日本ユネスコ国内委員会 第159回教育小委員会

1. 日時

令和8年8月7日(金曜日)10時00分~12時00分

2. 場所

文部科学省12階大臣官房国際課応接室(オンライン開催)

3. 出席者

(委員)
伊藤委員、井上委員、井本委員、大矢委員、小山田委員、北村委員、木下委員、貞広委員、末吉委員、杉村委員、髙橋委員、田代委員、田中委員
 
(事務局)
原事務総長(文部科学省国際統括官)、岩佐副事務総長(同省国際統括官付国際交渉分析官)、小林事務局次長(同省国際統括官付国際戦略企画官)、生田目事務総長補佐(同省国際統括官付国際統括官補佐)、その他関係官

 

4. 議事

【北村委員長】  おはようございます。本日は、御多忙のところお集まりいただき、誠にありがとうございます。
 定刻になりましたので、事務局は定足数の確認等の事務連絡をお願いいたします。
【生田目国際統括官補佐】  本日は出席の委員が12名で、委員の過半数でございますので、定足数を満たしております。
 本日は、報道及び一般からの傍聴を受け付けており、報道関係者からは、NHK、共同通信社、日本テレビ、読売新聞から取材申込みがございましたので、お知らせいたします。
 取材及び傍聴の皆様は、カメラをオフ、マイクをミュートのまま御参加ください。なお、カメラ又はマイクがオンになっている場合は、事務局の操作によりオフにする、もしくは御退出いただくことがありますので、あらかじめ御了承ください。
 御出席の委員の皆様におかれましては、カメラをオンにしていただき、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。また、御発言の際は、お名前をお伝えいただいた上で御発言くださいますようお願いいたします。
【北村委員長】  それでは、ただいまより第159回教育小委員会を開催いたします。本日の議事進行を務めます教育小委員会委員長の北村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 なお、本日の議事における御発言は、議事録としてホームページ等で公開されますので、御承知おきください。
 会議に先立ちまして、北山前国際統括官が本日8月7日付で東京国立近代美術館長に御就任されました。本日は、離任の御挨拶のため御出席いただいておりますので、御挨拶をいただきたいと存じます。北山館長、どうぞよろしくお願いいたします。
【北山前国際統括官】  ありがとうございます。委員の皆様方、この1年4か月にわたり国際統括官として勤務してまいりました北山でございます。本日付で、東京国立近代美術館長に異動することとなりました。大変お世話になり、ありがとうございました。
 この間、ちょうど日本のユネスコ加盟75周年という節目の年を迎え、委員の皆様方にも記念フォーラム等に御参加いただきましたこと、御礼申し上げます。
 また、昨今、日本型教育の海外展開については、先般報道にあったとおり、ユネスコ事務局長から松本大臣に対し、日本型教育をユネスコとの連携の下でアフリカ各国に広げていこうという提案がありました。現在、エジプトの教育大臣が来日しており、松本大臣と会談された際にも、この点について日本とエジプトで協力していくことが合意されたところでございます。こうした新しい展開が生み出される時期にも立ち会うことができ、非常に幸せだったと思います。これからも、委員の皆様方の御協力を何とぞお願い申し上げたいと思います。
 最後に、竹橋の東京国立近代美術館にも、どうぞ皆様お運びいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 本当にありがとうございました。
【北村委員長】  北山館長、どうもありがとうございました。
 北山館長が統括官として御在任中、ユネスコと日本との連携が非常に発展したと強く感じております。また、これから東京国立近代美術館において新たな職務に就かれますが、御活躍されることと思っております。北山館長の今後ますますの御活躍を楽しみにしております。
本日は本当にありがとうございました。
【北山前国際統括官】  ありがとうございました。
【北村委員長】  それでは、続きまして、昨日付で新たに国際統括官に着任されました原国際統括官から御挨拶をいただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【原国際統括官】  ありがとうございます。
 委員の皆様方におかれましては、御多忙の中、本日の委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。ただいま委員長から御紹介いただきましたとおり、昨日、8月6日付で先ほど御挨拶いただいた北山前国際統括官の後任として、国際統括官及び日本ユネスコ国内委員会事務総長に着任いたしました原と申します。よろしくお願いいたします。
 これまで御活躍されてきた北山さんの後任ということで、非常に重責を感じているところでございますけれども、精いっぱい頑張っていきたいと思いますので、皆様の御協力をよろしくお願い申し上げます。
 はじめに、令和8年度熊本地震によりお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災された全ての方々に、心よりお見舞い申し上げます。文部科学省といたしましては、被災された熊本県をはじめとする自治体への支援に全力で取り組んでまいります。
 また、本年5月20日に開催いたしました「日本のユネスコ加盟75周年記念フォーラム」につきましては、モデレーターをお務めいただいた北村委員長をはじめ、多くの関係者の皆様に御協力、御参加いただきました。この場をお借りして改めて御礼申し上げます。誠にありがとうございました。
 エルアナーニー事務局長からは、教育・科学・文化を通じて人と人とのつながりを育むことが平和な社会の実現につながり、それこそがユネスコの使命であるとのお話があったと伺っております。教育は、その理念を具体化する中核的な分野であり、本日の議論もそうした視点から深めていただければと考えております。
 本日でございますが、まず、前回の小委員会以降のユネスコにおける教育分野の動向について御報告させていただきます。執行委員会における議論の状況に加え、教員の地位に関する勧告の改訂、ポスト2030年グローバル教育アジェンダの検討、それからESDに関するユネスコ世界会議の開催など、今後の国際的な教育改革の方向性に関わる重要な動きが進んでおります。これらを踏まえ、我が国としてどのように参画し、貢献していくかについて御説明させていただきます。
 また、国内の動きといたしましては、日本のユネスコ加盟75周年を契機としたユネスコ活動の活性化及び普及啓発の取組、それからユネスコスクール全国大会について御報告させていただきます。
 併せて、本日は地域ユネスコ協会における教育活動の取組状況についても御報告いただくこととしております。これらを通じて、ユネスコの理念の一層の普及と教育活動の充実に向け、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をいただくとともに御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 それでは、北村委員長、よろしくお願いいたします。
【北村委員長】  原統括官、どうもありがとうございました。これからどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、本日の会議の配付資料につきまして、事務局より説明をお願いいたします。
【生田目国際統括官補佐】  資料につきましては、資料1及び資料2-1から2-4まで、それから参考資料1から4までとなっております。過不足がございましたら、事務局まで、チャット等で御連絡いただければと思います。
 
