということを調査していく。さらにはこうした我々の活動を広報・普及していくというふうな、この4本の柱に基づいて予算を執行しているところです。
 分科会は、先ほど羽田先生の方からも少し御質問ありましたが、地域としては5つに分けまして、それぞれ委員会、小委員会を作って研究会のような委員会活動を続けております。そして、特徴的な活動としましては、コンソーシアムのスタッフないしはどなたか外部の先生に応援いただきまして、世界中のいろいろな国にどういう文化財支援の需要があるだろうか。またあるいは先進国はどういう形の途上国支援をしているだろうかというふうなことを調査して、そういうものをできるだけ広く日本の各関係者に広めていくようなこともやっております。
 そして、国民の皆様、あるいはコンソーシアムは会員制度になっていますが、その会員の方たちに情報提供の機会といたしまして、研究会あるいはシンポジウムを、研究会の方は年に原則2回、シンポジウムは1回開催することを常としております。
 今後ともこういう研究活動、研究会活動、あるいはシンポジウム、フォーラムというような活動を通じて、我々の活動をまず知っていただきたいし、この活動を通じて文化遺産にかかわる国際協力の面でユネスコの事業にも大いに貢献するのではないかと考えているところです。ちょっと簡単に過ぎたかもしれませんが、皆さん方に御承知おきいただきたいと思って、紹介いたした次第です。
 もう時間はないんですが、予定された時間は過ぎてはいるんですけれども、せっかくの機会ですのでもう一、二分よろしいですか。御質問等ありましたら、是非この機会ですので、御発言いただければと思いますが。
【羽田委員】  ちょっと質問ではないんですけど、提案というんでしょうか。
【岡田委員長】  はい。羽田先生。
【羽田委員】  このSDGsですけれども、私たちの東京大学、今、全学でFuture Society Initiativeというのを作っていまして、その核にしているのがこのSDGsというものです。これを使って学内の様々な研究をうまく体系化しようとしていまして、来年度ぐらいから相当規模の大きなフォーラムを毎年やっていく予定にしておりまして、その際にセッションの一つとして、例えばこのユネスコのこういうCulture as a driver and enabler for sustainable developmentというようなタイトルでそこにセッションを埋め込んでいただくと、ユネスコの活動と、それから大学の研究教育、それから国際的な連携というのがうまくつながるんじゃないかなと思いましたので、いずれもう少ししたら、また御相談をさせていただければと思います。
 それからもう一点よろしいでしょうか。
【岡田委員長】  はい。
【羽田委員】  日本遺産というのはとてもいい取組だと思うんですけれども、常にこの世界遺産と日本のストーリーというものが、世界の文脈で考える時と日本の文脈で考える時のストーリーの違いというのがあると認識していまして、長崎の教会群などについてもそういうようなことが言えるのかなと思うんですけれども、ですから、これをもし世界的に、ターゲットをどこにするかというのはとても大事で、日本の国内でやるんだったら日本の国内の説明の仕方で全然問題なくいけると思うんですけど、同じ説明の仕方で海外の人に関心を持ってもらったり、意義を認めてもらえるかっていうと、必ずしもそうでない場合もあると思いますので、そこのところ、是非注意していただくとありがたいなと思いました。
【岡田委員長】  ありがとうございました。日本遺産ももう少し海外を意識した活動をということです。
【小林委員】  ちょっと質問いいですか。
【岡田委員長】  はい、どうぞ。
【小林委員】  本当にただの質問なんですけど、ずっとこの間ユネスコの委員会や総会に出させていただいて、このSDGsの問題が出てくるたびに気になってたことなんですけども、ここの中に世界遺産とか文化財などの遺産系のものは積極的に入ってるんですけれども、何か芸術系のというか、生きた人たちが交流して行うタイプのものが、何か特にこの国内委員会の場合は積極的にやってない感じを受けるんですけれども、そこのことは、つまりそういう部分というか、日本の国内委員会でこういうものも取り上げていこうというのは、どういうふうにしたら取り上げられていくものなんでしょうか。
 先ほどの御発言でも創造ネットワークの話もありましたけれども、どうするとこの議題に上っていって、ちゃんとやる体制になっていくのかというのがちょっと私もまだ分からないんですけれども、何かもうちょっと、何かすごく具体的で申し訳ないんですけれども、例えば国際演劇協会とかはユネスコから何か指定だか何だかもされていて、かなり一生懸命な活動を国内ではされていると思うんですけれども、そういうものがここには出てきません。
 それから、例えば芸術家の交流みたいなものというのは、平和などを推進していく上ですごく重要だと思うんですけど、多分それは外務省系の国際交流基金等で積極的にされているんじゃないかと思うんですが、そういう問題は、例えば今日文科省のこのSDGsの来年度の予算というのが出てきましたけど、出てこない。ということは関係ないのかなと思っちゃったりするけど、すごくこれには関係してくる重要な問題な気がするんですがということで、何か意見のような質問のような形になって、ずっとちょっと疑問に思っていたことなので。
【岡田委員長】  私自身も文化遺産系の人間ですので、その辺はちょっと気にはなっておりますが、何か文化庁さん、あるいは事務局の方から。
【秦国際統括官補佐】  そうですね。確かに先生おっしゃるように、今回、芸術系というところが出てくるところが少ないのではあるんですけれども、文化一般として、最後にちょっと説明させていただきましたSDGsというところのキーワードで、ユネスコの活動は様々広いので、何かしらSDGsに関連するところを考えながら、芸術家も含めてどんな活動ができるか考えてもらうことを支援するようなスキームには一応はなってるので、私どもの方としましても、その辺もうちょっと強調した形で今後広報したり、考えていきたいと思います。
【岡田委員長】  結構文化庁の予算の中には盛り込まれていますよね。
【小林委員】  ええ、そうなんですよね。はい。
【岡田委員長】  ありがとうございました。もう予定の時間をかなり過ぎておりますので、もっと御発言いただくべきところかもしれませんけれども、申し訳ないですけれども、今日の議事はこれぐらいにさせていただいて、先生方には今後ともユネスコ活動の推進に向けて御健闘・御尽力いただきたいとお願いしたいと思います。
 あと、じゃあ、事務局の方から何かございますでしょうか。
【秦国際統括官補佐】  今後の予定としまして、ちょっと先ですけれども、次回のユネスコ国内委員会の総会は今年夏頃、8、9月ぐらいに開催の見込みですので、また詳細が決まりましたら御連絡申し上げますので、よろしくお願いいたします。
【岡田委員長】  8、9月ぐらいですか?
【秦国際統括官補佐】  はい。
【岡田委員長】  ありがとうございました。
 それでは、ちょっと最後ばたばたして非常に失礼いたしましたが、本日の委員会はこれで閉会とさせていただきます。本当に先生方、お忙しいところ御出席いただきましてありがとうございました。また今後ともよろしくお願いいたします。失礼いたします。


── 了 ──


お問合せ先

国際統括官付