実践例6

1単位時間の授業計画は、どんなふうに立てればいいんだろう?

(1) 対応する際のポイント

○子供が、最後まで取り組める程度の、課題の量や種類に配慮しましょう。

子供の実態や特徴に合わせて、次のような工夫が考えられます。

  • 取り組みやすいものから始めましょう。
  • 難しいものは、短時間から始めましょう。
  • 聞く、話す、読む、書く、体を動かすなどの活動を、バランスよく取り入れましょう。
  • 通級担当と子供で活動の順番を相談し、主体的に取り組めるようにしましょう。
  • 集中する時間と、リラックスできる時間を作りましょう。

○子供が学習に取り組みやすいように、指導方法、教材や教具を工夫しましょう。

  • 子供の興味・関心、得意なこと、理解しやすい手段など、学習に取り組みやすくなる教材や手立てを用意しましょう。子供が選択する、ゲーム的な要素を取り入れるなど、楽しく取り組めるような工夫もよいでしょう。

○目標に合わせて学習形態を工夫しましょう。

  • 個別指導を中心にしながら、必要に応じて、小集団指導を組み合わせて指導することができます。子供の目標の達成しやすさや、取り組みやすさなどを考えて、工夫しましょう。

○ PDCA サイクルによる見直しが大切です。

  • 授業の後には、指導内容や指導方法が適切であったか、指導目標は達成できたかを評価し、次回の授業に活かすようにしましょう。その際、子供の自己評価も参考にしましょう。

(2) 具体的な実践例

【概要】

  • 小学校3 年生のH さん(実践例5、11 と同じ)。
  • 通級指導の指導目標は、「自分の気持ちを適切に伝えたり、援助を求めたりすることができる。」、「気持ちや行動を調整する力を高める。」と設定しました。
  • 活動には、メリハリをつけ、H さんが理解しやすい手立てを活用するようにしました。
  • H さんは、体を動かすことが苦手です。運動会の練習が始まると、H さんは、練習中に上手くいかないと、その場にいられなくなることがあり、特に学年全体で行うダンス(表現運動)は、立ち位置の変化や振りが覚えられずに、不安を抱えていました。
  • 通級指導において、運動会の練習や本番を想定して、見通しがもてるようにしたり、自分の気持ちを伝えたり、コントロールしたりする学習をしました。

○実践例5の9 月頃の指導

活動内容 指導における配慮事項等 ◇今日の学習の確認 ●学習予定を確認する。●学習予定表を見ながらHさんと一緒に確認する。 見通しをもたせることで、子供が主体的に取り組みやすくする。1フリートーク ●学校での出来事を話し、相談したいことがあったら伝える。●Hさんの話を聞き取りながら、話の概要について、ホワイトボードに、メモや図示をする。●適宜、H さんに表情のイラストを選択してもらい、その時の気持ちを確認する。・まずは、フリートークでリラックスしてもらい、学習態勢を整える。・子供の気持ちを肯定的に受け止めながら、話しやすい雰囲気をつくる。・視覚的な手がかりを活用し、子供の理解を助ける。2体を動かそう ●通級担当の動きを真似して、体を動かす。●通級担当が、前で見本となり、Hさんに動きを真似してもらう。翌月の運動会を意識して、運動会のダンスの動きを取り入れる。 3見通しをもとう ●運動会のプログラムを見ながら、支援が必要な場面はどこかを考える。●運動会のプログラムを見ながら、当日の行動(動き)を一緒に確認し、通級担当が書き出す。 ●書き出した内容を基に、辛くなりそうな場面、休憩をはさみたい場面はどこかなど、Hさんに状況を具体的に想像してもらう。 4気持ちを伝えよう●辛い場面や支援が必要な場面で、具体的にどうしたらよいのか、ロールプレイをする。●水を飲む、静かな場所で休むなど気持ちを整える方法を考える。●教師への伝え方や動きを実演し、気持ちの準備をさせる。 例)「 お母さんと一緒に、保健室(静かな場所)で、○時○分まで休んできてもいいですか。」 5今日の振り返り●振り返りカードに記入する。●各活動について、◎○△で自己評価をする。今日の学習で上手くできたこと、上手くできなかったこと、大変だったことを書く。●通級担当も、各活動について、◎○△で評価し、自己評価と比べる。●評価に違いがある場合には、なぜ違うのかを話し合う。自己評価により、達成感とともに、次の課題意識をもてるようにする。
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