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道徳教育xHERO なぜ 道徳教育xHERO? ドラマ出演者インタビュー イベントレポート

ドラマ出演者インタビュー

木村拓哉さん
久利生公平役

「経験」という名のいろいろな引き出しを作ってあげたり、それを開け閉めできるようにしてあげたりしてほしいですね。それは子供たちにとって、後からきっと役に立つと思います。

木村拓哉さん 久利生公平役

 木村さんはこの「HERO」というドラマで検事・久利生公平を演じられているわけですが、御自身が子供の頃にあこがれていたヒーロー像や、またそれはどういうところに惹(ひ)かれていたのかということについて教えていただけますでしょうか。

 僕は子供の頃、トム・ソーヤにとてもあこがれていました。トム・ソーヤは腕白でいたずらが大好きで、学校の先生や母親代わりの伯母さんにも怒られてばかり。褒められるようなところは全くないんですが、なぜか惹(ひ)かれるものを感じて、トム・ソーヤのまねばかりしていました。たまたま僕が幼少期を過ごした場所は、大きな川が流れていたり、自転車でしばらく行ったら海もあったりするような所だったので、友達と一緒にトム・ソーヤのエピソードに出てくるような気分を味わえるようなことをよくやっていました。
 「やりたいことをやる」っていうのは、その結果として、たくさん怒られることがあったとしても本人の責任でしょうけど、「たくさんやりたいことがある」とか、「これをやるには、こういう段取りを整えていないとうまくいかないぞ」と知恵をめぐらせてから行動に移すということ自体はとても豊かなことですよね。多分、そういうところに子供心にあこがれたんじゃないかと思います。

 トム・ソーヤのように大人に怒られるようなこともしましたか。

 自分の通っていた小学校はとても規模の大きい学校だったのですが、学校の学年集会などで3、4回くらいみんなの前に立たされて、「○○君たちはこんなことをして、こんなに迷惑をかけました。皆さんは絶対やっては駄目ですよ。」というようなこともありました。

 そのときの経験が、後になって活(い)きてきたということはありますか。

 何も活(い)きていないです(笑)。ただ、「こういう場所で、友達と一緒にこういうものを食べると、どうしてこんなにおいしく感じるんだろう?」というような経験や思い出は残っていますね。

 自然の空気をいっぱい吸い込みながら、のびのび生きてきたという感じがしますね。

 小さい頃から高校2年生まで続けていた剣道も、最初は訳が分からないまま始めさせられたという感じでした。当時は「何でこんなことやってるんだろう?」ということを思いながらも、防具を着け、大きな声を出し、全力で相手に打ち込んでいくということをしていると、ストレスがたまることもなかったですね。

 子供時代にそういう夢中になれるものがたくさんあったということは幸せだと思いますし、それが自分への自信にもつながったということでしょうか。

 そうですね。夢中になれるものや、ドキドキするようなものに出会えたというのはラッキーだったと思います。でも、それが自信につながるのかどうかというのは考えなくてもいいんじゃないでしょうか。子供の頃は、何かを損得勘定抜きで夢中になってやっているだけでいいような気がします。

 そうやって成長していく子供たちと大人や先生たちとのコミュニケーションや関わり方についてはどうお考えでしょうか。

 子供たちと大人や先生たちが、いざ必要となればお互いの声をしっかりとらえられるアンテナのようなものを持っていればいいなと思います。
 例えば、作文一つ書くときにも「原稿用紙○枚で書きなさい」と言われてしまうと、発信する側(がわ)も受け取る側も幅を狭められてしまう気がするので、もっと自由にしてもいいんじゃないかなと思います。
 ただ、「やりたくない」はいいとしても、「トライする前から『できない』と言ってしまう」のは駄目なんじゃないかと思っています。

 ドラマの中で、久利生公平はジーパンにTシャツという型破りな格好で検事という仕事をしていますが、これについてはどのようにとらえていますか。

 久利生公平という人物がああいう格好をしているのは、日本独特の「右へならえ」的な考え方からすれば、受け入れ難いものかも知れません。もし、制服やユニフォームというものがあるのであれば、彼もきっと袖を通しているだろうと思いますが、彼の服装は「事件の現場を見に行きやすいように」とか、「本来やるべきことをきちんとやれるように」というシンプルな動機に基づいてのものなんだろうと思っています。

 木村さんが仕事をしたりふだんの生活をしたりする上で、時代が変わっても大事にしているものや、言葉、考え方などはありますか。

 やはり自分の経験からくるものだと思いますが、「志」という言葉が好きです。その文字の成り立ちを見てみると、「武士(もののふ)の心」なんですよね。いろいろな現場や舞台に立たせてもらっている自分としては、どこか負けず嫌いな所もあるのかも知れません。

 今回のタイアップでは「『正義』ってなんだ?『真実』ってなんだ? みんなで考えよう、本気で生きるってこと。」というメッセージを掲げていますが、これについてはどうお考えでしょうか。

 「本気で生きる」という言葉を子供たちがどうとらえてくれるかですが、「自分は○○になりたい」とか「こういうことをやってみたい」と感じることが大事だと思いますし、子供たちの「やる気」を引き出すきっかけになってくれればと思います。

 いろいろな大人の姿を見ることで子供たちも気付くことがたくさんあると思います。今回のドラマの中でも、「こんなふうに生きていいんだな」、「こういう大人がいてもいいんだな」、「こういう人たちも悩みながら一生懸命働いているんだな」ということが伝わると、子供たち一人一人にそれぞれ違う「やる気」が芽生えるのかもしれませんね。

 働くということが、子供たちにとって単なる苦労として見えるというのは望ましくないですよね。就職難という現状がある中で理想ばかり言っているわけにはいかないですが、「本当にやりたいからこれをやっているんだ」ということを大人も自分の中にしっかりもっていないと、言葉にしなくても、子供たちには「大変そうだな」とか「いやいややっているのかな」というように伝わってしまうのではないかと思います。

 最後に、学校で学んでいる子供たちと、それを支えている先生方に向けて、メッセージをいただけますでしょうか。

 子供たちには、外に出て、思いっきり汗だくになって、泥んこになって遊んでほしいですね。現状としては、なかなか難しい面もあるかもしれませんが、今しかできない遊びを思いっきりしてほしいと思います。
 また、テストの点数も大事だとは思いますが、先生方は子供たちがたくさん笑ったり泣いたりできるように、「経験」という名のいろいろな引き出しを作ってあげたり、それを開け閉めできるようにしてあげたりしてほしいですね。それは子供たちにとって、後からきっと役に立つと思います。

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