<議題1.ユネスコにおける最近の教育分野の動向と今後の取組>
 
【北村委員長】  ありがとうございました。
 それでは、議事に移ります。議題1「ユネスコにおける最近の教育分野の動向と今後の取組」につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
 なお、質疑は説明終了後にまとめて行わせていただきます。それでは、事務局、お願いいたします。
【生田目国際統括官補佐】  資料1でございます。まず、第224回ユネスコ執行委員会について御報告いたします。
 ユネスコ執行委員会は、2026年4月8日から23日まで、パリのユネスコ本部において開催されました。我が国からは、北山国際統括官及び加納ユネスコ特命全権大使が政府代表として出席いたしました。
 主な教育関係の議題について御報告いたします。SDG4教育2030のグローバルレベル・地域レベルにおける調整・モニタリング支援につきましては、執行委員会において定例的に報告されている議題でございます。こちらは、事務局から、2026年から2027年にかけてのSDG4 High Level Steering Committeeの新たなメンバーが決定されたことを歓迎すること、SDG4 Youth & Student Network(ユース・学生ネットワーク)の積極的な関与を評価することなどの決議案について説明がございました。
 このHigh Level Steering Committeeでございますが、SDG4をユネスコとしてどのように推進していくかについて議論する閣僚級の会議体であり、世界の6地域からそれぞれ2か国ずつが参加しております。2026年、2027年のサイクルにおいては、アジア・太平洋地域からはインド及び韓国が参加しております。
 我が国からの発言でございます。2015年にSDGsが採択されて以降、ユネスコに対し、任意拠出金である日本政府信託基金を通じて約1,100万米ドル(約14億円)を拠出し、持続可能な開発目標の達成に向けた様々なプロジェクトを支援してきたこと、また、新たにポスト2030教育ユース宣言の策定プロセスに対して23万米ドル(約3,400万円)を拠出して支援することを説明いたしました。また、その一環として、本年秋に東京の国際連合大学において同ユース宣言の起草会議を開催する予定であり、世界各国のユースの参画を期待していることなどを発言いたしました。
 決議案につきましては、SDG4を推進するため、ユネスコの通常予算を優先的に配分することなどに関する修正案が提出され、採択をされました。
 続きまして、ILO(国際労働機関)・ユネスコ所管の「教員の地位に関する勧告」(通称1966年勧告)並びにユネスコが所管する「高等教育教員の地位に関する勧告」(通称1997年勧告)について御報告いたします。
 本件は、前回の教育小委員会においても、改訂に向けた実務が始まる旨を御案内したところでございます。
 各勧告の概要でございますが、1966年勧告は、主として初等中等教育段階の教職に関する唯一の包括的な国際基準となります。また、1997年勧告は、1966年勧告を補完するものとして、高等教育機関特有の事情に関する国際基準を定めたものです。いずれの勧告も、法的拘束力はありません。
 改訂の経緯でございますが、特に1966年勧告は、採択から60年が経過する中で教育環境が大きく変化しており、時代に即した勧告とするため改訂に着手されております。
 具体的な改訂のスケジュールは記載のとおりでございます。2026年から具体的な検討が始まっており、専門家会合による草案の作成、加盟国との協議・修正を経て、2027年秋の採択を目指しております。既に専門家会合が3回開催されておりますので、主な意見を御紹介いたします。
 1966年勧告でございます。多様な意見が出ておりますが、特に、教員の労働条件やキャリアに関する観点から多くの意見が出されております。教員不足への対応として、多様な教員養成ルートの確保、教職の社会的評価の向上、適切な給与待遇、あるいは教員のワーク・ライフ・バランスやウェルビーイングを確保するべき。また、AIの活用をはじめとする社会変革のスピードが加速することに対応できるよう、教員が継続的にスキルアップを図れる研修制度を充実させるべきとの意見が出されております。
 また、1997年勧告に関しましても、非常に多様な意見がございますが、学問の自由や機関の自律性は教育の質を支える基本的な原則であるといった意見や、民主的なガバナンスが大切であるといった意見が出されております。
 また、テクノロジーの進展や高等教育機関の多様化、グローバル化の動向を踏まえる必要性が多く指摘されております。特に、テクノロジーや生成AIの進歩に関しては、これらの倫理的な活用の重要性や人間中心のアプローチが強調されております。また、ジェンダー・エクイティや女性のキャリアアップへの配慮についても、その必要性を指摘する意見が多く出されております。
 なお、1966年勧告につきましては、専門家会合に国立教育政策研究所の藤原部長に御参画いただいております。
 続きまして、ポスト2030グローバル教育アジェンダ策定に向けたユース・リーダーシップ事業について御紹介いたします。
 こちらは、SDGsの達成期限である2030年が近づく中、ユネスコと文部科学省が連携し、世界のユースの意見を集め、ポスト2030年の教育に関するユース宣言を策定する事業です。取りまとめられたユース宣言は、2027年春に開催予定の閣僚級グローバル教育会合に提出される予定であり、ポスト2030年の教育アジェンダの形成に向けた国際的な議論につながる重要なユースからのインプットになると考えております。
 本事業を通じて、日本の若者の意見を次期教育アジェンダに届けるとともに、日本の若者が国際的な議論に参画する機会を提供し、将来の国際人材の育成にもつなげたいと考えております。
 こちらのスケジュールでございますが、2026年4月から9月にかけて、現在オンライン調査が実施されております。こちらは11歳から30歳までの方が回答可能な形で、9月20日を締切りとしております。その後、オンライン調査の結果をユネスコが取りまとめ、分析した上で、10月28日及び29日に国際連合大学において起草会議が開催されます。世界各国のユースリーダー約30名が参加する予定となっており、日本のユースも参加することとなっております。
 また、先ほど御案内したとおり、取りまとめられたユース宣言は、2027年の3月から4月にかけて開催されるグローバル教育会合に提出される予定でございます。これに関連して、日本におけるイベントを御紹介いたします。先日8月2日に、次世代ユネスコ国内委員会等が主催するオンラインの周知イベントを開催いたしました。こちらは、ユネスコが実施しているオンライン調査の概要や参加方法について説明したり、自分であればどのようにこの調査に回答するかといった事例を交えながら意見交換を行いました。
