資料3 当面の取組について I 総論 (1)都道府県等への計画策定の働きかけ(文科省・厚労省) 他制度の取組を参考にしつつ、「通知、研修、全国会議等を通じた策定の依頼」、「策定状況の調査」、「HP等での策定事例の紹介」など、各地方公共団体の計画策定に向けた働きかけを実施する。特に都道府県については、管内市町村が計画を策定するにあたり参考となることから、策定を積極的に促す。 なお、策定にあたっては地方公共団体内の関係部署の連携のみならず、地域における関係者・関係団体との連携が必要となることなど、策定にあたっての留意事項についても周知する。 (2)国民等への周知(文科省・厚労省) ○HPやリーフレット※等を通じて、図書館における各種サービス、インターネットを介した図書の利用など、関連施策の紹介について定期的に発信するとともに、関係団体や地方公共団体に対しても積極的な周知を依頼する。 ※リーフレットの作成について(イメージ) 【ターゲット】 ・障害当事者やその家族 等 【構成】 ・(読書バリアフリー法・基本計画の概要) ・公立図書館、点字図書館、国立国会図書館等の役割 ・インターネットを通じた音訳・点訳図書の提供システム ・アクセシブルな書籍・支援機器の種類 等 【配布方法】 ・各図書館、当事者団体、福祉関連施設において配布するほか、HPからダウンロード可能となるよう掲載 ○読書バリアフリーの機運を醸成するため、図書館関係者、障害者団体、行政関係者、ボランティア団体、一般市民の方等を対象とした全国的なシンポジウムを東京で開催する(令和3年2月開催予定)。 II 個別課題に係る今年度・来年度の取組 1.視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等(第9条関係) (1)国立国会図書館での製作及び他機関製作分の収集(国立国会図書館) 学術文献の録音資料やテキストデータの製作を促進する。 令和2年度は、予算を確保し、他機関では製作が困難な学術文献について、視覚障害者向け録音図書を製作している。令和3年度は、他機関では製作が困難な学術文献について、視覚障害者向け録音図書に加え、今年度までの試行を踏まえ、テキストデータ等の製作を進める想定。 また、上記と並行して、引き続き公立図書館等で製作される特定電子書籍等を収集する。 (2)図書館等におけるテキストデータ製作支援の実験の取組(国立国会図書館) 令和2年度以降も、日本点字図書館等と協力し、当館の共同校正システムを用いて点字図書館や公立図書館等のテキストデータ製作を実験的に支援するとともに、図書館等におけるテキストデータ製作支援の枠組みを検討する。時機を見て、実態把握のために、公立図書館等に個別にヒアリングを実施することを検討中。 (3)点字図書館における取組の充実(厚労省) 点字図書館におけるアクセシブルな書籍等の充実や視覚障害者等の円滑な利用を図るため、地方公共団体等に対する支援の充実、視覚障害以外の障害種別の者の利用に向けての促進など、地方公共団体における先行事例や関係者等の意見を踏まえながら取り組んでいく。 更に、実施されている支援の内容や視覚障害以外の者も含めた利用といった点字図書館の実態を把握するため、必要な調査等を実施する。 (4)大学図書館等における取組(文科省、国立国会図書館) 国立情報学研究所において、大学図書館等の関係者の意見も踏まえつつ、全国の大学図書館等が保有するアクセシブルな書籍等の所在情報を共有するためのシステムを令和3年度からの運用開始を目指し、現在検討中。国立国会図書館のデータベースとの連携についても、引き続き検討していく。 また、大学図書館関係者の会議等において、同取組や、学内の障害学生支援担当部局等の関係部局との連携強化の必要性について周知を図る。 (5)各図書館間の連携強化(文科省・厚労省・国立国会図書館) 各図書館に求められる役割等を整理の上、視覚障害者等の図書館利用時の支援が効果的に提供出来るようにするため、関係団体や各省庁等との協議を継続して実施する。 協議会の設置やノウハウの提供など、点字図書館や公共図書館等の連携促進の取組に対して、好事例等を普及の上、地方公共団体に対する支援を着実に実施する。(厚労省) 公立図書館、学校図書館、大学図書館、点字図書館等が連携した読書バリアフリーコンソーシアムを組織し、各館の物的・人的資源の共有、図書館を利用する視覚障害者等の増加を目的とした広報の強化等のモデル的な取組を行う地方公共団体を支援することを検討する。(文科省)。 2.インターネットを利用したサービスの提供体制の強化(第10条関係) (1)サピエ図書館への支援強化(厚労省) 「サピエ図書館の安定的な運営」、「広報活動等の推進を通じた利用者の増加」を図るため、システム管理団体や運営団体と定期的に協議を実施しつつ、支援の充実に取り組む。 (2)各インターネットサービスの周知(国立国会図書館) 令和2年度、令和3年度とも、公立図書館職員、大学図書館職員及び類縁機関(視覚障害者情報提供施設等)職員を対象とした障害者サービス担当職員向け講座を引き続き実施し、国立国会図書館の視覚障害者等用データ送信サービス及び国立国会図書館サーチ障害者向け資料検索(視覚障害者等が全国にあるアクセシブルな書籍等を統合的に検索できるシステム)、サピエ図書館について周知を図る。 「8.製作人材・図書館サービス人材の育成(第17条関係)」も参照。 (3)各インターネットサービスの連携強化(文科省・厚労省・国立国会図書館) インターネットを活用したサービスの現状を踏まえ、関係団体や各省庁との協議を定期的に実施し、サービス内容、システムの改善や提供体制等の検討を進める。 3.特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援(第11条第1項関係) (1)サピエ図書館への支援強化(厚労省) 製作手順の明確化、研修等による音訳者・点訳者等の質の向上のための取組を促進させるため、サピエ図書館の運営事業者と定期的に協議を実施しつつ、支援の充実を図る。 (2)点字図書館・公立図書館等の連携強化(厚労省・文科省) 各図書館に求められる役割等を整理の上、特定書籍・特定電子書籍等の製作が効果的に実施出来るようにするため、関係団体や各省庁との協議を継続して実施する。 また、点字図書館や公共図書館等における製作のための連携促進の取組に対して、好事例等を普及の上、地方公共団体に対する支援を着実に実施する。 (3)書籍の製作状況の調査(厚労省・文科省) 点字図書館、点字出版施設、公立図書館等における、製作している図書の種類・数や製作基準の有無といった特定書籍・特定電子書籍等の製作状況の実情を把握するため、必要な調査を実施する。 4.特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援(第11条第2項関係) アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等(第12条関係) (1)電子書籍市場の拡大等に関する調査(経済産業省) ・令和2年度は、アクセシブル電子書籍市場の拡大等と出版社からのテキストデータ提供に関する課題に関して、経済産業省の委託調査事業として実施する。 ・具体的には、出版者等に対して、アクセシブルな電子書籍市場の拡大と出版者からのテキストデータ提供に関する課題についてのアンケート調査及びヒアリング調査並びに海外における読書バリアフリーに関する制度、事例等の文献調査を実施する。 ・上記調査結果等を踏まえ、有識者及び出版関係者等を招へいし、検討会(3回程度)を開催し、今後の方策について報告書として取りまとめる。 【スケジュール(予定)】※実施内容(行)と時期(列)の表で表現 ※時期については、特段の記載がない限り矢印で表現 (契約等・報告書) 8月中旬から9月中旬 公募・入札 9月中旬から9月下旬 契約 2月中旬から3月上旬 報告書作成 3月中旬から3月下旬 報告書とりまとめ (アンケート調査) 10月上旬から10月下旬 項目作成 10月下旬から11月下旬 調査改修 11月下旬から12月中旬(点線) 集計分析 (ヒアリング調査) 10月上旬から1月下旬 (文献調査) 10月上旬から12月中旬(12月上旬から中旬にかけては点線) (検討会(3回)) 12月中旬から3月上旬 @12月中旬、A2月上旬、B3月上旬 (2)民間電子書籍サービスについて、図書館における適切な基準の整理(国立国会図書館) 音声読み上げ機能(TTS)等に対応したアクセシブルな電子書籍等を提供する民間電子書籍サービスについて、図書館における適切な基準の整理等を行い、図書館への導入を支援する。令和2年度から令和3年度は、サービス事業者側、ユーザ側の各関係団体との調整を進める。 5.外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備(第13条関係) (1)マラケシュ条約に基づく視覚障害者等用データの国際交換サービスの実施(国立国会図書館、厚労省) 国内外の連絡・相談窓口として中心的な役割を果たす機関(国立国会図書館、特定非営利活動法人全国視覚障害者情報提供施設協会等)において、役割分担及び連携方法の整理について検討しつつ、令和2年度及び令和3年度も、マラケシュ条約に基づく視覚障害者等用データの国際交換サービスを着実に実施し、外国で製作されたアクセシブルな電子書籍等の円滑な入手及び国内で製作されたアクセシブルな電子書籍等の外国への提供を促進する。 (2)中心的な役割を果たす機関に係る周知等(文化庁) 外国で製作されたアクセシブルな電子書籍等の円滑な入手を促進するため、国内外の連絡・相談窓口として中心的な役割を果たす機関の連絡先や入手に当たっての手続・留意事項等について引き続き丁寧な周知を行う。また、その運用状況も踏まえつつ、必要に応じて更なる環境整備を行う。 (参考)現在、文化庁のホームページにおいて、国立国会図書館、特定非営利活動法人全国視覚障害者情報提供施設協会の連絡先や関連ホームページ等が記載されている。また、国立国会図書館のホームページでは、@国内在住の個人及び図書館等向けに、外国で製作された視覚障害者等用データの国内(日本)への取寄せ方法、A外国在住の個人及び図書館等向けに、同館が所蔵する視覚障害者等用データの外国への提供について、詳細に案内が記載されている。 ・文化庁ホームページ:https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/marrakesh/ ・国立国会図書館ホームページ:http://www.ndl.go.jp/jp/support/index.html 6.端末機器等及びこれに関する情報の入手支援、情報通信技術の習得支援(第14条・第15条関係) (1)点字図書館における取組の充実(厚労省) 点字図書館における端末機器等に関する情報の入手支援、ICTの習得支援の充実を図るため、地方公共団体における先行事例や関係者等の意見を踏まえながら地方公共団体に対する支援の充実に取り組んでいく。 更に、点字図書館におけるこれらに関する支援の実施状況等を把握するため、必要な調査等を実施する。 (2)障害者ICTサポート総合推進事業の着実な実施(厚労省) 障害者等に対してICT機器の紹介や貸出、利用にかかる相談等を実施する本事業について、読書バリアフリー関係の好事例を普及させるとともに、点字図書館との連携による効率的な実施方法について、地方公共団体や実施団体の取組状況や意見等を踏まえて検討する。 (3)日常生活用具等給付事業の推進(厚労省) 地方公共団体による、アクセシブルな電子書籍等を利用するための点字ディスプレイ、デイジープレイヤー等の端末機器等の適切な給付が実施されるようにするため、通知・全国会議を通じて、法や基本計画の理念、障害者のニーズや地域の特性等を踏まえた日常生活用具給付等事業の実施を促す。 7.アクセシブルな電子書籍等・端末機器等に係る先端的技術等の研究開発の推進等(第16条関係) 視覚障害者等が利用しやすい電子書籍及びこれを利用するための端末機器に関して、主としてICTによる技術面から、広く障害者等の利便の増進に資するICT機器・サービスに関する研究開発を実施していく。このような研究開発を広く実施促進するために、現在、総務省において障害者等の利便の増進に資する助成事業を実施しているが、今後、基本計画の趣旨に照らし、より効果的な開発に向けて、現場の課題・ニーズを踏まえて、更なる取組の推進を図っていく。 【事業の概要】(参考資料3を参照) 障害者・高齢者の利便の増進に資する通信・放送サービスの充実に向けた、新たなICT技術等の研究開発を行う者に対し、経費の2分の1を上限として助成金を交付。 8.製作人材・図書館サービス人材の育成(第17条関係) (1)司書等を対象とした研修の実施(厚労省、文科省、国立国会図書館) 司書等の資質の向上のため、各種図書館の職員等を対象に研修を行う。 ※参考資料3「製作人材・図書館サービス人材の育成を目的とした研修一覧」を参照。 (2)点字図書館における取組の充実(厚労省) 点字図書館における製作人材等の育成の充実を図るため、地方公共団体における先行事例や関係者等の意見を踏まえ得ながら、地方公共団体に対する支援の充実に取り組んでいく。 (3)各図書館等との連携強化(厚労省・文科省) 各図書館に求められる役割等を整理の上、製作人材の育成が効果的に実施出来るようにするため、関係団体や各省庁との協議を継続して実施する。 また、養成研修の合同開催など、点字図書館や公共図書館等における養成のための連携促進の取組について、好事例等を普及の上、地方公共団体に対する支援を着実に実施する。 (4)製作人材育成の調査(厚労省) 点字図書館、点字出版施設、公立図書館等における、製作人材の人数や養成研修の実施状況などの製作人材の育成の実情を把握するため、必要な調査を実施する。 (5)司書・司書教諭等の養成課程及び講習における学習(文科省) 基本計画策定通知において、司書や司書教諭等の養成課程を置く大学及び司書や司書教諭等の講習を実施する大学その他の教育機関に対し、当該養成課程及び講習において、視覚障害者等に対する図書館サービスの内容を学習できるよう努める旨を依頼した。