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初中教育ニュ-ス(初等中等教育局メ-ルマガジン)第373号(令和元年12月24日臨時号)

[目次]

【萩生田文部科学大臣メッセージ】
□大学入学共通テストにおける記述式問題について
□子供たち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育ICT環境の実現に向けて
~令和時代のスタンダードとしての1人1台端末環境~

【矢野 文部科学省大臣官房審議官(初中教育担当) 特別寄稿】
□PISA調査2018とGIGAスクール構想

 

□【萩生田文部科学大臣メッセージ】大学入学共通テストにおける記述式問題について

 大学入学共通テストにおける記述式問題について申し上げます。
 この問題について、この間、国会での御指摘等も踏まえ、累次にわたり協議を続けてまいりました。最終的に先週及び昨日、大学入試センターの山本理事長から二度にわたり検討状況に関する現状の報告を受けました。
 また、昨日は、大学入試センターを訪問し、極めて厳密な体制で試験問題の作成などの試験実施業務が行われていることも伺ってまいりました。
 文部科学省としては、大学入学共通テストにおける記述式問題の導入に関して指摘されている課題に対し、どのような改善が可能か、できる限りの方策を大学入試センターとともに検討し、採点事業者に必要な対応を求めるなど様々な努力を重ねてまいりました。
 その結果として、一つには、採点事業者に守秘義務を課し、違反した場合の損害賠償等も規定した契約の締結や、採点者等に対し試験実施前に試験問題を類推できる情報を開示しないことなどを定めた機密保持契約の締結などにより、採点業務に関する機密を保つ体制を確保いたしました。
 また、採点事業者に対し、採点業務に伴い知り得た一切の情報の漏洩や目的外使用の禁止を契約に規定しているほか、採点業務を受託したことを利用した宣伝行為を、同社のグループ全体で自粛していただき、社会的疑念を招くことのない体制の確保に努めてきました。
 さらに、障害のある受験生に対しては、記述式問題を導入することに伴い、解答欄の大きさやレイアウトを変更した解答用紙を用意すること、それでも解答が難しい受験者に対しては、パソコンやタブレットを用いた入力を可能にするためのソフトウェアの開発などを行うなど新たな受験上の配慮を行い、それらをこれまでより早期に公表することとするなど、種々の検討・対応を進めてまいりました。
 同様に、採点の質、自己採点と採点結果との不一致の課題についても、真摯に取り組んでまいりました。
大学入試センターによりますと、まず、採点体制については、採点事業者としては、示された採点期日までに採点を完了するために必要な質の高い採点者を確保できる目途は立っているということであります。
 一方で、実際の採点者は、採点事業者において、適正な試験等により選抜し、更に必要な研修を行うという慎重なプロセスを経て適任者を得ることとしております。このため、実際の採点者が決まるのは来年の秋から冬になるということであります。
 採点の精度を上げることについては、2度の試行調査の検証結果も踏まえ、採点事業者において、当初の予定より更に多人数の視点で組織的・多層的に採点を行う体制の構築や、元教員等の専門的知見を有する者による品質管理専門チームを設け、ダミー答案を活用したチェックや無作為抽出によるチェックなどを行うなど、大学入試センターとしても更なる採点精度の向上を図ることが可能であるということでありますが、採点ミスを完全になくすところまで至るには限界があるということでありました。
 このため、各大学での個別選抜の前に、記述式問題の採点結果を本人に開示することも含め検討しましたが、採点スケジュールや各大学への成績提供の開始時期との関係から調整・解決すべき点が多く、少なくとも来年度からこれを行うことは現実的には困難との判断になりました。
 その検討に当たっては、共通テストを12 月や1月上旬に早めることも再度検討しましたが、12 月については、受験までに高校の学習内容を終了することができないことや各種の体育大会や文化行事の日程との関係などから難しく、1月上旬に早めることについても、年末年始の時期に、試験問題の配送や厳重な保管などを確実に行う上で問題があり、困難との判断になりました。
 自己採点については、2度の試行調査において、国語で約3割が自己採点と採点結果が不一致となりました。これについては、正答の条件に基づく採点の仕方について説明した資料を年度内に周知することに加え、模擬答案を用いた自己採点動画の提供による自己採点シミュレーションの支援なども検討いたしました。これらによって、一定程度の改善が期待できるとのことでありましたが、自己採点の不一致を大幅に改善することは困難であるということでありました。
 また、作問の工夫によって、自己採点しやすい設問にすることも検討いたしました。しかし、その場合、論理的な思考力や判断力を評価するという記述式問題導入の本来の趣旨を損なうことになりかねないとの判断に至ったとのことであります。
 これらを受け、文部科学省としては、採点体制について、採点事業者として必要な数の質の高い採点者の確保ができる見通しは立っていることは認められるものの、実際の採点者については、来年秋以降に行われる試験等による選抜、研修の過程を経て確定するため、現時点では、実際の採点体制を明示することができません。
 採点の精度については、様々な工夫を行うことにより、試行調査の段階から更なる改善を図ることはできると考えておりますが、採点ミスをゼロにすることまでは期待できず、こうした状況のもとで、試験の円滑かつ適正な実施には限界があると考えております。
 自己採点については、様々な取組を行うことにより、一定の改善を図ることができることは確認しましたが、採点結果との不一致を格段に改善することまでは難しく、現状では、受験生が出願する大学を選択するに当たって支障になるとの課題を解決するにはなお不十分だと考えております。
 この間、国会審議をはじめとして本件に関し様々なご意見が出され、受験生の立場に立って、早く結論を出すことが何をおいても重要だと考えてまいりました。
 これらのことから、再来年(令和3(2021)年)1月実施の大学入学共通テストにおける記述式問題の導入については、受験生の不安を払拭し、安心して受験できる体制を早急に整えることは現時点において困難であり、記述式問題は実施せず、導入見送りを判断をいたしました。
 再来年1 月の共通テストに向け勉強している生徒や、保護者、教師をはじめとする関係者の皆様にはご迷惑をおかけする結果となり、誠に申し訳なく思いますが、ご理解を賜りたいと存じます。
 今般の大学入試改革は、子供たちが未来を切り拓くために必要な資質・能力の育成を目指して、高校教育改革、大学教育改革とともに「高大接続改革」の一環として取り組んでいるものであります。初等中等教育を通じて論理的な思考力や表現力を育て伸ばすことは、大変重要であり、それらを評価する観点から、大学入試において記述式問題が果たす役割が大きいことに変わりはありません。
 今回、令和3年1月の大学入学共通テストでは記述式問題は実施せず、導入見送りを判断しましたが、各大学の個別選抜において記述式問題の活用に積極的に取り組んでいただきたいと考えており、文部科学省として、各大学に対してそうした取組をお願いしていきたいと思います。
 また、私の下に設置する検討会議において、共通テストや各大学の個別選抜における記述式問題の在り方など大学入試における記述式の充実策についても検討してまいりたいと考えております。
 