 また、今後、10月上旬に再度オンライン意見交換会を計画しております。実際に調査に回答された方々に集まっていただき、問題意識の共有や日本として起草会議にどのような内容をインプットしていくべきかといった点について御議論いただく予定です。
 また、10月29日、起草会議の2日目には、オープンセッションが予定されており、傍聴可能となっております。ユース宣言がお披露目されるタイミングで、オンラインを通じて世界に向けて公開する方向で調整を進めております。
 これに関しまして、なるべく多くの日本のユースの方々にオンライン調査に御協力いただきたいと考えております。先週、委員の皆様にも周知の御協力依頼のメールをお送りしたところでございますが、周囲にユースの方がいらっしゃいましたら、是非広めていただけますと幸いです。
 この調査への回答につきましては、日本語で記入いただいて差し支えないとのことです。また、質問項目につきましても、日本語版がユネスコのウェブサイトに掲載されておりますので、そちらも参考にしていただければと思います。
 最後に、ESDに関するユネスコの世界会議の御報告でございます。こちらの背景としましては、ESD世界会議は、2009年にボン、2014年に名古屋、2021年にベルリンで開催され、日本とドイツがESDの世界会議を牽引してきたところでございます。今回は、初めてアフリカでの開催となりますが、ESDのさらなる普遍化・定着に向けた重要な節目となる会議であると受け止めております。
 開催日程でございますが、2027年1月13日から15日まで、ケニアのナイロビにおいて開催されます。参加者につきましては、各国の大臣級から実務者まで様々な方、約500名の参加を想定して準備が進められております。
 開催の目的でございますが、ESD for 2030年の枠組みにおけるこれまでの進捗をレビューして、課題と教訓を特定し、今後の活動方針を導き出す。つまり2030年までに我々としてやらなければならないことの取組の強化を共有するということです。また、SDGsの達成期限を見据え、ポストSDGsにおけるESDの方向性に関する国際的な合意を形成して、国連主導で進められるポストSDGsの議論に反映させていくことを目的として実施することとしております。
 次に、日本の貢献・参画でございます。まず、開催経費として、日本政府信託基金からユネスコに対し一部支援を行うこととなっております。また、世界会議の企画等や成果文書について議論するアドバイザリー・グループに北村委員長に御参画いただいており、日本の知見を積極的にインプットしていただいているところでございます。
 また、この会議の場で、日本の教育の強みである知・徳・体の調和の取れた「全人教育」をテーマとした分科会を、国際課で実施しているEDU-Portニッポン事業(日本型教育の海外展開事業)と連携して申請する予定でございます。
 また、日本の教育産業等を紹介する展示ブースを会場の一角に設置することを検討しております。
 以上が御報告です。
【北村委員長】  ありがとうございます。
 それでは、ただいまの事務局からの御報告について、御意見、御質問がある方は、挙手ボタンでお知らせください。よろしくお願いいたします。
 【生田目国際統括官補佐】  末吉委員が挙手されています。
【北村委員長】  末吉委員、よろしくお願いいたします。
【末吉委員】  御説明ありがとうございました。エシカル協会の末吉里花でございます。よろしくお願いいたします。私からは、日本のユースからの具体的な発信と関わりについて、2点、意見を申し上げます。
 まず、SDG4の国際動向をはじめ、ユースの存在がこれまでにないほど重視されていますが、日本もユースによる独自の貢献を主張できるといいかなと考えています。ユースが主体的に取り組んでいる事例は、国際的にもアピールできるものであり、望ましいと考えます。
 例えば、聖心女子大学を中心に作成しているユネスコ教育勧告に関する教材は、前回の会合でも何名かの委員から評価されていたと思いますし、私も意見を申し上げました。今年度は関西と関東の大学生が、ユースならではの教材制作に取り組んでいると聞いております。そうした事例を、具体的な成果物とともに国際的にもアピールできるように応援していけるといいのではないでしょうか。
 2点目です。資料の4ページに記載されていましたユースの声をポスト2030教育アジェンダに届ける取組について、大変心強く思っております。これまでユースの皆さんと関わる中で、参加の機会だけでなく、提案がその後どのように扱われたのかが見えることが継続的な参画の鍵だと感じています。そこで、第1に、参加者の多様性、とりわけ声を届けにくい状況にある苦しい思いをしている若者をどう包摂するのかという点がとても重要であると思っております。
 第2に、提案の反映状況をユースへ返す仕組み。第3に、起草後の実施と評価にも、ユースが共同責任者として関われるような仕組みも必要なのではないかなと思っております。
 また、ポスト2030では、気候危機を環境だけの問題にせず、人権、貧困、平和、世代間の課題と結び付けて教育の中核に置くことが必要だと思っております。
 以上です。ありがとうございます。
【北村委員長】  末吉委員、ありがとうございます。重要な御指摘を頂戴したと思います。
 学生たちによる教材開発については、是非様々な機会、特に1月のESD世界会議でも発信できるとよいと思いました。2点目の単に参加するだけではなくて、そこでどのようなインパクトをもたらしたのか、またそこの評価に関わる仕組みづくりについても是非検討できればと思います。貴重な御意見をありがとうございます。
 それでは、杉村委員、お願いいたします。
【杉村委員】  本日も貴重な機会をありがとうございます。私からも2点コメントさせていただきます。
 1つは、資料1の3ページにあるILO/ユネスコ教員の地位に関する勧告についてですが、このうち特に1997年勧告の高等教育に関して、この改訂が行われようとしていることは大変意義深いと思います。
 御説明にあったとおり、長い期間を経て、特に今、高等教育も様々な節目を迎えているように思います。先ほどの御説明にあったとおり、高等教育の役割は、地政学的な影響や科学技術政策等とも大きく関わりつつあり、そうしたことが本来の教育の役割を少し難しくしたり、複雑な国際関係の影響を受ける部分もあるので、今こそ、ユネスコがこうしたことでイニシアチブを取り、日本としても、学問の自由や高等教育機関の自律性等に重点を置いた勧告の重要性を発信していくとよいと思います。
