初中教育ニュ-ス(初等中等教育局メ-ルマガジン)第403号(令和2年12月25日)

[目次]

【お知らせ】
(1) 授業目的公衆送信補償金の額が認可されました
(2) 令和2年度教育改革国際シンポジウム「ICTを活用した公正で質の高い教育の実現」開催
(3) NISE(ナイセ)研究所公開オンライン開催のお知らせ
(4) 学校のバーチャルイベントのための「サイバー大講堂」環境の提供を開始
(5) 2021年度「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」の募集について(近日締切!)
(6) 学びたい大学が見つかる「大学ポートレート」について
(7) 「文部科学省IB教育推進コンソーシアム 地域セミナーin北陸」開催(参加費無料)
(8) 「文部科学省IB教育推進コンソーシアム 地域セミナーin四国」開催(参加費無料)
(9) パラスポーツ体験型出前授業「あすチャレ!スクール」第1次募集開始!
(10) 「我が家のお正月料理」フォトコンテスト & オンラインシンポジウムの募集がスタート
(11) RESASを知っている人も!使ったことがない人も!!アンケート実施中!

【発行】
(1) 『初等教育資料』1000号記念増刊について
(2) 『初等教育資料』12月号について

【地方教育行政研修生リレーエッセイ】
〔初等中等教育局児童生徒課 内山友彰(兵庫県尼崎市)〕

【課長コラム】児童生徒に寄り添った積極的な指導・支援
〔初等中等教育局児童生徒課長 江口有隣〕

【課長コラム+】ICTは教師を不要とするのか
〔初等中等教育局初等中等教育企画課長 浅野敦行〕

【お知らせ(1)】授業目的公衆送信補償金の額が認可されました

〔文化庁著作権課〕

 学校等における教育のDXを進めるため創設された授業目的公衆送信補償金制度について、2021年度以降に適用される補償金の額を2020年12月18日付けで文化庁長官が認可しました。
 補償金額が決定したことで、2021年度以降、小学生1人当たり年間120円から大学生1人当たり年間720円といった金額を、教育委員会や学校法人など、学校等の設置者が文化庁の指定管理団体に支払うことで、学校の先生方が個別に許諾を得て使用料を支払うことなく、インターネットを介した学生等との著作物のやり取りを自由にできるようになります。

※詳細はこちら
○文化庁 授業目的公衆送信補償金の額の認可について
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/92728101.html

(お問合せ先)
文化庁著作権課著作物流通推進室
 電話:03-5253-4111(内線2847)

【お知らせ(2)】令和2年度教育改革国際シンポジウム「ICTを活用した公正で質の高い教育の実現」開催

〔国立教育政策研究所シンポジウム事務局〕

 令和2年度教育改革国際シンポジウム(高度情報技術の進展に応じた教育革新フェイズ2シンポジウム)「ICTを活用した公正で質の高い教育の実現」を開催します。
 高度情報技術(AIやビッグデータ解析等)の進展に応じた教育革新をどう展望し,いかに実現していくことができるのか。本シンポジウムでは,教育の質とともに、COVID-19を契機に世界的にその課題が深刻化した教育における公正に焦点を当て,ICTを活用した公正で質の高い教育の実現に向けた展望と課題について議論を行います。

<国立教育政策研究所 令和2年度教育改革国際シンポジウム(高度情報技術の進展に応じた教育革新フェイズ2シンポジウム)「ICTを活用した公正で質の高い教育の実現」>
・開催日:令和3年2月16日(火曜日)13時00分~17時15分(オンライン開催、参加無料)

※詳細及び参加申込みはこちら
https://www.nier.go.jp/06_jigyou/symposium/sympo_r02_02/【日本語版】
https://www.nier.go.jp/English/events/symposium/2020/fy2020/【英語版】 
        
(お問合せ先)
国立教育政策研究所総務部研究支援課研究支援係
 電話:03-6733-6813

【お知らせ(3)】NISE(ナイセ)研究所公開オンライン開催のお知らせ

〔初等中等教育局特別支援教育課〕

 国立特別支援教育総合研究所(NISE)では、多くの方に研究所の研究内容などを知って頂くため、毎年、研究所の一般公開を行っています。今年度は「新しい生活様式」をテーマにオンライン形式で開催し、障害種毎に学校の事例紹介や、生活や授業での工夫の紹介、身近な素材による教材・教具の作成・活用のデモンストレーション動画等を配信します。
 参加費は無料で、12月24日(木曜日)から1月11日(月曜日・祝日)の19日間、視聴いただけます。是非、ご覧ください。

