初中教育ニュ-ス(初等中等教育局メ-ルマガジン)第389号(令和2年6月26日)

[目次]

【お知らせ】
□新型コロナウイルスに関連した感染症対策に関する対応について
□放送大学で家庭学習に資する番組を放送しています!
□2020年度 宇宙教育シンポジウムWEB版」の開催について
□新教材を無償配布!パラリンピック教材で共生社会につながる学びを!
□マレーシア政府派遣留学生予備教育派遣教員の募集について
□「令和元年度地方教育費調査」中間報告について

【課長コラム】壁を越えてつながるICT
初等中等教育局情報教育・外国語教育課 高谷 浩樹

【特別寄稿】(※次号390号にて別途配信いたします)
三砂中オンライン授業奮闘記!
~学校の先生と地域ボランティアのコラボで実現!~
東京都江東区立第三砂町中学校支援の会コーディネーター 潮田 邦夫

□【お知らせ】新型コロナウイルスに関連した感染症対策に関する対応について

文部科学省では、新型コロナウイルス感染症関連のお知らせを随時更新しております。
最新の通知等を掲載しておりますのでご確認ください。
https://www.mext.go.jp/a_menu/coronavirus/index.html

□【お知らせ】放送大学で家庭学習に資する番組を放送しています!

〔総合教育政策局生涯学習推進課〕

 新型コロナウイルス感染症に対応した小学校、中学校等における児童生徒の学びの保障に資する取組として、放送大学において各家庭での学習を支援するための番組を衛星放送(BS231ch)で放送しています。
 是非各ご家庭でご覧ください。また、本番組は、各学校が指導計画等に基づき家庭学習を課す際に活用することも可能です。

<放送内容、放送スケジュール等について>
(1)「家族で楽しむ!サイエンス」 
小中学生を中心に高校生から大人まで幅広い世代の方のサイエンスへの興味がかきたてられる番組
https://www.ouj.ac.jp/hp/o_itiran/2020/0529_2.html

(2)「効果を高める!遠隔学習支援コンテンツ」
小中学生向けに各教育委員会が制作した学習動画に、教師等が学習動画を用いた家庭学習を課す際の
ポイント解説などを盛り込んだ番組
https://www.mext.go.jp/content/20200619-mxt_syogai03-000006924_1.pdf

(お問合せ先)
総合教育政策局生涯学習推進課
放送大学振興係
電話:03-5253-4111(内線3459)

□【お知らせ】2020年度 宇宙教育シンポジウムWEB版」の開催について

〔研究開発局宇宙開発利用課〕

 宇宙開発利用課が所管するJAXAでは、宇宙活動のさまざまな成果を素材とした「宇宙教育」を推進しています。
 宇宙の謎は「好奇心」や想像力を掻き立て、人類の宇宙への挑戦過程は「冒険心」刺激します。
 また好奇心や冒険心の対象へたどり着くため何かを作る「匠の心」も大切な心の一つ。
 子どもたちは本来こうした心を持っていて、その心にいったん火が付けば、自らその探求心を駆使して知識や経験の輪を広げていきます。
 「子どもの心に火をつける」をモットーに、教育に携わる大人たちが、彼ら、彼女らを継続した学びの世界へ導くことを目指し、さまざまな連携を交えた宇宙教育活動を行っています。
 毎年開催のこのシンポジウムでは、最新の宇宙教育活動の報告を中心に
JAXAの宇宙教育の取組みも紹介しています。今年は5月に実施予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、WEB開催となりました。是非、ご覧ください。

1.開催期間:2020年6月15日(月曜日)~2020年8月14日(金曜日)
      ※ Q&Aの受付は、2020年7月17日(金曜日)まで

2.場所:「2020年度 宇宙教育シンポジウムWEB版」サイトに掲載
   https://onestep-sound.jp/jaxa-sympoweb/
  
(お問合せ先)
研究開発局宇宙開発利用課 宇宙開発連携協力係
電話:03-5253-4111(内線4514)

□【お知らせ】新教材を無償配布!パラリンピック教材で共生社会につながる学びを!