 御参考までになのですが、この勧告に当たっても、現在、様々なステークホルダーから意見聴取が行われているかと思いますが、国際大学協会IAU(International Association of Universities)という大学を会員とする国際的な団体があり、パリに本部を置いています。私は現在上智大学に所属しているのですが、前学長がIAUの理事を務めていることもあって、本年5月、6月頃にオンラインでIAUが実施した意見交換の場に参加させていただきました。様々な国から見直しに関する意見が出されており、そうした意見が本会議に送られ、現在議論が行われていることと思います。
 また、もう一つ、先日、ニューヨークの国連本部で第2回国際高等教育シンポジウムが開催されました。国連のハイレベル政治フォーラムのサイドイベントで行われたものですが、私もお招きいただいて参加させていただきました。ユネスコをはじめ、国連の高等教育サステナビリティ・イニシアチブ、あるいは、先ほど申し上げた国際大学協会(IAU)、国際学術会議(ISC)、国連のアカデミック・インパクトなどの関係者が集まり、グローバル高等教育コンセンサス声明が正式に発表されました。恐らく、そういったことともこの勧告が関連し、ユネスコは今後もイニシアチブを取っていくと思いますので、御参考までにお伝えいたします。
 もう一点は、先ほど末吉委員からも御指摘のありましたユースの活躍についてです。5ページにあるESDに関するユネスコ世界会議は、今回初めてグローバルサウスで開催されるということで、既に委員長の北村先生はじめ、日本からもプレゼンスを示し、ESDの先進国として発信していただいていることと思います。是非意義深い会議になりますように期待するとともに、この機会に、日本の様々な優れた実践も、先ほど末吉委員からの御指摘にもありましたとおり紹介されると思いますので、是非、皆様の日本の実践をESD世界会議の場でも知っていただけるとよいと強く思いました。
 以上、2点でございます。ありがとうございます。
【北村委員長】  ありがとうございます。とても貴重な情報と御意見をありがとうございます。
 確かに今、大学も経済安保等の影響から逃れられない状況にある中で、ユネスコならではの視点からこの勧告をどのように考えるのか、そしてそこに日本からどういったメッセージを発信するのかが重要だと思います。IAUや国連本部でのイベント等でも議論されていますが、そうした議論も踏まえつつ、日本からのメッセージの発信もこれから重要になってくると感じました。
 また、ESD世界会議につきましても、貴重な御意見をありがとうございます。是非、ユースをしっかり巻き込みながら進めていければと思います。
 それでは、井本委員、お願いいたします。
【井本委員】  井本です。ありがとうございます。
 1点、質問させていただきたいと思います。ポスト2030のグローバル教育アジェンダについて、2030年以降のポストSDGsの在り方に関しては、2027年から国際的な議論が始まるとされているものの、現在の国際情勢を受けて、果たして国際社会が一丸となってSDGsのような、あるいはMDGs(ミレニアム開発目標)のような包括的なイニシアチブを打ち出せるのかどうかに関して、予断を許さない状況かなと見ています。その中で、ポスト2030のグローバル教育アジェンダに関して、ユネスコとしてはどのように教育アジェンダを今後、国際社会で進めていこうとしているのかということ。また、それに対して日本政府としてはどのようなスタンスで関わろうとしているのかということを、参考までに教えていただければと思います。
 以上です。
【北村委員長】  ありがとうございます。
 それでは、事務局のほうから、お願いいたします。
【生田目国際統括官補佐】  ユネスコでのポスト2030に向けた議論というのは、まさに今始まったところでございまして、これからいろいろなことが議論の俎上に上がってくるのかなと思っております。日本としても、ユース宣言の起草会議やESD世界会議において、日本の事例や知見を積極的にインプットしていくことで、この議論をリードしていく形で参画していきたいと考えています。
【北村委員長】  井本委員、いかがでしょう。
【井本委員】  ありがとうございます。
 ということは、これからの議論の中で様々な加盟国との意見交換を通じて、どのように新たな目標を打ち出していくのか、あるいはSDGsで掲げたことを継承していくのか、SDGsのような包括的な形になるかどうかも分からない中で、ユネスコとしては引き続き、教育アジェンダを次のフェーズに向けて打ち出していこうという動きがあると理解してよろしいですか。
【生田目国際統括官補佐】  そのとおりでございます。
【井本委員】  ありがとうございます。
【北村委員長】  ありがとうございます。
 これはまだまだこれからの議論になるかと思いますが、持続可能性という理念は維持しつつ、ビヨンドSDGsという観点から、更にウェルビーイング等様々な議論もあります。個人的な見解になりますが、教育の質というのは、非常に重要な問題として20年以上議論されているわけですが、日本が積み重ねてきた日本型教育の一つのよさというのは、教育の質を高める上で参考になる様々な取組にあるのではないかと感じております。ESD世界会議でも、そういったところをしっかりと打ち出していければいいのかなと思っております。
 それでは、ほかに御発言はないようですので、最後に一点補足させていただきます。私も現在、ESD世界会議のアドバイザリー・グループのメンバーとして参加しておりますが、先ほど末吉委員から、環境だけではなく幅広いアジェンダというお話がありました。ESD世界会議においても、環境だけではなく幅広いアジェンダをしっかりと打ち出していきましょうという議論が行われております。
 また、多様な学びの在り方については、まさに日本の全人教育に通じる議論がESDアドバイザリー・グループの中でも行われております。加えて、モニタリング評価をどうしていくのかとか、民間企業の役割をしっかり打ち出しましょうということが議論されていまして、事務局から御提示いただいている方向性と軌を一にしながらアドバイザリー・グループの議論が行われていると個人的には感じております。
 以上、簡単ですが、補足とさせていただきました。
 ほか、よろしいでしょうか。後ほど何かお気付きの点があれば、御質問、御意見等を頂戴できればと思います。それでは、次の議題に進めさせていただきます。委員の皆様、貴重な御意見、御質問を頂戴し、ありがとうございました。
 