□【萩生田文部科学大臣メッセージ】子供たち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育ICT環境の実現に向けて
~令和時代のスタンダードとしての1人1台端末環境~

 12月13日に閣議決定された令和元年度補正予算案において、児童生徒向けの1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備するための経費が盛り込まれました。

 Society 5.0時代に生きる子供たちにとって、PC端末は鉛筆やノートと並ぶマストアイテムです。今や、仕事でも家庭でも、社会のあらゆる場所でICTの活用が日常のものとなっています。社会を生き抜く力を育み、子供たちの可能性を広げる場所である学校が、時代に取り残され、世界からも遅れたままではいられません。

 1人1台端末環境は、もはや令和の時代における学校の「スタンダード」であり、特別なことではありません。これまでの我が国の150年に及ぶ教育実践の蓄積の上に、最先端のICT教育を取り入れ、これまでの実践とICTとのベストミックスを図っていくことにより、これからの学校教育は劇的に変わります。
 この新たな教育の技術革新は、多様な子供たちを誰一人取り残すことのない公正に個別最適化された学びや創造性を育む学びにも寄与するものであり、特別な支援が必要な子供たちの可能性も大きく広げるものです。
 また、1人1台端末の整備と併せて、統合型校務支援システムをはじめとしたICTの導入・運用を加速していくことで、授業準備や成績処理等の負担軽減にも資するものであり、学校における働き方改革にもつなげていきます。
 忘れてはならないことは、ICT環境の整備は手段であり目的ではないということです。子供たちが変化を前向きに受け止め、豊かな創造性を備え、持続可能な社会の創り手として、予測不可能な未来社会を自立的に生き、社会の形成に参画するための資質・能力を一層確実に育成していくことが必要です。その際、子供たちがICTを適切・安全に使いこなすことができるようネットリテラシーなどの情報活用能力を育成していくことも重要です。
 このため、文部科学省としては、1人1台端末環境の整備に加えて、来年度から始まる新学習指導要領を着実に実施していくとともに、現在行われている中央教育審議会における議論も踏まえ、教育課程や教員免許、教職員配置の一体的な制度の見直しや、研修等を通じた教員のICT活用指導力の向上、情報モラル教育をはじめとする情報教育の充実など、ハード・ソフトの両面からの教育改革に取り組みます。

