資料1-3 世界文化遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」首里城跡で発生した火災の被害状況報告の概要

令和2年1月31日  文化庁

1. 資産の概要

〇 首里城跡において、遺構は世界遺産の顕著な普遍的価値を持つ要素であり、遺構上に作られた復元建造物は顕著な普遍的価値を可視的に表現し伝える施設である。

2.火災の概要

(1)発生から鎮火までの経緯
〇 首里城正殿を含む9棟の建造物が全焼した。
〇 出火原因は電気系統によるものが有力だが引き続き調査中である。
(2)被害状況
〇 正殿において展示・研究のために露出していた部分の遺構2か所が被災した。
〇 石材表面に生じた劣化が確認されているが、損傷状況については詳細調査を実施中である。

3.顕著な普遍的価値に与える影響

〇 今回損傷した正殿の露出遺構の面積は、史跡範囲に対し約0.05%と一部に限られる。
  (露出部分以外の遺構は盛土層で保護されており火災による影響はないと考えられる。)
〇 また、全焼・一部焼損した復元建造物についても、前回の復元に関する資料が残っており、復旧は可能。
〇 以上により、世界遺産の顕著な普遍的価値に与える影響は軽微と考えられる。

4.今後の復旧に向けた基本方針

〇 首里城復元に向けた基本的な方針(令和元年12 月11 日 首里城復元のための関係閣僚会議決定)に基づき、取組を進める。

  •  首里城の今般の復元に向け、詳細な時代考証に基づく前回復元時の基本的な考え方を踏襲して首里城を復元していくこととする。すなわち、首里城正殿について、1712 年に再建され、1925 年に国宝指定されたものに復元することを原則とする。
  •  その上で、前回復元後に確認された資料や材料調達の状況の変化等を反映するとともに、今般の火災を踏まえた防火対策の強化等を行う。
  •  前回の復元計画にできる限り沿って復元できるよう、政府一丸となって木材や漆などの資材調達に取り組むとともに、沖縄独特の赤瓦の製造や施工等について、前回復元時から沖縄県内に蓄積、継承されている伝統技術を活用するための支援を行う。
  •  これまで復元に携わってきた沖縄の有識者の方を含めた技術的な検討の場を内閣府沖縄総合事務局に設け、国土交通省等の関係省庁と連携しつつ、沖縄県民の意見を十分に反映できるよう沖縄県の参画を得ながら検討を進める。
  •  政府として、引き続き、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)と緊密に連携しながら進める。

本年度内を目途に、政府は首里城正殿等の復元に向けた工程表の策定を目指す。

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