令和の日本型学校体育構築支援事業

令和の日本型学校体育構築支援事業 事例集第1章 GIGAスクール環境下における体育授業の充実

研究テーマ

授業情報|与謝野町宮津市中学校組合立橋立中学校(京都府)第2学年

動画撮影を活用した動作解析と
再現性の向上及び学び合える体育授業の実践

実践研究のねらいaim

  • 学習指導要領の趣旨を踏まえた、ICTの活用による運動が苦手(嫌い)な児童・生徒への効果的な指導方法の開発
  • 体力・運動能力や運動・スポーツに対する意識の向上に向けた取り組みの実施を図る

具体的な活用方法use

  • 個々の子供に応じたよりきめ細やかな指導方法の開発・実践(実態に応じた指導方法の開発等)
  • 知識・技能の定着を助けるデジタルドリル(手本動画の視聴等)

指導・支援の工夫devise

■ 単元

2年生:陸上競技(ハードル走)

時間 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10



オリエンテーション リード脚・抜き脚の
練習
ハードルを
跳び越える
スタートからゴール 記録測定及びまとめ
  • 学習のねらいや進め
    方等の確認
  • ICT活用による学習
    カード記入
  • 提出方法の確認
  • リード脚・抜き脚の動き
    の理解(デジタルコンテ
    ンツの視聴)
  • さまざまな高さのハード
    ルを使っての練習
  • 仲間の動きを見て、
    アドバイスをする
  • 走る動作のリズムを変える
    ことの理解
  • さまざまなインターバルの
    ハードルをリズムよく跳び
    越える練習
  • スタートから1台目までの
    歩数を決めることの理解
  • 個の能力に合わせて歩数を
    決める
  • タブレットで動画撮影、
    グループでフォームについて
    教え合い活動
  • 50m(5台設置)をリズム
    よく走り切る
  • スタート合図、計時、
    記録等の分担
  • 目標記録を目指し、
    リズムよく走り切る
  • 学習カードにまとめの
    記入

■ 活動概要及び工夫点

・振り返りや自己評価等のデータ化

 授業の振り返りや自己評価をデータで提出させることにより、提出状況や評価の集計作業の効率化が図れた。また、目視での実技テストでは、順番の待ち時間が長くなったり、細かな動作を見逃してしまったりするが、動画で記録をすることにより、運動時間の確保やポイントを絞ってじっくり評価できることにつながった。

・撮影する位置の工夫

 ハードリングを撮影する位置によって、フォームのチェックポイントが変わることを確認し、数ヵ所の角度から撮影をした。それをコマ送りやスロー機能等を使って再生し、グループでフォームについての教え合い活動につなげることができた。

・ゴールイメージの共有

 単元のはじめにハードリングの手本動画を視聴し、理想とする動きやハードリングなどを全員でインプットした。単元が進む中でその動きに近づけるためには、どのように技能の向上を目指せばよいかを考えることや、自己や他者の動きを見て、修正すべきポイントに気付くことができたり、アドバイスしたりできることにつなげるために、常に手本動画の動きを意識させた。

成果と課題results & tasks

■ 成果

  • ハードルの授業に抵抗を示している生徒が多い中、誰もがやってみようと思える動きから始め、段階的にハードリング技術を高めていくことで、主体的に考えながら授業に臨む生徒が増えた。
  • 実技テストの形態や一斉配信等を効果的に活用することで、集合する回数を少なくしたり、順番待ちの時間を減らしたりすることができ、生徒の活動時間が確保できた。
  • さまざまな角度から動画撮影したものをコマ送りやスロー機能等を活用することで、グループで交流しながらコツを伝えたり、理想のフォームに近づけようと励ましたりすることにつながった。また、フォームの確認や動作のイメージ等にICTを効果的に活用することで、教員が全体を把握しやすくなり、個に対応しやすくなるとともに、自分たちで指摘し合ったり、練習方法を工夫したりする場面が増え、効率的に活動できるようになった。
  • 運動場面を記録していくことで、自らの成長段階を振り返ることができた。

■ 課題

  • 屋外でタブレット端末を使用する際の砂埃や破損等、環境面の課題をクリアするには、タブレットカバーや安定感のある三脚などが必要となり、準備するには多くの費用がかかる。
  • 自分のフォームや動作を確認することにより、理想の形は再現しやすくなったが、もともと体力や運動技能の基礎が身に付いていない生徒を高めるところにまでつなげることが難しい。学習意欲の高まりをどのように活動の質につなげていくかが課題である。

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