<議題2.国内のユネスコ関連教育事業の動向と今後の取組>
 
 それでは、議題2「国内のユネスコ関連教育事業の動向と今後の取組」に移りたいと思います。質疑は御説明及び御発表の後にまとめて行いたいと思います。
 まずは事務局から、資料2-1及び資料2-2について説明をお願いいたします。
【小林国際戦略企画官】  ありがとうございます。
 資料2-1を御覧ください。まず初めに、75周年記念事業の進捗状況として、5月20日に開催された記念フォーラムについて、簡単に御報告申し上げます。
 5月20日に国際連合大学において、文部科学省、日本ユネスコ国内委員会、外務省、国際連合大学の共催により、同フォーラムを開催しました。多くの国内委員の皆様に御参画いただき、改めて感謝申し上げます。
 当日は、エルアナーニー事務局長をはじめ、松本文部科学大臣、茂木外務大臣など、国内外の関係者が参加し、日本のユネスコ活動の歩みを振り返るとともに、今後の展望について意見交換を行いました。松下奈緒さんを迎えたトークセッションや、教育・科学・文化分野のパネルディスカッションでは、平和への貢献、若者の参画、多様な主体との連携の重要性について活発な議論が行われました。
 さらに、北村委員長には、モデレーターに加え、教育分野におけるこれまでの成果と今後の展望について御講演いただき、この場を借りて改めて御礼申し上げます。
 ユネスコへの継続的な貢献を行ってきた企業・団体への感謝状の贈呈も実施し、日本とユネスコの官民をはじめとする協力関係を改めて確認するとともに、今後の更なる連携に向けた機運を高める機会となりました。
 続いて、75周年記念事業の一環で、日本ユネスコ国内委員会会長表彰の募集を開始いたしました。実施要項は資料を御覧ください。
 表彰の対象は、日本国内に活動拠点を有し、地域のサステナビリティの向上、そしてSDGs達成に貢献する顕著な取組が認められるユネスコ活動を行っている団体であり、自薦・他薦を問わず応募いただくことしております。
 昨日、8月6日から募集を開始し、9月25日までとなっております。受賞者の発表は、11月初旬に日本ユネスコ国内委員会ホームページで行うとともに、11月14日にユネスコスクール全国大会にて併せて表彰式を実施する予定です。たくさんの優れた取組の御応募を期待しております。
 続いて、そのほかの普及啓発の取組として、記念動画の公開、記念ポスターの制作に続き、『るるぶ 日本のユネスコ世界遺産・登録サイトをめぐる旅』を制作・刊行し、全国の書店で先月から販売しております。本書では、世界遺産、無形文化遺産、ユネスコ世界ジオパーク、ユネスコエコパーク、世界の記憶、そして創造都市ネットワークなど、日本のユネスコ登録事業を北から南まで横断的に取り上げ、観光と学びの両面から幅広く紹介をしております。是非御一読いただくとともに、周囲の皆様にも是非御紹介いただけましたら幸いです。
 続いて、今年度のユネスコスクール全国大会について御紹介します。今年度も、ネットワークの活性化と活動の深化に資する情報収集・共有の促進を図るため、全国大会を開催いたします。この場で、日本ユネスコ国内委員会会長表彰も併せて行います。
 テーマとしては、ユネスコの登録サイトとユネスコスクールを結び付けることを目指し、国内外のそうした題材を教育的に活用している好事例を共有することとしております。
 今年は11月14日(土)に、国立オリンピック記念青少年総合センターで開催し、オンラインでも配信をいたします。
 主なプログラムは資料にあるとおりで、会長表彰に引き続き、基調講演として、国内外の好事例の共有のため、ユネスコ本部よりユネスコスクール担当部長を招へいします。また、二つ目の基調講演では、今年、ユネスコ世界ジオパークに登録されたMine秋吉台ジオパークと連携した学びの提供事例について、美祢市長から御発表いただきます。さらに、パネルディスカッションでは、近隣諸国のユネスコ国内委員会職員を招聘し、ユネスコスクールの国際交流に関する好事例を共有いただく予定でございます。
 全国大会の紹介は以上でございます。
【北村委員長】  ありがとうございます。
 それでは、続きまして、資料2-3につきまして、調査研究を受託している金沢大学の加藤隆弘教授より御報告をいただきます。加藤先生、お願いいたします。
【加藤教授】  こんにちは。金沢大学の加藤と申します。ユネスコエコパーク・ユネスコ世界ジオパークが作成している教材の収集・活用発信に関する調査研究の経過報告について、簡単に御紹介させていただきます。
 まず、背景と課題意識についてですが、ユネスコエコパーク・ユネスコ世界ジオパーク地域では、ESDや地域学習等に利用可能な様々な教材が個別に作成され、地域で活用されております。一方で、教材情報、それらの教材がどのようなところにあるのか、あるいはどのように地域で活用されているのかといった情報については各地に分散している状況です。そのため、地域を超えたところや学校間での共有や活用は十分に進んでいないのではないかと考えております。また、教材の全体像を把握し、活用していくということが非常に難しい状況にあります。
 こうした課題を踏まえ、教材情報の収集・整理・見える化を行い、全国のユネスコスクールをはじめとする各学校で活用可能、あるいは検索が容易になるような形で、共有・活用できる仕組みを構築してまいりたいと考えております。
 調査研究の趣旨・目的についてですが、それらの教材情報や活用事例、実際にどのように活用されているのかといった情報、効果的な活用事例等が埋もれているため、これらを収集・整理し、まず現状を把握していきます。
 次に、教材それぞれの特徴や、利用に際してそのまま使用可能か、ある程度改変して構わないのか等の利用条件等を整理するとともに、教材情報を共有し、発信するための手法について整理・検討を行い、それらを踏まえて教育資源を可視化し、ユネスコスクールをはじめとする全国の学校におけるESD・地域学習の一層の充実を図ることです。