 今般の補正予算案は、すでに児童生徒3人に1台という地方財政措置で講じたICT環境整備に取り組んできた自治体、またこれから着実に整備に取り組もうとする自治体を対象に、1人1台端末とクラウド活用、それらに必要な高速通信ネットワーク環境の実現を目指すものです。そして、この実現には、各自治体の首長の皆様のリーダーシップが不可欠です。
 この機を絶対に逃すことなく、学校・教育委員会のみならず、各自治体の首長、調達・財政・情報担当部局など関係者が一丸となって、子供たち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育ICT環境の実現に取り組んで頂きますよう、心よりお願い申し上げます。
 

□【矢野 文部科学省大臣官房審議官(初中教育担当) 特別寄稿】PISA調査2018とGIGAスクール構想

 本年12月3日に、2018年に実施されたOECDの生徒の学習到達度調査、いわゆるPISA調査「生きるための知識と技能」の結果が公表され、メディアは一斉に、「読解力続落」「日本の読解力急落15位」「課題の読解力で15位」などと大々的に報じました。
 『「PISAショック」再び』というセンセーショナルな見出しで報じた新聞もありました。   

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 PISA調査は、そのタイトルの通り「生きるための知識と技能」を問うものです。よって、子供たちが現代社会を「生きるための」課題を意識したものとなっているため、そもそも網羅的に一般的学力を測るようなものではありません。
 しかしながら、今回の「従来型」のメディアの報道ぶりは、数紙を除き、本や新聞を読んでほしいという「持論」を中心に展開したものが多かったので、率直に言って、学校現場には調査の結果の意義が正確に伝わっていないのではないかとたいへん危惧しています。
 現に中教審初中分科会では複数の委員から、「調査結果の意義を正確に学校現場に伝えてほしい。」というご要望がありました。
 また、現役の教師とみられるネット上の書き込みの中には、 「文科省のいう通り読解力を高める授業をやってきたのに」PISA調査の結果が悪かったことについて「これは一体どういうことだ。」という嘆きの声が綴られたものもありました。
 このため、今回のPISA調査の真のメッセージを少しでも正確に伝えるため本稿を寄稿しました。事実関係以外の主観的な表現はすべて私の個人的な見解であり、文科省の方針とは必ずしもイコールではないことをあらかじめ念のために申し添えます。
 
 さて、肝心の調査概要ですが、2015年に初めて導入されたPC使用型調査は、今回本格的なものになりました。2015年調査はPC使用型といっても、単純にPCを使ったというだけのものでした。
 つまり、読解力についていえば、前回までは、「読解力」の定義は、書かれたテキスト(本や新聞など出所や校正・校閲がしっかりした書きもの)の中から「情報を探し出す」「字句の意味を理解する」「統合し、推論を創出する」「内容と形式について熟考する。」等でありました。つまり「従来型」の範囲内での「読解力」を問うものだったといえるでしょう。
 今回からは、オンライン上の様々なデジタルテキスト(ブログ、投稿文、宣伝サイト、メール文)など、文責が誰にあるのか、出所が定かであるのか、校正・校閲がしっかりなされているのかなどが一見明確ではない文書について、「質と信ぴょう性を評価したり」「矛盾を見つけ対処したりする」ことも求めており、問題自体もその7割がPC使用型調査のために開発された新規ものとなっています。つまり、前回までの「読解力」の調査からは大きく変化しているということです。
 OECDの責任者であるシュライヒャー局長も、現代社会においてデジタルの世界で求められる読解力に焦点を当てたこと、「フェイクニュース」が広がる世界での読解力がより重要な能力になっていることを明確に言及しており、今回のPISA調査は、これまでの「読解力」の範囲に加え「情報活用能力」をも求めていることは明らかだと思います。