〔スポーツ庁オリンピック・パラリンピック課〕

 国際パラリンピック委員会公認教材『I'mPOSSIBLE(アイムポッシブル)』日本版の中学生・高校生版第三弾が、6月中旬から全国の中高特支等の学校と教育委員会に配布されています。
 指導案や映像資料なども含め必要なものが全て入っており、パラリンピックに対する事前知識がなくても授業が行えます。

 過去に配布した全ての教材(小学生版含む)を下記WEBよりダウンロード可能です。
 共生社会へ向けた授業ができる教材として、ぜひご活用ください。

※詳細はWEBサイトをご覧ください。
・国際パラリンピック委員会公認教材『I'mPOSSIBLE』日本版公式サイト(概要・活用事例等)
https://www.parasapo.tokyo/iampossible/
・教材ダウンロード:東京2020教育プログラム特設サイト「TOKYO 2020 for KIDS(学校・教育関係者向け)」
https://education.tokyo2020.org/jp/teach/texts/iampossible/

(お問合せ先)
I'mPOSSIBLE日本版事務局 
(公益財団法人日本障がい者スポーツ協会日本パラリンピック委員会/日本財団パラリンピックサポートセンター)
Email:iampossible@parasapo.tokyo   電話:03-6229-5404
※お問い合わせは、原則メールでお願いいたします。

(本件担当)
スポーツ庁オリンピック・パラリンピック課
電話:03-5253-4111(内線3493)

□【お知らせ】マレーシア政府派遣留学生予備教育派遣教員の募集について

〔高等教育局学生・留学生課〕

 文部科学省では、マレーシアにおける人材養成への協力の一環として、同国政府からの要請に基づき昭和58年度から日本人教員を現地に派遣し、日本の大学への留学を目指すマレーシア人学生に対する予備教育に協力するため、毎年、各都道府県から派遣教員の推薦を頂いております。
 このたび、公立高校教員等を対象に令和3年度マレーシア政府派遣留学生予備教育派遣教員を募集します。

派遣期間:2年間(令和3年4月から令和5年3月まで)
募集教科及び人数(予定):数学(5名)、物理(3名)、化学(2名)
対象:高等学校の教員として希望する教科・科目を原則5年以上の指導実績のある者

※派遣にあたっては、各都道府県教育委員会及び各指定都市教育委員会からの推薦が必要となります。現在、各教育委員会に対して【7月末(推薦書類は8月中旬)】を期日として推薦依頼を行っておりますので、詳細については、所管の教育委員会にお問合せください。

(お問合せ先)
高等教育局学生・留学生課留学生交流室外国留学係・私費留学生係
電話:03-5253-4111(内線3359)

□【お知らせ】「令和元年度地方教育費調査」中間報告について

〔総合教育政策局調査企画課〕

 地方公共団体が学校教育等のために平成30年度に支出した経費等及び教育委員会の組織等の状況を調査する「令和元年度地方教育費調査」結果の中間報告を公表しました。
 地方教育費総額は15兆9,716億円(前年度比0.8%減)となりました。このうち学校教育費は13兆4,415億円(同0.9%減)となり、また、社会教育費は1兆5,254億円(同3.4%減)となりました。
 また、令和元年5月1日現在の女性教育委員の割合は、都道府県教育委員会で43.2%(前回調査から0.5ポイント上昇)、市町村教育委員会で40.7%(同0.9ポイント上昇)、また、女性教育長の割合は、都道府県で8.5%(同2.0ポイント上昇)、市町村で5.0%(同0.8ポイント上昇)となり、いずれも過去最高となりました。

※調査結果の詳細はこちらを御覧ください。
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/001/005/1269973.htm

(お問合せ先)
総合教育政策局調査企画課統計情報分析係
電話:03-5253-4111(内線2266)

□【コラム】壁を越えてつながるICT

〔初等中等教育局情報教育・外国語教育課 高谷 浩樹〕

 新型コロナウイルス感染症対策の学校休業では、ICTを最大限活用した遠隔対応のため、私どもからも家庭にあるもの含めあらゆる機器や環境の活用、さらには一人一台端末のGIGAスクール構想の加速をお願いしているところです。これも受けつつ、ICTによる遠隔学習やオンラインの活用による子供たちの学びの保障に献身的に取り組まれている多くの学校関係者にまずは敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 このGIGAスクール構想は、新型コロナウイルス以前、昨年夏から始まったもので、大きく遅れた学校のICT化を進めることが目的であるのはご存知の通りです。ICTの活用はアクティブラーニングを深化させる、個々の学び(スタディ・ログ)を評価して一人一人に最適な学習を提供するなど、様々な効果がありますが、今回はそれら多くの効果のうち、新型コロナウイルス感染症対策で強く意識することとなった「壁を越えてつながる」効果について思うところを述べていきたいと思います。
※ICT導入の様々な意義、効果などは動画(YouTube「GIGAスクール」ch)で紹介しています。