○HPから詳細を見る際はこちら
 https://www.nise.go.jp/nc/laboratory_release

○公式LINEアカウントから詳細を見る際はこちら
 https://page.line.me/126vsvuc  

(お問合せ先)
国立特別支援教育総合研究所総務企画課総務・広報係
 電話:046-839-6803
 E-mail:a-koho@nise.go.jp 

(本件担当)
初等中等教育局特別支援教育課支援第二係
 電話:03-5253-4111(内線:3255)
 E-mail:kisokan@mext.go.jp 

【お知らせ(4)】学校のバーチャルイベントのための「サイバー大講堂」環境の提供を開始

〔研究振興局参事官(情報担当)付〕

 国立情報学研究所(NII)では、令和3年1月1日より、全国の教育研究機関等に向けて、ネットワークを用いたバーチャルイベントを気軽に開催できる「サイバー大講堂」環境の提供を開始します。これは、小学校、中学校、高等学校、高等専門学校、大学、短期大学などが教育研究を目的とした非営利のバーチャルイベントを行うにあたり、オンライン会議室ライセンスの制限により開催できない機関等を対象として提供するものです。詳しくは下記URLをご覧ください。
https://www.nii.ac.jp/event/other/decs/ca.html

(お問合せ先)
国立情報学研究所サイバー大講堂担当
 E-mail:ca@nii.ac.jp
※国立情報学研究所では在宅勤務のため電話での応対を休止しています

(本件担当)
研究振興局参事官(情報担当)付学術基盤整備室学術情報係
 電話:03-5253-4111(内線4080)

【お知らせ(5)】2021年度「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」の募集について(近日締切!)

〔官民協働海外留学創出プロジェクト「トビタテ!留学JAPAN」〕

 このたび、官民協働海外留学支援制度~トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム~大学生等コース第14期及び高校生コース第7期の派遣留学生を募集することとしました。

 新型コロナウイルス感染症が依然として世界各地で影響を及ぼしていますが、これからを担う若者にとってグローバルな視野・経験が重要であることは変わりありません。
 大学生・高校生等が日本と異なる文化・社会に飛び込む機会を継続的に提供できるよう、海外留学の機運醸成の牽引役であるトビタテ!留学JAPANでは、本年も「日本代表プログラム」の募集を実施することとしました。
 今後とも感染状況を注視しつつ、グローバルに活躍できる機会を求める若者を応援します。

大学生等コース(第14期)
・募集人数 400名(予定)
・対象となる留学計画  2021年8月10日~2022年3月31日までに開始されるもの
・申請期限 2021年2月26日(金曜日)17時締切

高校生コース(第7期)
・募集人数 800名(予定)
・対象となる留学計画 2021年7月1日~2022年3月31日までに開始されるもの
・申請期限
アカデミック(テイクオフ)【新高校1年生】以外…2021年1月29日(金曜日)17時締切
アカデミック(テイクオフ)【新高校1年生】…2021年4月20日(火曜日)17時締切

詳細はこちら:https://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/tobitate/1422994_00001.htm

(お問合せ先)
「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」受付センター
(受託先:一般財団法人青少年国際交流推進センター内)
 電話:ナビダイヤル 0570-090-700(平日9:30~17:30)
 E-mail:tobitate@centerye.org

(本件担当)
 文部科学省官民協働海外留学創出プロジェクト「トビタテ!留学JAPAN」
  電話:03-5253-4111(内線 大学生等コース:4928、高校生コース:4924)

【お知らせ(6)】学びたい大学が見つかる「大学ポートレート」について

〔高等教育局高等教育企画課〕

 「大学ポートレート」は、全国の国公私立の大学・短期大学から直接集めた教育情報を掲載するウェブサイトです。偏差値やランキングといった視点ではなく、それぞれの大学がどのような個性や特色を持ち、どのような教育や学生支援を行っているかといった視点から大学の姿を知ることができます。
 国公立版で「高等教育の修学支援新制度」等の公表項目や検索項目を追加するなど、ウェブサイトの改善を進めています。高校での進路指導などにぜひお役立てください。