 具体的には、まず教材を集めたポータルサイトの作成を考えております。その際、それぞれの教材について、どのような特徴があるのか、また、高校生、中学生、小学生など、どのような世代を対象に作成された教材なのか、さらに、各学年や教科等とのつながり等を整理したいと考えております。検索時に条件を指定することで、「4年生向けの教材にはどのようなものがあるか」ということが見えるような形で検索できるポータルとしてまとめていけないかということを考えております。ただし、非常に多くの教材が、様々な場所に分散しておりますので、まずはそれらを収集する作業を進めていきたいと考えております。
 作業のイメージとしては、まずは10月頃にかけて教材情報を収集してまいります。この際、全国の取りまとめ団体や各地域で活動されている団体にも調査を依頼し、情報提供いただきたいと考えております。10月から11月頃を目途に教材情報を整理し、並行してポータルサイトの設計を進めます。11月頃から1月頃にかけて初版の教材ポータルサイトを制作に着手し、1月から2月頃にかけて、整理できた内容を全国へ発信するというスケジュールで取組を進めてまいりたいと考えております。
 また、この作業を進める中で、皆様に御協力をお願いする場合があろうかと思いますが、その場合には何とぞよろしくお願いいたします。
 簡単ですが、私からの御報告は以上です。
【北村委員長】  加藤先生、ありがとうございます。
 とても重要なプロジェクトだと思います。非常に貴重な教育資源がなかなか活用されずに埋もれてしまうことがないよう、学校間、地域間を超えて共有される仕組みづくりは大変な作業だと想像しますが、引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは、続きまして、地域ユネスコ協会の取組について、木下委員より事例発表をお願いいたします。
【木下委員】  よろしくお願いします。本日は、地域ユネスコ協会の教育活動、役割、そして今後の展望について、事例を基に取組を御紹介いたします。
 今年、日本はユネスコ加盟75周年という大きな節目を迎えました。全国では、この75周年を契機に、平和フォーラムや記念講演会、ユースイベントなど、各地の特色を生かした様々な取組が広がっています。
 その中でも「平和の鐘を鳴らそう2026」は、全国の地域ユネスコ協会が一つのテーマの下で取り組む共同アクションとして展開されています。この活動は、鐘を鳴らすこと自体が目的ではありません。平和について考え、学び、対話し、行動へつながるきっかけを地域につくることが、その本当の目的です。私は、この取組は地域ユネスコ協会が果たしている役割を象徴する活動だと感じています。
 地域ユネスコ協会の役割は、イベントを開催することだけではありません。教育・科学・文化を通して、平和を築くというユネスコの理念を地域社会に広げ、学校、自治体、地域住民、企業など、多様な主体をつくることが大きな役割と思っています。
 「平和の鐘を鳴らそう2026」でも、その役割が様々な形で表れています。例えば、岐阜県ユネスコ協会では、市や学校と連携し、中学生が自ら平和宣言を作成、発表しています。子供たちは、平和を学ぶだけでなく、自分の言葉で地域へ発信する経験を通して、主体的に平和について考える力を育んでいます。
 また、日本ユネスコ協会連盟は、公益社団法人かめのり財団と共催で、ユネスコスクール加盟校の高校生が実際にカンボジアを訪れるツアーを企画、開催しています。今年度も7月26日から8月2日までで実施され、現地のユネスコ事務局や運営する寺子屋を訪問して、現地の方との対話をし、内戦の話や教育観について学んだり、アンコールワット遺跡群を訪れて、歴史を感じるスタディーツアーが行われました。
 ユネスコスクールとの連携では、ESDや探究学習を通して、子供たちが地域の課題を学び、その成果を発信する活動が行われています。また、ユネスコスクールの国内外の交流では、海外の学校とのオンライン交流や協働学習を通して、多様な文化、価値観への理解を深めています。
 寺子屋運動への支援や世界遺産、無形文化遺産、ユネスコエコパーク、ジオパークなど、ユネスコ登録事業を活用した学習では、地域で学び世界とつながるユネスコならではの教育活動です。今後は、このような優れた実践をそれぞれの地域だけにとどめるのではなく、全国へ共有していくことが重要だと考えています。
 例えば、名古屋ユネスコ協会、岐阜県ユネスコ協会等では、ユネスコスクールによるユネスコ活動の発表会を実施したり、中部西地区、愛知、岐阜、三重、石川、福井のユネスコ協会で、カンボジアスタディーツアーを企画しています。
 このように、ユネスコスクールや青年会員との連携を更に深めて、若者が参加する側から企画し、発信する側へと成長できる機会を増やしていくことも大切だと思っています。地域ユネスコ協会同士がこうした実践を共有し、互いを学び合うことで、ユネスコ活動の輪は更に広がっていくと思っています。
 世界を見渡すと、日本がユネスコに加盟して75年が経った今も、残念ながら戦争や分断はなくなっていません。だからこそ、地域ユネスコ協会には、ユネスコの理念を地域に伝え、人と人とをつなぎ、教育を通じて平和を築いていく役割がこれまで以上に求められていると感じています。
 75周年を新たな出発点として、学校やユネスコスクール、自治体、地域社会、そして世界とのつながりを大切にしながら、若い世代とともにユネスコ活動の輪を更に広げて、平和の理念を未来につないでいきたいと考えています。
 ありがとうございました。
【北村委員長】  木下委員、ありがとうございます。