 調査結果から見える我が国の課題も非常にクリアです。
 報道では、「デジタル設問、情報精査に課題」「教育ICT対応遅れ」「自分の考え育む授業を」「デジタル活用世界に遅れ」など、的確にこの調査結果をとらえた見出しも多くありましたが、「従来型」の「読解力」に拘泥したメディアも多くみられました。
 今回のPISA調査では、本や新聞、雑誌を読む頻度は、日本を含めOECD全体として10年前に比較して減少する傾向にあります。一方で、日本は、OECD諸国に比較して、読書を肯定的にとらえる生徒の割合がかなり高くなっており、OECD諸国の中で課題が際立っているわけではありません。
 あえていうなら、国語の授業では、フィードバック、すなわち、「先生が長所を教えてくれる、改善の余地がある部分を教えてくれる」がOECD諸国に比較して、やや少なくなっている以外は概ね良好である結果がでており、従来型の「読解力」の指導については、わが国固有の特筆すべき大きな課題は、本調査結果のみを見る限り見当たりません。
 今回のPISA調査で明らかになったわが国の教育上の最大の課題は、デジタルデバイスについて、家庭での子供たちの自主的な使用が先行し、OECD諸国に比較してゲーム遊びやチャットなど「遊び」に多く使われている反面、「宿題をする」「学校の勉強のためにインターネット上のサイトを見る」「関連資料を見つけるために授業後にインターネットを閲覧する」等、学校や家庭での学習にデジタルデバイスを使用している者の割合が非常に少ないということです。
 つまりデジタルデバイスをどのように使うべきかということが、家庭においても学校においてもあまり教えられていない状況にあり、子供たちが「自主的」に「遊び」に使っている実態が先行してしまっている、その結果「OECD諸国の中で際立って、学習にデジタルデバイスが使われていない。」ということがこの調査の「きも」なのです。

 ところが、かなり多くのメディアは、従来型の「読解力」に焦点をあてており、今回のPISA調査のもつ意義とは大きくかけ離れた印象を与えました。
 とくに、あるメディアは、読解力の向上を目指す取り組みとして、「ごんぎつね」の国語の授業を取り上げ、「ごん」の心情や作者のメッセージについて意見交換し、考えをまとめる光景を流し、国語科の伝統的な心情をくみ取る授業をその「解決策」として示しつつ、有識者のコメントとして「日本では・・・読解力の向上に向けた施策を実践してきたが、その効果は、十分出ていないのは残念だと思う」という的外れなコメントを流しました。
 この指摘はミスリードだと思います。
 これに対して、ある有識者から、SNS上で、「PISAは全世界で同時に調査を行うため、文化に依存する価値観や筆者の気持ちなどは問わない。PISAの読解力や書く力を議論するときには、日本の国語科の伝統的な読解力と区別しないと議論が混乱することに注意が必要かと思う。」「・・・「ごんぎつね」の気持ちを丁寧に読解する活動をPISA読解力低下の「処方箋」として流したのは、的を射たものとは言い難い。」と批評されています。
 もちろん、PISA調査の価値観だけが、子供たちに必要な「学力」ではないことは明白で、従来型の「読解力」も今後も当然伸ばしていく必要があります。
 しかしながら、我が国で課題とされてきた「従来型」の「読解力」を伸ばすために学校現場はこれまで日夜地道な努力を続けており、結果的にそのような努力に対して冷や水をかけ、その士気を落とすような報道はいかがなものかと思います。
 PISA調査の価値観だけが重要だとは決して言いません。しかしながら、繰り返し申し上げますが、少なくとも「読解力」に加え「情報活用能力」という「新たな課題」がOECDから各国に投げかけられてきたのは紛れもない事実です。
 今回、この投稿を急いだのは、もし「今までの読解力を高める学校での地道な努力は何だったのか」と自問されている先生方がおられれば、そうではなく、今回は、新たな読解力(読解力と情報活用能力のハイブリッド型)の涵養が学校教育においても求められたという事実を本稿で伝えたかったわけです。