大学ポートレート
https://portraits.niad.ac.jp/

(お問合せ先)
独立行政法人大学改革支援・学位授与機構
大学ポートレートセンター事務室
 電話:042-307-1686

(本件担当)
高等教育局高等教育企画課企画係
 電話:03-5253-4111(内線2484)

【お知らせ(7)】「文部科学省IB教育推進コンソーシアム 地域セミナーin北陸」開催(参加費無料)

〔大臣官房国際課〕

1.日 時  2020年12月27日(日曜日)13時30分~15時00分
2.会 場  オンライン(Zoom会議システム)
3.対 象     IB教育に関心のある教育関係者、生徒、保護者等(先着約50名)
4.内 容
セッション1:国際バカロレアの推進について(文部科学省IB教育推進コンソーシアム事務局)
セッション2:IB教育導入サポーターによるパネルディスカッション
パネリスト:
小松万姫氏(東京学芸大学附属国際中等教育学校DPコーディネーター)
高野和幸氏(高知県教育委員会事務局高等学校振興課 課長)
富岡真理子氏(滋賀県立虎姫高等学校DPコーディネーター)
原田卓氏(静岡サレジオ小学校PYPコーディネーター)
山元五葉氏(育英西中学校・高等学校MYPコーディネーター)

アフターセッション:15時00分‐15時30分 IB教育導入説明会(主催:国際バカロレア機構)
               15時30分‐16時00分 地域セミナー・パネリストによる個別相談会

<申込・詳細は下記ホームページより>
https://ibconsortium.mext.go.jp/topics-detail/20201119/ 

(お問合せ先)
大臣官房国際課外国人教育政策係
 電話:03-5253-4111(内線3222)

【お知らせ(8)】「文部科学省IB教育推進コンソーシアム 地域セミナーin四国」開催(参加費無料)

〔大臣官房国際課〕

1.日 時   2021年1月10日(日曜日)13時30分~15時00分
2.会 場   オンライン(Zoom会議システム)
3.対 象   IB教育に関心のある教育関係者、生徒、保護者等(先着約50名)
4.内 容
セッション1:国際バカロレアの推進について(文部科学省IB教育推進コンソーシアム事務局)
セッション2:IB教育導入サポーターによるパネルディスカッション
パネリスト:
石田真理子氏(仙台育英学園高等学校IBDP教務主任)
大西洋氏(市立札幌開成中等教育学校MYPコーディネーター)
新名主敏史氏(鹿児島修学館中学校・高等学校MYPコーディネーター)
高野和幸氏(高知県教育委員会事務局高等学校振興課 課長)
古市吉洋氏(広島県立広島叡智学園中学校・高等学校MYPコーディネーター)

アフターセッション:15時00分‐15時30分 IB教育導入説明会(主催:国際バカロレア機構)
               15時30分‐16時00分 地域セミナー・パネリストによる個別相談会

<申込・詳細は下記ホームページより>
https://ibconsortium.mext.go.jp/topics-detail/20201126/ 

(お問合せ先)
大臣官房国際課 外国人教育政策係
 電話:03-5253-4111(内線3222)

【お知らせ(9)】パラスポーツ体験型出前授業「あすチャレ!スクール」第1次募集開始!

〔スポーツ庁オリンピック・パラリンピック課〕

 パラアスリートとのパラスポーツ体験型出前授業「あすチャレ!スクール」の2021年度第1次募集が2021年1月12日(火曜日)より開始されます。
 「あすチャレ!スクール」とは、デモンストレーション、パラスポーツ体験、講話の3部から構成される90分間のプログラムで、児童生徒達に学びと気づきの機会を提供しています。

対  象:小中高等学校の児童生徒
実施場所:体育館
募集期間:2021年1月12日(火曜日)~1月22日(金曜日)

※「あすチャレ!スクール」の詳細はこちら↓(実施期間、募集期間等)
https://www.parasapo.tokyo/asuchalle/school/#introduction
※「あすチャレ!スクール」開始5年目にして1000校達成!15万人が受講!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000091.000023445.html

(お問い合わせ先)
日本財団パラリンピックサポートセンター「あすチャレ!スクール」事務局
 電話:03-5500-0825 
 FAX:03‐5500‐0826
 E-mail:asuchalle@parasapo.tokyo
 電話受付:平日10:00~17:00(休日祝祭日除く)

(本件担当)
スポーツ庁オリンピック・パラリンピック課
 電話:03-5253-4111(内線3953)

