つながる②

コミュニケーション力向上を目指した小規模校の遠隔交流

 

新潟県粟島浦村立粟島浦(あわしまうら)中学校と山梨県道志村立道志中学校で、生徒間の遠隔交流の継続的な取組を始めました。小規模校の生徒たちに「多様な考えに触れ合う機会を与えてあげたい」「多くの人との交流からコミュニケーション力を育んでほしい」という先生方の願いがきっかけとなり、校内研究会講師として招聘した大学教員のコーディネートのもと実現しました。6月末、両校の先生方、コーディネーター、皆が手探りの状態でしたが、生徒たちの交流する姿を思い浮かべ、わくわくしながら遠隔打ち合わせ会を行い、 7月7日、両校の3年生の教室を遠隔システムで結び、第1回目の顔合わせ交流会をしました。



<粟島浦中学校より>


人口が345人の小さな島、粟島には、小中学校が一つしかありません。高等学校へ進学する生徒は、中学校を卒業すると粟島を離れ、寮生活を始めます。そのため中学校卒業段階での生徒の自立が当校に課せられたミッションであり、社会育成等をねらいとした島外の学校との交流学習を30年以上続けています。しかしコロナ禍により昨年度から予定どおりの実施が難しくなりました。そのため、今回の道志中学校とのオンラインによる授業交流は大変画期的であり、生徒の学びの可能性が広がる貴重な機会となりました。




<道志中学校より>


以前から、他校との交流活動はかなり積極的に行っていました。しかし、コロナ禍の教育活動において、交流活動が全くできない状況となっていました。そんな中で久しぶりの他校との交流活動となりました。さらに、オンラインでの交流となるとすべての生徒が初めてで、緊張を隠せませんでした。



<授業の様子>


1回目の授業が、両校の紹介と自己紹介と決まり、生徒たちは「粟島らしい、ワカメの養殖や定置網体験を紹介したい。」「卓球部やサポート活動部など部活を紹介したい。」など積極的な意見が出てきました。その時の生徒たちの様子から、自分たちが日ごろ学習している環境や教育活動に自信と誇りを抱いていることが伝わってきました。


授業が始まり、自分たちの紹介や相手校の紹介を聞く中で、徐々に緊張はほぐれ、同時に好奇心が高まっている様子がうかがえました。渓流の美しさに思わず声をあげる生徒がいたり、クイズに真剣に答えていたりと交流を楽しむ姿が見られました。自己紹介では、共通の趣味で盛り上がる場面や、お互いに質問をする場面など積極的な交流が行われました。授業後には「自分たちの学校にはない乗馬部やサポート活動部などに興味がわいた。」「ワカメをとったり、大きな魚を釣ったりしているのがすごかった。」などの感想がありました。


生徒は、遠隔交流の取組を通して、ふるさとの良さに改めて目を向けられたこと、これまでの学習を整理・統合できたこと、分かりやすく伝えるための方法を考えたこと等、多くの学びがありました。普段控えめな生徒が主体的に質問し、しっかり説明することができた姿や、「次はいつできますか」と笑顔で尋ねる生徒の姿から、次回のオンラインでの授業交流に繋がる有意義な時間になったことが感じられました。今後は、教科学習での協働的な学習、そして、生徒会活動の情報交換などの遠隔実践に取り組んでいきます。



また、コーディネートした大学教員の研究室も授業の様子を参観しました。教師を目指す学生にとっては、生の学校現場を見る貴重な経験であり、これからの時代の教育について考える機会となりました。



 
授業に関する問い合わせはこちらへ
文部科学省 GIGA StuDX推進チーム (03-6734-4039)





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