 一方、今回のPISA調査の結果は、「文科省にとって都合がよすぎる。」との声も頂戴しています。
 それは、タイミングよく、本年12月5日の総合経済対策や12月13日に閣議決定された令和元年度補正予算(案)において、「GIGAスクール構想」(すべての小中学校等にかかるPC等の整備、すべての小中高校等の校内LAN整備)について2318億円という多額の予算が認められたこと、令和5年度までに、PC端末等1人1台の環境をすべての小中学校等で整備することとされたからだと思います。 
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 今回のPISA調査の結果の背景には、たいへん残念ながら、わが国のPC等の端末の整備、活用状況、ネットワーク整備が、OECD各国の中で依然として大変低いことがあり、必然的なことだったと受け止めています。
 しかしながら、この「GIGAスクール構想」は、昨日や今日に思いつきで始まったものでは決してありません。
 あまり報道されておりませんが、来年度から順次本格実施される新しい学習指導要領(平成29年3月告示)には、「情報活用能力」を「学習の基盤となる資質・能力」として位置づけ、「読み書きそろばん」と同様の扱いをしています。
 また、従来、ICT環境整備は、設置者負担主義の下、地方財政措置、すなわち地方公共団体の「一般財源」で整備が行われてきました。その結果、ICT環境整備が進んでいる自治体と遅れている自治体の格差が際立ってきました。
 義務教育は、「どこに住んでいても、誰であっても、妥当な規模と内容の教育が受けられる」ことが根本にあります。にもかかわらず、地域間で著しい格差が生じているのは、文科省としては堪えがたいことです。
 さらに言うと、ICTリテラシーは、経済的な格差が最も出やすい分野だともいわれています。ゆえに学校教育がしっかりと取り上げる必要があるのです。
 このため、政府は、いわゆる「骨太の方針」2019(令和元年6月)において、「学校ICT環境の整備状況に地方自治体間でばらつきが見られる中、国としてもその是正に努めつつ・・・・」という文言を盛り込み、それまで自治体任せだったものを、国が、学校ICT環境整備の積極的支援に乗り出すことを明確にしました。
 また、文科省は、平成30年11月に「新時代の学びを支える先端技術のフル活用に向けて~柴山・学びの革新プラン~」を打ち出し、令和元年の6月には、「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策」(最終まとめ)を示しました。今回の「GIGAスクール構想」の骨格となるものですのでぜひご一読願えればと思います。

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 さて、この「GIGAスクール構想」は、今後の学校教育に大きな変化を起こすと考えています。
 もちろん、その大前提として、不易の部分、すなわち学校教育の役割・目的が、学力保障、人格の陶冶、社会性の涵養、であることの認識が必要であることは言うまでもありません。また、知・徳・体を一体ではぐくむ「日本型学校教育」の根幹を崩すことはあり得ないと考えています。

 「GIGAスクール構想」の検討課題は山積しています。
(1)ICT環境整備についてどのようなものをどのような手順で進めるのか。将来的にはBYOD(Bring Your Own Device)をどのように考えるのか。
(2)ICT機器や教材を使いこなす人員をどのように養成・確保していくのか。日常的にICTを活用できる体制づくりをどのように進めるのか。
(3)学校において活用する教育用コンテンツ、デジタル教科書や教材の質の確保をどのようにするのか。
という3点が一番大きな課題です。
 つまり、ハード整備だけではなく、指導にあたる教職員、サポートスタッフやソフト、コンテンツが重要であるということです。
 このほか、たとえば、(1)すべての授業でPCやタブレット端末が使えるようになる中で、各教科の指導方法をどのように対応させていくのか、(2)デジタル教科書と紙の教科書をどのように取り扱っていくのか、(3)教員養成をどのように行い、(4)教員免許をどのように変えていくのか、(5)従来の教室、教材、教具をどのように見直していくのか、(6)病気療養児、遠隔地、不登校児童生徒、外国人児童生徒などの支援にどのようにつなげていくのか、(7)働き方改革にどのようにつなげていくのか、(8)デジタルデバイスの負の側面をどのように教えていくのか、(9)全国学力・学習状況調査のCBT(Computer Based Test)化をどう考えるのか、(10)各種統計調査の改革にどのようにつなげていくのか etc 検討課題は枚挙にいとまがありません。
 また、この構想の行きつく先では、例えば、学校健診情報、歯科検査情報、学力情報などを、学校などが、個人情報の適切な取り扱いに留意しつつ、デジタルで共有することにより、それらの情報を学力対策、貧困対策、問題行動対策などの指導にどのようにつなげていくのかなどなど、学校教育全体の充実・改善につなげていくことです。
 もちろん、そのカギとなるのは、最後は、教師であり、PCが入ったら教師が必要なくなるのではなく、さらに進化した教師像が求められるのです。
 こういうと、すぐ「今の教師では無理だ。」とネガティブな声が聞こえてきます。
 大丈夫です。いきなりそんな難しいことは求めません。QRコードを読んで、デジタル教材を使うぐらいのことは誰にでもできます。その次は、優れた文章作成ソフトや、プレゼンソフトですが、これも非常に使いやすくなっています。また、調べものにインターネットを使うくらいは誰にでもできます。同時並行的に研修を受けていただいてその次のステップとして、プログラミング教育やICTを活用したアクティブラーニングなど徐々にステップアップしていけばいいと思います。
 もちろん、教育はコンピュータが行うものではなく、人が行うものであり、「教育の成否は教師にかかっている」というところはいつの時代でも不変です。

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