【お知らせ(10)】「我が家のお正月料理」フォトコンテスト & オンラインシンポジウムの募集がスタート

〔文化庁参事官(食文化担当)〕

 文化庁では、お正月料理をテーマにしたフォトコンテストを開催します!
 郷土の伝統的な「お正月料理」や各家庭に伝わるユニークな「お正月料理」、今年は会えない家族に届けたい「お正月料理」など、みんなの考える「お正月料理」の写真&メッセージを投稿してください♪
 入賞作品には、オンライン食文化シンポジウムでの紹介と合わせて、賞品もご用意しています!
<フォトコンテストについて>詳細はコチラ→ https://www.bunka.go.jp/foodculture/news.html#d201221
<オンライン食文化シンポジウムについて>詳細はコチラ→ https://www.bunka.go.jp/foodculture/symposium.html

(お問合せ先)
文化庁参事官(食文化担当)
 電話:03-5253-4111(内線5044)
 E-mail:syokubunka@mext.go.jp

【お知らせ(11)】RESASを知っている人も!使ったことがない人も!!アンケート実施中!

〔総合教育政策局地域学習推進課〕

 地域経済分析システム(RESAS)は、官民のビッグデータを地図やグラフ等により「見える化」したシステムで、
 最近では高校や大学の授業でも使われています。
 RESASの更なる改善を目指してアンケートを実施中です。皆さんの声をお聞かせください!
 今回初めてRESASを知った方は、とりあえず「RESAS」で検索!!自分の地域をデータで発見(わくわく)できるかも。
 詳細はこちらです→ https://rsch.jp/34bfe75fa0baec3a/login.php 

(アンケート内容お問合せ先)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(経済産業省より委託)
 E-mail:resas2020@murc.jp
 ※お問い合わせ窓口は上記URLからも確認できます。

(RESASお問合せ先)
経済産業省地域経済産業調査室
 E-mail:resas-kaihatsu@meti.go.jp

(本件担当)
総合教育政策局地域学習推進課
 電話:03-5253-4111(内線2647)

【発行(1)】『初等教育資料』1000号記念増刊について

〔初等中等教育局教育課程課〕

 『初等教育資料』は、幼稚園(こども園)・小学校における幼稚園教育要領・学習指導要領上のねらいや授業の実践、校内研究に必要不可欠な理論・実践事例を豊富に紹介している月刊誌であり、昭和25年5月の創刊以来、教育現場と国の教育課程行政をつなぐ架け橋の役目を担って70年が経ちました。このたび、1000号という大きな節目を迎えることができました。
 さて、本誌は、創刊当初より、常に「学習指導要領の趣旨を実現するための情報を提供する」という大きなテーマをもって取り組んで参りました。
 そこで今回、1000号記念増刊では、第1号から第1000号までの全ての特集1のテーマとその時々の教育機器や学校生活の様子などを写真入りで掲載したり、教育統計と学習指導要領改訂に係る答申一覧を掲載したりと、学習指導要領改訂と、その時代背景となるできごとをともに振り返っています。

※詳細はこちらを御確認ください。
→ (株式会社東洋館出版社HP)
  http://www.toyokan.co.jp/book/magazine/01/b539125.html

(お問合せ先)
教育課程課 教育課程第一係
 電話:03-5253-4111(内線2916)

【発行(2)】『初等教育資料』12月号について

〔初等中等教育局教育課程課〕
 特集1では、「見通しと振り返りを生かした指導の工夫」をテーマに掲げ、主体的・対話的で深い学びの視点から授業改善を進める上で、特に主体的な学びとの関係から、子供が学ぶことに興味・関心をもつことや、見通しをもって粘り強く取り組むこと、自己の学習活動を振り返って次につなげることの意義を解説すると共に、見通しと振り返りを効果的に生かした実践事例を紹介しています。
 特集2の道徳科では、「今、求められる心の教育」をテーマとしています。「学校の新しい生活様式」により、これまで行われてきた教育活動が制限され、人と人との関わりから得られる豊かな情操や道徳心が育みづらい状況において、子供たちの心をどのように育んでいけばよいのか、今だからこそ大切にしたい心の教育の在り方について、論説や鼎談、実践事例を基に示しています。

※詳細はこちらを御確認ください。
→ (株式会社東洋館出版社HP)
  http://www.toyokan.co.jp/book/magazine/01/b550635.html

