令和の日本型学校体育構築支援事業

令和の日本型学校体育構築支援事業 事例集第1章 GIGAスクール環境下における体育授業の充実

研究テーマ

授業情報|柏市立酒井根東小学校(千葉県)第5学年

進んで学び合う児童の育成

~ 伝え合う活動を通して ~

実践研究のねらいaim

  • 一人一台端末を活用した体育授業に対する取り組み方や意識の変容の検証
  • 体育授業における一人一台端末を活用した、伝え合う活動の具体的な方策の検証

具体的な活用方法use

  • 意見・回答の即時共有を通じた効果的なグループ別学習
  • 知識・技能の定着を助けるデジタルドリル

指導・支援の工夫devise

■ 単元

5年生:器械運動(跳び箱運動)

時間 1 2 3 4 5 6 7 8


学習のねらい、
見通しを持つ
〈ねらい1〉
グループ学習を通して、台上前転の
ポイントと自己の課題を見つける
〈ねらい2〉
自己の課題を解決するための方法や
活動の場を選んで練習に取り組む
学習の
まとめをする



オリエン
テーション
整列・あいさつ・準備運動(ジャンボリーミッキー)・場作り・感覚づくりの運動
課題の確認
学習のルールを
確認する
技のポイント探し 自分の課題に合わせた練習 発表会の
行い方の確認
披露する
順番の確認
ウォーミング
アップ
学習の流れを知り、
計画を立てる
台上前転ポイ
ントを考える
大きな台上前
転のポイント
を考える
自己の課題を
考える
同質グループで課題解決をする 異質グループで
課題解決をする
ポイントの確認・共有 課題の確認・共有
既習の技を
復習する
〈失敗OK挑戦GOODタイム〉
ポイントを意識して技の試技をする

発表会
動画撮影方法
(スポテク)の使
い方を確認する
動画の撮影
〈振り返り〉
自分のできた点、できていない点を振り返る。学び方について振り返る。次回の活動への見通しを持つ
あいさつ

■ 活動概要及び工夫点

・一人一台端末を効果的に活用した体育授業の指導と評価

単元前半【知識及び技能の育成を目指して】

 授業の冒頭で見本と失敗例を見せることで、技の習得に向けたイメージや技のポイントについて着目させた。また、下位運動(前転や重ねたマットへの前転や、跳び箱の上からの前転などをやさしい場で行う運動)に繰り返し取り組む中で、手・胴体・足・目線・頭の5つの視点で技のポイントを探すよう指導し、課題とする技に系統性を持たせた。さらに、見本映像を見比べる際に、技の類似点や相違点、発展のさせ方に着目させることで知識の深まりを図っていくこととした。

単元後半【思考力、判断力、表現力等の育成を目指して】

 試技を撮影し、自己の動きを視覚的に確認させ、見本と自己を比較してどこに課題があるか明確にさせたり、実際と感覚の違いを気付かせたりした。また、自己の課題に合わせて取り組む時間を設けて、個々が自己の身体能力や技能レベルに応じて挑戦したい技を選び、技能の習得に向けて目標を設定させた。その後、技の出来栄え等を確認し、改善すべき点を他者と探る中で思考力、判断力、表現力等の育成を目指していった。

家庭学習「体育ノート」【学びに向かう力、人間性等の育成を目指して】

 自己の動きを精察させるため、撮影した試技を家庭で見直し、毎時間の自己評価や課題を記述させることで、行動観察で見取ることができなかった個々の思考の深まりを見取り、次時の学びにつながるようフィードバックを行った。また、筆記が苦手な児童へは学習支援ソフト等を活用し、個に応じた指導をしていった。

・一人一台端末を活用した指導と評価の効率化

 器械運動は、「できる」「できない」がはっきりしており、技の達成に向けて試行錯誤する中でできたときの喜びは大きい。児童の「できた」に導くために、授業終盤に試技の撮影タイムを設け、提出された映像を見て児童の学びの状況の見取りを行った。

・一人一台端末の活用と運動時間の確保を両立するための方法
  1. 学びの焦点化とルーティン化
     オリエンテーションで、児童と「単元の流れ(ポイント確認→課題発見→課題解決)」を共有することで、学習内容を焦点化し端末を効率よく使う場面が限定される。
  2. 学習指導場面とマネジメント場面の削減
     マネジメント場面と学習指導場面の時間と回数を少なくするために、準備・後片付けについて、事前に一人一台端末に「何をどこに置くかを表した資料」を示し、準備・後片付けのリーダーの役割を作り削減を行った。
  3. 予習
     スポテク(指導支援用アプリ)内には、各領域の下位運動から主運動まで見本動画が掲載されているので、事前に単元で扱う運動について見本動画を視聴させることでイメージを持たせた。

成果と課題results & tasks

■ 成果

  • 単元前と単元後の調査より、児童は「学ぶ」ことに対する数値が大きく増加しており、その項目は「工夫して勉強」「めあてをもつ」「他人を参考」の数値に向上が見られたことから、よりよい学び方を見つけたことが推察できる。
  • 単元前と単元後のアンケートより、児童は単元前に一人一台端末を使って運動を「見る」ことによさを感じていたが、単元後は「どのように見るか」や「何を見るか」など「見ることのよさ」にまで派生していることがわかった。
  • 「技の達成」を目指すためにスポテク(指導支援用アプリ)を効果的に活用し、動作比較や繰り返し見る中で思考を深め、課題解決する姿が見られた。

■ 課題

  • 授業で活用する指導支援用アプリについて、教師がその機能を十分に理解し、撮影することや視聴することが目的とならないような単元計画を立てる必要がある。
  • 授業時間以外でも一人一台端末を効果的に活用し、運動の習慣化につながるような取り組みを促すことが重要である。

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