 今回の休業では、学校・先生から各家庭の児童生徒への学びの保障が求められましたが、そもそもこの遠隔学習は、各家庭向けに留まらず、普段から学校の教室で行っても大きな効果が期待されます。小規模校の授業を他の学校とつなげることで、子供たちに対話的で深い学びが広がります。担任の先生の授業の際に博物館の学芸員や大学の専門家をつなぐと、子供たちの興味や理解が格段に深まります。

 授業だけでなく、ICTは様々な場面で「壁」を越えてつながります。今回の一斉休業では「バーチャル朝の会」など先生だけでなくクラスメートともつながることができる取り組みも見受けられました。学校と家庭との連絡も児童生徒にプリントを渡すやり方から、保護者への直接のメールやSNSで大きく効率化したとの声も聞きます。一斉連絡なら学校のホームページも活用できるでしょう。逆に家庭からの連絡も、時間を限定される電話連絡からメールやSNSでの連絡とすることでお互い効率化されます。

 先生同士でも、SNSでは全国規模で教師のコミュニティも多く立ち上がり、他校での先進的な指導法など様々情報交換が行われています。先生自作の教 材をクラウドを通じて自治体内の学校で共有することで、学校を越えた好事例の展開を進めている自治体もあります。さらに全国の学会や先進校の公開授業、また研修もオンラインでより身近なものにでき、先生方の指導力の向上にも役立ちます。一人の教師の先進的な取組が瞬く間に全国の教育現場に広がります。

 さらに教育現場でICT活用が進めば、意識せずとも児童生徒の日々の状況を保護者が得られるようになります。学校内の状況をリアルタイムで教育委員会や地域社会が把握できるようになります。学校も保護者や地域社会から様々なサポートを必要な時に受けやすくなります。

 これらは、ICTにより教室が、学校が、「壁」を越えて日常的に他の教育現場や外の社会とつながることを意味します。

 ほとんどの学校が社会の急激なICTの進展から大きく取り残されてしまった原因の一つは、学校や教育界の外の社会との「壁」であることは間違いありません。今回の大規模予算を伴うGIGAスクール構想は、学校関係者からの声よりも、むしろ学校でのICT活用が社会から大きく遅れた状況となったこと、言い換えれば周りから取り残されたことに全く気付かない「壁」の内側に強い危機感を抱いた「壁」の外側の声がきっかけであり駆動力となりました。

 一方で「壁」の内側はどうでしょうか。先日某全国紙には『(ある)中学校長は(オンライン教育について)「どうせ慣れる前に元に戻る」と話す。現場に満ちるのは時間切れを待つ空気』との記事が掲載されました。また、昨日のネット記事では『忖度ばかりの学校現場。(新型コロナウイルスの)非常事態で求められるのは、現場レベルでの柔軟な対応だが、強すぎる「横並び意識」が、現場の先生たちの思いを阻んでいる。』との内容が目を引きます。類似の記事は数知れず、いずれも外の社会からは、「教育の機会均等」を「時代遅れの現状維持横並び」とはき違え、新たな一歩を全く踏み出そうとしない教育現場の悲惨な姿が見えているのです。そして、残念なことにこのような実例は実際に文科省にも悲鳴のように届いています。

 今回の新型コロナウイルス感染症で社会全体のデジタル化に更に拍車がかかります。私たちにGIGAスクール構想の後戻りはありえません。ウイルス隔離に物理的な「壁」は必要でしょうが、新しいICTという便利な道具を使い、他の教師、他の学校、周辺地域、さらにその先の社会全体につながること、つまり「壁」を越えることを全員がもっと意識してみませんか。その上で、今の時代に相応しい教育を教師一人一人が考えて、実践してみませんか。
 もちろん「教育の機会均等」は重要です。そのために現場や管理職が行うべきは、一人一人の新しい取り組みをICTを使って壁を越え、全国の教育現場などに発信することであり、また逆に壁の外の新しい取り組みを積極的に取り入れることです。それが全国一律の教育水準の向上につながっていくのです。現状維持に固執するあまり、現場の新しい取り組みの芽を摘むことは、決して文科省の意図するところではありません。むしろ今の子供たちに相応しい教育を放棄する罪な行為ではないでしょうか。
 壁を超えてつながることこそが、新学習指導要領の「社会に開かれた教育課程」の一歩であることは間違いありません。
 

お問合せ先

初等中等教育局「初中教育ニュース」編集部

03-5253-4111

(初等中等教育局「初中教育ニュース」編集部)