(お問合せ先)
教育課程課 教育課程第一係
 電話:03-5253-4111(内線2916)

【地方教育行政研修生リレーエッセイ】

〔初等中等教育局児童生徒課 内山友彰(兵庫県尼崎市)〕

 「あなたはそこにいますか」
 蒼穹のファフナー(アニメ)に登場する未知の生命体"フェストゥム"が問うてくるセリフで、これにYes/Noどちらで答えようとも存在を抹消(同化)すべく襲い掛かるという何とも理不尽な問いかけであるが、最近ふとこのセリフを思い出す。このアニメが放映され、早や16年。私は当時高校生で神戸市にいた。幼い頃から埼玉県や新潟県、大阪府、兵庫県内を転々とし、今までに十数回転居や転校を繰り返してきた。派遣元である尼崎市は、中学生の頃に住んでいた。今は縁あって研修生として文部科学省で働き、東京都にいる。ヤドカリ人生を送っている私があの問いかけに答えるならば「もう私はそこにいませんよ」と返すだろうが果たして運命や如何に(当然抹消)。では、一体私はどこにいるのだろうか。こうした不安が私の原風景にあり、昨今の所謂コロナ不安と重なる。未知のウイルスは目に見えず、そこにいるのかいないのかも分からないが、確実に私たちを脅かし、不安を植え付けている。しかし、この場合「不安」ではなく「恐怖」というべきだ。不安には対象がないが、恐怖には対象がある。ウイルスという対象があるからには、それに対して対応や対策等を取る余地、即ち改善可能性がある。必ずコロナウイルスを克服する未来が訪れるはずである。こうした不安や恐怖に直面するからこそ、私たちは自らの存在(生き方や価値観、働き方、社会の在り方、生活様式、等)に改めて気づき、肯定し、新たな一歩を踏み出すことができる。
 そこで!新たな一歩と言えば、尼崎市!平成28年に市制100周年を迎え、「ひと咲き まち咲き あまがさき」を目指して新たな一歩を踏み出したばかり。そんな尼崎市が目指す将来像を実現するための一助となれるよう、私は文部科学省で日々研修に邁進しています。また、145年振りに再建された尼崎城が9か月前にオープンしたので、是非新築城の見学にお越しください!
 最後に、この記事がクリスマスに配信されるとのことなので、少しでも、一人でも多くの人が、この日を楽しく明るく過ごせますように。

【課長コラム】児童生徒に寄り添った積極的な指導・支援

〔初等中等教育局児童生徒課長 江口有隣〕

 令和2年も残りわずかとなりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。

 振り返れば、今年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向き合い続けた一年でした。教職員の皆様には、心の不安定や家庭環境の変化等を見越し、児童生徒や保護者との連絡を密にして、児童生徒の心身の変化や悩みの把握、心のケアや支援等に留意しながら教育活動に当たってこられました。この場をお借りして、心からの敬意と感謝の意を表します。

 さて、コロナ禍で臨時休校等を経験する中で、教育の場でICTの普及・活用が急速に進む一方で、学びの保障や居場所・セーフティネットとしての学校の役割が再認識され、児童生徒に寄り添った積極的な指導・支援は一層重要性を増しているように思われます。
 生徒指導は、社会的資質や行動力を高めることを目指す、すべての教育活動に関わる取組で、個々の児童生徒が抱える課題への対処も含まれます。いじめや不登校などの課題は、ちょっとしたきっかけでいつでも誰にでも起こり得ますので、その対策にはすべての教職員の皆様に関わっていただく必要があります。

 例えば、いじめ防止については、いじめ防止対策推進法を受けて国、自治体や各学校でいじめ対策の基本方針が策定されていますが、これらの中で学校や教職員に求められているのは、積極的にいじめを発見・認知し、一人の教職員が抱え込むことなく早期に組織的対応を行うことです。いじめ対策はいじめが行われなくなるようにすることを旨として行うものですが、それを強調するあまりいじめを認知すること、自分一人で何とかしようと考え組織に乗せることに消極的になり、その結果対応が遅れたり放置されたりして状況が深刻化してしまっては本末転倒です。同様の観点から、児童生徒の立場に立って、心身の苦痛を感じているものを広くいじめと捉えて対応することが求められています。
 この点に関して、文部科学省は、いじめの認知件数が多い学校について、「いじめを初期段階のものも含めて積極的に認知し、その解消に向けた取組のスタートラインに立っている」と極めて肯定的に評価をしていること、いじめの有無や多寡のみによって学校や教職員を評価してはならないことを繰り返し表明しています。また、組織的対応により、担任教諭に加えて生徒指導担当教諭、養護教諭や管理職など複数の目による状況の見立てや、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーや弁護士など専門家等の参加が可能となり、より実効的な解決が期待できることが国の基本方針にも記されています。