 最後に力強いお言葉を頂戴し、本当にそのとおりだと共感いたしました。先ほどからユースの重要性が何度も指摘されていますが、地域ユネスコ協会でも若い人たちをしっかり巻き込んで、ユネスコ活動を発展させようと御尽力されていることに敬意を表したいと思います。ありがとうございます。
 それでは、ここまでいただいた御報告に対して、御質問や御意見がある方は挙手ボタンでお知らせください。いかがでしょうか。
 それでは、伊藤委員、お願いいたします。
【伊藤委員】  ありがとうございます。
 金沢大学の加藤先生の発表で、ジオパークの様々な優れた教材が全国にあるものの、それらがなかなか共有されていない中で、どのように全国で活用していくのかという取組を進められているということを聞いて、これは非常に大事な取組だと、大変応援したい気持ちでいます。
 先日も熊本で大きな地震が起きましたけれども、日本に住んでいる以上、どこで何が起きてもおかしくないですし、誰が被災者になるか分からない状況だと思います。ジオパークに住んでいる子たちだけではなくて、全国の子供たちが、日本列島の成り立ちや地球の動き、そして防災について学ばなければならない状況にあるのではないかと思うんです。その動きを実際に実感できるのがジオパークなので、ジオパークを入り口に、そして題材にした共通の課題をつくるということに非常に意義があると思っております。
 私は糸魚川ジオパークの大使を務めていますけれども、すごく参考になるなと思っているサイトがありまして、共有させていただきたいと思います。
 能登半島地震の記録ということで、被災地に近い4つのジオパークが協力して取り組んでいるサイトを御紹介します。これは、内閣府の防災教育チャレンジプランという補助金を活用したもので、「学ぶ」、「訪れる」、「備える」、「暮らす」をテーマに、非常に分かりやすく学べるようになっています。
 さらに、小学校4年生、5年生、6年生など学年に応じて学びやすいものにアクセスできるようになっています。例えば、小学校4年生の社会科では、防災に向けた事前の備えを分かりやすく学べるようになっていたり、中学校1年生の理科の場合は、防災だけではなくて、大地がもたらす恵みについて学ぶことができます。例えば、輪島や佐渡などでは、大地の動きによって土地が隆起し、漁業がしやすくなって、漁村ができやすくなっているんだとか説明しています。私の糸魚川のところですが、断層がくぼんでいるところを利用して道になっているので、かつては「塩の道」ということで、山のほうに塩が運ばれていったとか、温泉があるとか、それぞれの段階に応じて、分かりやすく説明されているんです。
 ジオパークだけではなくて、全国のどの地域でも、それぞれの地域の恵みを生かした産業や暮らしが必ずあると思うんです。ですので、そこに促すというか、それぞれの地域を、それぞれの学生さんが、思いをはせて研究していくという動きにつなげていくことによって、地域への愛着につながっていく。それによって、地域のサステナビリティにもつながっていくという動きになっていったらいいかなと思っております。 
 ジオパークの共通教材として、例えば地球の動き、それから地震はなぜ起こるのかというメカニズムを含めた大地を知るということ、そして、災害に備えるということ、そして自然の恵みを理解するということ、そして最後は、自分たちの地域に置き換えて、恵みに感謝しながら備える、そして地域を大切にしていくというものを育むものにしていきたいなと思いますが、そこの部分はしっかりと分けて、地域のそれぞれの動きにつなげていったらいいかなと。
 分かりやすく、とにかく絵をいっぱい使ってつくっていただくということと、それから、ジオパークってやっぱり見て触れて学べるという生きた教材なので、現地に行って体感できるという仕組みに促していただけると、とてもいいかなと思っております。
 是非よろしくお願いします。ありがとうございました。
【北村委員長】  伊藤委員、ありがとうございます。
 とても貴重な御意見と、また貴重なホームページも御紹介いただきまして、自然の脅威について知ると同時に、その自然が持っている豊かさ、恵み、そういったものについてもしっかりと学ぶようなものを、このジオパークの学習素材に関しても、そういった視点を生かしていただけるといいなと思いますので、是非金沢大学の加藤先生たちの取組でも御参考にしていただければと思います。
 それでは、貞広委員、よろしいですか。
【貞広委員】  それぞれ大変優れた取組の御報告をいただきまして、ありがとうございました。
 その上で、先ほどの伊藤委員のお話と重なりますが、金沢大学の取組について、お願いを兼ねてコメントさせていただきたいと思います。実は私は糸魚川の出身なんですけれども、だからというわけではありません。現在、文部科学省において学習指導要領の改訂に向けた作業と議論が進められており、私も少しそれに関わっている立場からということです。
 次期の学習指導要領では、実体験と実感を伴う主体的・対話的で深い探究的な学びが、目下の学習指導要領よりも更に強く求められ、それが学校に実装されるように、もっとしっかりと定着するということが求められています。そういう中でこのジオパークがそれぞれ作成してくださっている教材というのは、そうした主体的・対話的で深い学びの教材になるということで、高い期待を持っているところです。
 一方、加藤先生も御指摘のとおり、教科書以外の優れた教材というのは、流通という点で非常に課題があるんですね。最近はクラウド環境も広がって、昔よりは流通が進んでいるけれども、やはりかなりアンテナの高い先生のところにしか届かないということがあります。誰でも、しっかりと、こうした優れた教材にたどり着くようなシステムをつくっていただくということは、非常に重要だと思っていて、期待をしています。