 児童生徒に関する課題の早期発見と組織的対応の重要性は、いじめ対策に限らず、不登校児童生徒に対する支援、自殺防止や児童虐待防止などの課題対応でも同様です。また、これらの課題に対処し、その未然防止や環境改善、児童生徒の非認知能力や自己指導能力の育成にまで取組を高めるには、学校の教職員や関係児童生徒のみならず、保護者との二人三脚が必要なことはもとより、状況に応じて周囲の児童生徒、地域、医療、福祉、教育委員会等を積極的に巻き込み協働しながら、より良い対応策をチームで模索することが不可欠です。
 これらは効果的な対応のためには当然の事柄ですが、コロナ禍での対応経験によってその重要性は改めて浮き彫りになったように思います。

 今年、私たちは、嵐はすぐに止むとは限らないこと、教育の足取りはなるべく止めてはならないこと、そして足取りを止めないすべを学んできました。児童生徒の明るい未来に貢献すべく、課員一同、今後とも足取りを止めず温故知新で取り組んでまいりますので、令和3年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

(参考:生徒指導上の課題に関し法律で明記されている学校や教職員の役割)
○いじめ防止対策推進法
(1)道徳教育等の充実、いじめの早期発見のための措置、相談体制の整備、インターネットを通じて行われるいじめ対策の推進
(2)いじめ対応組織を置き、在籍児童等がいじめを受けていると思われるときの事実確認と設置者への結果報告、いじめを受けた児童生徒や保護者に対する支援、いじめを行った児童生徒に対する指導や保護者に対する助言等
(3)いじめが重大事態に当たる場合、学校又は設置者は、組織を設けて事実関係を明確にするための調査等

○義務教育機会確保法(不登校児童生徒支援関係)
(1)児童生徒と学校の教職員との信頼関係及び児童生徒相互の良好な関係の構築
(2)児童生徒の置かれている環境その他の事情及びその意思を把握
(3)学校生活上の困難を有する個々の児童生徒の状況に応じた支援
(国や自治体は、上記について学校を支援するほか、不登校児童生徒に対する支援の状況等に係る情報共有の促進、不登校特例校や教育支援センター(適応指導教室)の整備充実、学校以外での学習活動の状況等の継続的な把握と児童生徒に対する支援等のための必要な措置)

○自殺対策基本法
 保護者、地域住民等との連携を図りつつ、在籍児童生徒等に対し、各人がかけがえのない個人として共に尊重し合いながら生きていくことについての意識の涵養等に資する教育、困難な事態、強い心理的負担を受けた場合等における対処の仕方を身につけるための教育等

○児童虐待防止法
 児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚して早期発見に努めること(発見すれば児童相談所への通告)

(参考資料)
上記関係法律のほか、
・生徒指導提要(H22.3文部科学省)
・令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について(R2.10.22文部科学省児童生徒課長通知)
・いじめの防止等のための基本的な方針(H25.10.11文部科学大臣決定(最終改定H29.3.14))
・新型コロナウイルス感染症に対応した小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における教育活動の再開後の児童生徒に対する生徒指導上の留意事項について(R2.5.27文部科学省児童生徒課長通知)
・児童生徒の自殺予防に係る取組について(R2.11.30文部科学省児童生徒課長通知)

【課長コラム+】ICTは教師を不要とするのか

〔初等中等教育局初等中等教育企画課長 浅野敦行〕

 GIGAスクール構想により、各学校のICT環境が整備され、個別最適な学びと協働的な学びを実現する良い機会となることが期待される。その一方で、河野大臣のご英断で削除されたが、内閣官房による令和2年秋のレビュー(秋の年次公開検証)の論点として、行政改革推進本部事務局から提起されたように、ICTの活用=教職員数の合理化、といった乱暴な主張が後を絶たない。その中でも、全国市長会は、我々文部科学省と同じように、教師の役割の重要性を訴えて下さっていることを、大変心強く思うところである。この全国市長会会長の立谷相馬市長の下記のコラムを拝読すると、教師の役割がICTにとって替えられることは不可能であることを再認識する。
++++++
「不確実な時代に」
〔福島県相馬市長 立谷秀清〕※同市長メールマガジンより引用

 私が小学3年のとき。
 大学出たての新米教師として、ひとつ年下の弟の担任となって赴任してきた先生は、何かのはずみで弟にアコーディオンを教えてくれることになった。母が買ってくれた赤いアコーディオンを持って、下宿を訪ねる弟について行った私にも親切に教えてくれた先生は、優しくて爽やかで、私には先生と一緒にいられることがうれしかった。その先生が、「君たちにはまだ分からないだろうが、人生には苦しい時やつらい時が必ずあるものだ。そんな時に音楽という友達があれば気持ちの支えになるんだよ」
 言葉がそのとおりだったかどうか定かではないが、「人生」「苦しい」「音楽は友達」という意味のことを聞かされ「きっと大切なことなのだ」と思いながら習いに通った情景をよく憶えている。
 あれから45年も経って、当の先生は私にアコーディオンを教えたことも、小学3年生に「人生」などと調子はずれのことを言ったこともすっかり忘れてしまったというが、子供の私にしてみればとても大事に思えたことだった。その後先生は飯舘村の小学校に転勤になり子供には遠い人になってしまったが、中学生になったときに無性に会いたくなって弟とバスに乗ってトコトコ訪ねて行った。少し大きくなって生意気にもなった私たちをみて先生はとても喜んでくれた。そして喜んでもらえることがふたりにはとてもうれしかった。

 次に訪ねていったのは高校入学時。仙台の伝統校だったので受験までの努力をほめてもらい、先生は吾が事のようにうれしそうな顔をした。
 その次は大学入学の報告に。「よかったな。青春を楽しめ」
 大学を卒業して、「医師になりました」「おお、いい仕事だ。がんばれ」
 やがて結婚の報告。医院を開業しますという報告。病院を創りましたという報告。県議会議員に当選しましたという報告。
 いつの間にか、節目節目に先生の自宅を訪ねて自分の成長を報告し、励ましてもらうことが人生の行事になっていた。県会議員に当選したときなどは、県教育委員会への出向歴が長い先生に教育行政のアドバイスを求めたこともあったが、知識を得ること以上に報告したい気持ちのほうがずっと強かった。

 残念ながら生来の音痴が許さず音楽を友達にすることはできなかったが、人生が苦しいことは先生が言ったとおりだった。22歳だった先生がどこまで分かってそう話したのかは、今から思えば心もとないが、子供だった私に鮮烈に響いた言葉だった。むろん響かせたのは先生の人間性である。そして多分、私の慎重な性癖に大きな影響を与えた。
 教師が子供たちに与えるものは教科書の中身だけではない。彼らは個人商店のように店先に商品を広げて子供たちに買わせようとしているのだ。どのような商品かといえば、それは教師の個性や人間性である。私はその商品を求めて、少年期からはじまり、青年期、壮年期と通い続けたのだと思う。「苦しいもの」と教わったとおりの半生だったが、先生の店はいつも温かく、私を元気にしてくれたし、報告に通える先生を持てた自分は幸せだったと思う。

 今から5年前の12月。相馬市長に当選した私は、人生の慣例により、当時の原町市に居を構えていた先生に苦しみながら勝ち抜いた選挙の報告をした。そのとき、やがて選任しなければならない教育長人事について、どのような視点で選任すべきか、また昨今の教育事情のなかで求められる能力は何かを尋ねた。的確なアドバイスを得て相馬に帰り、知り合いの教育関係者に尋ねまわったところ、すべての人が適任者は先生だという。
 市の人事に私情を加えるつもりはなかったが、私が信念をもって次に訪ねたのは教育長就任の要請だった。「君の選挙に不利になるから」と言って固辞する先生ー佐藤利郎氏を2度訪れ、最後は拝み倒した。多感だった私の少年時代のときのように、教職員たちを鼓舞してもらいたいと思ったからである。
 そしてこの5年間、私がはじめて会ったあのときと同じように、先生には教育行政に情熱を傾けていただいた。
 いま相馬も、教育を取りまく環境も変わりつつあるなかで、教育関係者の皆さんに参考にして頂きたいと思い、このエピソードを書いた。

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