 その上で、1つだけ、もし可能であればというお願いでございますけれども、先生方は教科書以外のプラスアルファの教材で授業づくりをすることは、お忙しいということもあり、ちょっとハードルが高いんですね。ですから、学習指導要領のどの単元と強く結びついているのかということまでが記載をされているようなポータルサイトになりますと、かなり経験の浅い若年層の先生方も実際に教材研究に使っていただける教材として取り上げていただけるということがありますので、是非次の改訂の議論も横目でにらみながら、ひもづけということも考えていただければありがたいと思います。
 以上でございます。
【北村委員長】  重要な御指摘ありがとうございます。
 学習指導要領での議論を踏まえつつ、こういった新しい教材や、埋もれてしまっている教材をどれだけ多くの先生方に届けるかというのは本当に大きな課題だと思います。多くの国で同じような課題というのはあると思いますので、貞広委員の御指摘を日本の中の改善だけにとどめず、日本の中でしっかりやっていくと同時に、その経験を、ユネスコを通して、世界に対して、国際的に発信していく。ユネスコと連携する中で、国際的にも仕組みづくりであるとかを考える契機にできればと思います。そのためのグッドプラクティスとして、金沢大学の取組などが、これから国際的にも発信できるような形に発展すると非常によいのではないかなと感じました。
 それでは、井本委員、お願いいたします。
【井本委員】  井本です。1点質問です。
 日本のユネスコ加盟75周年記念の様々なイベントや取組、大変ありがとうございます。その中で、旅行雑誌『るるぶ』は、大変内容が充実していて、とてもいいなと思いました。このような情報を日本語だけでなくて、英語とか中国語とか、多言語でウェブサイトなどで発信できると、インバウンドの観光客にも、日本の地方に関心を持ってもらったり、日本の遺産ではなくて世界遺産として、世界で共有するといういい取組になるかなと思ったんですけれども、多言語で情報発信をするような計画があるかどうかを教えていただけたらと思います。
 以上です。
【北村委員長】  ありがとうございます。
 それでは、事務局のほう、いかがでしょうか。
【小林国際戦略企画官】  はい。井本委員、ありがとうございます。
 、英語での発信は、非常に重要と考えておりまた、登録サイトの関係団体の方々も意見をいただき、来年度に向けて、ジオパーク等を国際的に発信するための予算要求をを検討しているところです。御指摘も踏まえてしっかり検討してまいります。
【北村委員長】  ありがとうございます。是非、英語をはじめ、多言語化できればすばらしいかなと思います。
 末吉委員、お願いいたします。
【末吉委員】  御指名ありがとうございます。
 先ほど、貞広委員から次期学習指導要領について御発言があったと思うんですけれども、今回の資料とは関係ないところで気になったので、1点質問です。前回の小委員会でも出た話だったと思いますし、私も意見を申し上げたんですが、学習指導要領の審議で、子供の権利を総則などに明記していただきたいという御提案について、その後どうなったのか、進捗があれば是非こちらで共有していただきたいんですが、お願いできますでしょうか。時間がない中、申し訳ありません。
【北村委員長】  いえいえ。こちらは事務局のほうで把握はされていますか。あるいは、貞広委員、何か御存知でしたら。
【小林国際戦略企画官】初等中等教育局が管轄ですので、確認をして、別途御連絡させていただきます。
【北村委員長】  この件については、前回も御指摘いただいているかと思いますので、事務局のほうでしっかりと御確認いただいて御報告いただくということで、今すぐには事務局側では把握できておらず、大変申し訳ございません。
 貞広委員のほうで何かありますか。
【貞広委員】  はい。まだ検討中で、総則に向けての論点が整理されているような段階ですので、私のほうでも受け止めて、お預かりできればと思います。ありがとうございます。
【北村委員長】  どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 そのような形でよろしいでしょうか、末吉委員。
【末吉委員】  はい。ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
【北村委員長】  貴重な御指摘ありがとうございます。
 先ほどの御報告にもありましたように、るるぶや様々なイベントで、積極的にこの75周年という契機をとらえて文部科学省のほうでも取組をされています。また、地域ユネスコ協会をはじめ、様々なところで取組が行われているかと思いますが、大学等も含め、是非この機会を大切に生かし、日本におけるユネスコ活動のさらなる充実、発展、そしてユネスコとの連携のさらなる深化につながっていくといいなと感じております。
 本日予定していた議題は以上ですが、そのほか事務局からあればよろしくお願いいたします。
【生田目国際統括官補佐】  ございません。
【北村委員長】  ありがとうございます。
 それでは、議事の終了に先立ち、事務局からの連絡事項をお願いいたします。
【生田目国際統括官補佐】  本日は、お忙しい中御出席いただきまして、ありがとうございました。今後の予定でございますが、本日の議論については、9月10日の第159回日本ユネスコ国内委員会総会において北村委員長より御報告いただく予定です。
【北村委員長】  ありがとうございました。
 それでは、これをもちまして、本日の教育小委員会を閉会とさせていただきます。本日は御多忙の中御出席賜りまして、誠にありがとうございました。

―― 了 ――

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